新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター3『その名はゼロ!』

チャプター3『その名はゼロ!』

 

月ノ輪怪獣 クレッセント登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・銀座………

 

キシャアアアアアアッ!!

 

咆哮を挙げながら、建物を次々に踏み潰して行くクレッセント。

 

時折クレスト・エンドを放ち、爆発を起こしては炎を広げて行く。

 

その中を、悲鳴と共に只管逃げ惑う人々。

 

降魔大戦から漸く復興した街並みが、瞬く間に灰塵に帰して行く………

 

「其処までだ! デカブツッ!!」

 

と其処へ!!

 

そう言う声と共に、クレッセントの前方の足元に5メートルぐらいの影が2つ、立ちはだかった。

 

「「上海華撃団! 参上っ!!」」

 

そう言ってポーズを決める2機の霊子戦闘機『王龍(ワンロン)』

 

上海華撃団の機体だ。

 

「上海華撃団だ!!」

 

「助かったぁっ!!」

 

逃げ惑っていた人々が、上海華撃団の姿を見て歓声を挙げる。

 

グルルルルルッ………

 

クレッセントは立ち止まり、唸り声を挙げながら上海華撃団の姿を見下ろす。

 

「お、大きい………」

 

黄色の王龍に乗った少女、上海華撃団隊員の『ホワン・ユイ』が、クレッセントを見上げて戦慄した様子を見せる。

 

何せ身長56メートルのクレッセントに対し、王龍は精々全長4~5メートル………

 

実に10倍以上のサイズ差が在った。

 

「ビビってんじゃねえ、ユイ! どんなにデカかろうが、俺達の敵じゃねえっ!!」

 

しかし、緑色の王龍に乗った青年、上海華撃団隊長の『ヤン・シャオロン』がそう吠える。

 

「行くぜぇっ!!」

 

そして次の瞬間には大きく跳躍し、クレッセントの眼前に迫った!

 

「オラアァッ!!」

 

クレッセントの鼻先に、炎を纏った拳を叩き込む!!

 

反動を利用して離れた瞬間、クレッセントの鼻先が爆発する。

 

「如何だっ!?」

 

着地を決めたシャオロン機が、クレッセントを見上げながらそう言うが………

 

爆煙が晴れると、見えたのは無傷のクレッセントの姿だった。

 

其処で、クレッセントの右足が上がる!

 

「! うおおっ!?」

 

シャオロン機が慌てて脇へ飛ぶと、先程までシャオロン機が居た場所にクレッセントの足が振り下ろされる。

 

石畳の地面が砕け、大きな足跡が形成される。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

クレッセントは咆哮を挙げ、上海華撃団を無視して進撃を再開した。

 

「シャオロン! 大丈夫っ!?」

 

「あの野郎! 俺達を無視しやがったっ!!」

 

ユイ機がシャオロン機の傍に寄ると、シャオロンが憤慨した様子を見せる。

 

「巫山戯やがってっ!!」

 

其処で、再度シャオロン機は跳躍!

 

今度は、クレッセントの頭の上に着地する。

 

「オラァッ! オラオラオラァッ!!」

 

そしてそのまま、クレッセントの頭部を何度も何度も殴り付ける。

 

「ハイ! ハイハイハイハイィッ!!」

 

ユイ機もクレッセントの右足の上に飛び乗ると、足に向かって拳や蹴りを連続で繰り出す。

 

しかし、クレッセントはまるで気にした様子も無く、其れまでと同じ様に巨体で建物を押し潰し、クレスト・エンドを放って辺りを火の海に変えて行く。

 

「クソッ! まるで堪えねぇっ!!」

 

「何なのコイツッ! 本当に生き物なのっ!?」

 

シャオロンとユイが、焦った様子で声を挙げる。

 

コレまで帝国華撃団に代わって帝都を守っていた上海華撃団だったが、常識を超える生物である怪獣に対しては無力だった。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

「!? うおわっ!?」

 

と鬱陶しく思ったのか、クレッセントは勢い良く頭を振り、シャオロン機を振り払う!

 

振り払われたシャオロン機はビルへと落下し、屋上を突き破って内部へと落ち込む。

 

「シャオロン!?………!? キャアッ!?」

 

更に、ユイ機もクレッセントに右足を思いっ切り振られて弾き飛ばされ、建物に激突してめり込む。

 

「ああっ!? 上海華撃団がっ!?」

 

「もう駄目だっ! 帝都はお終いだぁっ!!」

 

上海華撃団が相手にされていないのを見た人々の間に絶望が過る。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

そんな人々を追い詰めるかの様に、クレッセントの破壊活動は続く。

 

と、その時!!

