新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『初穂の父』

チャプター2『初穂の父』

 

狐火怪獣 ミエゴン 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東雲神社の神楽殿………

 

「おお、来たか、お前等」

 

神楽殿上で、正式な巫女服に身を包み、右手に神楽鈴、左手に紙垂の付いた榊の枝を手にして予行演習を行っていた初穂が、誠十郎達の姿に気付いて声を掛ける。

 

「頑張ってるね、初穂」

 

「わあ~、雰囲気ありますね」

 

右手を上げて初穂にそう返すさくらと、初めて見る正式な巫女姿に感嘆するクラリス。

 

「そうしてると、正しく巫女だな」

 

「………オイ、そりゃあ、普段は巫女には見えないって言うのか? 隊長さんよぉ?」

 

誠十郎がそう言うと、途端に不満そうな様子を見せる初穂。

 

「あ、いや………そう言うワケじゃ………」

 

「へっ、如何せアタシはそうですよだ」

 

言い訳しようとした誠十郎だったが、初穂はすっかり臍を曲げてしまう。

 

「駄目よ、キャプテン。今のは」

 

『失言だったな』

 

「うう………」

 

アナスタシアとゼロに駄目出しされ、気落ちする誠十郎。

 

「コラ、初穂。折角来て下さった皆さんに、何だその言い草は」

 

とそこで、神殿の方の廊下から、神主らしき人物が現れ、初穂をそう りつけた。

 

「げっ!? 親父………」

 

「初穂のお父さん?………」

 

初穂が嫌そうな顔を見せると、あざみがその人物………初穂の父であり、東雲神社の神主・『東雲 仙吉(せんきち)』の姿を見やる。

 

「お久しぶりです、おじさん」

 

「やあ、さくらちゃん。久しぶり。大きくなったね」

 

顔馴染みであるさくらが最初に挨拶を交わす。

 

「帝国華撃団の皆さんですね。初穂の父の仙吉です。何時も初穂がお世話になっております」

 

そこで仙吉は、今度は誠十郎達の方に視線を向け、深々と頭を下げて挨拶する。

 

「お、オイ、親父、止めろよ! 恥ずかしい!」

 

「何を言ってるんだ。お前の仕事仲間の人達だろう。親として挨拶するのは当然だ」

 

「ったく、別に良いだろう、そんなの………」

 

「全く、誰に似たんだか………」

 

気恥ずかしさからそっぽを向いてしまう初穂を見て、仙吉は溜息を吐く。

 

「初めまして、仙吉さん。自分は帝国華撃団の隊長をさせて貰っている神山 誠十郎です」

 

そんな中で、帝国華撃団を代表して、誠十郎が仙吉に挨拶し、頭を下げる。

 

「貴方が神山さんですか。お噂は初穂からかねがねお伺いしております」

 

「オイ、親父! アタイは一旦下がるからな!」

 

とそこで、父親と一緒に居るのか耐えられなくなったのか、初穂が怒鳴る様にそう言いながら神楽殿を後にした。

 

「あ、待って初穂!」

 

「初穂さん!」

 

「初穂!」

 

「しょうがないわね………」

 

その後をさくら・クラリス・あざみ・アナスタシアが追う。

 

「やれやれ………あの年頃の娘は気難しくて敵いませんよ」

 

「ハ、ハハハ………」

 

呆れる仙吉の言葉に、誠十郎は苦笑いを返す。

 

「………ところで、神山さん。少し、お時間を頂いても宜しいですかな?」

 

とそこで、仙吉は真面目な表情になり、誠十郎にそう尋ねた。

 

「! ハイ………」

 

それを見て、誠十郎は真面目な話であると感じ、表情を引き締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

封印の祠の前にて………

 

「コレか! 封印の祠と言うのは!!」

 

封印の祠の前に立ったミスターGがそう声を挙げる。

 

以前、夜叉から挙げられた帝鍵と思われる物の報告の中に、東雲神社の封印の祠に奉納されている錦田小十郎景竜の刀が含まれていたのだ。

 

「妖怪を封じたと言う剣豪の刀………コレこそが帝鍵に間違い無い!」

 

ギラギラとした目でそう言うミスターG。

 

色々と考えれば筋道が立たない事に気付くのだが、最早使える手駒も無く、こんな事でさえ自分で動くしかない彼は非常に焦っており、正常な思考が出来なくなってきていた。

 

「フフフ、降魔皇様! 今幻都から解放致しますっ!!」

 

ミスターGは札が張られていた祠の扉を抉じ開けると、祀られていた景竜の刀を手に取る。

 

と、その瞬間!!

 

祠の中から火の玉が次々に出現し、ミスターGに襲い掛かった!!

