チャプター14『光の絆、繋いでみせます!』
スペースビースト イズマエル
???
伝説妖精 ムゲラ 登場
スタジアムからやや離れた地点………
「ああ! スタジアムが………」
イズマエルの攻撃で吹き飛んだスタジアムが在った場所を見て、さくらが震えた声を漏らす。
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!
「正に悪魔だな………」
その上空に翼を羽ばたかせて浮かび、咆哮を挙げているイズマエルを見て、白秋が呟く。
「さくらっ!! 無事か!?」
とそこで、ゼロに言われてスタジアムから撤退していた初穂達が合流する。
「! 初穂! 皆!! 如何して!?」
「すまねえ。ゼロに言われて撤退したんだ」
「残念ですが、この戦いで私達に出来る事はありません………」
「せめてゼロ達の邪魔にならない様にするしかなかった………」
さくらの声に、初穂・クラリス・あざみが悔しさを滲ませた声で答える。
「…………」
アナスタシアは沈黙しているが、彼女からも悔しさが伝わって来る。
「そんな………」
そんな初穂達の様子に、さくらも言葉を失う。
「………姉さん」
とそこで、クラーラがレイラに声を掛ける。
「! クラーラ………」
「…………」
顔を向けて来たレイラに、ジッと視線を向けるクラーラ。
「…………」
その視線を受けて、レイラはクラーラが何を言いたいのか察する。
「…………」
更に、傍でその様子を見ていた白秋も、2人が何をする積りなのかを察する。
「皆さん、今は兎に角避難を………」
カオルがそう促した時………
「カオルさん、ゴメンなさい」
「私達は戻ります」
クラーラとレイラがそう宣言した。
「!? えっ!?」
「戻るって………」
「!? まさか、スタジアムに!?」
カオルが驚き、さくらとクラリスがまさかと言う顔をする。
「オイ! 何言ってんだ!?」
「私達が行ったところで、出来る事は無いわよ」
初穂とアナスタシアがそう言って止めようとするが………
「確かに、私達が行っても、共に戦う事は出来ない………」
「でも! 『届ける』事は出来る!!」
しかし、レイラとクラーラはそう反論する。
「『届ける』………?」
「私達はガイを………皆を信じていると」
「ウルトラマンは負けない………その想いを、届けたいの!!」
あざみが首を傾げると、レイラとクラーラはそう言葉を続けた。
「「「「「!!………」」」」」
2人の言葉に、花組の面々はハッとした様な表情となる。
「確かに、今の我々では彼等と共に戦う事は出来ないかも知れない………だが、彼等を信じる心は誰よりも持っているのではないかい?」
そこで更に、白秋も言って来た。
「「「「「…………」」」」」
考え込む様な様子を見せた花組だったが………
「………行きましょう!」
「「「「!………」」」」
やがてさくらが決心した様にそう言うと、初穂達が一瞬驚いた様子を見せたが、頷いて見せる。
そして、初穂機がさくら、クラリス機がレイラ、あざみ機がクラーラ、アナスタシア機が白秋を肩へと乗せる。
「! み、皆さんっ!?」
「カオルさん、ゴメンなさい! 先に逃げて下さい!!」
慌てるカオルを尻目に、さくら達は再度スタジアムへと向かったのだった………
スタジアム跡………
「ぐうう………」
「くう………」
「シュア………」
焼野原となったスタジアム跡に膝を着いているゼロ、オーブ(オリジン)、ネクサス(ジュネッスバイオレット)。
全員のカラータイマーとコアゲージが点滅している。
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!
そんなウルトラマン達を勝ち誇るかの様に、上空から見下ろしているイズマエル。
「クッソォ………流石は最強のスペースビーストだぜ………」
「このままじゃ………」
ゼロとオーブ(オリジン)がそう言い合っていると………
「ゼロさん!!」
「ガイッ!!」
さくらとクラーラの声が響き、花組の面々が再びスタジアム跡へと現れた!!
