新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター4『あざみとバルタン星人』

チャプター4『あざみとバルタン星人』

 

バルタンバトラー・ゲカホ

 

バルタン星人・アシサ 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・地下………

 

作戦司令室………

 

「神山隊長とあざみが攫われた!?」

 

戦闘服姿で作戦司令室に集まった花組の中で、さくらがそう驚きの声を挙げる。

 

「市民からの通報です。“WLOFのミスターIを中心としたエージェント達によって拉致された”と」

 

「WLOFのエージェントに!?」

 

カオルがそう説明すると、今度はクラリスが声を挙げる。

 

「如何言う事なの? そんな事をしたら益々支持を失うだけよ」

 

WLOFの行動の意味が分からず、僅かに困惑した様な様子を見せるアナスタシア。

 

「分からんわ。あてにいきなり銃を突き付けて来る様な奴やで。もう狂っとるんちゃうか?」

 

「…………」

 

こまちの身も蓋も無い言葉に、アナスタシアは何処か複雑な表情を見せる。

 

「兎に角! 直ぐに助けに行くぞ!!」

 

初穂が話をそう纏め、誠十郎とあざみを取り戻しに出撃しようとする。

 

と、その時………

 

司令室に警報が鳴り響いた!

 

「!? 魔襲警報!? 降魔だわ!」

 

「そんな! こんな時に………!」

 

最悪なタイミングでの降魔の出現に、さくらは思わずそう声を挙げる。

 

「皆、落ち着いて」

 

「“隊長が居ない時”だからこそ、各人の技量が試される。大丈夫、冷静に対処すれば何とかなる」

 

「「「「!」」」」

 

すみれとサコミズの言葉で、さくら達は動揺を収める。

 

(だが、神山くんと望月くんが連れ去られたタイミングでの降魔出現………果たしてコレは偶然なのか………?)

 

しかしサコミズは、内心で“降魔の出現タイミング”に疑念を抱いていた。

 

「今は降魔の迎撃を優先します。神山くんは後で必ず来るわ………帝国華撃団・花組! 出撃っ!!」

 

「「「「了解!」」」」

 

先ずは現れた降魔への対処を優先し、すみれの号令で出撃する花組だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

誠十郎(+ゼロ)とあざみは………

 

「こんな事になるとはな………」

 

護送車に乗せられ、後ろ手に手錠を掛けられた誠十郎がそう呟く。

 

「…………」

 

隣に座っているあざみも、同じ様に後ろ手に手錠で拘束されていた。

 

其処で、不意に護送車が停まる。

 

「! 停まった………?」

 

更に其処へ、“外で何かを話している様な声”が聞こえて来る。

 

「………あの仮面の男を捕まえろ。中の2人を餌に誘い出せ」

 

耳を澄ましていると、ミスターIのそう言う声が聞こえて来た。

 

「! 仮面の男………まさか、アイツ等の狙いは!?」

 

「頭領………?」

 

あざみが驚きに目を見開いていると、何人もの足音が離れて行く。

 

「! 駄目っ!!」

 

途端にあざみが立ち上がったかと思うと、その手から手錠がスルリと外れる。

 

「!? あざみっ!?」

 

誠十郎が驚きの声を挙げた瞬間、あざみは天窓を突き破って車外へと飛び出して行った!!

 

「あざみ! 待つんだっ!!」

 

「!? 捕虜が逃げたぞ! 捕まえろ!!」

 

「撃て! 構わん! 発砲しろっ!!」

 

と、見張りに残っていたと思われるエージェント達の声が聞こえたかと思うと、続いて銃声が響いて来る。

 

「! あざみ!!」

 

『誠十郎! 代わるぞっ!!』

 

すると其処で、ゼロが意識を交代。

 

「ハアッ!!」

 

手錠を力任せに引き千切る!

 

「オウリャアッ!!」

 

そして、頑丈そうな扉に向かってケンカキックを繰り出すと、分厚い扉が木の葉の様にブッ飛んだ!!

 

「「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」

 

丁度扉の前に居た、残っていたエージェント2人が巻き込まれて一緒にブッ飛ばされた後、外れた扉の下敷きになった。

 

「あざみ!」

 

誠十郎(ゼロ)はそれを気にする事無く、あざみの元へと急いだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・ミカサ記念公園………

 

「漸く見付けたぞ………」

 

八丹斎を包囲し、拳銃を向けているエージェント達の中に居たミスターIがそう言う。

 

「何じゃお主達は?」

 

そんなエージェント達を見据えながら、飄々とした様子を見せる八丹斎。

 

「望月 八丹斎………いや、“バルタン星人”のゲカホ。貴様を殺す」

 

すると、ミスターIが何と八丹斎の正体を看破して見せた。

 