 

「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

忽ち全身が燃え上がり、バタリとその場に倒れるミスターG。

 

火の玉はそのまま空へと昇って行き、空中で1つに合体して行ったかと思うと………

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

9つの尻尾に5本の角を持つ怪獣………

 

『狐火怪獣 ミエゴン』の姿が一瞬浮かび上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度、その時………

 

東雲神社の神殿の裏手の縁側………

 

そこに誠十郎と仙吉の姿が在った。

 

「初穂は如何ですか? 帝国華撃団の隊員として立派にやれていますか?」

 

「勿論です。隊長の俺が言うのも何ですが、彼女にはいつも助けられています」

 

「そうですか………」

 

誠十郎の言葉を聞いて、仙吉は空を見上げる。

 

「…………」

 

一方で、誠十郎はやや気を揉んでいた。

 

と言うのも、以前初穂から、父親は自分に神社を継がせる積りだと言うのを聞いており、ひょっとしたら初穂に華撃団を止めさせて欲しいとお願いされるのではないかと思っていたのだ。

 

(やはり初穂に神社を継がせる積りなのか………?)

 

『そうだとしたら、何としても説得するんだぜ、誠十郎。アイツはまだ華撃団を続ける積りなんだかんな』

 

(分かってる、ゼロ)

 

ゼロとそう言い合いながら、仙吉を見据える誠十郎。

 

「………神山さん。実を言うと、初穂にはこの神社を継いで貰いたいと思っていたのですよ」

 

(! 来たか!!)

 

仙吉がそう言ったのを聞いて身構える誠十郎。

 

「ですが、思い直しました」

 

「!? えっ!?」

 

『何っ!?』

 

しかし、続いた言葉が思わぬモノであり、ゼロと共に驚きの声を挙げてしまう。

 

「失礼ですが、あの子が入ったばかりの頃の帝国華撃団は、名ばかりの没落華撃団だと思っていました」

 

「それは………」

 

『否定出来ない………つーか、紛れも無い事実だな』

 

まだ入隊したての酷い有様だった頃を思い出し、誠十郎とゼロは心の中で同意する。

 

「幼馴染のさくらちゃんが入ったからその付き合いで入ったのだとばかり考え、何度も神社を継ぐ様に言いました。しかし、あの子は諦めなかった」

 

「…………」

 

「そして、今や帝国華撃団は嘗ての栄光を取り戻し、事実上WLOFに代わる新たな守り手となったウルティメイト華撃団の中心組織となった。日々、降魔だけでなく、怪獣や宇宙人相手に奮戦している話は聞き及んでいます」

 

「恐縮です」

 

「私から見ても、あの子はもう立派な華撃団の隊員です。親としては危ない仕事からは引いて欲しいと言う気持ちも有りますが………あの子の好きな様にさせてやろうとも思ったのです」

 

「仙吉さん………」

 

「神山さん………どうか初穂の事を、これからもよろしくお願いします」

 

そう言って仙吉は誠十郎の方へ向き直り、深々と頭を下げる。

 

「………ハイ。帝国華撃団の隊長として、初穂は責任を持ってお預かりします」

 

それに対し、誠十郎は表情を引き締め、姿勢を正して毅然とした態度でそう返すのだった。

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

 

 

『! 誠十郎! 怪獣の気配だっ!!』

 

(!? 何っ!?)

 

ゼロが怪獣の気配を感じ取り、誠十郎が驚きを示した瞬間………

 

上空に巨大な火の玉が現れる!

 

「!?」

 

「アレはっ!?」

 

仙吉と誠十郎が火の玉を見上げた瞬間………

 

火の玉は大量の火花を散らして爆発!!

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

その爆煙の中から、ミエゴンが咆哮と共に姿を現した!!

 

「怪獣っ!!」

 

『『狐火怪獣 ミエゴン』だ!』

 

ゼロが、それが嘗て別の地球で『ウルトラマンタロウ』が戦った『狐火怪獣 ミエゴン』であると指摘する。

 

「狐?………!? まさか、封印の祠に封じられていた9尾の狐と言うのは!?………」

 

「神山隊長ーっ!!」

 

「こんな所に怪獣がっ!?」

 

誠十郎がまさかと考えていると、騒ぎを聞きつけたさくら達がやって来る。

 

「まさか………封印の祠が!?」

 

「うわーっ! 怪獣だぁーっ!!」

 

「キャーッ!!」

 

「助けてくれーっ!!」

 

仙吉がそう言った瞬間、縁日に来ていた人々もミエゴンの姿を確認し、慌てて逃げ出し始める。

 

「マズイわ………このままじゃパニックが起こるわよ」

 

「クッ! 皆! すぐに避難誘導に!………」

 

アナスタシアの言葉に、誠十郎は皆に避難誘導に向かうよう指示を出そうとしたが………

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

まるでそれを察知したかの様に、ミエゴンが動き出す。

 

しかも、縁日に来ていた人を狙うかの様に。

 

「! 怪獣がコッチに来ますっ!!」

 

「このままじゃ………」

 

クラリスが声を挙げ、あざみも苦い顔をする。

 

「初穂! すぐに封印の祠へ行くんだ!!」

 

とそこで、仙吉が初穂にそう呼び掛けた。

 

「!? 封印の祠に!?」

 

「アレはきっと景竜様が封じたと言う9尾の狐! それが蘇ったと言う事は封印の祠が破られたと言う事だ! 急げっ! 怪獣は父ちゃんが食い止める!!」

 

「!? ハアッ!? 食い止めるって………」

 

何を言うんだと初穂が返そうとしていると、仙吉は神殿の壁に奉納されていた槍を手にし、ミエゴンに向かって行った!!

