新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター6『二都作戦』

チャプター6『二都作戦』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇地下・地下司令室………

 

新生花組の面々に対し、米田は“嘗ての華撃団が消滅した”『降魔大戦』の()()を語り始める。

 

「嘗ての帝国・巴里(パリ)紐育(ニューヨーク)の華撃団が消滅した()()()()………其れは『二都作戦』が原因だ」

 

「二都………作戦? 其れは一体?」

 

『二都作戦』と言う聞き慣れない言葉に、誠十郎は尋ねる。

 

「『降魔王』は知っているな? 降魔大戦の引き金となった、コレまでに無い強大な力を持った降魔だ」

 

「帝国・巴里・紐育の3華撃団は力を合わせて立ち向かったけど、徐々に追い詰められて行ったわ」

 

「…………」

 

米田とかえでの言葉に、当時の事を思い出したのか、すみれが苦い顔をする。

 

「そんな中、『或る作戦』を実行する事が決まった」

 

「其れが、『二都作戦』………」

 

「一体、どんな作戦だったんですか?」

 

逸る気持ちを抑え切れず、さくらがそう尋ねる。

 

「『二都作戦』………読んで字の如く、()()()()()()()………『幻都』を作り出し、其処に“降魔王を封印する”計画よ」

 

「『帝都』と『幻都』………」

 

『成程。其れで【二都作戦】ってか』

 

かえでの言葉に、誠十郎とゼロは納得が言った様に頷く。

 

「如何やって、もう1つの帝都………『幻都』を作り出したんですか?」

 

「『帝鍵』と呼ばれる“神器”の力を使ったんだ」

 

さくらの問いに、今度は米田が答える。

 

「………!」

 

その『帝鍵』と呼ばれる神器の話が出た瞬間、アナスタシアが一瞬反応した様に見えたが、誰も気付かなかった。

 

「帝鍵は、その力で“魔を封印する都”『幻都』を生み出した」

 

「そんな事が………『帝鍵』。正に、神器と呼ぶに相応しい力ですね」

 

「でも、その結果………“大きな犠牲”を払う事になっちまった」

 

米田の顔が歪む。

 

「帝鍵の強大な力を引き出すには、膨大な霊力が必要だったわ。帝鍵の起動には、帝都・巴里・紐育、全華撃団の霊力が使われ………」

 

「そして、皆さんは“幻都に()()()封印されてしまった”の。“降魔王を()()()()()()為の(かなめ)”として」

 

かえでもすみれも、表情を暗くしながらそう言う。

 

「そ、そんな………」

 

「降魔王が封印された事で、二都作戦は『成功した』とされた。“全華撃団隊員の消滅”と引き換えに、な」

 

「これが『10年前に起きた事実』よ」

 

「その『帝鍵』は、今何処に有るのですか?」

 

其処でアナスタシアが、米田達に向かってそう質問した。

 

「確かに、そんな()()()()を持つ神器を野放しには出来ません」

 

「「「…………」」」

 

誠十郎もそう言うが、米田達の答えは“沈黙”だった。

 

「? 如何されました?」

 

『オイ、まさか……?』

 

「すまねぇ………其奴は分から無えんだ」

 

誠十郎が首を傾げ、ゼロが嫌な予感を感じると、米田は重々しく口を開いた。

 

「封印の後、陸海軍にも協力して貰って隈無く捜索したにも関わらず、()()()()()()()()わ」

 

「何処かに再び出現しているのか………其れ共、力を使い果たして消滅したのか………其れさえも不明ですわ」

 

「…………」

 

かえでとすみれの言葉に、アナスタシアがまたも一瞬表情を険しくした。

 

「あの………真宮寺 さくらさんは………嘗ての華撃団の人達は無事なんですか?」

 

其処でさくらがそう尋ねる。

 

「楽観的な事は言えねえ………だが、“降魔王が再び出現していない”という事は、封印が今だ続いていると言う事………つまり、“要となっているアイツ等が()()()()()()()って証拠”だ」

