新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター3『あざみの家族』

チャプター3『あざみの家族』

 

バルタンバトラー・ゲカホ 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルタン星人………

 

母星を、狂った科学者の核実験によって失った流浪の民………

 

やがて、地球へと流れ着いた一団は………

 

“地球を故郷にしよう”と侵略を仕掛けた。

 

だが、その野望は初代ウルトラマンによって阻止された。

 

其れでも、バルタン星人は幾度と無く執拗に地球を狙い、その度にウルトラ戦士に倒される。

 

やがては、ウルトラマンへの復讐も行う様になったバルタン星人。

 

彼等は、日々地球を含めた他星への侵略や、ウルトラ戦士への復讐戦に燃えていた。

 

しかし………

 

そんな戦いの日々に疲れた者も出始めた。

 

ゲカホもその1人だ。

 

そして彼は、戦いを続ける同胞を見限り、一族から脱走したのだ。

 

当然、他のバルタン星人達はこの裏切りを許す筈も無く、容赦無い追撃を掛けた。

 

その追撃から何とか逃げ延びたゲカホは、やがてこの太正時代の地球へ漂着。

 

秘かに侵入を果たせたかに思えたが、追撃を受けて損傷していた彼の宇宙船は大気圏突入後に大破。

 

そのまま墜落する事となり、ゲカホは脱出には成功したものの、宇宙船の墜落地点には人が居り、巻き込まれて死んでしまった。

 

其れこそがあざみの両親であった。

 

あざみの両親の亡骸を確認したゲカホは、その近くに2人が必死に守ったであろう赤ん坊のあざみを発見。

 

責任を感じたゲカホは、その日から『望月 八丹斎』となり、罪滅ぼし(贖罪)の為、彼女を必死に育てて来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座大通り・銀六百貨店の屋上遊園地………

 

『そんな事が………でも、其れは………』

 

「理由は如何あれ、()()()()()()()()()()()()()()()()のは事実じゃ………」

 

バルタンバトラー・ゲカホの所為(せい)では無いと言おうとした誠十郎だったが、其れを制する様にバルタンバトラー・ゲカホはそう言う。

 

『…………』

 

何も言えなくなる誠十郎。

 

「経緯は分かった。けど、何でアイツは“忍者”なんて名乗ってやがんだ? 宇宙忍者と言えば、お前達バルタン星人の異名じゃねえか」

 

其処で、今度はゼロが疑問を呈する。

 

「………物心付いたあざみが、両親の事を知ろうとしないとでも思ったか?」

 

「…………」

 

「最初は、正直に罪を告白しようとも思った………じゃが、出来なかった」

 

其処で八丹斎は遠い目をする。

 

「そして儂は嘘を吐いてしまった………“お前の両親は、忍者の里の掟で長い任務に出ておる”と………『任務が終われば帰って来るから、其れまでにはお前も立派な忍者になるんじゃよ』、と………」

 

「其れであざみの奴は、忍者の修行なんかをしてるワケか………」

 

「そうでも言わねば、生きる事を諦めそうじゃったからの………()()()()を持たせるしか………そうするしか、無かったんじゃ………そして、儂が教えてやれるのは『バルタンの宇宙忍法』だけじゃった………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八丹斎(ゲカホ)の回想………

 

「お祖父ちゃん………お母さんは、未だ帰って来ないの?」

 

「ああ………未だ、任務中との事だ。“我慢して修行しなさい”、と言っておったそうじゃよ」

 

幼いあざみからの問い掛けに、八丹斎は動揺を隠しながらそう返す。

 

だが、あざみに対して嘘を吐く度に、彼の胸にはズキズキと痛みが走っていた………

 

「………うん。分かった。あざみ、頑張る。頑張って、凄い忍者になる! そうすれば………きっと、お母さんも、お父さんも………あざみを、褒めてくれるよね?」

 

「!」

 

そんなあざみの言葉を聞き、更に胸に痛みの走る八丹斎。

 

「居ない間、良く頑張ったって………ギュッとしてくれるよね?」

 

「ああ………そうじゃ。その通りじゃ。その日を目指して、修行あるのみじゃぞ、あざみ!」

 

「うん! 頭領、よろしくお願いします!」

 

真っ直ぐな目で八丹斎を見ながら、あざみはそう言う。

 

「…………」

 

そんなあざみの目が、八丹斎を更に苦しめるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座大通り・銀六百貨店の屋上遊園地………

 

『成程………あざみにそんな過去が………』

 

「だから、あんな風に“忍者として振舞っている”と言う事か………」

 

誠十郎とゼロが納得した様にそう言い合う。

 

「儂は大嘘吐きな上に()()()じゃ………ウルトラマン………儂を倒してくれ。そしてあざみに伝えとくれ………“儂はお前の家族では無く、只の()じゃった”とな」

 

「…………」

 

そう言う八丹斎(ゲカホ)を見る誠十郎(ゼロ)の目が鋭くなる。

 

『! ゼロ! お前………』

 

