新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター3『世界華撃団壊滅! 透明円盤は侵略者だった!!』

チャプター3『世界華撃団壊滅! 透明円盤は侵略者だった!!』

 

宇宙ハンター クール星人

 

ミサイル超獣 ベロクロン登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・支配人室………

 

「報告は以上になります」

 

「そう………分かったわ。大変だったわね」

 

デットンの襲撃を受けた伯林(ベルリン)華撃団を連れて帝劇に帰還した誠十郎は、すみれに向かって報告を終える。

 

「突然の訪問、申し訳有りません」

 

同席していたエリスが、すみれに向かって頭を下げる。

 

「いいえ、此方こそ。降魔の撃退をして頂き、感謝致します」

 

「勿体無いお言葉です。帝国華撃団・花組、“伝説のトップスタァ”………神崎 すみれ殿にそう言って頂けるとは」

 

恐縮した様子のエリス。

 

すみれの事をかなり尊敬している様だ。

 

「ところで………『ウルトラマンゼロ』について、帝国華撃団はどれだけ御存知なのですか?」

 

と其処でエリスは、ゼロの事について尋ねる。

 

「“彼の存在”に関しては、我々に降りて来る情報が殆ど無く、謎に包まれています。WLOFの上層部ではプレジデントGを始め、危険視している幹部も多数居る様ですが………」

 

「………()()()、如何思いますの?」

 

「えっ………?」

 

するとすみれは、エリスにそう問い返した。

 

「其れは、如何言う………?」

 

「大切な事は“()()()聞いた話”では無く、“()()()見て感じた事”では無くて?」

 

「!?」

 

すみれの言葉に、ハッとした様な様子を見せるエリス。

 

「……流石は、伝説の初代帝国華撃団の隊員です。感服致しました」

 

「ふふふ………」

 

敬礼するエリスを、すみれは微笑んで見遣る。

 

「あの………其れで、お願いが有ります」

 

「あら、何かしら?」

 

「よろしければ少し………“昔の話”を聞かせて頂けないでしょうか?」

 

(わたくし)の話で良ければ………喜んで」

 

「! ありがとうございます!」

 

『何だ、あんな顔も出来るんだな』

 

嬉しそうな顔をするエリスを見て、ゼロがそう呟く。

 

「其れじゃ………神山くんはもう下がって良いですわ。他の華撃団へのご挨拶は、後日改めてで良いわ」

 

「ハッ!」

 

誠十郎は敬礼すると、支配人室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇2階・階段前………

 

「もう1度言ってみなさいっ!!」

 

「!? 何だっ!?」

 

2階を訪れた誠十郎の耳に、怒声が聞こえて来る。

 

『其処の部屋からみてぇだぞ』

 

「資料室か………」

 

ゼロが、声は資料室から聞こえて来たものだと言うと、誠十郎は確認する為に資料室の中へと入った。

 

其処には、クラリスと伯林華撃団のマルガレーテの姿が在った。

 

(クラリスと………伯林華撃団のマルガレーテさん? 如何したんだ?)

 

『少なくとも、“友好的な雰囲気”ってワケじゃ無さそうだな』

 

ゼロの言う通り、クラリスはマルガレーテを睨み付ける様に見ており、やや険悪な雰囲気が漂っている。

 

「何度でも言ってやる。“カビ臭い本”と言った。只の()()だ」

 

「カビ臭くなんてありません! どの本も、大切な想いが書かれた()()()()です!」

 

(成程、そう言う事か………)

 

2人の遣り取りで、大体の状況を把握する誠十郎。

 

「“カビの生えた想い”ね。()()()演劇ばかり上演している訳だわ。どんな想いも、“活かせなければ意味が無い”。()()()()()と調和してこそ、一流の脚本………貴女には、到底辿り着けない境地ね」

 

と元からの性格なのか、攻撃的な台詞が続くマルガレーテ。

 

『言われっ放しってのも癪だな………』

 

「(! ゼロ! おま………)流石は“天下の伯林華撃団様”だな。言う事が違うぜ」

 

すると其処で、ゼロが主導権を取り、そう言いながら2人の間に割って入った。

 

「! 神山さん!」

 