 

「勿論、私達も何度も救出の為の作戦を試みたわ。けど………肝心の『帝鍵』の行方が分からなくて、“手の打ち様が無い”と言うのが現実よ」

 

「…………」

 

そう返す米田とかえでに、さくらは複雑な表情を見せる。

 

其処で、サコミズがパンッ! パンッ!と手を鳴らした。

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

「皆、落ち込む気持ちは分かる。けど、先ずは“目の前の問題”を解決する事が先決だ」

 

「目の前の問題?」

 

「其れは一体?」

 

サコミズの言う“問題”が何か分からず、初穂とクラリスが首を傾げる。

 

「我々は明日………『ウルティメイト華撃団』の設立を宣言する」

 

「そうすれば当然、WLOFが反応する筈よ。『自分達を差し置いて、何を言うんだ!?』ってね」

 

「確かに………」

 

ジェネラルAの傍若無人っ振りを思い出しながら呟く誠十郎。

 

「恐らく連中は、ウルティメイト華撃団の中核である帝国華撃団を、自分達の下に残っている華撃団を使って、“華撃団大戦で叩きのめそう”としてくる筈だ」

 

「『力こそ正義』と言う様な今のWLOFなら、公衆の面前で帝国華撃団を叩き潰し、そのままウルティメイト華撃団を吸収しようとして来る筈よ」

 

「そんなっ!?」

 

さくらがまさかと言う様に声を挙げるが、ジェネラルAの態度を見る限り、否定出来ないのが現状である。

 

「WLOFの下に残ってる華撃団と言えば………」

 

上海(シャンハイ)華撃団、莫斯科(モスクワ)華撃団、倫敦(ロンドン)華撃団、そして伯林(ベルリン)華撃団………」

 

「皆強豪ばかりじゃないですか!」

 

誠十郎に続く様に、あざみがWLOFの下に残っている華撃団の名を挙げると、クラリスが悲鳴の様な声を挙げる。

 

「説得して、WLOFを抜けさせる事は出来ないんですか?」

 

「私達もそう思ったけど、その4つの華撃団はWLOFが設立された頃から所属していて、所属国の政治家や官僚の中には()()()()を持つ人達が多いの」

 

「つまり、“WLOFに付いてりゃ甘い汁を吸える”って(やから)が大勢居る、って事だ」

 

誠十郎の問いに、かえでと米田がウンザリした様子でそう返す。

 

「仮に、“華撃団の隊員がWLOFに良い感情を持っていない”としても、()()()()()()()()()って事ね」

 

「何だよ、ソレ! んな事が許されて良いのか!?」

 

淡々と言うアナスタシアに対し、初穂が憤慨した様子を見せる。

 

「人間と言うのは、欲深い生き物ですね………」

 

クラリスも呆れた様にそう呟く。

 

「勿論、手を拱いてばかりじゃないわ。元巴里華撃団総司令『イザベラ・ライラック』夫人や、元紐育華撃団総司令『マイケル・サニーサイド』氏が、WLOFと繋がって無い政治家や官僚に働き掛けているわ」

 

「其れを実らせる為にも………お前さん達には華撃団大戦で優勝して貰いたい」

 

「! 他の華撃団の人達と戦えって言うんですか!?」

 

かえでと米田の言葉に、さくらが驚きの声を挙げる。

 

「“戦って勝つ事”が、その華撃団の隊員達と所属国の、政治家や官僚達の()()()()()()()事になるわ」

 

「其れに、ジェネラルAが言ってたろ。『弱い華撃団は必要無い』って。残ってる華撃団の連中も、“負ければ容赦無く切り捨てる”だろうさ。そうなればコッチのモンだ」

 

「でも………!!」

 

「さくら」

 

尚も納得が行かない様子を見せるさくらだったが、其処で誠十郎が制した。

 

「! 神山さん………」

 

()()()するんじゃない。俺達は、他の華撃団を“倒す”為に戦うんじゃ無い。寧ろ、()()()()()()んだ」

 

「救う為………」

 

「そうだ。“WLOFに縛られている”華撃団の人達を助けるには………“全力で戦って勝つ”しか無い!」

 

さくらの目を見据えながら、誠十郎はそう言い放つ。

 

「…………」

 

さくらもまた、誠十郎の目を見返す。

 

「………分かりました。他の華撃団の人達を救う為にも………戦います!!」

 

そして遂に、覚悟を決めた表情となり、そう宣言した!!