「!? クラーラ!? レイラ!?」
「! バカ! 何戻って来てんだ!!」
驚くオーブ(オリジン)と、思わず怒声が飛ぶゼロだったが………
「頑張れー! ゼロさーん!!」
「負けないでー! ガイーッ!!」
「負けんじゃねえぞぉっ!!」
「立ち上がって下さーいっ!!」
「ゼロ達はきっと勝つ!!」
「そう信じているわ」
さくらとクラーラが叫んだのを皮切りに、全員がゼロ達に向かって声援を送り始める。
「お前等………」
「今の私達は無力かも知れない………」
「だが、君達を信じる心は誰よりも持っている積りだ」
レイラと白秋からもそう声が飛ぶ。
「へっ………ったく、しょうがねえ奴等だぜ」
「信じてくれる人が居るならば、俺達は………ウルトラマンは、無敵だ!!」
「シュアッ!!」
その声援を背に受けながら、ゼロ達は立ち上がる。
ボロボロのその姿は痛ましい………
だが、それでも………
必ず勝つと言う確信を感じさせてくれた!!
と、その時!!
ネクサス(ジュネッスバイオレット)の『エナジーコア』が発光を始めた。
「!!」
ネクサス(ジュネッスバイオレット)自身も驚いていると、やがてその光がエナジーコアの中心の収束し、光の塊となってオーブの方へ飛んだ!
「!?」
放たれた光の塊は、オーブのカラータイマーに吸い込まれる様に消え、インナースペース内のガイの手元に現れる。
「!? コレはっ!?」
ガイが驚きを露わにしていた瞬間、光が弾け、中から『ウルトラマンネクサスのウルトラフュージョンカード』が出現した。
「ネクサスさんの力………使わせて頂きます!!」
それを見たガイは、オーブリングを構える。
「ウルトラマンさん!」
『ウルトラマン!』
『ヘァッ!!』
先ず初代ウルトラマンのカードをリードすると、ガイの左隣に初代ウルトラマンのヴィジョンが出現。
「ネクサスさん!」
『ウルトラマンネクサス!』
『シュアッ!!』
続いてネクサスのカードをリードすると、右隣にネクサスのヴィジョンが出現する。
「光の絆、繋いでみせます!」
そして、オーブリングをまるでエボルトラスターを引き抜く様な動作で天に掲げてトリガーを押した。
『フュージョンアップ!』
オーブリングから声が響くと、オーブオリジンとなったガイに、ウルトラマンとネクサスのヴィジョンが重なる。
『ウルトラマンオーブ! スペシウムシュトローム!』
初代ウルトラマンとネクサスの意匠を併せ持つ形態………
『スペシウムシュトローム』となったオーブが光の中から飛び出す!!
「受け継がれてゆく魂の絆!」
ポーズを決めながら、オーブ(スペシウムシュトローム)はそう言い放つ。
「! あの姿はっ!?」
「ネクサスさん………?」
オーブの姿がネクサスと良く似た姿となった事に軽く驚くさくらとクラリス。
「シュウアッ!!」
とそこで、オーブ(スペシウムシュトローム)が空へと舞い上がる。
そして凄まじい飛行スピードで、イズマエルを肉薄し、殴り飛ばした!!
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?
バランスを崩して錐揉みしながら落下したイズマエルだったが、すぐに空中で体勢を整えると、オーブ(スペシウムシュトローム)に向かって一斉攻撃を放つ。
「セアッ!!」
だが、オーブ(スペシウムシュトローム)は宙返りやバレルロールと言った、まるで戦闘機のマニューバの様な飛行で一斉攻撃を躱す。
「銀色の………流星」
そんなオーブ(スペシウムシュトローム)の姿を見たレイラが思わずそう呟く。
「シュアッ!!」
そこへ更にネクサス(ジュネッスバイオレット)が参戦。
オーブ(スペシウムシュトローム)に気を取られていたイズマエルを、アームドグレイヴで斬り付ける!
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?