「!? 星人!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

途端に、エージェント達の顔にも驚愕が浮かぶ。

 

「………貴様、さては………」

 

ミスターIに向ける八丹斎の視線が鋭くなる。

 

「動くな、星人め! 妙な真似をしたら………」

 

と、八丹斎の正体が星人であると知ったエージェントの1人が、恐怖からか拳銃の安全装置を解除する。

 

その途端………

 

「勝手なマネをするな………」

 

「ゲバアッ!?」

 

そのエージェントに、ミスターIが裏拳を喰らわせる。

 

余りの威力に、エージェントの首の骨が圧し折れる。

 

ブッ飛ばれたエージェントは、地面に倒れてピクピクと痙攣していたかと思うと、やがて動かなくなる。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

またもや仲間の命をアッサリと奪ったミスターIに、エージェント達は更なる恐怖に包まれる。

 

「………()()()()()“命を命とも思わん”奴め」

 

「命? フォッフォッフォッフォッ! ゲカホ………この星で暮らす内に、随分と“要らぬ感情”を覚えた様だな」

 

そんなミスターIを睨み付ける八丹斎だが、ミスターIは嘲笑で返す。

 

と、其処へ………

 

「頭領!!」

 

突然、八丹斎の傍にあざみが現れる。

 

「!? あざみ! 何故来たっ!?」

 

あざみの登場に、八丹斎は驚きを露わにする。

 

「!? 貴様はっ!?」

 

「如何やって逃げ出した!?」

 

捕らえていた筈のあざみが現れた事に、エージェント達も驚愕する。

 

「ほほう? コレは丁度良い。貴様も1人で死ぬのは寂しかろう。ソイツも一緒に送ってやろう」

 

「! 止めろっ! この娘は関係無いっ!!」

 

「“裏切り者の味方は皆殺し”だ」

 

必死に叫ぶ八丹斎に、ミスターIは冷たくそう返す。

 

「裏切り者………?」

 

一方あざみは、ミスターIが八丹斎の事を“裏切り者”と言った事に首を傾げる。

 

「ミスターI! さっきから何を言っているのです!?」

 

と、周りに居たエージェント達も、ミスターIの言葉の意味が分からず困惑を示す。

 

すると………

 

「“茶番”は此処までとしよう………フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ」

 

ミスターIが両腕を上げ、不気味な笑い声を響かせ始めたかと思うと………

 

その姿が『バルタン星人』となった。

 

「ミ、ミスターI!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「!? 星人!?」

 

その様子に驚愕するエージェント達とあざみ。

 

「やはりお前か………『アシサ』」

 

しかし八丹斎だけは、そのバルタン星人………『アシサ』の姿を見てそう呟く。

 

「フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………裏切り者は逃しはしない。決してな」

 

バルタン星人・アシサは、不気味な笑い声を響かせながら言い放つ。

 

「う、動くなっ! 星人っ!!」

 

「ミスターIを何処へ遣ったっ!?」

 

と其処で、エージェント達が一斉にバルタン星人・アシサへと銃を向ける。

 

「フォッフォッフォフッフォッフォフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………」

 

しかし、エージェント達が発砲するよりも早く、バルタン星人・アシサが両手の鋏から赤色凍結光線を薙ぎ払う様に発射!

 

「「「「「「「「「「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」」

 

エージェント達が悲鳴を挙げると、その身体が忽ち固まり出す。

 

やがて完全に固まると次々にグラリと倒れ、陶器の様に砕け散って行く。

 

「!?」

 

「見るんじゃない、あざみ!」

 

凄惨な光景に、八丹斎は咄嗟にあざみの目を覆った。

 

「お前達にもう用は無い………」

 

砕け散ったエージェント達の破片が蒸発する様に音を立てて消滅しているのを見ながら、冷たくそう言い放つバルタン星人・アシサ。

 

「アシサ………貴様」

 

「その怒りの感情は何だ、ゲカホ? 嘗てはバルタン戦士として名を馳せ、数多(あまた)の敵を(ほふ)ったお前が………」

 

八丹斎の怒りの形相に、バルタン星人・アシサは“理解出来ない”と返す。

 

「儂はもう“疲れた”んじゃ………出来る事なら、この星で平穏に暮らしたかった………じゃが、犯した罪からはやはり逃れられん様じゃのう」

 

「! 頭領!?」

 

八丹斎がそう言うと、目を覆っていた手を外しながらあざみが何かを言おうとしたが………

 

「下らん感情だ。お前も老いには勝てぬか………死ね」

 

其れよりも早く、バルタン星人・アシサが両手を八丹斎とあざみに向け、白色破壊光弾を次々に放った!!

