新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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第4話『仮面の下』
チャプター1『侵略者は誰だ?』


第4話『仮面の下』

 

チャプター1『侵略者は誰だ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・WLOFの滞在拠点………

 

元プレジデントG・現ジェネラルAの執務室………

 

「ほうれぇ、新しい玩具(オモチャ)だぁ」

 

そう言って、執務机の上に1体のスパークドールズを置くジェネラルA。

 

「へへへ、ありがとよ、アゴナの旦那」

 

其れを喜々として受け取ったのは朧だ。

 

「前に貰ったのは、華撃団の連中に盗られちまったからな……すまねえ」

 

「気にするなぁ。代わりは幾らでも有るわぁ」

 

以前、ジェネラルAから貰ったゼットンがクラリスの元へ渡った事を詫びる朧だが、ジェネラルAは気にするな、と返す。

 

「其れよりも、より多くの人間共を苦しめて殺して来い。“この世に破壊と殺戮を振り撒く”………其れこそが降魔であろう」

 

気安い態度で接して来ている朧を咎める事も無く、寧ろ高く買っている様子のジェネラルA。

 

「へへへ、旦那は話が分かるから良いぜ。幻庵の野郎は計画が有るだの、作戦に従えだの五月蠅くて堪んなかったからなぁ」

 

元は()()であった筈の幻庵に対し、グチグチと不満を漏らす朧。

 

「フハハハハハ! 小賢しい策なぞ不要よぉ! 全てを力でケリを着ける事こそが魔の美学! 力こそパワーッ!!」

 

「全くだぜ! ヒャッハッハッハッハッ!!」

 

やがて、2人揃って呵々大笑し始めた。

 

「…………」

 

その様子を、執務室の扉の隙間から幻庵が恨めしそうに覗いていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻庵の執務室………

 

「オノレェッ!! 何故この私を差し置いて、アイツが重宝されるのだ!! あんな、暴れるだけしか能の無い上級降魔の面汚しが!!」

 

不満を露わに執務机に拳を叩き付けるプレジデントG………

 

否、彼の今の名は『ミスターG』

 

ジェネラルAによってWLOF事務総長の座から引き摺り下ろされた幻庵は、現在WLOFの1エージェントに降格されてしまったのだ。

 

そして、ジェネラルAからは“小間使い”の様な扱いを受けている。

 

その姿には、元事務総長だった頃の栄光は欠片も無い。

 

「クソッ! クソッ! クソォッ!!」

 

「ミスターG! お止め下さいっ!!」

 

何度も何度も拳を執務机に叩き付け、机が壊れるのではないかと思われた瞬間に、ミスターIが止めに入った。

 

「ハア………ハア………ハア………」

 

其処で漸く落ち着きを取り戻したミスターGは、荒くなった呼吸を整える。

 

「ミスターG。此処は私にお任せ下さい」

 

「ミスターI………」

 

「“功績を挙げれば良い”のです。文句の無い功績を挙げれば、必ずやジェネラルAもミスターGの事を見直す筈です」

 

自信満々にミスターGにそう語るミスターI。

 

「成程………確かに」

 

其れを聞いて、ニヤリと笑うミスターG。

 

その前提条件自体が既に間違っているのだが、カムバックに燃えるミスターGは思い至らない。

 

「良し! 行け、ミスターI! お前に任せる!! 手段は選ぶな!!」

 

「ハッ! 承知致しました!」

 

ミスターIはそう答えると、ミスターGの執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・WLOFの滞在拠点の廊下………

 

(ミスターGが失脚した事で、側近である我々黒服部隊も今や組織内での立場が無い………ミスターGには何としてもトップの座に返り咲いて貰わねば………でなければ、“()()出世の道”は無い!)

 

そんな事を考えながら、足早に廊下を歩くミスターI。

 

如何やら、彼も“自分の欲望”の為に動いており、ミスターGへの忠節なぞコレっぽっちも無い様だ。

 

と、その時………

 

 

 

 

 

フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………

 

 

 

 

足早に歩くミスターIの背後から、奇妙な笑い声が聞こえて来た………

 

「? 何だ?」

 

ミスターIが足を止めて振り返ると其処には………

 

フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………

 

まるで蝉の様な顔をした、両手が巨大な鋏となっている異形の姿が在った。

 

「!? な、何だ貴様はっ!?」

 

驚きながらも、直ぐ様懐から拳銃を抜き放つミスターI。

 

しかし………

 

フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………

 

ミスターIが発砲するよりも早く、異形が両手を向けたかと思うと、鋏の間から赤い光線が放たれた!

 

「!? ギャアアアアアァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

その光線がミスターIに命中したかと思うと、ミスターIは仰け反った姿勢のまま固まる。

 

そして、その身体がグラリと揺れて床に倒れたかと思うと………

 

まるで陶器の様に砕け散った!!

