新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター3『故郷のメロディ』

チャプター3『故郷のメロディ』

 

誘拐怪人 ケムール人 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラーラが保護された翌日………

 

帝劇2階・サロンにて………

 

其処には、誠十郎の背に隠れる様にしているクラーラに向かい合う形で、花組の面々が集まっていた。

 

「じゃあ、クラーラ。改めて自己紹介させて貰うよ。俺は帝国華撃団・花組の隊長、神山 誠十郎。そして、彼女達が花組の隊員達だ」

 

「私は天宮 さくら」

 

「東雲 初穂だ」

 

「望月 あざみ」

 

「クラリッサ・スノーフレークです。クラリスって呼んで下さい」

 

「アナスタシア・パルマよ。よろしく」

 

誠十郎を皮切りに、次々と自己紹介する花組メンバー。

 

「…………」

 

そんな花組メンバーを、クラーラは誠十郎の後ろに隠れたまま何処かおっかなびっくりな様子で見ている。

 

(う~ん、やっぱり警戒してるみたいだな………)

 

『無理も()えさ。“自分が何者か”さえ分かって()えんだからな』

 

そんなクラーラの姿を見て、誠十郎とゼロが心の中でそう言い合う。

 

『………ん?』

 

其処で、ふとゼロは視線を感じた。

 

「…………」

 

何と、クラーラが誠十郎の左腕に填められているウルティメイトブレスレットを見ていたのだ。

 

(コイツ、まさか………?)

 

「ねえ、クラーラちゃん。私達に何か出来る事、無いかな?」

 

自分に感付いているのかとゼロが思った瞬間、さくらがクラーラへそう声を掛けた。

 

「えっ………?」

 

「何かして欲しい事があったら、遠慮無く言ってね」

 

「………如何して?」

 

「“困ってる人を助ける”のは、華撃団の隊員として当然だもの。其れに………」

 

「? 其れに?」

 

「私、クラーラちゃんともっと仲良く………『友達』になりたいんだ」

 

笑みを浮かべてクラーラに言うさくら。

 

「『友達』………」

 

「駄目、かな………?」

 

「………ううん、嬉しい」

 

其処で、クラーラは初めて誠十郎の陰から出る。

 

其れを見たさくらが、クラーラの方に近付く。

 

「よろしくね、クラーラちゃん」

 

そう言って右手を差し出すさくら。

 

「あ、クラーラで良いです………」

 

クラーラは、そう言いながら控え目にさくらの手を取った。

 

「じゃあ私もさくらで良いよ、クラーラ」

 

「うん………よろしく、さくら」

 

さくらとクラーラは、互いに笑顔を浮かべる。

 

「凄いですね、さくらさん………」

 

「あそこまで踏み込んでいけるのは(ひとえ)に“人柄”ね」

 

そんなさくらの姿を見て、クラリスとアナスタシアがそう言い合う。

 

「こりゃあ、あの子の面倒はさくらに任せた方が良さそうだな」

 

「適材適所………」

 

其処で初穂とあざみがそんな事を言う。

 

『其れが良いかも知れねえな』

 

「さくら………頼めるか?」

 

ゼロもその意見に同意し、誠十郎はさくらに尋ねる。

 

「分かりました。私に任せて下さい」

 

笑顔で返事を返すさくら。

 

こうして、さくらがクラーラの世話係に任命されたのだった。

 

 

 

 

その後、さくらはクラーラを連れて帝劇内を案内。

 

一通りの案内を終えると、後は帝都の街を案内しようと思い、玄関へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・玄関………

 

「其れじゃあ、行って来ます」

 

「あ………行って来ます」

 

「ああ、気を付けてな」

 

出掛けるさくらとクラーラを、誠十郎が見送る。

 

「クラーラ」

 

少し歩くと、さくらはクラーラに向かって右手を差し出した。

 

「あ………」

 

クラーラは一瞬戸惑ったものの、やがてさくらの手を取り、握った。

 

「ふふふ………」

 

笑ってクラーラに歩調を合わせて歩くさくら。

 

「…………」

 

其れに釣られる様に、クラーラも笑みを浮かべる。

 

人種は完全に違うが、その雰囲気はまるで姉妹の様で、微笑ましい光景だった。

 

「………出掛けるのか。好都合だな」

 

しかし、その2人をやや離れた後方から尾ける様に歩く怪しい人物が居た………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事とは露知らず、帝都の街中を歩くさくらとクラーラ。

 

「凄い人………」

 

通りを歩く人の多さに、クラーラが思わずそう呟く。

 

「コレが私達の街、帝都だよ。ちょっと前まで、降魔から受けた傷痕が残ってたり、最近は怪獣や星人の被害が相次いでるけど、皆元気に一生懸命生きてる。そんな人達が沢山住んでる街なんだ」

 

“自分達の守る都市”を自慢する様にさくらは言う。

 

(降魔………怪獣や星人………)

 

クラーラは、“降魔”や“怪獣”と言った単語に引っ掛かりを覚える。

 

「さて、何処から行こうか? 先ずはやっぱり………」

 

「………あ!」

 