袈裟懸けに傷を負ったイズマエルは、悲鳴の様な咆哮を挙げながらも、怒りを露わに更に激しい一斉攻撃を放つ。
「シュアッ!!」
「ヘヤッ!!」
しかし、高速で飛び回るオーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)を捉える事は出来ない。
「良し! 今だっ!!」
その瞬間、地上に残っていたゼロがウルティメイトブレスレットを構えたかと思うと………
巨大な超弓状の形態………『ファイナルウルティメイトゼロモード』へと変形させた。
「ハアッ!」
ファイナルウルティメイトゼロモードのウルティメイトイージスを構えると、両端部分から出現した光の弦を引きながら、空中のイズマエルへと狙いを定めるゼロ。
ウルティメイトゼロ最大の技である『ファイナルウルティメイトゼロ』の体勢だ。
「…………」
「オイ、ゼロ! 何やってんだ!? 早くて撃てよ!!」
しかし、そのまま動かなくなった為、初穂が焦った様に声を挙げる。
「駄目だ! 今撃っても奴には効かねえ! ギリギリまでエネルギーをチャージしねえと!!」
ゼロがそう返すと、ウルティメイトイージスのクリスタル部分の1つに光が点る。
「けど、それまでアイツに気づかれないか………」
まだオーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)の方に注意が行ってるイズマエルを見ながら、あざみが不安そうに言う。
「祈るしかないわね………」
「「「「…………」」」」
アナスタシアがそう言うと、さくら・クラリス・レイラ・クラーラは両手を組んで祈り始めるのだった。
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!
オーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)に攻撃を当てられなくなり、苛立ちが募って行くイズマエル。
「シュアッ!!」
「ヘヤッ!!」
飛び回っているオーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)も、回避一片では無く、共に三日月型の光刃『ボードレイ・フェザー』を放って反撃している。
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?
被弾したイズマエルの身体から次々に火花が飛び散る。
だが、致命傷には至っておらず、イズマエルの怒りのボルテージが更に上がる。
と、その時………
イズマエルは不意に下を向き、ファイナルウルティメイトゼロのチャージを行っているゼロの姿に気づく。
「!? 気付かれた!?」
「ゼロさん!!」
「クソッ! 後少しだってのに!!」
クラーラとさくらが叫ぶが、ファイナルウルティメイトゼロモードのウルティメイトイージスには、まだ光の宿っていないクリスタルが1つだけ有った。
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!
すぐさまゼロに向かって急降下するイズマエル。
「! マズイッ!!」
「シュアッ!!」
オーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)が慌てて後を追うが間に合わない!
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!
ファイナルウルティメイトゼロモードのウルティメイトイージスを構えているゼロに向かって、熱線の発射態勢に入るイズマエル。
「間に合ええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
ゼロの叫びが木霊する中、遂に熱線が放たれる………
かと思われた瞬間!!
何処からともなく飛来した『赤黒い三日月形の光刃』が、イズマエルの左目に命中!!
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?
左目が潰れ、イズマエルが悲鳴の様な咆哮と共に悶える。
「!?」
「今のはっ!?」
その三日月形の光刃を見てレイラとクラーラが驚きを示す。
と、そこで!!
遂にファイナルウルティメイトゼロモードのウルティメイトイージスの最後のクリスタルに光が点る。
「よっしゃあっ! 喰らええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!」
空かさずゼロは、ファイナルウルティメイトゼロをイズマエルに向かって放つ。
「ウルトラフルバーストッ!!」
そこでオーブ(スペシウムシュトローム)も、空中でインサイドループした後に胸と両手から2種類の光線を発射する必殺技『ウルトラフルバースト』を放つ。
「シュウワッ!!」
そしてネクサス(ジュネッスバイオレット)も、必殺のフェニックス・シュトロームを放つ!!
キュイアアアアアアアアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!?
