新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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※注意

今回、作中でシャオロンが行っている特訓は非常に危険です。

シャオロンは特殊な訓練を受けており、専門家の指導の元、安全に配慮して行っています。

皆さんは決して真似をしないで下さい。


チャプター2『男だ! 燃えろ!』

チャプター2『男だ! 燃えろ!』

 

宇宙超人 スチール星人・ソドロ

 

暗闇宇宙人 カーリー星人・ジャッパー

 

奇怪宇宙人 ツルク星人・ギリツ

 

怪異宇宙人 ケットル星人・スプリー登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇地下・司令室………

 

警報が鳴り、司令室に集合した花組の面々。

 

「銀座の宝石店を例の星人達が襲撃しました」

 

「現在、警官隊と陸軍が交戦中やが、ハッキリ言って歯が立たん状況や」

 

カオルとこまちがそう説明する中、司令室のモニターには、怪光線でパトカーを破壊するスチール星人・ソドロと、突進で陸軍の装甲車を紙細工の様に貫くカーリー星人・ジャッパーの様子が映されていた。

 

「コレ以上被害を出すワケには行きませんわ。神山くん、出撃命令を」

 

「分かりました」

 

すみれに促されて誠十郎は立ち上がり、花組の面々を見回す。

 

「…………」

 

すると、さくらだけがやや表情を曇らせている事に気付く。

 

「さくら。ユイさんやシャオロンの事が気に掛かるのは分かるが、今は星人を倒す方が先決だ」

 

その理由を察した誠十郎が、さくらにそう言う。

 

「シャオロンくんの行方は此方でも探している。そっちは任せてくれ」

 

其れを補足する様に、サコミズも言って来た。

 

「………ハイ。分かりました」

 

2人にそう言われ、さくらは表情を引き締めた。

 

「よし! 帝国華撃団・花組、出撃せよ!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

誠十郎の号令で、花組の面々は出撃して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

シャオロンは………

 

帝都郊外の砕石所跡………

 

「ハアッ! ハアッ! ハアッ!」

 

荒い息遣いのまま、砂利の上を必死の形相で走っているシャオロン。

 

「シャオローンッ! 逃げるなぁーっ!! 逃げるんじゃ無ーいっ!!」

 

そのシャオロンを、ゲンが追い掛けている。

 

………『ジープ』に乗って。

 

「!? うわあっ!?」

 

追い付かれたシャオロンは、咄嗟に横に転がりゲンが乗るジープの突進を回避。

 

しかしゲンは、直ぐにジープを反転させ、再びシャオロンへと向かう。

 

「シャオロン! 車に向かって来いっ!!」

 

「! うわああっ!!」

 

シャオロンに無茶振りしながら、追い回し続けるゲン。

 

何故こうなったのか………?

 

話は数時間前に遡る………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間前………

 

「オイ、こんなとこに連れて来て………何する積りだ?」

 

「直ぐに分かる………」

 

あの路地裏での出会いの後、雨が止んだこの砕石所へと連れて来られたシャオロン。

 

「…………」

 

ゲンの言葉を信じ、此処まで従いて来たシャオロンだが、再度疑念が湧いて来る。

 

「………“分かり易い”奴だな」

 

しかし、ゲンはそんなシャオロンの心を見透かしていた。

 

「! テメェッ!!」

 

シャオロンは忽ち激昂し、ゲンに背後から殴り掛かった。

 

だが、次の瞬間!!

 

「!? グハッ!?」

 

シャオロンは、“ゲンの()()()背中から地面に叩き付けられて”いた。

 

ゲンの姿勢は、先程と“まるで変わっていない”様に見える。

 

「…………」

 

シャオロンからしたら、「いきなり上下が反転した」かと思ったら、“地面に叩き付けられていた”と言う認識であり、何が起こったのか全く分からない。

 

そして、腐っても“拳法家”であり上海華撃団の隊長でもあるシャオロンは………

 

ゲンが、“自分なぞ足元にも及ばない高みに居る実力者”である事を察する。

 

「無駄な事をやっている暇は無いぞ。コレから“あの星人に()()()()()()”だからな」

 

「! アイツに………勝てるのか!?」

 

ユイに重傷を負わせたカーリー星人・ジャッパーの事を思い出しながら、シャオロンは立ち上がってゲンを見遣る。

 

「其れは()()()()だ………コレから課す“特訓”を乗り越える事が出来れば、少なくとも負ける事は無い」

 

