新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター6『白マント』

チャプター6『白マント』

 

一角紅蓮超獣 バキシマム

 

機械人形 ゴブニュ(ヴァハ) 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナメゴンとシャプレー星人の襲撃から一夜明け………

 

早朝から、帝劇に警報が鳴り響いた。

 

花組メンバーは直ぐ様大鏡裏のシューターへと飛び込み、戦闘服姿となって司令室へ集合した。

 

 

 

 

 

帝劇地下・地下司令室………

 

「銀座上空の映像です」

 

花組メンバーが集合したのを確認したカオルが、モニターに銀座の空の映像を映し出す。

 

其処には、ガラスの様に赤いヒビの入った空が映し出されている。

 

「!? コレはっ!?」

 

「あの開会式の時と同じじゃ()えかっ!?」

 

其れを見たさくらと初穂が驚きの声を挙げる。

 

空に入る赤いヒビ………

 

其れはあの『悪夢の開会式』で、ベロクロンとバキシムが出現した際のモノと全く同じだった。

 

「解析の結果、“あの開会式での現象と同一のもの”である、と言う結果が出た」

 

「つまり、また“あの時と同じ事”が起きる、と言う事ね?」

 

イデの報告に、アナスタシアが表情を険しくしながらそう言う。

 

「只でさえ襲撃が続いていると言うのに………」

 

「此処へ来て駄目押し………」

 

クラリスとあざみも、苦い顔で呟く。

 

「皆。疲れているのは分かっているけど、事が事だ。全力で以て臨んで欲しい」

 

花組メンバーを気遣いつつも、決して油断はせぬ様にと念を押すサコミズ。

 

「分かっています。よし! 帝国華撃団、花組! 出撃………」

 

「待って! 神山くんは残って」

 

「!? えっ!?」

 

イザ出撃しようとしたところ、すみれから思わぬ制止を受け、誠十郎は驚く。

 

「今までの襲撃では、全て“怪獣の出現と共に()()()()()()()()が出ている”わ。今回も、そうなる可能性が高いと考えるのが妥当ね。だから、神山くんには残って欲しいの」

 

「せやな。何やかんや言うて、生身で1番強いんは神山さんやからな」

 

すみれの言葉に、こまちが星人と何度も交戦していた誠十郎を思い出してそう言って頷く。

 

『誠十郎。相手が“超獣”となると分が悪い。多分、すみれは“直ぐに()()()()()様にして欲しい”って言ってるんだ』

 

「………分かりました。自分は帝劇内で待機します」

 

と、その裡に隠された“すみれの真意”を読み取ったゼロがそう言うと、誠十郎は頷いた。

 

「御免なさいね………今回の指揮は(わたくし)が執ります。帝国華撃団・花組! 出撃よっ!!」

 

「「「「「了解っ!!」」」」」

 

そしてすみれの号令一下、花組メンバーは誠十郎を残して出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀座・帝劇近く………

 

避難命令が出され、人気の絶えた街中に佇む花組の無限。

 

空に入っているヒビはドンドンと広がって行っており、今にも割れそうな様子である。

 

『来るわよ! 皆、気を付けて!!』

 

「「「「「!!」」」」」

 

すみれがそう通信を入れると、5機の無限が身構える。

 

その瞬間!!

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

空がガラスの様に割れ、その中に広がる赤い空間から“バキシムに似た超獣”が姿を見せた。

 

「! アレは開会式の!?」

 

「いえ、良く見ると似てるけど違うわ」

 

「強化体………でしょうか?」

 

さくら・アナスタシア・クラリスがそう言い合う。

 

そう………

 

その超獣はバキシムの強化体………

 

『一角紅蓮超獣 バキシマム』だった。

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

バキシマムは赤い空間の中から飛び出すと、地響きと共に銀座の街中へ降り立った。

 

「! ゼットンッ!!」

 

と、クラリスが直ぐ様ゼットンを呼び出す。

 

ゼットーン………ピポポポポポポポ………

 

バキシマムと対峙するゼットン。

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

バキシマムはゼットンに両腕を向けると、火球・紅蓮火炎弾を連続発射する。

 

しかし、ゼットンはテレポートで回避してバキシマムの背後に回り込む。

 

そして、1兆度の火球を放つ。

 

火球はバキシマムの背中へと直撃したが………

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

何とバキシマムは意にも介さず、ゼットンの方に振り返る。

 

「! ゼットンの火球が効かない!?」

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

クラリスが驚きの声を挙げる中、バキシマムは赤く鋭くなった頭部の角をゼットン目掛けて発射。

 

腕を振って弾き飛ばすゼットンだったが、何と!

 

弾き飛ばされた角・『一角紅蓮ミサイル』は、炎を纏ったかと思うとブーメランの様に反転して、再びゼットンに襲い掛かった!