流石の3体のウルトラマンの必殺技に耐える事は出来ず、分子レベルで分解された上で燃やし尽くされ、完全消滅した。
「ハアッ!!」
戻って来たファイナルウルティメイトゼロモードのウルティメイトイージスを回収して構えたゼロの両隣に、オーブ(スペシウムシュトローム)とネクサス(ジュネッスバイオレット)が降り立つ。
何時の間にか傾いていた太陽が、3人のウルトラマンの姿を照らし、幻想的な光景を作り出す。
「やったぜっ!!」
「ゼロさん………」
「ガイ………」
初穂が歓声を挙げ、他の面々も喜びを露わにする中、頬を染めながらゼロとオーブ(スペシウムシュトローム)の姿を見上げるさくらとレイラ。
「…………」
そんな中で、突然クラーラが、あざみ機から飛び降りると、何処かへと駆け出した。
「!? クラーラ!?」
「如何したの!?」
レイラとさくらの声も聞こえていない様子で、クラーラは走りを止めない。
スタジアム跡の一角………
「ぐ、ぐううううう………」
瓦礫に寄り掛かる様に手を着き、苦しそうな声を漏らしている人影………
カミンスキーだ。
しぶとい事に、生き延びていた様だ。
しかし、その身体は所々が結晶状に変化しており、今にも崩れ落ちそうになっている。
「まだです………まだ終わりませんよ………私は………神の使徒なのですか」
だが、その目に宿る執念は、微塵も衰えていない。
「そうです! 私こそが神の使徒! 我が神・ヤプール様の復活を成すまで! 私は決して………」
と、そこまで言いかけた瞬間!!
その胸から、銀色の刃が突き出した。
「………あ?」
思わず間抜け声を漏らしながら、カミンスキーが振り返ると………
「残念だが、お前はもうお終いだ………」
日本刀の様な刀を手に、トゲトゲした見た目の魔人の姿が在った。
「き、貴様は!?………」
「フンッ!!」
驚くカミンスキーの身体に突き刺さっていた刀………蛇心剣を振り上げる魔人。
「ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!?」
顔が縦に半分に割れたカミンスキーが汚い悲鳴を挙げながら魔人の方を振り返ったかと思うと………
「蛇心剣抜刀斬!」
魔人は蛇心剣でカミンスキーを滅多斬りにした!!
「あ………」
最後は情けない声と共に、カミンスキーの身体はバラバラになって爆発。
魔人の足元に、結晶化していたカミンスキーの身体の一部が転がる。
「ハッ………」
それを鼻で笑ったかと思うと、徐に踏み潰す魔人。
そして、魔人の姿が怪しく光ったかと思うと、黒地に赤のスマートなスーツを着た青年の姿となる。
「やれやれ………結局尻拭いかよ」
青年………『ジャグラスジャグラー』は、疲れた様に肩を落とす。
「ダークリングの気配を感じて来てみたは良いが、まさか奴が持ってるとはな………」
忌々しそうに表情を歪ませるジャグラー。
「しゃーねえ………今回は諦めるか」
そう呟くと踵を返し、その場から去ろうとする。
と、そこへ………
「ジャグ兄!」
「!? ゲッ!?」
聞こえて来た声に露骨に嫌そうな顔をするジャグラー。
その表情のまま振り返ると………
「やっぱりジャグ兄だ!」
嬉しそうな笑顔を浮かべているクラーラの姿が在った。
「クラーラ………」
「ジャグ兄ぃ!」
嫌そうな顔のままのジャグラーに、クラーラは駆け寄って抱き着く。
「さっきの攻撃、やっぱりジャグ兄の新月斬波だったんだ!」
「チッ………お前の前で使ったのは失敗だったぜ」
「ジャグ兄、如何してそんな顔してるの?」
「お前のせいだよ………」
相変わらず嫌そうな顔のままそう言うジャグラー。
しかし、それでもクラーラを振り解こうとはしていない………
「むう~、ジャグ兄、またそんな事言って………まだガイと喧嘩してるの?」
「喧嘩じゃねえって言ってんだろ。アイツとは相容れないだけだ」
「でも、友達だったんでしょう?」
「友達じゃねえよ………」
「嘘! だってジャグ兄、ガイと一緒に戦ってた時、凄く息が合ってたじゃない!」
「…………」
もう話すのも嫌になってきたのか、ジャグラーは沈黙する。