ゼロが“本当に”八丹斎(ゲカホ)を倒す積りかと思った誠十郎が慌てるが、相手が星人なので止めて良いのか?と躊躇する。

 

しかし………

 

「………やなこった」

 

誠十郎(ゼロ)はそう言うと、八丹斎(ゲカホ)に背を向けた。

 

「!!」

 

『! ゼロ!!』

 

八丹斎(ゲカホ)と誠十郎が驚きを示す。

 

「お前が“あざみを利用している”なら倒す積りだった………だが、お前は間違い無く、『あざみのお祖父ちゃん』………()()だ。アイツから家族を奪う真似なんぞ、したか無えよ」

 

顔だけ振り返り、八丹斎(ゲカホ)を見ながらそう言い放つ誠十郎(ゼロ)。

 

「じゃが! あざみの両親を奪ったのは儂じゃ! 儂は罪を償わなければならん!!」

 

「もう十分に()()()()ぜ………」

 

「何?」

 

「あざみを見りゃ分かる。あんなに“真っ直ぐに育ってる”じゃねえか。其れはお前がアイツを大切にしていたからだろ? だったら………もう其れで十分じゃ無えか?」

 

「ウルトラマン………」

 

「俺達ウルトラマンが倒すのは、“()()()怪獣や宇宙人達”だ………“純粋な子供の()()”は倒したりなんかしねえよ」

 

そう言って誠十郎(ゼロ)は、ヒラヒラと手を振りながらその場から去って行った。

 

「…………」

 

残された八丹斎(ゲカホ)は暫しの間、ベンチに座り込んだまま呆然としていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座大通り………

 

『ゼロ………』

 

「何だ、誠十郎? てっきり俺が、あの爺さんを倒しちまうと思ってたのか?」

 

『いや、其れは………』

 

「ま、今までずっと宇宙人は“敵”として戦って来たからな。お前が躊躇したのも分かる」

 

『…………』

 

図星を衝かれて黙り込む誠十郎。

 

「でも、人間にだって良い奴と悪い奴が居る様に、宇宙人にだって色んな奴が居る。少なくとも、俺はあのバルタン星人が悪い奴だとは思って無え」

 

『………ああ、そうだな』

 

忍者を自称しながらも、根は真っ直ぐで純真なあざみの事を思い出し、誠十郎は同意した。

 

『………じゃ、後は任せたぜ』

 

「えっ? ゼロ?」

 

と、銀六百貨店を出て、銀座大通りに出た所で、ゼロが主導権を誠十郎に返す。

 

「隊長!」

 

すると其処には、誠十郎が出て来るのを待っていたかの様なあざみの姿が在った。

 

「! あざみ!? 帰ったんじゃ無かったのか?」

 

「その………頭領と隊長の事が気になって………」

 

如何やら、2人の事が気になって、帰るに帰れずに居た様だ。

 

「そうだったのか………」

 

「ごめんなさい………」

 

「はは、謝る必要は無いよ」

 

頭を下げるあざみに、誠十郎は笑って返す。

 

「………隊長、頭領は何か言ってた?」

 

「えっ? そ、其れは………」

 

しかし、続くあざみの質問にやや狼狽する。

 

「………やっぱり、お小言を言ってた? いっぱい掟を破ってるから」

 

その様子を見たあざみが、勘違いをする。

 

「ああ、いや! そんな事は言ってないよ! 上手くやってるか、心配してただけさ!」

 

其処で誠十郎は、慌ててそう取り繕った!

 

(ゼ、ゼロ! 如何すれば………!?)

 

『自分で考えろよ。“隊長”だろ?』

 

ゼロに助けを求めるが、(にべ)も無く断られる。

 

(そんな~!)

 

「其れは大丈夫。ちゃんとやってる」

 

誠十郎の心の中での悲鳴等露知らず、あざみはそう返して来た。

 

「あざみには、頭領に教えて貰った忍術が有るんだから」

 

「あ、ああ。あざみは、凄いと思うよ」

 

「ううん。あざみは、未だ未だ………頭領はね、もっともっと………ホントにずーっと、凄い。大ガマや大ヘビを呼んだり、一瞬で姿を消したり………何100人にも分身したり、攻撃されても空蝉(うつせみ)で平気だったり」

 

「そ、そうなんだ………」

 

『後半、思いっ切り“バルタン星人の宇宙忍法”だな』

 

あざみの言葉を聞いたゼロがそう呟く。

 

「あ、信じてないでしょ?」

 

其処であざみは、誠十郎が自分の言葉を疑っていると感じ、ジト目で見詰める。

 

「(いや、信じてはいるが何と言うか)………流石に、信じられ無いかな?」

 

誠十郎はやや悩んだ後、無難にそう返す。

 

「大ガマとか大ヘビとか、幾ら何でも無理に決まっているよ」

 

「その無理を本当にするから、頭領は凄い!………でも、隊長の言う事も分かる。きっと、信じられないのが普通」

 

力説するかに思われたあざみだったが、直ぐに落ち込んだ様子を見せる。

 

「あざみ………?」

 

「頭領の話をすると、皆今の隊長みたいな目をするんだ。忍者なんているワケ無いって。何バカな事を言ってるんだ?って」

 

「あざみ………」

 

「でも、忍者は絶対に居るんだ。何より、()()()()()()()()()から」

 

そう言うと、あざみは誠十郎に背を向けて歩き出す。

 

「! あざみ! 待ってくれ………!」

 

誠十郎が慌てて後を追おうとしたその時!!

