チャプター1『太正世界の光』
第4.5話『菫 -バイオレット-』
チャプター1『太正世界の光』
スペースビースト ベドレオン・クライン
バグバズンブルード 登場
???………
帝都の街が燃えている………
その燃え盛る帝都を見下ろす様に立っている降魔王………
その降魔王に向かって行く、色取り取りの霊子甲冑達………
「ああ………“
その中の霊子甲冑の1機で、名前と同じ菫色をした光武の中で、すみれがそう呟く。
その姿は、“若かりし頃のもの”となっている。
そう………
コレは、すみれが
勇ましく降魔王へと向かって行く霊子甲冑の軍団………嘗ての帝都・
しかしその中で、突如すみれ機が失速。
やがては完全に停止し、戦列から落伍した。
コクピット内の霊力を表すメーターが0を示す。
「くっ!!」
其れを見たすみれが、忌わし気に舌打ちする。
そんな彼女の目の前で、帝都・巴里・紐育華撃団の面々は降魔王へと向かって行く。
「“
すみれはハッチを開け、帝都・巴里・紐育華撃団の後ろ姿に向かって必死に手を伸ばす。
「お願い………待って! 待って!!
そう叫んだところで目が覚める………
其れが“
だが、この日………
彼女が見ていた悪夢は、大きく変わる事となる。
すみれの叫びが木霊した瞬間………
目の前が光に包まれ、景色が一変したのだ。
先程まで居た燃え盛る帝都から………
“謎の遺跡が聳え立つ森の中”へと。
「!? コレはっ!?………!?」
今まで見た事の無い夢の続きにすみれが驚くと、自分の姿が
「! 呼んでいる?………
すると其処で、すみれは遺跡から“
「…………」
一瞬逡巡したすみれだったが、直ぐに意を決した様に遺跡の方へと向かって行った。
謎の遺跡内部………
導かれるままに、遺跡の奥深くへとドンドン足を踏み入れて行くすみれ。
「………!」
やがて、彼女の眼に………
奇妙な“石碑の様な物”が飛び込んで来た。
「コレは………?」
すみれは、
その瞬間、再び目の前に光が溢れた!!
「うっ!?」
思わず、腕で目を覆うすみれ。
やがて光が収まったかと思うと、彼女は今度は謎の空間の中に居り………
目の前に“銀色の巨人”が佇んでいた。
「!? ウルトラマンッ!?」
すみれは、その巨人が“ゼロと同じウルトラマン”である事に気付き、またも驚く。
「………貴方が
「…………」
すみれの問いに、銀色のウルトラマンは頷く。
「…………」
「
其処で銀色のウルトラマンは、すみれに“力を与える”と言って来た。
「何故
仲間に置いて行かれ、戦えるだけの霊力さえも失った自分に、今更「力を与える」と言う銀色のウルトラマンの事をやや不審がる。
「…………」
「“
銀色のウルトラマンに更に問い質そうとしたすみれだったが、其処で目の前が再び光に包まれる。
「うっ! ま、眩しい………」
帝劇・すみれの私室………
「!? ハッ!?」
すみれは、支配人になってから新築した帝劇の私室のベッドで目を覚ました。
「………やっぱり夢でしたのね」
すみれは、ゆっくりと身を起こしながら窓の外を見遣る。
時刻は早朝………
漸く日が昇り始めようとしている時だった。
「全く………何時もの悪夢だけで無く、“妙な夢”まで見てしまいましたわ」
すみれは、頭を抑えて先程の悪夢と銀色のウルトラマンの事を思い出す。
「けど………妙に気になりますわね。あのウルトラマン………」
だが彼女の脳裏には、銀色のウルトラマンの事が深く刻み込まれていたのだった………
◇
其れから少し時が流れ………
すっかり日が天に上った銀座にて………
今日も今日とて、人々が行き交っている。
「………ん?」
と、1人の通行人がふと足を止めて、路地裏へと続く道を見遣る。
何やら、路地裏の方から音がして来ているのだ。
まるで“何かを貪り食っている”かの様な音が………
「何だぁ?」
その音が気になり、路地裏へと入って行く通行人。
やがて人気の無い裏路地へと出ると、2つの“人型のモノ”が“地面に落ちているモノ”に群がっている。
「オ、オイ? アンタ等、何やってんだ?」
その人型のモノへと声を掛ける通行人。
すると、人型のモノが振り返り………
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
不気味な咆哮と共に、異形の姿を晒した!!
「!? ヒイッ!? ば、化け物っ!?………!?」
驚く通行人だが、“
先程までその化け物達が群がっていた“モノ”………
其れは降魔・業火の
その死骸の処々に食い千切られた跡が有り、化け物の口には肉片らしき物がぶら下がっている。
「こ、降魔を食ってやがるっ!? う、うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
大慌てで逃げ出す通行人。
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
人型の化け物は、涎を撒き散らしながら咆哮を挙げるのだった。
一方、その頃………
帝劇地下・地下司令室にて………
「2回戦が延期?」
集まった一同の中で、誠十郎がそう聞き返した。
「ハイ。
カオルがそう説明する。
「“本国からの呼び出し”とあっては仕方無いわね」
「けど、何か“向こうの都合”で振り回されてる気がして腹立つな」
アナスタシアと初穂がそう言い合う。
「でも、其れ程の『緊急任務』って何でしょう?」
「確かに、気になりますね………」
「司令は何かご存知ですか?」
クラリスとさくらがそう言うと、誠十郎がすみれに尋ねる。
「…………」
しかし、すみれは物思いに耽っている様子で、誠十郎の問い掛けに気付いていない。
「? 神崎司令?」
「! あ、ああ、御免なさい。何かしら?」
誠十郎が再度声を掛けると、漸く気付いたすみれがやや慌てて返事をする。
「大丈夫ですか? 会議中に考え事だなんて、司令らしくないですよ?」
「無理しないで。司令に倒れられたら大変」
「今日は私が代行を務めますから、ゆっくり休んでは如何ですか?」
らしくないすみれの姿に、誠十郎・あざみ・サコミズが心配する。
「大丈夫ですわ。心配させてごめんなさい」
しかし、すみれはそう返して誤魔化す様に笑った。
「司令………」
『何か話し難い事なのか?』
そんなすみれの姿に、誠十郎は更に心配を募らせ、ゼロもそう声を挙げる。
と、その時!!