「…………」

 

「如何する、やるか? 言って置くが、1度『受ける』と言ったからには、途中で泣き言を言っても聞かんぞ?」

 

確認する様にシャオロンを眼光鋭く見据えながら、ゲンはそう言い放つ。

 

「………やる! やってや………いや! やらせて下さい!! 老師(ラオシー)!!」

 

シャオロンは膝を着き、包拳礼を執ってゲンに特訓を願う。

 

如何やら完全にゲンを実力者と認識し、礼を尽くし始めた様だ。

 

しかし、直ぐにシャオロンは………

 

その言葉を、“文字通り”死ぬ程後悔する事になるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び砕石所の中を歩いて行くと………

 

其処には1台の車………『ジープ』が停まっていた。

 

「? この車は?」

 

「“特訓に使う物”だ」

 

「えっ?」

 

「シャオロン………お前が相手にしようとしているカーリー星人は、その“両肩の角を使った突進”が最大の武器だ」

 

「!!」

 

ゲンの言葉に、シャオロンはユイに瀕死の重傷を負わせたカーリー星人・ジャッパーの事を思い出す。

 

「奴を倒すには、“弱点”である眉間を攻撃するしか無い。だが、その為には奴の突進に対し()()()()向かって行かねばならん」

 

「奴に、正面から………」

 

()()お前に必要なモノは、“自分を突き刺し、殺そうとして来る存在”への『恐怖心の克服』だ」

 

「えっと………?」

 

ゲンの言わんとする事が分からず、困惑するシャオロン。

 

「シャオロン………俺は今から、()()()()()()()で行く」

 

「えっ………?」

 

「其れを乗り越え、恐怖心を克服するのだ」

 

「えっと、つまり………?」

 

困惑を続けるシャオロンを無視し、ゲンはジープに乗り込む。

 

そして(おもむろ)にエンジンを掛けると、思いっ切りアクセルを踏み込んで、シャオロンに突っ込んだ!!

 

「!? うおわっ!?」

 

慌てて避けるシャオロン。

 

「シャオロン! 逃げるなっ! 逃げるじゃないっ!!」

 

ゲンは直ぐ様ジープを反転させ、再度シャオロンに向かって行く。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい、老師(ラオシー)! まさか、コレが特訓ですかっ!?」

 

「そうだ! コレ(ジープ)を星人だと思えっ!! 向かって来いっ!!」

 

否定して欲しかったシャオロンの言葉を、ゲンはアッサリと肯定する。

 

「た、助けてくれええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」

 

シャオロンは悲鳴を挙げて逃げ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時は現在に戻り………

 

彼是(かれこれ)数時間、シャオロンはゲンの乗るジープに追い掛け回されているのだ。

 

「シャオローン! 逃げるなーっ!! 逃げるじゃ無ーいっ!!」

 

「お願いです老師ーっ! 止めて下さーいっ!!」

 

懇願する様に叫ぶシャオロン。

 

その顔に、演技は一切無い。

 

正に“追い詰められた人間の表情”其の物だった。

 

「ハア………ハア………ハア………い、息が………」

 

段々と、呼吸するのも難しくなる程に疲労が蓄積し始めているシャオロン。

 

「シャオロン! 向かって来い! 来るんだぁっ!!」

 

そんなシャオロンに向かって、ゲンが操るジープがアクセル全開で突っ込む。

 

「!? うおわっ!?」

 

とうとう避け切れず、軽く撥ねられボンネットの上に乗っかった!

 

「ぐはっ!?」

 

そして、直ぐ様振り落とされる。

 

「…………」

 

ゲンはまたもやジープを反転させ、地面に倒れたままのシャオロンに突っ込んで行く。

 

「あ、あああ………」

 

恐怖で顔が引き攣り、疲労で立ち上がる事も(まま)ならないシャオロン。

 

そのシャオロンに向かって、ジープは何の躊躇も無く突っ込んで来る。

 

(だ、駄目だっ! 死ぬ! 死んじまうっ!!)

 

シャオロンの脳裏に、とうとう死の予感が過り始める。

 

その瞬間、“猛スピードで”突っ込んで来ている()のジープが、まるでスローモーション映像の様にゆっくりになる。

 

(ああ、コレが“死ぬ直前”ってヤツか………俺は………間違い無く地獄行きだろうな………)

 

達観したかの如く、まるで他人事の様に考えるシャオロンの脳裏に、走馬灯が過り始める。

 

と、その走馬灯が終わるかと思われた最後の瞬間………

 

カーリー星人・ジャッパーに串刺しにされたユイの姿が浮かび上がった。

 

(!! ユイッ!!)