 

バラバラの破片になった“ミスターIだったモノ”は、やがて白い煙を上げて蒸発する様に消えてしまう。

 

フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………

 

其れを見た異形が、またも不気味な笑い声を響かせたかと思うと………

 

その姿がミスターIへと変わり、ニヤリと笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そんな事は露知らず………

 

帝劇の食堂では………

 

「こ、コレは! 美味いぞおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

誠十郎が口から光線を吐いて、巨大化して帝劇を中から突き破る………

 

………様なイメージが見えるリアクションを執る。

 

「ホント、美味しいです!」

 

「ああ、こりゃ最高だぜ!」

 

「箸が止まりません!」

 

「はむはむ」

 

「フフ、確かに絶品ね」

 

花組の面々も、口々に舌鼓を打っている。

 

「未だ未だ沢山有るから、遠慮しないで食べてね」

 

そんな花組の面々に、ユイがそう言う。

 

「ああ、その通りだぜ」

 

隣には、岡持ちを手にしているシャオロンの姿も在る。

 

「ありがとうございます、シャオロンさん」

 

「気にすんな。初戦突破祝いと詫びも兼ねてんだ」

 

さくらの言葉に、屈託無い笑みを浮かべてそう返すシャオロン。

 

その様子に、以前の剣吞な雰囲気は無い。

 

「如何やら、もう心配無いみたいだな」

 

そんなシャオロンの姿を見て、漸く落ち着いた誠十郎がそう言葉を掛ける。

 

「ああ、老師に散々(しご)かれたのも応えたからな………散々………」

 

しかし、シャオロンは老師………ウルトラマンレオことおおとり ゲンの事を語り始めた途端、顔色を悪くし始める。

 

「? シャオロン?」

 

「あっ!? イケない!!」

 

誠十郎が怪訝な顔をすると、ユイが慌てた様子を見せ………

 

「うわあああっ! 老師~! ゴメンナサイ~ッ! もう生意気言いません! だから、ジープは! ジープは勘弁して下さ~いっ!!」

 

シャオロンは子供の様な声を挙げながら、頭を抱えて半泣きで屈み込んだ。

 

「「「「「!?」」」」」

 

「ど、如何したんだっ!?」

 

突然のシャオロンの奇行に、花組の面々はギョッとし、誠十郎も困惑する。

 

「シャオロン! 大丈夫! 大丈夫だから!!」

 

「老師~! お願いです~! 止めて下さ~い!!」

 

ユイがそんなシャオロンの隣に屈み込むと、彼の頭を胸に寄せる様に抱き締める。

 

そうしている内に、段々と落ち着きを取り戻すシャオロン。

 

「い、一体全体、コレは………?」

 

「あの日以来、ずっとこの調子なの。“老師”って人の事を思い出す度に、こうなっちゃって」

 

『無理も無えぜ。“()()()()”を受けたみたいだからな』

 

唖然とする誠十郎に、ユイがそう説明すると、ゼロがそう呟く。

 

(ゼロ? 何か知ってるのか?)

 

『昔、師匠(レオ)があのカーリー星人と戦う為に、親父(セブン)から特訓を受けたらしいんだが………如何も其れが、“車に乗った親父に追い回される”ってモノだったらしい』

 

(はあっ!? 車で追い回すっ!? 危険なんてモノじゃ無いだろ!?)

 

“危険”と言うのも生易しいレベルの特訓法に、誠十郎は心の中で絶叫する。

 

『そん時は、かなり切羽詰まってた状況だったらしくてな………師匠も、親父に文句を言える立場じゃ無かったらしい』

 

(………つくづくお前の親父と師匠って、どんな人なんだよ?)

 

そう語るゼロに、誠十郎はレオと未だ見ぬゼロの父親・ウルトラセブンに疑念を募らせるのだった。

 

「………すまねえ、取り乱した」

 

と其処で、漸く完全に落ち着きを取り戻したシャオロンが、立ち上がりながらそう呟く様に言う。

 

「い、いや、大丈夫だ。気にしてないよ」

 

「今日は、もう帰らせて貰うぜ………」

 

「ゴメンね。お皿とかは後で取りに来るから。ホラ、シャオロン」

 

誠十郎が返すと、シャオロンは力無くそう言い、ユイに支えられる様にして帝劇を後にする。

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

何とも言えない表情で、その後姿を見送る花組の面々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、食事を終えた処でサコミズとカオルを連れたすみれが現れ、2回戦の相手が決まった事を告げた。

 

「支配人、次の対戦相手は………?」

 

「次の相手は………『露西亜(ロシア)』の『莫斯科(モスクワ)華撃団』よ」

 

「莫斯科華撃団………」

 

帝国華撃団の2回戦の相手は、『莫斯科華撃団』の様である。

 

「強豪とは聞いてますけど………殆ど情報の無い華撃団ですね」

 

「あの国は昔から秘密主義だしね。華撃団の情報も、出し惜しみして秘匿しているそうよ」

 

クラリスの言葉に、アナスタシアがそう返す。

 

「恐らく、“世界で最も謎に満ちた華撃団”と言っても過言じゃないだろうね」

 

「謎に満ちた華撃団、か………」

 

「事前情報が殆ど無いのはちょっと不安ですね」

 