司令室内に警報が鳴り響いた!
「「「「「!!」」」」」
「警報!? 降魔かっ!?」
「銀座大通りで、降魔らしきモノを目撃したとの通報や!」
花組メンバーが反応し、誠十郎が声を挙げると、こまちからそう報告が挙がった。
「会議は一旦中止! 皆さん、直ぐに出撃して下さい!!
其処ですみれは先程までの事を振り切り、直ぐにそう指示を飛ばした!
「分かりました! 帝国華撃団・花組、出撃せよ!」
「「「「「了解っ!!」」」」」
誠十郎の号令が飛び、花組メンバーは直ぐ様出撃準備に入るのだった。
◇
銀座大通り………
「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
「助けてくれえぇっ!!」
人々が悲鳴を挙げて逃げ惑っている。
「其処までです!」
と其処へ、上空に現れた翔鯨丸からそう言う声が響いたかと思うと、6機の色取り取りの無限が降下して来る!
「「「「「「帝国華撃団! 参上!!………!?」」」」」」
着地すると、何時もの様にポーズを決めながら高らかに名乗りを挙げた帝国華撃団だったが、そのまま驚愕して固まった。
何故なら、その目の前には………
キシャアアアアアアッ!?
キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
“悲鳴の様な咆哮を挙げて逃げ惑う
「な、何だあの化け物は!?」
「降魔を追い回してる?」
初穂とあざみがそう言った瞬間………
キシャアアアアアアッ!?
キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
1匹の降魔が、ナメクジかアメーバを思わせる異形と人型の異形に捕まった。
次の瞬間!!
キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
何と異形達は降魔の身体に噛み付き、その肉を貪り食らい始めたではないか!!
「!? なあっ!?」
「な、何て奴等なの!? 降魔を食べてるわっ!!」
コレにはさくらは
キシャアアアアアアッ!?
生きながら身体を貪り食われていた降魔が断末魔を挙げ、助けを求める様に伸びていた手がパタリと地面に落ちる。
その腕も、異形達によって貪られ食われる。
「うっ!?」
余りに凄惨且つグロテスクな光景に、クラリスが吐き気を催して手で口元を覆う。
『マズイ! 誠十郎、変身だっ!!』
すると其処で、ゼロが誠十郎に変身を促して来た。
「えっ!? 如何したんだ、ゼロ。そんな、いきなり」
何時もならギリギリになってから変身を促すゼロが、
『ゴチャゴチャ言うな! 急げっ!!』
「!? わ、分かったっ!!」
しかし、ゼロの有無を言わせぬ迫力に押され、直ぐ様ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出した!
「デュワッ!!」
其れを装着し、誠十郎はゼロへと変身!
テレポートで一旦離れた後、人間サイズのまま、花組の前へと降り立った!!
「!? ゼロさんっ!?」
「オイオイ、今日は随分早い登場じゃねえか?」
「しかもその大きさで………」
未だ戦闘も開始していないのに、いきなりゼロが“人間サイズ”で現れた事にさくら・初穂・アナスタシアが驚きの声を挙げる。
「花組! 気を付けろ! “奴等”は危険だっ!!」
そんな声を無視して、ゼロは降魔達に襲い掛かっている異形達を指し示しながらそう警告した。
「!? ゼロさん! あの化け物の事を知ってるんですか!?」
漸く吐き気が収まったクラリスが、ゼロにそう尋ねる。
「ああ、良~く知ってるぜ。“この宇宙で
「そんなに!?」
ゼロの言葉に、あざみが驚きの声を挙げる。
「アイツ等は『スペースビースト』………“自分達以外の生き物は
キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!
キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
ゼロのその言葉を肯定するかの様に異形………『スペースビースト』達………
『ベドレオン・クライン』と『バグバズンブルード』は、涎を撒き散らしながら咆哮を挙げるのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
今回の幕間話はすみれさん回です。
やっぱり1人残されたすみれさんの苦悩は凄かっただろうと思います。
司令になった立場の手前、誠十郎や新生花組の面々には弱気な姿は見せられないだろうし、原作に於いては米田さん達も登場してませんから。
そんなすみれさんの苦悩を少しでも和らげる為に今回の話を思いつきました。
鍵を握るのはあの銀色のウルトラマンです。
彼の名前がヒントになるかと。
そして何と!
ウルトラシリーズの中でも厄介さは1、2を争うあの敵………
スペースビーストが帝都に出現!!
いきなり降魔を食らうと言う衝撃的な登場をしてくれてます。
そして次回、いよいよ………
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。