 

「見付けたぞっ!!」

 

そう言う台詞と共に、ミスターIが多数の黒服エージェント達を引き連れて、忽ち誠十郎とあざみを取り囲んだ!!

 

「!!」

 

「! お前は!?」

 

咄嗟に、あざみを庇う様に立つ誠十郎。

 

「望月 あざみ………大人しく我々と一緒に来て貰おうか。(ついで)に貴様もな、神山 誠十郎」

 

懐から取り出した銃を2人に向けながら、ミスターIはそう言い放つ。

 

「貴様、正気か!? こんな街中で!?」

 

白昼堂々、しかも人通りの多い大通りでこんな行動に出たミスターIの暴挙を信じられず、誠十郎が叫ぶ。

 

こんな事をすれば、益々WLOFの立場が悪くなるばかりである。

 

『WLOFのエージェント』としては、信じられ無い行動だった。

 

「何だ何だ?」

 

「あの連中、WLOFの奴等か?」

 

「囲まれてるって、帝劇の人じゃないか?」

 

誠十郎の思った通り、通行人達が誠十郎達を取り囲んでいるミスターI達に不審の目を向ける。

 

「ミ、ミスターI! 民衆の目が………」

 

「この2人を連れて行け」

 

エージェントの1人が人々の視線が向けられている事を告げるが、ミスターIは気にする様子も無く、淡々とそう言い放つ。

 

「ミスターI! 我々の目的は『プレジデントGの復帰』です! こんな事をしていたら、益々………」

 

と、エージェントが更に言葉を続けた瞬間………

 

銃声が響き、そのエージェントの額に穴が開いて、血飛沫を撒き散らしながらバタリと倒れた。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

ギョッとする誠十郎達とエージェント達。

 

「………命令に従わない者は必要無い」

 

そのエージェントの死体を、無感情な眼差しで見下ろすミスターI。

 

握っている拳銃の銃口からは硝煙が立ち昇っている。

 

「!? キャアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

「人殺しーっ!!」

 

何の前触れも無く、エージェントの1人を撃ち殺したミスターIを見た人々が悲鳴を挙げて逃げ惑い始める。

 

「酷い………」

 

「貴様! 本当に気が狂ったのか!? 仲間の命を何だと思ってる!?」

 

あざみが目を背け、誠十郎はミスターIにそう怒りの声をぶつける。

 

だが………

 

「命? 何だ、ソレは? 命とは何だ?」

 

「!? なっ!?」

 

ミスターIは、まるで“()()()()()が理解出来ていない”かの様な言葉を返し、誠十郎は思わず絶句した。

 

『コイツ………まさか!?』

 

そして、ゼロはミスターIに“或る疑念”を抱いた。

 

「もう1度言う………望月 あざみ、神山 誠十郎………我々に従え。其れとも………?」

 

と其処でミスターIは、逃げ惑う帝都市民達に銃口を向ける。

 

如何やら従わない場合、今度は帝都市民達を撃つ積りの様だ。

 

「! 待て! 分かった! 言う通りにする!!」

 

「其れで良い………」

 

慌てて誠十郎が叫ぶと、ミスターIは不気味な笑みを浮かべて銃を下ろした。

 

「………あざみ、すまない」

 

「大丈夫………でも、コイツ………絶対におかしい」

 

帝都市民達を守る為とは言え、巻き込んでしまった事を謝罪する誠十郎と、ミスターIの異常さに何処か恐怖を感じているあざみ。

 

「コイツ等を連れて行け………」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

ミスターIの命令に、一瞬ビクリとしながらも従うエージェント達。

 

ハッキリ言って、彼等も逃げ出したいと思っているが、逆らえば“撃ち殺されたエージェントと同じ目に遭う”と思い、逆らう事が出来なかった。

 

誠十郎とあざみは、両手を後ろに回された上で手錠を掛けられ、エージェント達によって連行される。

 

「………フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………」

 

その様子を見ていたミスターIの口から、不気味な笑い声が漏れたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ゲカホがあざみの両親を殺してしまったと言った事………
それは彼がバルタンの一族から脱走し、このも星へと流れ着いた際の事故によるものだった。
自分を倒してくれと言うゲカホに、ゼロはあざみ家族は倒せないと言って去る

そして待っていたあざみと共に帰路についた誠十郎(+ゼロ)だったが………
そこへミスターIが強襲。
帝都市民を盾にしたやり方に逆らえず、捕らわれの身となる2人。
果たして、ミスターIに何が起こったのか!?(棒読み)

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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