実はジャグラーは、以前にもこの地球を訪れた事があった。
『降魔人間』なる存在を知った彼は、その力を手に入れようとしたのだ。
それを察知したガイも、ジャグラーを追って参上。
その途中で白秋とも出会う。
彼女からヤマト星人と降魔の事を聞かされ、更に研究所で乱暴な扱いをされていたレイラとクラーラを見て、思う所が有ったのか、ジャグラーは計画を変更。
成り行きでガイと協力し、レイラとクラーラを助け出し、研究データを全て破壊したのだ。
その際に、レイラはガイに、クラーラはジャグラーへ好意を抱いたのだ。
そして2人をナターリャと共に人目に付かない地へと誘った後………
その後、『巨大人工頭脳 ギルバリス』の存在を知ったジャグラーはそちらへと向かい、ガイは後輩に当たる『ウルトラマンジード』の元へと向かったのだ。
「離せ。俺はもう行く」
そこで漸くクラーラを引き剥がし、その場から去ろうとする。
「えっ!? ガイや姉さんに会わないの?」
「良いんだよ、俺は………」
「ガイと姉さんの邪魔したくないの? やっぱりジャグ兄は優しいね」
「………じゃあな」
もうツッコム気力も無いのか、その場を後にしようとするジャグラー。
「あ、待ってっ!!」
しかし、クラーラはそんなジャグラーの袖を掴んで再度引き留める。
「何だよ………?」
「ジャグ兄。ちょっと屈んで」
「あ?」
「良いから、早く」
「…………」
渋々と言った様子でクラーラの前に屈み込むジャグラー。
「よいしょ、よいしょ………」
するとクラーラは、ジャグラーの髪を整え始める。
「オイ、何やってんだ?………」
「ちょっと待って、もう少し………出来た!」
やがてクラーラは、ジャグラーの髪型をオールバックに決める。
「うん、似合う! 前からこの髪型、ジャグ兄に似あうんじゃないかって思ってたんだ」
「………ハア~。もう良いか? 今度こそ行くぞ」
呆れた様に溜息を吐きながらジャグラーは立ち上がり、今度こそその場を後にする。
「あ! ビランキさんに会ったら、優しくしてあげなきゃ駄目だよー!」
「ウルセェッ!!」
最後のクラーラからの声に思わず怒鳴り返すジャグラー。
「ったく………それにしても、華撃団とか言ったか? この星の都市を守る組織………そこ隊長がウルトラマンゼロか………」
そこでふと、華撃団の事を思い遣る。
「隊長、ね………フフ………それも面白いかもな。名前如何すっかなぁ………ジャグラー………蛇………蛇倉………」
闇の笑みを浮かべながら、ジャグラーはスタジアム跡から姿を消すのだった。
「………ジャグ兄」
ジャグラーが居なくなったのを確認したクラーラは、少し寂しそうな表情を浮かべた。
「クラーラッ!」
「此処に居たのか」
とそこへ、さくらとレイラ、続いてガイを筆頭に、花組の面々が姿を現す。
「あ、皆………」
「急に居なくなったから心配したよ」
「誰か居たの?」
クラーラに向かってさくらとレイラがそう言う。
「………ううん。誰も居なかったよ」
しかし、クラーラはそう言って誤魔化した。
「…………」
だが、ガイだけは心当たりを感じていたが、敢えて口に出さなかったのだった。
何はともあれ………
後程通達された事だが………
世界華撃団大戦・第2回戦は………
帝国華撃団が勝利したとされ………
花組は遂に、準決勝へと駒を進める事になったのだった………
◇
2回戦が有った日の深夜………
白秋の孤児院にて………
「そろそろ来る頃だな………」
夜空を見上げているガイがそう呟く。
「「…………」」
その傍には、レイラとクラーラの姿が在り、更に白秋が保護していた孤児達………ヤマト星人の性質を取り戻した降魔の子供達の姿が在った。
「「「「「「「…………」」」」」」」
更に花組の面々と白秋の姿も有り、共に夜空を見上げている。
すると、瞬いていた星の1つがキラリと光を放ったかと思うと、どんどんと大きくなって来る。
「来たか」
ガイがそう言った瞬間、光は孤児院の上空まで到達。
やがて、まるで遊園地の様な大型宇宙船『プレジャーパーク』となった。
「うわあ~~………」
「凄い………」
「本当に遊園地みたいね………」
「コレが宇宙船かよ………」