 

するとその途端………

 

突っ込んで来るジープが、カーリー星人・ジャッパーの姿に変わる。

 

「!!」

 

そしてジープ(カーリー星人・ジャッパー)が、シャオロンを跳ね飛ばすかに思われた瞬間!!

 

「タアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

気合の雄叫びと共に、疲労困憊していたのが嘘の様な大跳躍を見せるシャオロン。

 

「!!」

 

ゲンはブレーキを掛け、上空を見上げる。

 

其処で、シャオロンは前方宙返りを決めると………

 

「イヤアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!」

 

落下速度を加えた拳を、ジープのボンネットに向かって振り下ろした!!

 

そのシャオロンの拳は、ジープのボンネットを突き破ってエンジンを破壊!!

 

ジープのボンネットから黒煙が上がった!!

 

「ハア………ハア………ハア………」

 

拳を引き抜きながら、ジープから離れるシャオロン。

 

「…………」

 

ゲンも、無言でジープから降りる。

 

「………見事だ。良く己の恐怖心に打ち克った」

 

老師(ラオシー)………」

 

()()()()ならば問題有るまい………行け、シャオロン。再び“龍”となってな」

 

「! ありがとうございますっ!!」

 

シャオロンは、ゲンに向かって再び包拳礼を執った後、背を向けて駆け出して行った。

 

「…………」

 

其れを無言で見送ったゲンだったが、やがて自身も其れを追う様に採石場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・銀座の一角………

 

「先生! もう良いでしょう!? そろそろ行きましょう」

 

「チイッ! つまらん! 女は居ないのか、女は!?」

 

破壊されたパトカーや装甲車の残骸が辺りに散乱する中で、スチール星人・ソドロとカーリー星人・ジャッパーがそう言い合う。

 

「其処までですっ!!」

 

其処へ、そう言う声が響いたかと思うと、上空に現れた翔鯨丸から花組の無限が降下して来る。

 

「「「「「「帝国華撃団、参上!!」」」」」」

 

スチール星人・ソドロとカーリー星人・ジャッパーに向かい、見得を切ってそう言い放つ帝国華撃団。

 

「チイッ! 帝国華撃団か!!」

 

「華撃団………女が居るかぁ?」

 

スチール星人・ソドロは舌打ちをするが、カーリー星人・ジャッパーは嬉しそうに呟く。

 

「コレ以上! この帝都での無法は許しません!!」

 

ファファファファファッ!!

 

と、さくらが勇ましくそう言い放った瞬間、カーリー星人・ジャッパーが奇怪な鳴き声と共に突進して来た!!

 

「!?」

 

「さくら! 避けろっ!!」

 

思わず固まってしまったさくら機を、誠十郎機が引っ張る。

 

カーリー星人・ジャッパーはさくら機への狙いを外し、後方に在った建物の壁に激突!

 

途端に、激突した面の壁が崩れ、建物全体が崩壊した!!

 

「マジかよ!? 何て威力の突進だっ!?」

 

「あんなの喰らったら、一溜りも無いわね………」

 

「………!!」

 

初穂とアナスタシアが思わずそう漏らすと、若し“自分が喰らっていたら”と想像して顔が青褪めるさくら。

 

ファファファファファッ!!

 

と其処でカーリー星人・ジャッパーが、今度はクラリス機に向かって突進を繰り出した!

 

「クラリス! そっちに行ったっ!!」

 

「! くうっ!」

 

あざみに言われ、クラリス機は魔導書を開き、魔法陣をバリアの様に展開する。

 

だが………

 

ファファファファファッ!!

 

何と、カーリー星人・ジャッパーの突進の一突きは、魔法陣のバリアをガラスの様に打ち砕いてしまった!!

 

「!? そんなっ!?………!? キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

呆けてしまったクラリス機に、カーリー星人・ジャッパーの突進が命中。

 

クラリス機は弾き飛ばされ、地面を転がった!

 

「クラリス! 大丈夫かっ!?」

 

「だ、大丈夫です! ギリギリ躱しました!!」

 

慌てて誠十郎機が助け起こすと、クラリスはそう返す。

 

しかし、彼女の機体は右腕が肩口から無くなっていた。

 

ファファファファファッ!!