 

「その意気だぜ、さくら!」

 

「倒す為では無く、救う為に戦う………正にその通りですね」

 

「里の掟、17条………仲間とは相争うべからず」

 

「フフフ、嫌いじゃないわよ。そう言う考え方」

 

それに続く様に、初穂・クラリス・あざみ・アナスタシアも声を挙げた。

 

「その意気ですわ」

 

「流石は帝国華撃団ね………“あの子達”を思い出すわ」

 

すみれとかえでが、そんな新生花組の様子に笑みを零す。

 

「頼むぜ。“『帝鍵』が見付かる”って前提が必要になるが………華撃団が()()()()()統一されれば、“幻都に居るアイツ等”を助け出す事も出来るかも知れ無え」

 

「! ハイ! 頑張ります! 必ず優勝してみせます!!」

 

米田の言葉に、さくらが更にやる気を見せる。

 

「さて………大分話し込んじまったな」

 

「今日はコレで解散としよう。明日はしっかりと休んで、華撃団大戦に備えるんだ」

 

「「「「「「了解っ!!」」」」」」

 

サコミズが解散を宣言すると、新生花組の面々は席から立ち上がって敬礼するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………さて、すみれ。実はお前にも“話”が有る」

 

「えっ………?」

 

新生花組の面々が司令室から出て行った後、米田はすみれにそう声を掛けた。

 

「実は………二都作戦の事で、“貴女にも伝えていない事”が有ったの」

 

「!? 何ですって!?」

 

続くかえでの言葉に、すみれは驚きの声を挙げる。

 

「あの時、お前は引退していた身にも関わらず、無理をして光武を動かしてたな」

 

「ええ。結局、二都作戦を“発動する前”に完全に力尽きてしまって、皆さんに置いて行かれてしまいましたけど………」

 

当時の事を思い出し、すみれの顔に影が差す。

 

「実はなあ………作戦が発動するってタイミングで………大神の野郎が、『()()()()()()()』って言って来てやがったんだ」

 

「!? 大尉が!?」

 

再び驚きの声を挙げるすみれ。

 

「ですが、二都作戦は………」

 

「ああ、()()()()()開始された………最初は、俺も聞き間違いかと思った。だがな………」

 

「元々、二都作戦は“賢人機関を飛び越えて、()()が強引に推して来ていた”事は覚えてるわね?」

 

「ええ………」

 

「実は二都作戦の後………“作戦に関わった全ての政府関係者”が謎の変死を遂げているの」

 

「!?」

 

「大神からの作戦中止の決定………消えた帝鍵………変死した政府関係者………如何にも怪しい臭いがプンプンしやがる」

 

3度(みたび)驚くすみれに、米田は険しい表情でそう呟く。

 

「全ての謎は、『帝鍵』が“文字通り”鍵となってる………」

 

「………分かりましたわ。一刻も早く帝鍵を見付け出しますわ」

 

「頼むぜ。俺達も出来る限り捜索してみる」

 

すみれと米田達は、帝鍵の捜索を急ぐ事で意見を一致させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・誠十郎の部屋………

 

「ゼロ………お前の“力”で、幻都に封印されている華撃団の人達を助ける事は出来ないのか?」

 

ウルティメイトブレスレットを構えながら、ゼロにそう言う誠十郎。

 