「素敵です………」
プレジャーパークの姿を見たあざみ・さくら・アナスタシア・初穂・クラリスが感嘆の声を漏らす。
とそこで、上空に浮かぶプレジャーパークから一筋の光が降りて来て、そこからややずんぐりとした宇宙人が現れた。
「『ムゲラ』。来てくれてありがとう。助かったぜ」
『アレが『ムゲラ』か………俺も見るのは初めてだぜ』
ガイがそう言う中、ゼロがその宇宙人………N66星系レクリア星の『ムゲラ』の姿を見て、そう呟く。
「あ、えっと………初めまして」
そのムゲラの前に立ち、ペコリと頭を下げるクラーラ。
「…………」
ムゲラは微笑みながら、その右手をクラーラに向かって差し出す。
「あ………」
クラーラは一瞬戸惑いながらも、その右手を取って握手を交わし、笑みを浮かべた。
「ムゲラ。同胞達の事をよろしく頼む」
「…………」
そこで今度は白秋がそう言い、ムゲラは頷いて見せる。
ガイの提案により、レイラとクラーラ、そして白秋が保護していたヤマト星人の子供達は、ムゲラの星・N66星系レクリア星で保護される事となった。
残念ながら、この地球はまだ異星人と共存出来るレベルには無い………
レイラやクラーラ、ヤマト星人達の事が知られれば、また謂れ無き迫害を受ける可能性が高い。
そこでガイが友人で会ったムゲラを通じ、彼女達の保護を願い出たのだ。
尚、白秋は地球に戻り、更にヤマト星人に先祖返りした者達を探す積りだそうだ。
「クラーラ………」
さくらがクラーラの前に歩み出る。
「さくら………」
「元気でね。お別れするのは寂しいけど………何時か必ず、クラーラ達がこの地球で生きて行ける様にしてみせるから」
「! うん! 私も、何時か必ず帰って来る! さくらの………掛け替えの無い『友達』の居るこの地球に」
「クラーラ………」
「…………」
さくらとクラーラの目から涙が零れそうになるが、グッと堪える。
この別れは一時の物………
何時か必ず、この地球で共に生きて行ける日が来る。
そう信じているからだ。
『ゼロさん。本当なら手助けに残りたいところなんですが………』
『気にすんな。コイツ等を無事にレクリア星まで送り届けなきゃならないからな』
テレパシーでそう言葉を交わすガイとゼロ。
ガイは念の為、プレジャーパークの護衛を務め、レクリア星まで付き添う事になっている。
万が一、途中で宇宙怪獣や侵略宇宙人の襲撃を受けないとも限らないからだ。
『すみません。送り届けしだい、俺もこの地球に戻って来ます。この不穏な気配を放っておくワケには行きませんからね』
『ああ、その時は頼むぜ………オーブ』
とそこで、プレジャーパークから再び光が伸びて来て、レイラとクラーラ、ガイ、ヤマト星人の子供達、そしてムゲラを包み込んだ。
「皆さん、本当にありがとうございました」
「皆、さようなら………ううん! またね!!」
最後にレイラが深々と頭を下げてお礼を言い、クラーラが別れを告げようとして、再会の約束へと言い直す。
直後に、その姿は光に包まれ、プレジャーパークへと吸い込まれて行った。
レイラとクラーラ達を乗せたプレジャーパークは徐々に上昇し、遠ざかって行く。
「クラーラーッ! また会おうねーっ!!」
それが見えなくなるまで、大きく手を振って見送るさくら。
「さくら………」
そんなさくらの姿を、背中から優しい目で見つめる誠十郎。
「何時の日か来ると良いな………地球人と他の星の人と手を取り合える日が………」
『来るさ。必ずな………』
誠十郎の呟きに、ゼロは確信を持ってそう返すのだった。
次回予告
初穂「祭りだい!!
今日は東雲神社の縁日!!
アタシも奉納の神楽を舞うんだ。
えっ?
神楽を舞う理由?
実はな………
この東雲神社にはある言い伝えがあるんだ。
次回『新サクラ大戦』
第5.5話『東雲神社の伝説』
太正桜にブラックホールが吹き荒れるぜっ!!
あ、アンタは、まさか!?………
???「物の怪がこの世に現るるのは事の道理なり。されど、その物の怪を打ち破らんとする心。それさえあれば百戦して危うからず」
第5話・完
ウルトラ怪獣大百科
怪獣コンピューター、チェック!