と、さくらが何処へ向かおうかと思案し始めたその時、クラーラがふと足を止めた。

 

「! ととっ! 如何したの、クラーラ?」

 

「…………」

 

不意に止まったクラーラに驚くさくらだが、クラーラは視線を“或る店”へと注いでいた。

 

「………楽器屋さん?」

 

クラーラが視線を注いでいる店………

 

其れは小さな楽器屋だった。

 

クラーラは、そのショーウィンドウに飾られている『或る楽器』に注目している。

 

「『ハーモニカ』………」

 

其れは『ハーモニカ』だった。

 

「ハーモニカ、好きなの?」

 

「分からない。けど………この楽器の事………()()()()()()様な気がして………」

 

ハーモニカを見ていると、失われた記憶が刺激されるのを感じるクラーラ。

 

「………買ってみようか?」

 

其処で、さくらはクラーラにそう提案する。

 

「そ、そんな! 私は別に………」

 

「気にしないで。“友達になった記念”だと思ってくれれば良いよ」

 

「さくら………」

 

驚きながら見上げて来るクラーラに笑顔を返し、さくらは一緒にその楽器屋へと入って行った。

 

(人通りが無くなった場所に出てからだな………)

 

そして、その2人を相も変わらず尾け回している怪しい人物………

 

良く見ると、耳がピクピクと動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都郊外の森林地帯・小高い丘の上にて………

 

「うわあ~~」

 

「此処からだと、帝都の街並みが一望出来るんだよ」

 

さくらの言葉通り、丘の上からは帝都の街並みが一望でき、クラーラは感嘆の声を漏らす。

 

「あの街には色々な人が居て、様々な営みが(はぐく)まれている………其れを守るのが、私達“帝国華撃団の使命”なんだ」

 

「使命………」

 

「うん、大変だけど………“凄く()()()()()()使命”だよ」

 

「…………」

 

さくらが笑顔でそう言うと、クラーラは再び帝都に視線を向ける。

 

「さて、其れじゃあ………早速吹く練習をしようか?」

 

其処で、先程楽器屋で買ったハーモニカを取り出すさくら。

 

「うん………」

 

さくらからハーモニカを受け取ると、傍に在った切り株に腰を掛けるクラーラ。

 

(しめしめ………良い具合に人気(ひとけ)の無い場所へ来てくれたな………)

 

其処であの謎の人物が、茂みに姿を隠しながらコッソリとさくらとクラーラに近付いて行く。

 

「~~♪~~♪………わあ~~」

 

ハーモニカを吹き、音を鳴らすクラーラ。

 

音が鳴った事に感激した様子を見せている。

 

「うふふ。其れじゃあ、先ずはどんな曲から吹いてみようか?」

 

そんな様子を微笑ましく思いながら、さくらは一緒に付いて来た練習用の楽曲の楽譜を取り出す。

 

(良し、今がチャンスだ!)

 

と、其処で謎の人物が一気に飛び出そうとする。

 

しかし………

 

「………~~♪~~♪」

 

「!?」

 

突然クラーラが曲を吹奏し始め、謎の人物の動きが止まる。

 

「クラーラ………?」

 

さくらも、突然吹奏を始めたクラーラに驚きを示す。

 

「~~♪~~♪」

 

クラーラは目を閉じ、集中して吹奏を続けている。

 

(何だろう? このメロディ………優しいけど………何処か“物悲しい”気がする)

 

クラーラが奏でるメロディから、そんな印象を受けるさくら。

 

「~~♪~~♪」

 

尚も吹奏を続けるクラーラ。

 

『………これ、“俺の()()()()”なんだ』

 

其処で、彼女の脳裏に『“ハーモニカの様な物”を吹く、テンガロンハットに茶色のレザージャケット姿の青年』の姿が過る。

 

「!?」

 

思わず吹奏が止まる。

 

(今のは………?)

 

「クラーラ、その曲は?」

 

呆然となっていたクラーラに、さくらが声を掛ける。

 

「あ、えっと………身体が自然に………」

 

と、自分でも気付かぬ内に吹奏していたクラーラが如何説明すれば、と悩んでいると………

 

「グアッ!!」

 

あの謎の人物が、茂みの中から倒れる様に飛び出して来た!

 

「!?」

 

「!? 誰ですかっ!?」

 

突然現れた謎の人物に、クラーラとさくらが驚く。

 

「ぐうう、頭が………オノレェ、妙な事をしおって………」

 

謎の人物は頭痛がする頭を抑えながら立ち上がったかと思うと………

 

「ええい! こうなれば強硬策だ!!」

 

そう叫んで、その身を黒い異形の姿へと変えた!!

 

「!? 星人っ!?」

 

「!?」

 

咄嗟にクラーラを背に庇うさくらと、そのさくらの背にしがみ付くクラーラ。

 

フォッフォッフォッ………

 

そんな2人を、独特な位置に付いた目で見遣る、頭にホースのノズルの様な触角の生えた星人………『誘拐怪人 ケムール人』

 

「帝劇に連絡を!」

 

さくらはスマァトロンを取り出し、帝劇へ連絡を入れようとしたが………

 

フォッフォッフォッ………

 

其処でケムール人が、頭の触角の先端から“透明な液体”を発射した!!