 

「其処までですっ!!」

 

クレッセントの行く手に、新たな影が立ちはだかった。

 

「帝国華撃団! 参上っ!!」

 

其れは鮮やかな桜色の()()()()………さくらの『三式光武』だった。

 

「! 帝国華撃団!? さくらっ!?」

 

「バカかっ!? そんな旧式のポンコツで何が出来るっ!? 引っ込んでろっ!!」

 

ユイが驚き、シャオロンが罵声を挙げる。

 

しかし彼の言う通り、三式光武は現在の華撃団の主力兵器となっている、“霊子戦闘機”より1世代前の機体………

 

オマケに、帝劇の予算が無い為に真面な整備もされていない、正に「ポンコツ」だった。

 

「嫌ですっ!!」

 

だが、其れを駆るさくらの気持ちは強かった。

 

「! 何っ!?」

 

「私は帝都を………“人々を守る為”に、帝国華撃団に入ったんです………なのに、その帝都と人々の危機を()()()()()()()()()なんて………出来ませんっ!!」

 

ハッキリとそう言い放ち、刀を抜くさくらの三式光武。

 

「きっと“あの人”だって………『真宮寺 さくら』さんだってそうする筈です!!」

 

その脳裏には、幼き頃に命を救って貰った恩人………初代帝国華撃団・花組の隊員、『真宮寺 さくら』の姿が浮かんでいた。

 

「行きますっ! たああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

そして、掛け声と共に、クレッセントの顔目掛けて跳躍する!!

 

キシャアアアアアアッ!!

 

「!? きゃああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」

 

しかし、まるでハエでも追い払うかの様に無造作に振られたクレッセントの腕に弾き飛ばされ、背中から地面に叩き付けられた!!

 

「う、ううう………」

 

さくらは、呻き声を挙げながらも三式光武を起き上がらせようとするが………

 

三式光武は機体の彼方此方から火花を散らし、蒸気を漏らしてぎこち無く動く。

 

「だから言ったろっ!! もう瀕死じゃねえかっ!!」

 

「………未だ………未だ………」

 

シャオロンの罵声も意に介さず、さくらは歯を食い縛る。

 

そして三式光武が漸く立ち上がると、その機体から霊力が溢れる。

 

「私は………帝国華撃団・花組………天宮 さくらです!!」

 

さくらが叫ぶと、霊力が刀に集まる。

 

「蒼天に咲く花よ………敵を討て! 天剣・桜吹雪っ!!」

 

必殺技である『天剣・桜吹雪』が繰り出される!!

 

刀に集めた霊力が、衝撃波としてクレッセントの顔面に向かって飛ぶ!!

 

その1撃は、クレッセントの口からはみ出していた3本の前歯の1本に命中!!

 

前歯が折れて、宙に舞った!!

 

キシャアアアアアアッ!?

 

遂にクレッセントが、悲鳴の様な咆哮を挙げて、悶える様な様子を見せた!

 

「やったっ!!」

 

其れを見たさくらが、歓喜の声を挙げたが………

 

キシャアアアアアアッ!!

 

「!? あああっ!?」

 

直後に、怒りに燃えるクレッセントは足元に居たさくらの三式光武を、まるでサッカーボールの様に蹴り飛ばした!!

 

蹴り飛ばされた三式光武は、2回、3回と石畳の上をバウンドし、ゴロゴロと転がったかと思うと、仰向けになって漸く止まる。

 

「…………」

 

余りの衝撃で、さくらは気を失ってしまっていた。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

クレッセントはそんな三式光武にトドメを刺そうと近付いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・地下指令室………

 

「天宮さん! 応答しなさい、天宮さん!」

 

「さくらっ!!」

 

地下の司令室で、さくらの様子を見ていたすみれと誠十郎が、通信機で必死に気を失っているさくらに呼び掛ける。

 

カオルは、現在格納庫で残りの花組隊員を出撃させる為に四苦八苦している。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

モニターに映るクレッセントが咆哮を挙げて、更にさくらの三式光武に近付く。

 

如何やら、踏み潰す積りの様だ。

 

「このままでは天宮さんが………」

 

「! 止めろっ! 止めてくれっ!!」

 

すみれが思わずそう呟くと、誠十郎は悲鳴の様な叫びを挙げる。

 

『誠十郎! 俺に力を貸せっ!!』

 

「!? ゼロッ!?」

 

と其処で、ゼロが誠十郎に呼び掛けた!