 

ゼットーン………ピポポポポポポポ………

 

真面に喰らったゼットンが倒れる中、一角紅蓮ミサイルはバキシマムの頭部に再装着される。

 

「ゼットン! くうっ! アルビトル・ダンフェールッ!!」

 

クラリス機がバキシマムに向けて必殺技を放つ。

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

しかし、無数の魔導弾が命中しながらも、バキシマムは全く怯まない。

 

そして再度両腕から紅蓮火炎弾を薙ぎ払う様に連射!

 

「!? キャアッ!!」

 

「うおわっ!?」

 

「!?」

 

直撃こそ避けたものの、次々に起こった爆発で吹き飛ばされる花組の無限達。

 

更に火炎弾は街の彼方此方に直撃し、帝都の街が燃え上がる。

 

「!? 帝都が!?」

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

さくらの悲鳴の様な声が挙がる中、バキシマムは咆哮を響かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・クラーラの部屋………

 

「振動が此処まで………さくら達は大丈夫なのか?」

 

戦闘によって帝劇へと伝わって来る振動を感じながら、心配気に窓の外を見遣る誠十郎。

 

「誠十郎………」

 

とそんな誠十郎の手を、クラーラが握る。

 

「ああ、ゴメンよ、クラーラ」

 

不安にさせてしまった事を詫びながら、誠十郎はクラーラに視線を合わせる様にしゃがみ込む。

 

「誠十郎。私の事は良いから、さくら達のところへ行って」

 

「クラーラ………」

 

そう訴え掛けて来るクラーラに、誠十郎は表情を曇らせる。

 

「大丈夫だ、クラーラ。さくら達は強い。俺が居なくても平気さ」

 

「誠十郎………」

 

「って、こんな事を言っちゃあ隊長として立つ瀬が無いけどな」

 

(おど)けて笑って見せる誠十郎。

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

突然天井を突き破って、『何者』かが室内に突入して来た!!

 

「!? キャアッ!?」

 

「!? 何だっ!?」

 

悲鳴を挙げるクラーラと、直ぐ様彼女を庇う様に背後に回す誠十郎。

 

「…………」

 

舞い上がる粉塵の中から姿を現したのは、ゴブニュ(ヴァハ)だった。

 

「!?」

 

その姿を見た瞬間、クラーラの脳裏に、“失われた記憶の一端”が過る。

 

「嫌あっ!!」

 

「クラーラッ!?」

 

頭を抱えて尋常では無い怯え方をするクラーラに、誠十郎が驚きを示す。

 

「…………」

 

一方、ゴブニュ(ヴァハ)はクラーラの姿を確認すると、近付いて来る。

 

「クッ! させるかっ!!」

 

誠十郎は二刀を抜き、ゴブニュ(ヴァハ)へと斬り掛かる!

 

「…………」

 

しかし振られた二刀は、ゴブニュ(ヴァハ)の身体を傷付ける事は出来ず、表面で火花を散らすだけに終わる。

 

「!? 何っ!?」

 

驚愕の声を挙げた誠十郎の首を、ゴブニュ(ヴァハ)の右手が摑む。

 

「!? ぐあっ!?」

 

そのまま片腕で持ち上げられる誠十郎。

 

「…………」

 

ゴブニュ(ヴァハ)はそのまま、誠十郎を窓目掛けて投げ付けた!

 

「!? おうわああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!?」

 

窓を突き破り、外へと投げ出される誠十郎。

 

「誠十郎っ!!」

 

「…………」

 

クラーラが叫んだ瞬間、ゴブニュ(ヴァハ)は彼女の腕を摑んだ!

 

「! 嫌っ! 離してっ!!」

 

振り解こうとするクラーラだが、非力な少女の力ではゴブニュ(ヴァハ)を引き剝がす事が出来ない。

 

「…………」

 

そのままクラーラを連れ去ろうとするゴブニュ(ヴァハ)だったが………

 

「オオリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

気合の雄叫びと共に戻って来た誠十郎(ゼロ)が、ゴブニュ(ヴァハ)に飛び蹴りを見舞う。

 

其れを喰らったゴブニュ(ヴァハ)の頭が外れ、壁に叩き付けられた後、床に転がる。

 

「! 誠十郎っ!?」

 

「ワリィな、ちょっと不覚を取っちまった」

 

驚くクラーラに、誠十郎と入れ替わったゼロがそう詫びる。

 

「! ()()()()()!? ()()()()()()()!!」

 

しかし何と!