「帝国華撃団の隊長………」

 

クラリスが驚くのとは対照的に、誠十郎(ゼロ)に興味なぞ無い、と言った視線を向けるマルガレーテ。

 

「フン………世界で初めての華撃団、その歴史()()は見事だわ。でも、嘗ての栄光は失われたまま。今のお前達は、只の“三流華撃団”。華撃団大戦に参戦したところで、勝てる確率は………「0%」なのよ」

 

「! 貴女!!」

 

誠十郎(ゼロ)に対しても見下した様な台詞を吐くマルガレーテに、クラリスが再度憤慨するが………

 

「止せ、クラリス」

 

「! 神山さん!」

 

他ならぬ誠十郎(ゼロ)が止めると、そのままマルガレーテの前に立ち………

 

「“難しい言葉”使えるんだな、偉い偉い」

 

そう言って、マルガレーテの頭を()()()撫でた。

 

「!? なっ!?」

 

「………フフッ」

 

誠十郎(ゼロ)の思わぬ行動にマルガレーテは初めて表情を崩して驚き、クラリスも思わず笑いを零す。

 

「! 貴様………!」

 

マルガレーテは、直ぐに“子供扱い”された事に激昂した様子を見せたが………

 

「余り“強い言葉”を遣うなよ。()()見えるぞ」

 

そう言って凄んで見せる誠十郎(ゼロ)。

 

「!?」

 

その瞬間、マルガレーテは誠十郎(ゼロ)の背後に何か“巨大な者”が居るのを幻視し、黙り込む。

 

「計算ばかり頼りにしていると足を掬われるぞ。“人間は機械じゃない”んだ。本当に()()()()()なんて出来やしないんだ」

 

直ぐに普通の状態に戻ると、言葉を失っているマルガレーテにそう言う。

 

「………チッ!」

 

何も言い返す事が出来ないマルガレーテだったが、せめてもの反抗か、あからさまに舌打ちして見せる。

 

「やれやれ………可愛気の無い奴だぜ」

 

そんなマルガレーテの姿に、誠十郎(ゼロ)は肩を竦めて呆れた様に笑うのだった。

 

「………ところで、ウルトラマンゼロについて訊きたい。誰か詳しい人は居る?」

 

すると其処で、マルガレーテはそう尋ねて来た。

 

如何やら、彼女もゼロについての情報を収集しようとしている様だ。

 

「! ハイ! 其れは私ですっ!!」

 

と、先程までの怒りの様子は何処へ行ったのか、嬉しそうに手を上げてそう言うクラリス。

 

「貴女が?………まあ、良いわ。ウルトラマンゼロについて教えて貰おうかしら」

 

「喜んでっ!!」

 

訝し気な視線を向けるマルガレーテだったが、クラリスは全く気にせず、ゼロの話をし始める。

 

(もう心配無さそうだな………)

 

『全く………如何なるかと思ったぞ。早く身体を返せよ』

 

(ワリィワリィ。言われっ放しじゃ腹が立つからな)

 

ゼロと誠十郎はそう言い合うと、主導権を誠十郎に返し、資料室を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、誠十郎(+ゼロ)は見回りに入り………

 

帝劇内を彷徨いていたマルガレーテをスパイだと思い、不意打ちを掛けようとしていたあずみを止め………

 

アナスタシアの部屋で彼女が星が好きな事を知り………

 

地下格納庫で整備されていたアイゼンイェーガーについて令士に聞き………

 

1階ロビーでゲキゾウくんに変身すると、華撃団大戦での応援をして貰う為に宣伝し………

 

こまちから新商品の開発費の捻出を頼まれ、一計を案じてカオルに認めさせると、お茶菓子買いの遣いを頼まれ外出。

 

みかづきで、ひろみから出された和菓子クイズに解答しつつお遣いを済ませ、途中歌舞伎の『男許水涅槃』を見て感動していたアナスタシアの感想を聞きつつ、帝劇へ帰還。

 

その後、食堂で白秋のオムライスへの熱い思いを聞いた後、カフェ・ジル・ド・レに居ると言う初穂の電文を受けて向かったり………

 