 

『お前と俺が力を合わせれば、あの子を助けられる!』

 

「本当かっ!?」

 

『当たり前だ! 俺は………“ウルトラマン”だぜ!!』

 

毅然としてそう言い放つゼロ。

 

その言葉には、絶対的とも言える安心感が有った。

 

「………分かった! 如何すれば良いっ!?」

 

と、誠十郎が訪ねた瞬間………

 

()()()()()()()()、ウルティメイトブレスレットをした左腕を水平に伸ばしたかと思うと、ウルティメイトブレスレットから光が放たれる。

 

その光の中から、奇妙なメガネが出現した。

 

「!? コレはっ!?」

 

『ウルトラゼロアイだ。コレを装着すれば、()()()()()()()。俺と一緒に戦うんだ!』

 

「………!!」

 

誠十郎は意を決した様に、『ウルトラゼロアイ』を右手で摑んだかと思うと、自分の顔に押し当てた!

 

「デュワッ!!」

 

そんな掛け声が自然と口から漏れると………

 

誠十郎の身体は光に包まれた!!

 

「!? 何ですのっ!?」

 

其処で事態に気付いたすみれが振り返る。

 

その光の中で、誠十郎の姿が………

 

ウルトラマンゼロへと変わって行った!

 

「セエアッ!!」

 

そして気合の掛け声と共に腕を振って光を払うと、その姿は完全にウルトラマンゼロとなっていた。

 

「! 貴方が………ウルトラマンゼロ………」

 

「行ってくるぜ」

 

ゼロの姿を見たすみれが言葉を失っていると、ゼロは光となって司令室の天井を擦り抜け、そのまま帝劇から飛び出して行った!

 

「………頼みましたわよ」

 

残されたすみれは、虚空に向かってそう言葉を投げ掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・銀座………

 

キシャアアアアアアッ!!

 

さくらの三式光武を踏み潰さんと近付いて行くクレッセント。

 

遂にその振動が、機体内のさくらにも伝わり始める。

 

「………う………ううん………!? ハッ!? 私!?」

 

とその瞬間に、さくらが意識を取り戻す。

 

だが、その目に最初に映ったのは………

 

今、正に自分を踏み潰そうとしているクレッセントの足の裏だった。

 

「!? キャアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

恐怖の悲鳴と共に再び目を閉じるさくら。

 

だが………

 

何時まで経っても衝撃は襲って来なかった。

 

「………アレ?」

 

「大丈夫か?」

 

と、そんなさくらに呼び掛ける声がした。

 

「えっ?」

 

さくらが再度正面を見据えると、其処には………

 

「オイ、返事しろ。生きてるのか?」

 

ウルトラマンゼロの顔が一杯に広がっていた。

 

今、さくらの三式光武は、クレッセントから離れた位置で、膝立ちになっている巨大化したゼロの両手に抱えられている状態だ。

 

「!? ええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!?」

 

「うわっ!? ビックリしたっ!!」

 

さくらが仰天の声を挙げると、ゼロが一瞬ビクッとなる。

 

「如何やら大丈夫みたいだな」

 

「あ、えっと………貴方が助けてくれたんですか?」

 

「ああ、そうだ。間一髪だったぜ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

しかし、ゼロが自分を助けてくれたのだと分かると戸惑いながらもお礼を言う。

 

「な、何だアレはっ!?」

 

「光の………巨人?」

 

「オイオイ! 今度は何だってんだっ!?」

 

「え、えええっ!?」

 

突如として現れたゼロの姿に、困惑の声を挙げる人々とシャオロン、ユイ。

 

「あ、あの………貴方は、一体?」

 

「ヘッ」

 

其処でゼロは、さくらの三色光武を優しく地面へと下ろすと、立ち上がりながらクレッセントの方に向き直る。

 

「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだっ!!」

 

そして、左腕を横へ水平に伸ばした後、師匠である『ウルトラマンレオ』から叩き込まれた宇宙拳法の構えを執った!

 

「ウルトラマン………ゼロ」

 

その名を、反芻する様に呟くさくら。

 

すると其処で………

 

一瞬、ゼロの姿に………

 

()()()()姿()が重なった。

 

(! 誠兄さん!?………如何してだろう………あの人から………誠兄さんと同じ気配がする)

 

そんな事を感じるさくら。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

するとその瞬間、クレッセントが咆哮を挙げる。

 

「誰が送り込んで来たか知らねえが、これ以上好き勝手にはさせねえぜ!」

 

キシャアアアアアアッ!!

