新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『デュナミスト』

チャプター2『デュナミスト』

 

スペースビースト ベドレオン・クライン

 

バグバズンブルード

 

宇宙怪獣 ベムラー 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神崎家………

 

銀座に宇宙の悪魔『スペースビースト』が出現していた頃………

 

「…………」

 

神崎邸の1階バルコニーに、浮かない様子で佇んでいる人物が居た。

 

すみれの父であり、神崎重工・社長『神崎 重樹』である。

 

「すみれ………」

 

空を見上げながら、娘・すみれの名を呟く重樹。

 

「アナタ、此処に居たのね」

 

と其処へ、すみれと良く似た女性………彼女の母・『神崎 雛子』が現れる。

 

「ああ、雛子………」

 

「またすみれさんの事を考えていたの?」

 

「…………」

 

雛子の問いに、重樹は沈黙で返す。

 

「そんなに思い詰めないで。あの子だってもう子供じゃ無いのよ。“アナタの()()の事”だって分かってくれているわ」

 

そう言いながら、雰囲気の暗い重樹の傍に寄り添う雛子。

 

 

 

 

 

降魔大戦の後に賢人機関が解散させられ、WLOFが組織されると、神崎財閥はWLOFと取引を行う様になった。

 

嘗ての最大のスポンサーであった神崎財閥が離れた事は、帝劇の没落に拍車を掛ける事となる。

 

しかし、コレまで事実上神崎財閥を取り仕切っていた重樹の父であり、すみれの祖父『神崎 忠義』は今だ存命ではあるものの、高齢の為にその手腕を発揮出来無くなり、神崎財閥は現在重樹が舵取りを行っている。

 

降魔大戦の爪痕は酷く、神崎財閥の傘下企業も甚大な被害を受けていた。

 

その補填をする為には、WLOFの霊子戦闘機開発に参加し、資金援助を受けるしか無かった。

 

そうしなければ何100、何1000と言う社員達とその家族が路頭に迷う事になってしまう………

 

其れを考えると、重樹は帝劇への援助を打ち切って、WLOFと取引するしか無かった。

 

結局、あの『悪夢の開幕式』でWLOFの信頼が失墜した事に因って、神崎財閥はWLOFと手を切る事が出来、帝劇への援助も再開する事が出来た。

 

其れでも………

 

重樹はすみれが自分の事を恨んでいると思い、未だに顔を合わせられずにいるのである。

 

 

 

 

 

「親にとって、子供は何時までも子供さ………」

 

そう言って重樹は空を見上げる。

 

すると………

 

その空に、青い光る球が出現した。

 

「? アレは………?」

 

「あら? 何かしら?」

 

重樹と雛子がそう呟いた瞬間、青い球は神崎家の敷地内に降りて来て………

 

ギイヤアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

青い球が弾け、中から刺だらけの怪獣………『宇宙怪獣 ベムラー』が現れた!

 

「!? なっ!?」

 

「怪獣っ!?」

 

2人が驚愕の声を挙げた瞬間!

 

ギイヤアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

ベムラーは、口から青い熱線を発射!

 

熱線が地面に当たると、大きく爆ぜた!

 

爆ぜた地面の破片が、雛子へと向かう!

 

「!?」

 

「雛子っ!!」

 

咄嗟の事で、動けずに居た雛子を重樹が庇う。

 

「!? ぐっ!?」

 

重樹は、雛子の代わりに大きな破片を頭に受けてしまい、バタリと倒れる。

 

「! アナタァッ!!」

 

ギイヤアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

雛子の悲鳴を掻き消す様に、ベムラーは咆哮を挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、銀座大通りでは………

 

「スペースビースト………」

 

「ああ、しかも厄介な事に、奴等は知的生命体………つまり、“人間”を()()()()()()()

 

「!? マジかよっ!?」

 

ゼロの言葉に、初穂が若干青褪めながら驚きの声を挙げる。

 

「正確に言うと、“知的生命体が捕食される瞬間に発する恐怖の感情”を(かて)にしているらしいんだが………」

 

「どっちにしろ、降魔まで餌にする様な奴等よ。野放しには出来ないわ」

 

「放って置いたら、どれだけ被害が出るか分からない………」

 

アナスタシアとあざみがそう言い、とうとう降魔達を喰らい尽くしたベドレオン・クラインとバグバズンブルード達を見遣る。

 

と、その時!!

 

キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!