さくらの演劇の稽古に付き合って壁ドンを披露したりとしていると、すみれからエリスが帰るとの電文が入り、皆で見送りに出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・1階ロビー………

 

エリスとマルガレーテの見送りに、ロビーへと集まった花組の面々。

 

「エリスさん、マルガレーテさん、今日はありがとうございました。お気を付けて」

 

「お礼を言うのはコチラの方だ。神山 誠十郎、改めてすみれさんによろしく伝えておいてくれ」

 

誠十郎が代表する様に言うと、エリスはそう返す。

 

「其れから………若し、ウルトラマンゼロに会ったら、『ありがとう』と伝えておいてくれ」

 

『もう伝わってるぜ』

 

「ハイ、確かに伝えます」

 

エリスが続けてそう言ったのにゼロが返すのを聞きながらも、誠十郎は敢えて了承する。

 

「…………」

 

一方、マルガレーテの方はかなりげんなりとした様子で、窶れた様にも見える。

 

「あの………マルガレーテさん? 大丈夫ですか?」

 

「…………」

 

心配そうに声を掛ける誠十郎だが、マルガレーテは返事をする元気も無いのか、げんなりとしたままだった。

 

「マルガレーテさん! また来て下さいね!! 未だ未だゼロさんについて語りたいですから!!」

 

と、そのマルガレーテにゼロの事を話していたクラリスは活き活きとした様子でそう言う。

 

「!? ま、未だ有るの!?」

 

「当たり前です! 今日話したのは“全10部構成”の内の()()()()です! ダークロプスやベリアル銀河帝国との戦いやビートスター、フューチャーアースの事とか、語り尽くせて無い事が一杯有るんですから!!」

 

初めて言葉を発し、狼狽するマルガレーテに対し、クラリスは瞳をコレ以上無いくらいに輝かせて返す。

 

「………もう嫌」

 

そんなクラリスを見て、マルガレーテはとうとう泣き出しそうになってしまう。

 

「で、では、失礼する。華撃団大戦でまた会おう」

 

エリスもコレには顔を引き攣らせ、やや慌てて逃げる様にマルガレーテを連れて帝劇を後にしたのだった。

 

『俺の武勇伝は無限大だぜ』

 

「は、ははは………」

 

自慢する様なゼロの言葉に、誠十郎は苦笑いを零すしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日時はアッと言う間に流れ………

 

遂に世界華撃団大戦開幕式の日となった。

 

 

 

世界華撃団大戦・試合会場………

 

『会場で、そして中継で御覧の皆様、お待たせしました! 2年に1度の平和の祭典………華撃団競技大会。通称【世界華撃団大戦】が………いよいよ此処、帝都で幕を開けます!!』

 

アナウンサーの実況が響く中、客席一杯の観客達の歓声を浴びながら、花組は他国の華撃団員達と共に競技場内に整列していた。

 

ふと其処で、さくらが1枚の“色褪せたブロマイド”を取り出し目を遣る。

 

(真宮寺 さくらさん、見ていて下さい。(わたし)達………頑張ります)

 

憧れの人に向かって、そう誓いを立てるさくら。

 

其処で会場の各所に設置されているモニターに、プレジデントGの姿が映し出される。

 

『私は世界華撃団連盟・事務総長のプレジデントG』

 

(やっぱいけ好かねえ野郎だぜ)

 

再びプレジデントGの顔を見る事となったゼロがそう漏らす。

 

『此処に、第三回世界華撃団大戦の開会を宣言………』

 

と、プレジデントGが開会宣言を行おうとしたその瞬間………

 

モニターが突然砂嵐に変わった。

 

『な、な、何だ一体!?(来たか………夜叉)』

 

動揺した様に見せながら、実は来訪者である夜叉の存在を“知っている”プレジデントG。

 

しかし………

 

回復したモニターに映し出されていたのは、彼の予想した夜叉の姿では無かった………

 

『世界各国の華撃団の諸君に告ぐ。即座に武装解除して我々【クール星人】に全面降伏せよ』

 

其処に映し出されていたのは、まるでシラミを逆様にした様な姿の6本の手か脚かを持ち、腹部と胸部の付け根に2つの眼を持ち、下半身は長い尾となっている異形………

 

『宇宙ハンター クール星人』の姿だった!