 

とゼロがそう言い放った瞬間、クレッセントは再度の咆哮と共に、クレスト・エンドをゼロ目掛けて放つ。

 

「フッ!!」

 

だが何と!

 

ゼロはそのクレスト・エンドを、広げた右の掌で防いでしまう!!

 

「セエエヤッ!!」

 

そして、勢い良く跳躍したかと思うと、クレッセントの胸に飛び蹴りを食らわせる!

 

「セリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

そのまま両足で連続蹴りを繰り出すゼロ。

 

キシャアアアアアアッ!?

 

4万トンのクレッセントの身体が、蹴りの勢いでどんどん後ろに押されて行く。

 

「オリャアッ!!」

 

最後に勢い良く蹴りを浴びせると、クレッセントは吹き飛ばされ、地面に叩き付けられる様に倒れる。

 

「フッ! ハアッ!!」

 

其処でゼロは、頭部に装着されていた2つの宇宙ブーメラン・ゼロスラッガーをウルトラ念力で外すと、両手で逆手に持って構える。

 

グルルルルルッ………

 

「オリャアアッ!!」

 

そして、苦しそうな呻き声を挙げてクレッセントが起き上がった瞬間、懐に飛び込んで連続で斬り付ける!!

 

光の線が走る度に、クレッセントの身体から火花が飛び散る!!

 

キシャアアアアアアッ!?

 

「トリャアッ!!」

 

クレッセントが悲鳴の様な咆哮を挙げた瞬間、ゼロは再度胸に前蹴りを入れ、その反動でバック宙して距離を取る。

 

「セエエアッ!!」

 

直後に、両手のゼロスラッガーを投擲する!!

 

高速回転しながら飛んだゼロスラッガーは、クレッセントの両腕を斬り飛ばす!!

 

キシャアアアアアアッ!?

 

「トドメだ! エメリウムスラッシュッ!!」

 

ゼロスラッガーを頭部に戻したかと思うと、額のビームランプから緑色の光線・エメリウムスラッシュを放つゼロ。

 

エメリウムスラッシュを浴びたクレッセントは、バタリと倒れたかと思うと、爆発四散した!!

 

「ヘッ、ザっとこんなモンだぜ」

 

「す、凄い………」

 

「わ、私達が手も足も出なかった怪物を、あんなにアッサリと………」

 

「チッ!!」

 

ゼロが親指で鼻を擦る様な仕草を見せてそう言う中、さくらとユイはゼロの強さに圧倒され、シャオロンは面白く無さそうな様子を見せる。

 

「さてと………」

 

と其処で、ゼロは左腕を構える様なポーズを執ったかと思うと、ウルティメイトブレスレットから青い光が溢れる。

 

「………ルナミラクルゼロ」

 

落ち着いたトーンの低い声と共にハープの様な効果音が鳴ったかと思うと、ゼロの姿が青一色に変わる。

 

嘗てフューチャーアースで『ウルトラマンダイナ』と『ウルトラマンコスモス』と共に戦った時に、彼等の力を授かって誕生したフォーム………

 

『ルナミラクルゼロ』だ。

 

「! 変わった?」

 

「ミラクル・リアライズ」

 

さくらが驚いていると、ルナミラクルゼロは両手を腕ごと広げる様に構える。

 

すると、掌から虹色に輝く光の粒が混じった霧状の光線が放たれる。

 

その光線は帝都一帯に広がって行くと………

 

クレッセントに破壊された街並みが、瞬く間に元通りになった!

 

「凄い! 帝都が元通りに!!」

 

と其処へ、ミラクル・リアライズがさくらの三式光武にも届いたかと思うと………

 

あれ程激しい損傷を受けた三式光武が、まるで()()同様になる!

 

「! 光武までっ!?」

 

「凄い! 凄いよっ!!」

 

さくらが再度驚きの声を挙げると、同じ様に王龍が受けた損傷が無くなった事にユイが声を挙げる。

 

「…………」

 

だが、シャオロンだけはやはり面白く無さそうな表情をしている。

 

「………シュワッ!!」

 

其れを確認すると、ゼロは自分の役目は終わった、と言う様に空の彼方へ飛び去って行く。

 

「あ!………ありがとう~っ!! ウルトラマンゼロさ~~~んっ!!」

 

さくらは一瞬迷った後、飛び去って行くゼロの背に向かって手を振りながらお礼を言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、飛び去ったゼロは一旦大気圏を離脱したかと思うと、身体を人間サイズへと縮小し、テレポート。