 

奇怪な鳴き声を挙げながら、カーリー星人・ジャッパーは角に刺さったままだったクラリス機の右腕を無造作に放り捨てる。

 

「先生! そんな奴等に構って無いで、早く逃げましょう!?」

 

「黙ってろ。折角の『女』を前にして、おめおめと引き下がれるか?」

 

スチール星人・ソドロが逃げようと促してくるが、カーリー星人・ジャッパーは従う様子を見せない。

 

「ああもう、カーリー星人はコレだから………こうなったら………」

 

ファファファファファッ!!

 

と、スチール星人・ソドロが何か怪しい動きを見せる中、カーリー星人・ジャッパーは今度は初穂機に向かって行った。

 

「! 野郎っ!!」

 

突進して来るカーリー星人・ジャッパーに対し、自慢のハンマーをフルスイングする初穂機!

 

だが、ハンマーがカーリー星人・ジャッパーに接触した瞬間………

 

「!? うおわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」

 

何と初穂機の方が弾き飛ばされ、建物の壁に叩き付けられた!

 

「!? 初穂っ!? 彼女のハンマーでも駄目なのか!?」

 

『カーリー星人の突進は()()()も跳ね返すパワーが有る。“生半可な攻撃”じゃ駄目だ!』

 

驚く誠十郎に、ゼロがそう言って来る。

 

「其処っ!!」

 

「にんっ!!」

 

今度はアナスタシア機が銃、あざみ機がクナイを投げて攻撃する。

 

ファファファファファッ!!

 

無数の銃弾とクナイを浴びるカーリー星人・ジャッパーだが、意にも介さず奇怪な鳴き声を挙げる。

 

「!? 効いてない!?」

 

「何て奴なの………」

 

あざみが驚き、アナスタシアも思わず冷や汗を流す。

 

ファファファファファッ!!

 

奇怪な鳴き声を挙げ続け、カーリー星人・ジャッパーは再度さくら機に狙いを定める。

 

「!?」

 

「さくらっ!!」

 

さくら機が慄くと、直ぐ様誠十郎機がカバーに入る。

 

ファファファファファッ!!

 

カーリー星人・ジャッパーは、“そんな事は関係無い”と2人纏めて串刺しにしようとする。

 

「待てっ!!」

 

「「「「「!?」」」」」」

 

「んん?」

 

だが其処で、そう言う声が聞こえ、花組とカーリー星人・ジャッパーがその声の主を見遣る。

 

「…………」

 

其処には特訓場の採石場跡から駆け付けた、ボロボロのままのシャオロンの姿が在った。

 

「! シャオロンさん!」

 

「何であんなボロボロなんだ………?」

 

驚くさくらと、ボロボロの姿に疑問を抱く誠十郎。

 

「何だ、()()()か………貴様に用は無い。引っ込んでろ」

 

カーリー星人・ジャッパーは、そんなシャオロンを歯牙にも懸けず、犬でも追い払うかの様に手を振る。

 

「負け犬じゃねえ! 俺は………亜細亜の龍! 上海華撃団の隊長! ヤン・シャオロンだ!!」

 

しかしシャオロンは、カーリー星人・ジャッパーに向かってそう吠え返した。

 

「! ぬっ!?」

 

その気迫を受け、カーリー星人・ジャッパーが一瞬怯む。

 

「シャオロン………」

 

『何が有ったんだ? 気迫がまるで違うぞ?』

 

そんなシャオロンの姿に、ゼロがそう呟く。

 

「貴様如きが、“この俺を怯ませた”だと?………巫山戯るなぁっ!!」

 

と、シャオロンの気迫に一瞬だが怯んだカーリー星人・ジャッパーはプライドを傷付けられた事に憤慨し、シャオロンに向かって突進を繰り出した!!

 

「!!」

 

するとシャオロンは、そのカーリー星人・ジャッパーに向かって、()()()突撃した!!

 

「なっ!? 自分から突っ込んで行きやがった!?」

 

「無茶ですっ!!」

 

その光景を見た初穂とクラリスが悲鳴の様な声を挙げる。

 

「馬鹿め! 死ねえぇっ!!」

 

シャオロンを串刺しにしようと肩の角を向けるカーリー星人・ジャッパー。

 

両者の距離が一気に詰まる。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

凄惨な光景を想像し、思わず顔が引き攣る花組の面々。

 

 

 

 

 

………だが、しかし!!