 

『アレはクール星人!』

 

(クール星人!?)

 

親父(セブン)が“地球で()()()戦った侵略宇宙人”だ。戦闘力は無えが、搦め手を使う知能派だ』

 

クール星人の姿を見たゼロと誠十郎がそう言い合う。

 

「(な、何だ、アイツは!? 夜叉は如何した!?)全面降伏だと!? ふざけた事を抜かすなっ!!」

 

思わぬ存在の登場に驚きながらも、其れを表には出さず“事務総長としての威厳”を見せようとするプレジデントG。

 

『人類なんぞ、我々から見れば“昆虫の様なモノ”だ』

 

「んだとっ! どっちが昆虫だぁっ!?」

 

自分も虫の様な姿をしている癖に、人間を昆虫呼ばわりして来たクール星人に、初穂が憤慨した様子を見せる。

 

『如何やら“我々の恐ろしさ”を理解していない様だな。今、分からせてやろう』

 

すると、クール星人がそう言い放ったかと思うと………

 

突如()()()()空から、光弾が放たれて来た!!

 

光弾は、プレジデントGの空中戦艦に直撃!!

 

空中戦艦は1撃で木っ端微塵になった!!

 

「わ、私の船があああああああッ!!」

 

プレジデントGの情け無い悲鳴が響き渡った瞬間………

 

更に2発、3発と連続して光弾が、やはり何も無い空から放たれて来る。

 

光弾が空中戦艦に命中すると、空中戦艦は一瞬にして木っ端微塵になる。

 

“華撃団の最高戦力”である筈の空中戦艦が、まるで蝿の様に撃ち落とされて行く。

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

「助けてくれーっ!!」

 

途端に、客席を埋め尽くしていた観客達が悲鳴を挙げて逃げ惑い始める。

 

流れ弾を防ぐ為に取り付けられている霊子障壁のお陰で、観客席に残骸が降り注ぐ事は無いが、パニックを起こしている観客達は出口に殺到して混乱が起きている。

 

「撃て撃てっ!!」

 

「応戦しろっ!!」

 

と、空中戦艦隊もやられてばかりでなく、光弾が発射された空に向かって主砲や対空機銃での攻撃を始める。

 

しかし、空中戦艦隊の攻撃に手応えは無い………

 

直後に、先程までとはまるで逆の方向から光弾が放たれ、また空中戦艦1隻が爆発四散する。

 

「なっ!? 何時の間にっ!?」

 

「レーダー手! 敵は何処だっ!?」

 

「駄目です! レーダーに反応無し!!」

 

レーダーで敵の位置を探ろうとするが、何の反応も示さない。

 

「ど、如何なってるんだ!?」

 

『クール星人の円盤は強力なステルス性能を持つ上、姿を消す事が出来るんだ。だが、俺には見えるぜ! ウルトラアイ!!』

 

ゼロがウルトラアイで透視すると、誠十郎の目にもまるで“扇風機の羽根の様な形”の赤い円盤が見える。

 

「! アレかっ!?」

 

誠十郎がそう声を挙げた瞬間、クール星人の円盤から光弾が放たれ、また空中戦艦が1隻撃沈される。

 

『神山くん! 聞こえるっ!?』

 

「! 神崎司令!」

 

其処で、すみれから通信が入る。

 

『観客達がパニックを起こしてるわ! このままじゃ“観客席が障壁で()()()()()()()”死者が出る可能性が有ります! 直ぐに避難誘導に向かってっ!!』

 

「分かりました! 皆っ! 先ずは観客を避難させるんだ!!」

 

「「「「「! 了解っ!!」」」」」

 

誠十郎の呼び掛けで我に返った花組の面々は、観客席へと向かい、観客の避難誘導を始めた。

 

「何をしている華撃団! 早く何とかしろっ!! ()()()()お前達を維持していると思っている!?」

 

とその直後、スピーカーから完全に動揺しているプレジデントGの喚く声が響き渡る。

 

冷静さを失っているのか、吐く言葉は暴言に近い。

 

観客の避難よりも、敵を撃破する事を優先させるなぞ、優先順位を履き違えている。

 

『如何やらまだ我々の恐ろしさを理解していない様だな………【ベロクロン】よ!! 華撃団を倒せっ!!』

 

すると、未だモニターに映し出されていたクール星人がそう言い放ったかと思うと………

 

空に、まるで()()()()()()赤いヒビが入った!!