 

「行くぞぉっ!!」

 

「!? 馬鹿!! 何考えてんだ、親父っ!!」

 

無謀としか言えない行動に、初穂は慌てて仙吉の後を追う。

 

「初穂っ!!」

 

「神山隊長! ど、如何しますっ!?」

 

混沌としてきた状況に、さくらは誠十郎に指示を求める。

 

「クッ! さくら達は避難誘導へ向かってくれっ! 俺は封印の祠を確認してから初穂の方に向かう!」

 

「! 分かりましたっ!!」

 

誠十郎はそう指示を出し、さくら達は縁日に来ていた人々の避難誘導に向かった。

 

『誠十郎、代われっ! 初穂の方も気になる! 急いで封印の祠を確認して向かうぞっ!!』

 

「分かった!………よおし! 行くぜっ!!」

 

そこで誠十郎は主導権をゼロに渡し、封印の祠へと駆けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ミエゴンへと立ち向かって行った仙吉は………

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

咆哮を挙げ、人が居る方向に向かって歩みを進めるミエゴン。

 

「オノレ、化け物っ!! イヤーッ!!」

 

と、その真ん前に辿り着いた仙吉が、手にした槍を振り回しながら、ミエゴンに向かって行く。

 

「! 親父っ!!」

 

僅かに遅れてやって来た初穂が、その無謀以外の何ものでもない行動に悲鳴の様な声を挙げる。

 

「イヤーッ!!」

 

勢い良く突進して行った勢いでミエゴンの足に槍を突き刺す仙吉。

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?

 

サイズ差が有るので全然効いていないが、何か異変が起きた事を察したミエゴンが困惑した様な様子を見せる。

 

「イヤーッ! タアァーッ!」

 

そんなミエゴンの様子など露知らず、仙吉は槍を振り回して何度もミエゴンの足を突き刺す。

 

「止めろ、親父! 敵うワケねえだろっ!!」

 

追い掛けて来たのは良いものの、ミエゴンに圧倒され、近寄るに近寄れない初穂が、必死になって仙吉に向かって叫ぶ。

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

と、段々と鬱陶しくなったのか、ミエゴンが遂に仙吉に視線を向ける。

 

「オイ、怪獣! コッチだ! コッチに来い!!」

 

すると仙吉は挑発する様に槍を振り回し、ミエゴンにそう呼び掛ける。

 

キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

 

それを理解したのか、単に鬱陶しい奴を始末してやろうと思ったのか分からないが、ミエゴンは仙吉を標的に定める。

 

「良し、来いっ!!」

 

仙吉はそう言い、ミエゴンを人の居ない方へと誘導し始める。

 

「! 親父っ!!」

 

そこで初穂は慌てて我に返り、再度ミエゴンに追われる仙吉を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………

 

封印の祠へと向かった誠十郎は………

 

「! 祠がっ!?」

 

祠の扉が開け放たれているのを見て驚きを露わにする誠十郎。

 

尚、ミスターGの姿は無く、如何やら逃げ帰った様である。

 

『やっぱりあの怪獣は此処に封印されたのか!』

 

「まさか伝説の妖怪が怪獣だったとは………」

 

ゼロの言葉を聞きながら、更に祠を観察する誠十郎。

 

すると、祠の前の地面が焼け焦げ、刀が落ちている事に気付く。

 

「! コレは!?」

 

それは封印の要にされていた景竜の刀であると確認した誠十郎が、刀を拾い上げる。

 

と、その瞬間!!

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

 

「親父いいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」

 

「!?」

 

仙吉と初穂の悲鳴が聞こえて来て、誠十郎は反射的に、刀を持ったまま声が聞こえて来た方向へと駆け出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

初穂の父ちゃんが登場。
名前・性格などはオリジナルです。
年頃の初穂から鬱陶しがられてますが、理解有る良い父親です。
そしてウルトラマンタロウの世界の住人に片足突っ込んでます(笑)
民間人が生身で果敢に怪獣に挑んで行く………
ウルトラマンタロウでは良くある事です(爆)

そんなウルトラマンタロウから、狐火怪獣 ミエゴンが登場。
ミスターGが余計な事をしたせいで、封印が解かれてしまいました。
ウルトラシリーズあるある。
封印されている怪獣は、大体蘇る。

勇敢に立ち向かって行った仙吉ですが、果たして………

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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