サコミズの言葉に、初穂とさくらがそう言う。

 

「気後れする積りは無いが………さて、如何戦ったものか」

 

と、誠十郎も考え込む様な素振りを見せると………

 

「………アレ? あざみは、何処行ったんだ?」

 

何時の間にか、あざみの姿が消えている事に気付く。

 

「あ、あれ? さっきまでいましたよね?」

 

「居た筈ですよ? でも、何時の間に………」

 

「時々有るんだよな、彼奴。居なくなる前に、声掛けてくれれば良いのによ」

 

あざみと付き合いの長いクラリス・さくら・初穂がそう言う。

 

「う~ん………まあ、良いか。後で探してみるよ」

 

誠十郎はそう言うと、あざみの事は一旦後回しにする。

 

「兎に角! 次の莫斯科華撃団戦も絶対に勝ちましょう!」

 

其処でさくらが、皆にそう檄を飛ばす。

 

「そうですね。この勢いで………次回公演の方も、上手くやりたいです」

 

「そうね。降魔に加えて怪獣や星人の襲来で、帝都の人達は不安の中に居る筈よ。その人達に笑顔を取り戻すのは、私達“歌劇団”の大切な役目だわ」

 

クラリスの言葉に、アナスタシアが帝国華撃団のもう1つの姿・帝国歌劇団の役割について熱弁を振るう。

 

「アナスタシアの言う通りだぜ! 今必要なのは、皆の笑顔だ」

 

「ええ。私達の公演で、帝都を笑顔にしましょう!」

 

其れを聞いた、初穂とさくらが意気込みを語る。

 

「よーし、燃えて来た! 公演も大成功! 華撃団大戦も大優勝してやるぜ! 行くぜ、皆! 力を合わせて、やり抜くぞ!」

 

「「「「「おーっ!!」」」」

 

初穂の喝に、全員が気合の声を挙げた。

 

「ふふふ………」

 

「…………」

 

そんな花組の姿にすみれは笑みを零し、サコミズも無言で頷いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、その場は解散。

 

誠十郎は書類仕事を片付けると、帝劇内の見回りに出た。

 

すると、中庭にて何やら悩んでいる初穂に遭遇する。

 

『珍しいな。アイツがあんな風に悩んでる姿を見せるなんて』

 

「初穂、如何したんだ?」

 

ゼロが意外そうにする中、誠十郎は初穂に声を掛ける。

 

「ああ………実家から“帰って来い”って連絡が来たんだ」

 

「確か初穂の実家って、神社だったよな?大丈夫か? 何か有ったのか?」

 

実家からの呼び出しと言う事に、誠十郎は不安を抱く。

 

「いや、もう直ぐ“奉納の神楽”の時期だから。毎年この時期にやってるからな。只………“あの親父(オヤジ)”の事だから、そのままアタシに神社を継がせる気かもな」

 

「そんな!?」

 

「心配すんなって。アタシは、未だ花組を辞める気なんて無えよ」

 

思わず声を挙げる誠十郎に、初穂はそう返した。

 

「神社の仕事が嫌いってワケじゃねえ。けど、今は未だ舞台で演じていたいし、何より“帝都の平和”を守らなきゃならねえからな!」

 

「ああ、初穂は花組の大事な隊員だ。若し実家に連れ戻されそうになったら言ってくれ。力になるよ」

 

「へへ、ありがとよ。隊長さん」

 

誠十郎の言葉に、笑顔でお礼を言う初穂。

 

その後、誠十郎は再び見回りへ向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕刻………

 

銀座大通り・銀六百貨店の屋上遊園地………

 

「其れじゃあ、『頭領』。また」

 

「うむ、元気でのう」

 

あざみが『頭領』と呼ぶ赤い仮面の老人に別れを告げ、何時もの様に忽然と姿を消す。

 

「…………」

 

あざみが消えた後も、暫くその場に立ち尽くす仮面の老人。

 

地平線に沈もうとしている夕日で、その老人の影が伸びて行く。

 

と、その時………

 

一瞬だが、その老人の影が………

 

『人ならざる者』の姿となったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

あざみ回の始まりです。

失脚したプレジデントGこと現ミスターG。
自分の為にもミスターGにカムバックして貰おうと動き出したミスターIでしたが………
謎の怪人によってアッサリと殺害されてしまいます。
そしてそのミスターIへと成り済ます怪人。
一体何タン星人なんだ?(笑)

一方、帝劇では上海華撃団と和気藹々とするも、シャオロンはすっかりあの特訓がトラウマになってしまった様子。
強く生きろ(爆)

さて、次なる対戦相手ですが、原作では倫敦華撃団でしたが、この作品では先行登場する莫斯科華撃団とになります。
挟むならこのタイミングしかないなと思いまして。
しかし、莫斯科華撃団との戦いまではちょっと掛かります。
気長にお待ち下さい。

初穂との会話がちょっと変わっておりますが、これは後の初穂回への伏線となってます。

そしてあざみが頭領と呼ぶ人物。
此処には大きな改変が入っています。
楽しみにしていて下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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