 

「!?」

 

「あざみっ!!」

 

驚くあざみの前に八丹斎が躍り出たかと思うと、その姿が『異形』………バルタンバトラー・ゲカホへと変わった!!

 

その姿はバルタン星人・アシサとは異なり、全身が甲冑の様な機械的・未来的な姿になっており、“左手が()()()()()になっている”。

 

バルタンバトラー・ゲカホは、右腕の鋏から刃を出現させると、高速で連続斬撃を繰り出し、白色破壊光弾を全て斬り落とした!!

 

「やっと“その気”になったか、ゲカホ。その姿を見るのも久しぶりだ。バルタン一族の中でも稀にしかいない『戦士タイプ』のな」

 

バルタン星人・アシサは、バルタンバトラー・ゲカホの姿を見ながらそう言い放つ。

 

「頭領………」

 

「………あざみ、スマンのう。儂は“お前の祖父”等では無い………バルタンバトラー・ゲカホ、其れが『儂の正体』じゃ。()()()()()()()()()()()()()()()な」

 

あざみに背を向けたまま、バルタンバトラー・ゲカホは遂に自らの罪を告白した。

 

「憎んでくれて構わん。寧ろ其れが()()じゃ。儂は“お前を騙し続けておった”んじゃ」

 

俯き加減で、そう言葉を続けるバルタンバトラー・ゲカホ。

 

全てが終わった………

 

そんな諦観の境地に達した様に。

 

だが………

 

そんなバルタンバトラー・ゲカホの背に、軽い衝撃が走った。

 

「!? あざみっ!?」

 

あざみが抱き着いて来たのだ。

 

「………知ってた」

 

「!? 何っ!?」

 

「頭領が()()()()()()()()()()()()()事………実は宇宙人だって事………“全部()()()()”」

 

驚愕するバルタンバトラー・ゲカホに、あざみは彼の背に抱き着いたままそう言った。

 

「ならば、何故………!?」

 

「でも、其れを言ったら………“頭領が居なくなっちゃう”と思ったから」

 

「!?」

 

「頭領が居なくなったら………あざみは()()()1人になっちゃう………そんなの嫌だ………だから言え無かった」

 

バルタンバトラー・ゲカホを抱き締めているあざみの腕に力が籠る。

 

「あざみ! じゃが、儂はお前の両親の仇………」

 

「違う! 頭領は頭領! “あざみの大切な………()()()()()()だよ”!!」

 

「! 儂を! 儂を()()………お祖父ちゃんと呼んでくれるのか!?」

 

「当然だよ! 宇宙人でも関係無い! “あざみにとって、頭領は()()()()()”だよ!!」

 

「! あざみっ!!」

 

バルタンバトラー・ゲカホは振り返り、あざみを抱き締め返す。

 

その目からは熱い涙が溢れている。

 

「理解不能な感情………やはり貴様は“老い()れ”だ」

 

そんな感動的な光景を意にも介さず、バルタン星人・アシサは両手を2人に向け、再び白色破壊光弾を放とうとする。

 

「「!?」」

 

バルタンバトラー・ゲカホとあざみは離れると、お互いに武器を構えて立ち向かおうとする。

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

回転しながら飛んで来た刀が、バルタン星人・アシサの腕を弾いた!!

 

「!?」

 

バルタン星人・アシサは驚きながらも、宙に舞う刀を目で追う。

 

「………無粋な真似してんじゃ無えよ」

 

やがて、その刀は現れた主………誠十郎(ゼロ)の元へと戻り、彼は其れを右手でキャッチすると逆手に握る。

 

「君は!?」

 

「! 隊長っ!!」

 

「何者だ!?」

 

バルタンバトラー・ゲカホ、あざみ、バルタン星人・アシサの声が誠十郎に飛ぶ。

 

「俺は誠十郎! 帝国華撃団・花組の隊長! 神山 誠十郎だっ!!」

 

誠十郎(ゼロ)は、もう1本の刀を左手に逆手に握り、高らかにそう名乗るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

拉致された誠十郎とあざみを取り返しに行こうとした花組だったが、降魔の出現によって阻まれる。

一方、捕らわれの身となった誠十郎とあざみは無事脱出。
遂にミスターI(偽)の正体が明らかに………
まあ、バレバレでしたけど、バルタン星人です。
姿は初代をイメージして下さい。

そのバルタン星人・アシサの狙いはやはりバルタンバトラー・ゲカホ。
裏切り者の始末に来たアシサの前で、ゲカホはあざみに己の正体と罪を告白。
しかし、何と!
あざみは全てを知っていた!
例え宇宙人であっても………ゲカホはあざみの祖父であり、唯一の家族だったのだ。

感動的な場面に水を差すアシサに、誠十郎(ゼロ)が立ち向かいます。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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