『イズマエル』
身長:60メートル
体重:6万1000トン
能力:合体しているスペースビーストの全ての力が使える
初登場作品:ウルトラマンネクサス第36話『決戦 -フェアウェル-』
ネクサス本編に登場した全てのスペースビーストが合体した最強のスペースビースト。
その強さは半端では無く、撃墜された事の少なかったナイトレイダーのクロムチェスターを全機撃墜。
デュナミストが弱っていたのを差し引いても、ネクサスを圧倒する強さを見せた。
この作品に登場した個体は、降魔人間の力を吸収した事により、ザ・ワンの様に翼を持ち、飛翔能力を得た。
『無幻魔人 ジャグラス ジャグラー』
身長:1.95~49メートル
体重:100キロ~4万7000トン
能力:蛇心剣抜刀斬、蛇心剣新月斬波
ガイと同じ惑星O-50の出身で親友だった男。
しかし、ガイがオーブの力に選ばれた事で溝が出来、後に決別。
その後紆余曲折の末、彼なりの正義で行動する様になり、ガイとは腐れ縁のライバルの様な関係に。
演者の熱演のお陰で、非常に高い人気を誇るキャラクターで、彼の仕草は『闇の○○』と称されている。
後に『ウルトラマンZ』にて、地球防衛チームの隊長役として出演する事になり、ファンを驚かせた。
『伝説妖精 ムゲラ』
身長:130センチ
体重:80キロ
能力:壊れた物を直したり、傷を癒す事が出来る
初登場作品:ウルトラマンコスモス第45話『遊園地伝説』
N66星系レクリア星の宇宙人。
宇宙旅行中に仲間と逸れ、地球の遊園地『ファンタジーランド』に住み着いた。
そこを訪れた子供たちに多く目撃された事から『ファンタジーランドで写真を撮ると映りこむ妖精』という都市伝説となった。
その後、迎えにレクリア星の大型宇宙船『プレジャーパーク』が来訪。
防衛軍と一触即発となってしまうが、コスモスの介入で事なきを得て、仲間と共に自分の星へ帰って行った。
かいじゅうステップワンダバダにも、デフォルメされた『ムゲちゃん』として登場している。
ウルトラナビ
『ウルトラマンオーブ・スペシウムシュトローム』
身長:50メートル
体重:5万トン
オーブが初代ウルトラマンとネクサスのフュージョンカードを使ってフュージョンアップした姿。
TV本編には登場していないアーケードゲーム『ウルトラマンフュージョンファイト!』のみで見れる姿。
顔つきはネクサスに似ており、カラータイマーもエナジーコア状になっているが、下半身の模様は初代ウルトラマンに近い。
必殺技は空中でインサイドループした後に胸と両手から二種類の光線を発射する『ウルトラフルバースト』
新話、投稿させて頂きました。
イズマエルの前に絶体絶命のゼロ達。
しかし、仲間達からの声援を受けて、オーブがスペシウムシュトロームへフュージョンアップ。
オーブ出すと決めた時、スーツが無いフュージョンアップ形態を出したいと思ってまして。
後に登場予定の後輩も、ゲームのみの形態が登場するかも?
ゼロのファイナルウルティメイトゼロ発射までの時間を稼ぎ、見事勝利します。
そしてそれをさり気無くアシストした存在………
お待たせしました!
闇の人こと、ジャグラス ジャグラー登場です。
実は彼がこの地球にやって来た事で、ガイもやって来て、レイラやクラーラに出会ったのです。
幼女に好かれるジャグラー………面白いと思いませんか?
そして彼がこの後何処へ向かったかは、言うまでもありませんね?
そして、レイラとクラーラ、ガイは一旦離脱となります。
残念ながら、この地球はまだ宇宙人と共存出来る環境に無いですからね。
でも、さくらが約束した様に、何時かはそうなる時が来るでしょう。
さて、次回は幕間であり、初穂回です。
ゲーム原作には事実上彼女の回が無かったので、アニメのエピソードを元にオリジナルで作り上げます。
意外なウルトラシリーズのキャラも登場し、更に大きく物語が動く展開もありますので、お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。