 

 

 

 

 

「! 此処だぁっ!!」

 

衝突直前、シャオロンは大きく跳躍した!!

 

「!? 何っ!?」

 

思わずカーリー星人・ジャッパーが空を見上げると………

 

「イヤアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!」

 

シャオロンは宙返りを決め、落下の勢いを乗せた拳をカーリー星人・ジャッパーの眉間に叩き込んだ!!

 

「!? ぐあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」

 

急所を攻撃されたカーリー星人・ジャッパーは、眉間を押さえて倒れ、悶え苦しむ。

 

「せ、先生っ!?」

 

其処へ今まで傍観していたスチール星人・ソドロが近寄って来る。

 

「やった………やったぜ! ユイッ!!」

 

見事雪辱を果たし、ユイの仇を取ったシャオロンは歓喜の声を挙げる。

 

「オ、オノレッ! オノレェッ!! 地球人如きがぁっ!!」

 

しかし其処で、悶絶していたカーリー星人・ジャッパーが突然起き上がると、怒りの声と共にその身体が赤い煙を放つ。

 

そして、人間大の時とはまるで違う見た目となって巨大化した!!

 

「ああ、先生! もう!!」

 

其れに続くかの様に、スチール星人・ソドロも巨大化する!!

 

「なっ!?」

 

「巨大化したっ!?」

 

「踏み潰してやるっ!!」

 

シャオロンとさくらが驚いていると、カーリー星人・ジャッパーはシャオロンを踏み潰そうとする。

 

「! シャオロン! 危ないっ!!」

 

シャオロンを助けようと、誠十郎機が大きくジャンプし、カーリー星人・ジャッパーに斬り掛かろうとする。

 

「邪魔だぁっ!!」

 

「!? うおわっ!?」

 

しかし、サイズ差からアッサリと弾き飛ばされる!

 

「其れっ!!」

 

更に駄目押しとばかりに、スチール星人・ソドロが誠十郎機の墜落地点に向かって破壊光線を放った!!

 

誠十郎機の落下地点から、爆発と共に巨大な火柱が上がった!

 

「「「「「隊長っ!!」」」」」

 

さくら達の声が木霊する。

 

其処へ!!

 

「オリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「ぐぎゃっ!?」

 

「ぬうっ!?」

 

上空から現れたゼロが、スチール星人・ソドロとカーリー星人・ジャッパーを纏めて蹴り飛ばした!!

 

「「ゼロさん!!」」

 

「ウルトラマンゼロ………」

 

歓喜の声を挙げるさくらとクラリスに、今までと違う視線を向けるシャオロン。

 

「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだっ!!」

 

「ほう、貴様がゼロか?」

 

「ゲゲッ!? ウルトラマンゼロッ!? お前まで現れるとは!?」

 

何処か嬉しそうなカーリー星人・ジャッパーとは対照的に、ゼロの登場に慌てた様子を見せるスチール星人・ソドロ。

 

「スチール星人にカーリー星人! コレ以上の好き勝手はさせねえぜ!!」

 

「ゼロさん! 頑張ってっ!!」

 

スチール星人・ソドロとカーリー星人・ジャッパーにビッと指差してゼロがそう言うと、さくらの声援が飛ぶ。

 

と、その瞬間!!

 

閃光が走ったかと思うと、さくら機のハッチが斬り飛ばされた!!

 

「えっ?………!? キャアッ!?」

 

さくらが思わず間が抜けた声を挙げると、今度は何者かに襟首を摑まれ、無限の中から引き摺り出された!

 

「!? さくらっ!?」

 

「さくらさんっ!?」

 

其処で初穂とクラリスが見たのは………

 

「フフフフフ………」

 

「油断したな………」

 

『怪異宇宙人 ケットル星人・スプリー』に襟首を摑まれて囚われ、『奇怪宇宙人 ツルク星人・ギリツ』の刃となっている腕を首筋に突き付けられているさくらの姿だった。

 

『!? さくらっ!?』

 

「『ケットル星人』に『ツルク星人』!? 未だ居やがったのか!?」

 

「ナイスですよ、先生方!」

 

誠十郎とゼロが驚きを示すと、スチール星人・ソドロがそう言い放つ。

 

如何やら、この2体もスチール星人・ソドロが雇った用心棒らしい。

 

「チイッ、ソドロめ………つまらん真似を………」

 