 

「!? なっ!?」

 

「空にヒビがっ!?」

 

“有り得ない非常識な光景”に、避難誘導をしていた初穂とクラリスが驚愕する。

 

次の瞬間、ヒビ割れていた空がまるでガラスの様に砕けて割れた!!

 

「! 空が割れた!!」

 

「まるで“この世の終わり”の様な光景ね………」

 

あざみが驚きを露わにする中、余りに非常識な事に他人事の様に呟くアナスタシア。

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

割れた空の部分には、血の様に真っ赤な空間が広がっており、黒いブツブツとした体表に、頭部と両肩から背中に掛けて珊瑚の様な突起物を持つ巨大生物が姿を見せていた。

 

「! 怪獣っ!?」

 

『違う! アレは【超獣】だ!!』

 

「『超獣』!?」

 

『嘗て『異次元人 ヤプール』が地球上の生物と宇宙怪獣を超獣製造機で融合させて作った“怪獣を超える”生物兵器。言わば“兵器としての力を持つ怪獣”だ』

 

「兵器としての怪獣………」

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

ゼロが誠十郎にそう説明していると、その超獣………『ミサイル超獣 ベロクロン』は赤い空間から飛び出し、華撃団大戦の会場内へと降り立って来た!!

 

「各国華撃団! ()()()()()()だ! その化け物を倒せっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

プレジデントGが事務総長命令を発令するのを聞いた各国華撃団員達は、慌てて整列させてあった霊子戦闘機に乗り込んで行く。

 

そして、ベロクロンを一斉に包囲した。

 

「掛かれっ!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

ベロクロンとの交戦を開始する各国華撃団。

 

しかし………

 

「オイ、コラッ! 射線に入るなっ!!」

 

「そっちこそ人が戦ってるのに撃って来ないでよ!!」

 

「イデッ!? 何処に目を付けてるのっ!?」

 

「そっちこそ邪魔するなっ!!」

 

其々の国の華撃団が、其々の戦い方で戦い始めてしまった為、彼方此方で“華撃団同士の小競り合い”が起こる。

 

其れもその筈………

 

降魔大戦以降、WLOFの主導によって各国に設置された華撃団だが………

 

プレジデントGの方針により、通常の華撃団同士の交流は、華撃団大戦以外は殆ど無かった。

 

他国の華撃団は、“華撃団大戦で()()相手”と認識している華撃団が大半であり、合同での訓練等も行われていない。

 

つまり、“華撃団同士での連携”等取れる筈も無いのだ。

 

そんな()()()()等、ベロクロンの敵では無かった。

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

咆哮と共に、口から1億度の火炎を放つベロクロン。

 

「「「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」

 

真面に浴びてしまった霊子戦闘機が、一瞬で溶解して爆散する。

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

「!? うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

 

更に足を踏み出すと、足元に居た霊子戦闘機を踏み潰した。

 

「オノレェッ!!」

 

「仕掛けるっ!!」

 

と、飛行能力を持つ霊子戦闘機達が飛翔すると、今度こそベロクロンに攻撃を加えようとする。

 

だが………

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

再度ベロクロンが咆哮を挙げると、その特徴的な突起物から、次々にミサイルとロケット弾が放たれた!!

 

「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」

 

飛翔した霊子戦闘機達は次々とミサイルの餌食となり、爆散して行く。

 

更に、雨霰と放たれたミサイルとロケット弾は試合会場の彼方此方にも着弾。

 

平和の祭典が行われる筈だった会場が、瞬く間に瓦礫の山へと変わって行く。

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

「落ち着いて下さいっ! 大丈夫ですっ!!」

 

観客席の障壁にも次々にミサイルとロケット弾が着弾し、爆音と振動が避難する観客達の恐怖心を更に煽る中、さくらは必死にパニックを納めようとする。

 

「クソッ! 何て数のミサイルだっ!!」

 

「コレでは近付けない!」

 

「コレが………“怪獣の力”か」

 

シャオロン・アーサー・エリスの上海・倫敦・伯林華撃団と言った強豪華撃団は持ち堪えているが、やはり他の華撃団と連携は取れておらず、個々の実力で敵う相手では無いベロクロンを前に攻めあぐねていた。

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

ベロクロンが勝ち誇る様に咆哮を挙げると、放ったミサイルの1発が、プレジデントGの居る場所を直撃した!