 

「!? 危ないっ!?」

 

直感的に(当たったらマズイ)と感じたさくらは、スマァトロンを手放すとクラーラを抱えて横っ飛びした。

 

と、そのスマァトロンに液体が掛かったかと思うと………

 

スマァトロンが溶ける様に消えてしまった!

 

「!? スマァトロンがっ!?」

 

フォッフォッフォッ………

 

焦った声を挙げるさくらを見ながら、ケムール人は不気味な笑い声を響かせる。

 

「! クラーラ! 走ってっ!!」

 

「!!」

 

已むを得ず、逃げの一手を打つさくら。

 

フォッフォッフォッ………

 

そのさくらとクラーラを、ケムール人は独特な走り方で追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

帝劇・正面玄関前では………

 

「………良し! コレで良いかな?」

 

出掛けたさくらに代わって掃き掃除をしていた誠十郎が、綺麗になったのを確認してそう言う。

 

「さくらとクラーラは今頃何してるかな?」

 

と、出掛けた2人の事を気にしていると………

 

『誠十郎! 星人の気配だ!!』

 

不意にゼロがそう告げて来た!

 

「何っ!?」

 

『! ちょっと待て!………近くにさくらとクラーラも居るぞっ!?』

 

「!? 何だって!? でも、連絡は無いぞっ!?」

 

『きっと何か有ったに違い()え! 行くぞ、誠十郎!』

 

「よしっ!!」

 

誠十郎は、直ぐ様物陰へと移動。

 

「デュワッ!!」

 

そして、ウルティメイトブレスレットから取り出したウルトラゼロアイを装着。

 

「セヤッ!!」

 

ウルトラマンゼロへと変身すると、空に舞い上がる。

 

「! アッチかっ!!」

 

直ぐ様、ゼロは気配のする方向へと飛ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都郊外の森林地帯………

 

「ハア………ハア………」

 

「クラーラ! 頑張ってっ!!」

 

息を切らし始めて来たクラーラを、さくらがそう励ます。

 

「逃がしはせんぞぉっ!!」

 

そんな2人を、相変わらず独特な走り方で追うケムール人。

 

しかし、パトカーの追跡をも振り切るその速さは健在である。

 

今は森の中に居る為、木々が邪魔をして素早く走れないが、其れでも徐々に距離を詰めて来ている。

 

「追い付かれちゃう! さくら! 私を置いて逃げて!!」

 

「何を言ってるの、クラーラ! そんな事出来ないよ!!」

 

追い付かれるのも時間の問題と見たクラーラがそう言うが、其れを聞き入れるさくらでは無い。

 

「ええいっ! 面倒だっ!!」

 

と其処で!!

 

業を煮やしたのか、ケムール人が巨大化した!!

 

「「!?」」

 

其れに驚いて思わず2人が足を止めてしまった瞬間、一気に距離を詰めて2人に向かって手を伸ばす!!

 

「! クラーラッ!!」

 

さくらは、咄嗟にクラーラを抱え込む様にして屈み込む。

 

フォッフォッフォッ………

 

ケムール人の不気味な笑いが木霊した、その時!!

 

「オリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

現れたゼロの、ウルトラゼロキックがケムール人の頭に命中!

 

フォッフォッフォッ………!?

 

ケムール人は、不気味な笑い声を響かせながら倒れる。

 

「セヤッ!!」

 

その間に、さくらとクラーラを守る様に着地を決めるゼロ。

 

「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだっ!!」

 

「! ゼロさんっ!!」

 

ゼロの姿を見たさくらが歓喜の声を挙げる。

 

「!?」

 

一方、ゼロの姿を見たクラーラの脳裏に、“或るヴィジョン”が浮かぶ………

 

 

 

 

 

其れは、リング状のカラータイマーを持ち、巨大な剣を携えた“ウルトラマンらしき光の巨人”と………

 

“胸に三日月状の傷を持ち、全体的に棘々したシルエットで刀を手にしている魔人”が()()()()()()()()()だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ウルトラマン」

 

「? クラーラ?」

 

クラーラがそう呟いた瞬間………

 

「テメェは『誘拐怪人 ケムール人』か!?」

 

「ウルトラマンゼロ! 貴様に構っている暇は無い! その小娘(ガキ)を渡せっ!!」

 

起き上がったケムール人が、ゼロに向かってそう言い放つ。

 

『!? クラーラをだと!?』

 

「テメェ、何でクラーラを狙ってやがる!?」

 

クラーラが狙われていると知り驚く誠十郎と、ケムール人にそう問い質すゼロ。

 

「貴様が知る必要は無い!」

 

「そうかよ………だったら“無理矢理聞き出す”までだ!!」

 

そう言って、ゼロはケムール人に向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

帝劇で保護される事となったクラーラ。
アニメ版と同様にさくらが早速仲良くなり、帝都の街を案内する事に。
しかし、クラーラを狙ってケムール人が出現!
何故彼女が狙われるのか?

そして記憶の失われたクラーラの脳裏に浮かんだもの………
一体何処の風来坊と闇の人なんだ?(笑)

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