 

帝劇の屋上へと出現すると、誰もいないのを確認して変身を解除。

 

誠十郎の姿となった。

 

「お、終わったのか……?」

 

『如何だ、誠十郎。ウルトラマンになった感想は?』

 

「凄い、凄過ぎる………あの巨大な化け物を一瞬で倒した上に、帝都の街まで………トンでもない力だな」

 

『何言ってんだ。半分はお前がやったんだぜ?』

 

「いや、俺はただ変身して付いて行っただけで………」

 

『そんな事無えって。俺達ウルトラマンにとって、人間は“特別な存在”だ。お前達との絆が、俺達を何万倍も強くしてくれるんだ』

 

「ゼロ………」

 

そんなゼロの言葉に、誠十郎は照れ臭さを覚える。

 

「お疲れ様、神山くん。それにゼロさんも………」

 

と其処で、屋上にすみれが姿を見せた。

 

「! すみれさん」

 

『おう』

 

慌てて、すみれに向き直って敬礼する誠十郎と気安そうに挨拶するゼロ。

 

「お陰で帝都は守られましたわ。ありがとう………けれど、コレで終わりというワケでは無いのでしょう?」

 

2人に向かってお礼を言うすみれだったが、直ぐに表情を険しくする。

 

『ああ………“この世界”に今まで怪獣は出現した事が無かった。其れが現れたって事は………「連れて来た奴」が居るって事だ』

 

「! そうなのか!?」

 

ゼロの言葉に誠十郎が驚く。

 

「やはり………」

 

『心配すんな。一体誰なのかは知らねえが、俺と誠十郎が居る限り、好きにはさせねえぜ!』

 

険しい表情のまま呟くすみれに、ゼロは勇ましくそう返す。

 

『だろ?誠十郎』

 

「あ、ああ………帝国華撃団隊長として、この帝都の平和を守って見せます」

 

『?』

 

続いて誠十郎にも呼び掛けるが、彼が一瞬気後れした様な様子を見せた事に首を傾げる。

 

「神山くん。ゼロさん………改めて、この帝都と地球の平和を頼みましたわよ」

 

すみれはそんな2人に向かって、改めて帝都と地球の平和を託すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラ怪獣大百科

 

怪獣コンピューター、チェック!

 

『月ノ輪怪獣 クレッセント』

 

身長:56メートル

 

体重:4万トン

 

能力:目から放つ赤色の放射熱線『クレスト・エンド』

 

初登場作品:ウルトラマン80 第1話『ウルトラマン先生』

 

80が地球で初めて戦った怪獣であり、マイナスエネルギー関係怪獣の第1号。

 

月の輪怪獣の別名通り、首元に三日月のような模様が有るというのが特徴のオーソドックスな怪獣。

 

レオ以降、怪獣の出現が止まってしまっていた為、実戦経験の不足していたUGMを蹴散らし、80も苦戦させたが、最後はサクシウム光線で倒された。

 

80の1話に登場した怪獣なので知名度は有るが、後年のシリーズへの再登場は未だ無い。




新話、投稿させて頂きました。

上海華撃団を相手にせず、我が物顔で暴れ回るクレッセント。
さくらの決死の攻撃が一矢報いたかに思えたが、一瞬で大ピンチに。

しかし………
遂にウルトラマンゼロが帝都に降臨!!
瞬く間にクレッセントを葬り去ります。
最初の戦いだし、ゼロも相当の実力者なので、今回の戦闘はアッサリ気味で行かせてもらいました。
次回以降では、ゼロを苦戦させる様な敵も出てきます。

で、ゼロが去り際にルナミラクルゼロになって使った技ですが、アレは本来ウルトラマンコスモスの技で、ゼロは使った事がありません。
しかし、怪獣との戦いでは、降魔との戦闘よりも激しい被害が出る事になります。
帝劇が落ちぶれた理由の1つに、降魔大戦の後、帝都の復興に予算を取られたからという理由も考えられているので、毎度毎度怪獣が甚大な被害を出すと、更に予算を削られる可能性があるので、その辺の心配を無くす為に使いました。
一応、コスモスの力を宿しているので、使えなくはないかと。
他の人の作品でも使っている描写があったりしたので。

それと怪獣大百科をオマケでつけてみました。
基本的にその怪獣が退場する回に記載し、原作との相違がある場合には補足説明も入れる積りです。

さて次回はいよいよ帝劇の人達との会合です。
都合により、次回では初穂とこまちまでで、クラリスは次々回になりますので予めご了承ください。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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