 

「!? ヒイイッ!? 何をしている、華撃団!! 早く! 早くソイツを倒せぇっ!! “能無しの華撃団は()()()()”ぞっ!!」

 

障壁で防がれたものの、プレジデントGは尻餅を着いて悲鳴を挙げ、甚大な被害を受けている各国華撃団に向かってそう怒鳴り散らす。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

その言葉で、各国華撃団は引くに引けなくなる。

 

プレジデントGはワンマンで強権を行使する事で有名であり、“華撃団組織のトップ”でありながらも、“敵に回したく無い()()()()”となっている。

 

その彼が『潰す』と言えば、その華撃団は必ず潰されてしまう。

 

最早、各国の華撃団の生き残る道は、ベロクロンとクール星人を倒すしか無かった。

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!!

 

「「「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」」」

 

そんな、各国華撃団達の思いをアッサリと踏み躙る様に、次々と霊子戦闘機達と試合会場を破壊して行くベロクロン。

 

更にクール星人の見え無い(ステルス)円盤の攻撃も続いており、既に空中戦艦隊は当初の3分の1にまで数を減らしている。

 

 

 

 

 

爆発し墜落する空中戦艦………

 

虫の様に潰されて行く霊子戦闘機………

 

炎を上げる瓦礫と化して行く試合会場………

 

平和の祭典の会場は、“この世の地獄”と化していた………

 

 

 

 

 

「マズイッ! このままじゃ華撃団は全滅だ!!」

 

その光景にそう叫ぶ誠十郎。

 

『あと少しで避難が終わるってのに!』

 

ゼロが、未だ避難が終わっていない観客達を見てそう言う。

 

本当ならば今直ぐにでも変身して戦いたいが、今誠十郎(+ゼロ)がこの場を離れてしまっては、逃げ遅れる人が出てしまう。

 

「神山さん! 私がっ!!」

 

とその時!!

 

近くに居たクラリスがそう声を挙げた!

 

「! そうか! 頼む、クラリス!!」

 

「ハイッ!!」

 

誠十郎が思い出した様に返すと、クラリスは魔導書を広げた。

 

「ゼットン! お願いっ!!」

 

クラリスがそう叫ぶと、魔導書から光の球が飛び出し、ベロクロンの元へと向かうと………

 

ゼットーン………ピポポポポポポポ………

 

ゼットンが出現した!!

 

グロロロロロロォォォォォォォーーーーーーーーッ!?

 

『!? 何だとっ!?』

 

突如現れたゼットンに、ベロクロンもクール星人も驚きを露わにする。

 

「ゼットンッ! 行くよっ!!」

 

ゼットーン………ピポポポポポポポ………

 

魔導書を広げているクラリスがそう言うと、ゼットンは返事の様に咆哮するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

チャプタータイトルからいきなりトラウマで申し訳ありません。

帝劇を訪問した伯林華撃団。
エリスはもてなされますが、マルガレーテは思わぬ目に遭う事に(笑)

そんなこんなで華撃団大戦開幕。
しかしそこへ現れたのは夜叉………ではなく『クール星人』
自慢の見えない円盤で、空中戦艦を次々に撃墜。
更に何と『超獣』を繰り出してきました!
A第1話で地球防衛軍を壊滅させたミサイル超獣 ベロクロンにより、世界の華撃団も壊滅の危機に。
作中で書きましたが、プレジデントGがアレですから、多分各国の華撃団って合同訓練とかしてなさそうですし、いきなり連帯とか出来なさそうですよね。
それで超獣に立ち向かうって、ハッキリ言って無謀です。
この世の地獄が作られる中、クラリスがゼットンを繰り出します。
果たして………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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