 

キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ベドレオン・クラインとバグバズンブルード達が一斉に散開する。

 

「「「「「!?」」」」」

 

「マズイッ! 人間を捕食しに向かったぞ!! 食い止めるんだ!!」

 

「ハイ、ゼロさん!」

 

「こんな危険な生き物を野放しには出来ません!」

 

ゼロの指示にクラリスとさくらがそう返すと、ゼロと花組は分散してスペースビースト達の撃破に向かった(誠十郎機は自動操縦になっているので、見せ掛けて離脱した)。

 

 

 

 

 

一方、翔鯨丸の方でも………

 

「カオルさん! 住民の避難状況はっ!?」

 

「未だ完全ではありません。多くの人達が、戦闘地域から逃げ遅れています」

 

「クッ! 仕方有りませんわね………翔鯨丸を着陸させて! (わたくし)達も避難誘導に向かいますわ!」

 

「! すみれ様! 其れは危険です!」

 

自ら避難誘導に向かうと言い出したすみれを止めようとするカオル。

 

「危険は承知の上ですわ! 早くしなさい!」

 

「! ハ、ハイッ!!」

 

しかし、すみれの気迫に押され、翔鯨丸を着陸させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座大通り………

 

「エメリウムスラッシュッ!!」

 

キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!?

 

キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!?

 

ベドレオン・クラインとバグバズンブルード達を纏めて薙ぎ払うゼロ。

 

「今の内だ! 早く逃げろっ!!」

 

「た、助かったぁっ!」

 

「ありがとう、ウルトラマン!」

 

捕食される寸前だった市民達が、這う這うの体で逃げ去って行く。

 

「良し、次だ!!」

 

『ゼロ! 幾ら何でも急ぎ過ぎじゃないのか? もう少しペースを考えた方が………』

 

何時もと比べて矢鱈とハイペースに見えるゼロに、誠十郎は心配の声を掛けるが………

 

「心配すんな! これ(ぐらい)如何って事は無え! 其れに、“()()()倒さねえとならねえワケ”も有る」

 

『ワケ?』

 

「さくら達には言いそびれちまったが、スペースビーストは体内の器官から『ビースト振動波』と呼ばれる特殊な波動を発していて、其れによって各個体が情報を共有し、“環境や外敵に対抗した()()”をする事が出来る」

 

『!? と言う事は!?』

 

「まごまご()ってたら、コッチの事を学習して更に手が付けられなくなっちまう。だから“速攻で叩く”しか無えんだ」

 

『聞けば聞く程、恐ろしい生物だ………』

 

スペースビーストの特性に、誠十郎は戦慄を隠せなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

「誰かーっ! 逃げ遅れた方は居りませんかぁーっ!!」

 

市民の避難誘導を手伝っていたすみれが、逃げ遅れた人が居ないか確認しながら街中を走る。

 

「う、うう………」

 

「!?」

 

すると其処で、路地の真ん中で俯せに倒れている女性を見付ける。

 

「大丈夫ですか!? しっかりして下さいっ!!」

 

直ぐ様駆け寄り、助け起こすすみれ。

 

「! に、逃げて下さい! コレは罠です!」

 

「!?」

 

しかし、女性がそう言ったのを聞いて驚いた瞬間!

 

直ぐ傍の建物の2階が爆発!

 

大量の瓦礫が、すみれと女性目掛けて降って来る!

 

「!!」

 

すみれが咄嗟に女性を庇うと、その背に巨大な瓦礫が命中した!

 

「!? ああっ!?」

 

悲鳴を挙げるすみれに、瓦礫がそのまま圧し掛かる。

 

キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!

 

キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

動けなくなったすみれと女性の前に、ベドレオン・クラインとバグバズンブルードが現れる。

 

「くうっ! 小癪な真似を………大丈夫ですか!?」

 

自身の怪我等は二の次に、女性を気遣うすみれ。

 

「…………」

 

しかし、女性は気を失っていた。

 

キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!

 

キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

ベドレオン・クラインとバグバズンブルードは、2人を捕食しようと汚らしく涎を撒き散らしながら近付いて来る。

 

と其処で、すみれの持っていた通信機が鳴った。

 

「! カオルさん! 直ぐに救援………」

 

『すみれ様! 大変ですっ!!』

 

相手がカオルであるのを確認したすみれが救援を要請しようとした処、其れを遮ってカオルの叫びが木霊する。

 

「! 何ですの!?」

 

『神崎家に怪獣が現れました! 家には重樹様と雛子様が居られるそうです!』

 

「!? 何ですってっ!?」

 

『未確認情報ですが………重樹様が負傷されたと!』

 

「お父様がっ!?」

 

キュイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーーッ!!

 

キシャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!

 

驚愕するすみれの許に、ベドレオン・クラインとバグバズンブルードが更に近付いて来る。

 

最早すみれの命は風前の灯………

 

しかも、遠く離れた実家の両親の命まで(おびや)かされている………

 

“絶望的な状況”とは、正にこの事である。

 

(ココまでですの!? 大尉を………さくらさん達を迎える事も無く………こんな無様に………)

 

すみれの目に、涙が浮かぶ。

 

(やはり………もう力の無い(わたくし)に出来る事等………()()()()のですの………?)

 

ゆっくりと目を閉じ、最期の時を迎えようとするすみれ………

 

(………いいえ! そんな事は許しませんわ!!)

 

しかし再び目を見開く。

 

(わたくし)を誰だとお思いですの!? 帝国歌劇団の元トップスタァ、神崎 すみれですわ! この程度で諦める柔な精神なぞ、最初から持っておりませんわ!)