『難しいな………聞いた限りじゃ、その【幻都】ってのは“降魔王を封じておく為の空間”………()()()空間じゃねえ。ウルティメイトイージスの力でも、行けるか如何か分からねえ』

 

しかし、ゼロからはそんな言葉が返って来る。

 

『其れに、降魔王って奴の“強さ”がどれ位なのか、もな。ビビってるワケじゃ無えが、“嘗ての華撃団が束になって敵わなかった”って相手だろ?迂闊に踏み込むワケには行かねえ』

 

「確かに………」

 

『【帝鍵】………だったか? ソイツの事が分かれば、何とかしようも有るかも知れねえが………』

 

「やはり『帝鍵』を見付けるしか無いか………だが一体、何処に在るのやら………」

 

全く以て所在が不明な『帝鍵』を探し出さない事には始まらないと知り、誠十郎は思わず天を仰ぎ見た。

 

『心配するな、誠十郎。行き方さえ分かりゃあ、直ぐにでも行ってやる。其れよりも、お前には“考えるべき事”が有るだろう?』

 

「ああ、分かってる………“華撃団大戦を勝ち抜き、()()()()()()()()()()()華撃団を解放する”。其れが、今の俺達の使命だ」

 

ゼロにそう言われ、誠十郎は改めて華撃団大戦での優勝を決意するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日………

 

ウルティメイト華撃団の存在が世に公表され、当然WLOFが反応。

 

“その存在を認めない”と一蹴。

 

そして華撃団大戦のルールと試合形式を変更し、ウルティメイト華撃団の代表・帝国華撃団の参加を命令。

 

これにより、華撃団大戦は帝国華撃団を挑戦者とし、WLOF所属華撃団と次々に戦う、“挑戦式のトーナメント戦且つ直接対決での試合”となった。

 

帝国華撃団が華撃団大戦で優勝すれば、WLOFは()()()()傘下に入ると宣言。

 

だが逆に、WLOF所属華撃団にウルティメイト華撃団の代表である帝国華撃団が敗れれば、“直ちにウルティメイト華撃団を解散しろ”と言って来た。

 

ウルティメイト華撃団はこの条件を受諾。

 

更に翌日………

 

壊滅した華撃団の復興を無視して資金を注ぎ込み………

 

僅か2日で再建させた世界華撃団大戦の試合会場にて………

 

第1回戦が開始されようとしていた。

 

帝国華撃団の最初の相手は………

 

『上海華撃団』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

米田の口から語られた嘗ての華撃団が消滅した降魔大戦の真実………『二都作戦』
基本的には原作と同様ですが、降魔王と共に封印された嘗ての華撃団の面々は戦い続けているのではなく、封印の要になっているという事になってます。
幻都というワケの分からない場所で10年以上戦い続けていると言うのはやっぱり如何考えても無理が有ると思ったので。

そして更に気になる要素が………
・大神さんは直前で作戦中止を考えていた。
・二都作戦は賢人機関を飛び越えて当時の政府がゴリ押しした。
・その際の関係者達は、大戦後に全員謎の変死を遂げている。
米田さんの言う通り、怪しい臭いがプンプンしてます。
この辺が後どう明かされるか、楽しみにしていて下さい。

で、WLOFが強行した華撃団大戦ですが………
帝国華撃団がウルティメイト華撃団代表として、WLOFに残留している華撃団に挑戦すると言う形を取ります。
やっぱり華撃団大戦は新サクラ大戦の中核要素なのでやらないとと思いまして。
なので、私なりに納得出来る形に変えてみました。
戦いに勝ったら相手の華撃団を解散させてしまうと言うジレンマが結局有耶無耶のまま話が進んでしまったので、その辺の解消してみました。
直接対決方式のみにしたのは、原作の最初は仮想敵を倒してポイントを稼ぐってシステムが、小説で描写すると淡々とした作業描写になってしまうので、盛り上がり所である華撃団同士の直接バトルに注力する事にしました。

説明会ですので後書きも長くなってすみません。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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