「さあ、ウルトラマンゼロ! 抵抗しないで貰おうか。若し抵抗すれば、あの娘が如何なるか、分かるな?」

 

カーリー星人・ジャッパーが不満そうにするのを聞き流し、スチール星人・ソドロはゼロに向かって得意げに言い放つ。

 

「クソッ!」

 

「ゼロさん! (わたし)に構わずに戦って下さいっ!!」

 

「黙れ、小娘」

 

悪態を吐くゼロに、さくらがそう呼び掛けるが、その瞬間ツルク星人・ギリツが刃の腕を押し込む。

 

「ッ!」

 

刃を突き付けられていたさくらの首の皮が僅かに切れ、赤い血が彼女の白い肌に滴る。

 

「! さくらっ!!」

 

「駄目よ、あざみ。今動いたら」

 

あざみが飛び出しそうになるが、アナスタシアが今はマズイと止める。

 

「クッ! 如何すれば………ん?」

 

シャオロンも舌打ちをしていたが、其処で“何か”に気付く。

 

その次の瞬間!!

 

「さあ、如何するウルトラマンゼ………!? ゴバッ!?」

 

「なっ!?………ゲバッ!?」

 

「!? キャアッ!?」

 

突如、ケットル星人・スプリーとツルク星人・ギリツがブッ飛ばされ、解放されたさくらが()()に受け止められる。

 

「大丈夫か?」

 

「えっ? あ、ハイ」

 

助けた人物………ゲンに声を掛けられ、さくらは反射的に返事をする。

 

老師(ラオシー)っ!!」

 

「ええっ!? 老師っ!?」

 

シャオロンの声に、初穂が驚く。

 

「!? アレはッ!?」

 

『ゼロ!? 如何したんだ!?』

 

しかし、其れ以上に驚いていたのはゼロで、誠十郎が“出会って以来初めて見る”ゼロの動揺に困惑する。

 

「き、貴様はっ!?」

 

「何だとっ!?」

 

「馬鹿なっ!? 何故この地球にっ!?」

 

更に、カーリー星人・ジャッパーとツルク星人・ギリツ、ケットル星人・スプリーも驚きを示す。

 

「ええい!!」

 

「オノレェッ!!」

 

と其処で、ツルク星人・ギリツとケットル星人・スプリーも巨大化する。

 

「離れていろ………」

 

「ハ、ハイッ!」

 

ゲンがそう言うと、さくらはその迫力に押される様に離れる。

 

するとゲンは、被っていた編み笠を天に放り投げたかと思うと………

 

拳を握った両腕を身体の前で交差させ、正拳突きの様に右手を突き出した後、素早く左手を突き出し………

 

「レオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!!」

 

と叫ぶと、左手薬指のレオリングの瞳が光を放った!!

 

その瞬間、ゲンの姿は“50メートル以上の赤い巨人”に変わり、空中で宙返りを決め、地響きと共に着地を決めた。

 

「!? ウルトラマンッ!?」

 

「ろ、老師はウルトラマンだったのか!?」

 

さくらとシャオロンが、新たに現れた赤いウルトラマンを見て驚愕する。

 

()()()は………まさかっ!?」

 

と、ゼロからウルトラマンの話を聞いていたクラリスは、その赤いウルトラマンの正体を察する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう………

 

其れは『獅子座L77星』生まれのウルトラマン………

 

愛する人を、大切な仲間を、帰るべき故郷さえをも失いながらも………

 

第2の………否、『()()()故郷』である地球を守る為………

 

時に傷付き倒れながら、何度も立ち上がった不屈の闘士………

 

誰よりも“生きる辛さと厳しさ”を知る者………

 

そしてウルトラ兄弟の一員であり、ゼロの師匠………

 

『ウルトラマンレオ』だった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

出ました!
伝説の『ジープ特訓』!!
当時でさえ狂気の沙汰と言われた伝説のアクション。
ゲンを演じた真夏 竜さんが本気で死ぬと思った過酷さ。
それが時を得て蘇りました(笑)

その特訓の甲斐あって、見事にカーリー星人にリベンジしたシャオロン。
しかし、相手が巨大化した上、更なる用心棒も出現。
そこへ満を持て登場!!
真紅の獅子!
ウルトラマンレオ!!
その活躍にご期待ください!

それと前回説明し忘れてしまいましたが、上海華撃団の過去は私の捏造で公式設定ではありませんので、誤解の無いようお願いします。

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