 

すみれは必死に瓦礫を押し退けようとする。

 

()()()()を迎えるまで………再び逢えるその日まで! (わたくし)は決して!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めるなぁっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

そう言う声が聞こえた気がして、その目の前に光が溢れ出した。

 

そして、その光の中から『短刀状の物体』が現れた。

 

「!!」

 

その瞬間、すみれは(ほぼ)無意識に右手で其れの柄を摑み、続いて鞘の部分を左手で摑んだかと思うと、勢い良く引き抜いた!!

 

「神崎司令っ!!」

 

と其処で、さくら機が救援に駆け付けたが………

 

その彼女の目の前で、“光の柱”が立ち昇る。

 

「キャッ!? 何っ!?」

 

さくらが思わず声を挙げた瞬間………

 

巨大な拳が、ベドレオン・クラインとバグバズンブルードを叩き潰した!!

 

「!?」

 

驚愕の表情を浮かべたさくらがその巨大な拳を見上げると、其処には………

 

「…………」

 

膝立ちの状態の“銀色のウルトラマン”の姿が在った。

 

「!? ウルトラマンっ!?」

 

「…………」

 

驚愕の声を挙げたさくらに向かって、銀色のウルトラマン………『ウルトラマンネクサス・アンファンス』は、右手を伸ばす。

 

その手の中には、あの女性の姿が在った。

 

「! 市民の方が………」

 

さくらは、直ぐ様ネクサスの手から女性を受け取る。

 

さくらが女性を受け取った処で、ネクサスは立ち上がると………

 

「シュウワッ!!」

 

一瞬にして大空高く飛翔!!

 

「キャアッ!?」

 

余波でさくらが声を挙げる中、ネクサスは雲を切り裂き、突き抜けながら飛び去って行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神崎家………

 

「アナタ! アナタ! しっかりしてっ!!」

 

意識の無い重樹に必死に呼び掛ける雛子だが、重樹は一向に目を覚まさない。

 

ギイヤアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!

 

そんな2人に向かって、ベムラーは再度熱線を吐き掛けようとする。

 

「!!」

 

咄嗟に、雛子は重樹に覆い被さる様に身を伏せた。

 

その時!!

 

「ヘヤァッ!!」

 

突如現れたネクサスが、ベムラーの頭を抑え込む様に飛び掛かり、熱線発射を阻止した。

 

「!? アレは………ウルトラマン?」

 

ネクサスを見て、今帝都で話題のウルトラマンである事に気付く雛子。

 

「シュウワッ!」

 

ネクサスは、ベムラーを神崎邸から引き離す。

 

「大丈夫ですかっ!?」

 

と其処で、レスキュー隊員達が駆け付けた。

 

「! 主人が! 頭に地面の破片を受けてっ!!」

 

雛子がそう叫ぶと、レスキュー隊員達は直ぐに重樹のメディカルチェックを行う。

 

「………大丈夫! 気絶しているだけです!」

 

重樹が気絶しているだけなのを確認すると、直ぐに気付けを行うレスキュー隊員達。

 

「………雛子?」

 

重樹はゆっくりと目を覚ます。

 

「貴方! 良かった………」

 

「すみれ………」

 

「えっ?」

 

「ずっとすみれの声が聞こえていた気がする………」

 

「…………」

 

重樹がそう言うと、雛子はベムラーと戦っているネクサスに視線を向ける。

 

(まさか………?)

 

「早く! 此処を離れましょうっ!!」

 

“或る可能性”に思い至るが、其処でレスキュー隊員がそう言いながら、重樹に肩を貸して立ち上がらせる。

 

「! ハイ!」

 

其処で雛子は視線を戻し、重樹を支えているレスキュー隊員達と共に避難を開始する。

 

「…………」

 

すると、レスキュー隊員の1人が足を止めてネクサスへと視線を向けた。

 

「シュウアッ!!」

 

ネクサスはベムラーを肩車で投げ飛ばす。

 

「………!」

 

と其処で、ネクサスがレスキュー隊員に気付き、視線を向けた。

 

「「…………」」

 

レスキュー隊員とネクサスの視線が交差する。

 

「………シュワッ!」

 

やがてネクサスはレスキュー隊員に向かって頷き、再びベムラーに向かって行った。

 

「『孤門』! 何やってる!?」

 

「! ハイッ!!」

 

レスキュー隊員『孤門』も仲間に呼び掛けられて、慌てて避難するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

スペースビーストの脅威が帝都を襲う中、自ら市民の避難誘導に出たすみれさんは、罠に陥り、絶体絶命の危機に。
更に、実家である神崎家では両親にも危機が!
絶対絶命のその時………
遂に彼女は光を掴みます!

降臨、ウルトラマンネクサス。
そしてネクサスと会合するとあるレスキュー隊員………

次回、突然手に入れたウルトラマンの力に、すみれさんは戸惑いを隠せません。
そんな彼女に対し、ゼロは………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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