 

クラーラは、“ゼロが誠十郎と入れ替わっている”のを見抜いた。

 

「! 何っ!?」

 

『まさか、ゼロに気付いたのか!?』

 

ゼロと誠十郎が驚きを示していると………

 

「…………」

 

何とゴブニュ(ヴァハ)の外れた頭が浮かび上がり、再び胴体へとくっ付いた。

 

「!?」

 

「何っ!?」

 

「…………」

 

7つのカメラアイを発光させると、クラーラと誠十郎(ゼロ)に向き直るゴブニュ(ヴァハ)。

 

「チイッ! しぶとい野郎だ!!」

 

『ゼロ! 此処で戦うのは不利だ!!』

 

「分かってる! クラーラッ!!」

 

「キャッ!?」

 

誠十郎の言葉に、ゼロはクラーラを抱き抱える。

 

「ハアッ!!」

 

そして、ゴブニュ(ヴァハ)が開けた天上の穴から外へと飛び出す。

 

「…………」

 

ゴブニュ(ヴァハ)も背中のブースターを噴かして穴から飛び出す。

 

両者は、帝劇の屋根の上にて再度対峙する。

 

「クラーラ。お前の言う通り、俺は誠十郎じゃ()え。けど“お前の味方”だ! 信じろっ!!」

 

「!!」

 

誠十郎(ゼロ)がクラーラにそう言うと、クラーラの脳裏に“コートの青年”の姿が浮かぶ。

 

「………うん、信じる」

 

「ありがとよ! さて………」

 

「…………」

 

2人の遣り取りが終わると、ゴブニュ(ヴァハ)は待っていたかの様に動き出す。

 

帝劇の屋根を踏み締めながら、ゆっくりと誠十郎(ゼロ)達の方へと向かって来る。

 

「…………」

 

二刀を(たずさ)えて身構える誠十郎(ゼロ)。

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

と其処へ、遠くの方からバキシマムの咆哮と爆発音が連続で聞こえて来る。

 

「!?」

 

『超獣の声!? まさかさくら達が!?』

 

その声にゼロと誠十郎が反応した瞬間………

 

「!!」

 

ゴブニュ(ヴァハ)が、再度背中のブースターを噴射して一気に突撃して来た!!

 

「! 野郎っ!!」

 

其れに遅れを取る誠十郎(ゼロ)では無く、迎撃しようと二刀を振り被ったが………

 

突然上空から現れた人影が間に割って入り、居合いの様に振るった刀でゴブニュ(ヴァハ)を弾き飛ばした!!

 

「「!?」」

 

「大丈夫か?」

 

驚く誠十郎(ゼロ)とクラーラが見たのは、あの白マントの姿だった。

 

「お前は!?」

 

『さくらの報告にあった白マントか!?』

 

白マントの姿を見て、さくらからの報告を思い出す誠十郎とゼロ。

 

「…………」

 

弾き飛ばされたゴブニュ(ヴァハ)が、のっそりと起き上がる。

 

「………コイツの相手とその少女は私に任せろ」

 

「!? 何っ!?」

 

其処で白マントが誠十郎(ゼロ)の傍に寄ってそう言い、誠十郎(ゼロ)は驚きの声を挙げる。

 

「超獣の相手は()()()()()()()()だろう………()()()()()()()()()()

 

「!!」

 

『ゼロを知っている!?』

 

ゼロの正体を看破した白マントに、2人は驚愕を露わにする。

 

「! お前、ひょっとして………?」

 

其処で誠十郎(ゼロ)が、“白マントの正体”に或る推測を立てる。

 

クワクワクワクワガーッ!!

 

しかし其処で、再度バキシマムの咆哮と連続した爆発音が聞こえて来る。

 

「!!」

 

「行き給え。このままでは、さくら達が危ないぞ」

 

「…………」

 

再度そう促され、誠十郎(ゼロ)は少し考えた後、クラーラを見遣る。

 

「クラーラ」

 

「誠十郎?………ううん、ウルトラマンゼロ………それが貴方の名前なの?」

 

「ああ、そうだ」

 

「………私は大丈夫だよ。だから、さくら達を助けに行って」

 

「すまねえ………」

 

誠十郎(ゼロ)は一瞬苦悩を見せながらも、左腕を構えてウルトラゼロアイを出現させる。

 

「デュワッ!!」

 

そしてウルトラゼロアイを目に装着し、ウルトラマンゼロへと変身!!

 

「ハアッ!!」

 

そして、花組メンバーとバキシマムが戦っている現場に向かって飛翔するのだった。

 

「…………」

 

飛び去るゼロを見送ったクラーラの脳裏には、あの“大剣を持つ光の巨人”の姿が過る。

 

「では、お嬢さん。私から離れない様に頼むよ」

 

「ハイ………」

 

そして白マントの傍に寄ると、その背中越しに不気味に佇むゴブニュ(ヴァハ)を見据えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂に超獣を繰り出して来たカミンスキー。
バキシマムって何ぞ?って方に説明すると、児童雑誌で行われたバキシム強化改造計画の最優秀作品なのです。
ソフビ化もされていますが、残念ながら映像作品への出演は無く、アーケードゲームの『大怪獣バトル』でしかその姿は拝めません。

しかし、バキシムの強化体だけあって凄まじい力を発揮します。
頼みのゼロも、ゴブニュからクラーラを守らなければならない状況に。
そこへ登場したのは、またも白マントです。
果たして、その正体は?(笑)

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