チャプター3『初穂の決意』
狐火怪獣 ミエゴン 登場
東雲神社の境内………
「そら、コッチだ! コッチへ来いっ!!」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
槍を振り回してミエゴンを挑発しながら、人の居ない方へと誘導する仙吉。
「親父ぃっ! もう良い! 早く逃げろっ!!」
その後を追っている初穂は、もう気が気で無い。
と、その時!!
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
小賢しく逃げ回る仙吉に堪忍袋の緒が切れたのか、ミエゴンの口から火炎放射………狐火が放たれる!!
「!? うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」
狐火が仙吉の元へ伸びたかと思うと爆発!
仙吉が人形の様に吹き飛ばされる。
「!? 親父いいいいいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!」
初穂はが悲鳴の様な声を挙げて、慌てて駆け寄る。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
ミエゴンは目障りな奴を片付けて満足したのか、踵を返して、再び人の居る方へと向かって行く。
「親父! しっかりしろ!!」
その横を擦り抜ける様にして仙吉の元へ辿り着いた初穂が、その身体を支え起こす。
「う、ううう………」
仙吉は全身に酷い火傷を負っており、呻き声を漏らす。
「馬鹿野郎! 何やってんだ!?」
「初穂!!」
とそこへ、景竜の刀を手にしたままの誠十郎が現れる。
「! 隊長さん! 親父が! 親父が!!」
「! 仙吉さん!」
仙吉の姿を確認した誠十郎が慌てて駆け寄る。
「隊長ーっ!!」
「避難誘導は終わったわっ!!」
とそこで、さくらとアナスタシアの声が響いて、花組メンバーが現れる。
「! 初穂さんのお父さん!?」
「大変! すぐに手当てしないと!!」
そこでクラリスが火傷を負って倒れている仙吉の姿に気付き、あざみが忍者道具の1つとして持ち歩いていた救急セットを取り出す。
「親父! しっかりしろっ!!」
「は、初穂………良く聞きなさい………」
とそこで、仙吉が初穂に何かを言おうとする。
「仙吉さん! 喋らない下さい! 傷に障ります!」
「人には自分の損になると分かっていても………人の為に働かなくちゃならん時ってのがあるんだよ………」
傷に障ると言う誠十郎だが、仙吉は構わず話し続ける。
「………その時、決して逃げ出しちゃならない………分かるだろう? 初穂?」
「!!」
仙吉の言葉に目を見開く初穂。
それは正に、華撃団として戦う事への精神そのものだった。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?
とそこで、ミエゴンの咆哮と共に爆発音が聞こえて来た。
「「「「「「!!」」」」」」
見ると、現着した翔鯨丸が、ミエゴンに向かって砲撃を行っていた。
『皆さん! お待たせしました!!』
『今無限を射出するでぇっ!!』
反撃のミエゴンの火炎放射を避けながら、翔鯨丸からカオルとこまちの声が響いたかと思うと、誠十郎達の無限と、さくらの三色光武が射出される。
「良し! 全員搭乗! 初穂! 君は仙吉さんを安全な場所へ!!」
「! 分かったっ!!」
誠十郎の号令で、花組メンバーは三式光武と無限に搭乗。
そして初穂機が、応急処置を済ませた仙吉を連れて離脱する。
「「「「「帝国華撃団! 参上っ!!」」」」」
残る誠十郎達が、ミエゴンに向かって見えを切る。
「行くぞっ!!」
「「「「了解っ!!」」」」
そして一斉にミエゴンへ向かって行った。
一方、仙吉を連れて離脱した初穂は………
「………お願いします」
「お任せ下さい!」
安全圏まで離脱すると、待機していた救急隊員に仙吉を託す。
「…………」
そして、去り際に一瞬振り返りながらも、すぐに他のメンバー同様にミエゴンの元へ向かった。
『人には自分の損になると分かっていても………人の為に働かなくちゃならん時ってのがあるんだよ………その時、決して逃げ出しちゃならない………分かるだろう? 初穂?』
脳裏に先程の仙吉の言葉が反復する。
(………あの時、アタシの脳裏に先ずさくらの姿が浮かんだ)
その言葉を聞いた時、初穂の脳裏にはさくらの姿が浮かんでいた。
没落華撃団だった頃からずっと前向きで、決して諦める事をしなかったさくら。
一方の自分は、何処か諦めていた節が有った。
(………正直アタシは………さくらに劣等感を感じてたのかも知れねえ)
さくら達と比べて、自分にはコレと言うモノが無い………
帝撃に入隊したのも、目指すものを見つける為であり、さくらの様に誰かを守り、助ける為の『強さ』を身に付けようとしてと言う所も有った。
(まだ自分なりの強さっての分からない………けど!)
そこで初穂は、モニター越しにミエゴンの姿を見据える。
「今此処で………逃げ出しちゃならねえって事は分かる!!」
初穂のその言葉と共に、彼女の無限はハンマーを握り締め、更に速度を上げるのだった。
ミエゴンVS花組………
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
咆哮と共に火炎放射を足元に居た花組に見舞うミエゴン。
「散開っ!」
「「「「!!」」」」
しかし、花組は誠十郎の声で散開して躱す。
「そこっ!!」
「えいっ!!」
そしてアナスタシア機とクラリス機から、氷の銃弾と魔導弾が見舞われる。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?
身体中から火花を伴った爆発が次々に上がり、ミエゴンは怯んだ様子を見せる。
「にんっ!!」
「ヤアアッ!!」
そこであざみ機とさくら機がジャンプし、クナイを飛ばして、刀で斬り付ける。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!?
「良し! 一気に決めるっ!!」
と、更に怯んだ様子を見せたミエゴンに向かって、誠十郎機が必殺技を繰り出す!!
「闇を斬り裂く、神速の刃! 縦横無刃・嵐っ!!」
必殺の縦横無刃・嵐が炸裂する!!
………かに思われた瞬間!!
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
ミエゴンの5本有る頭の角先から爆発が上がったかと思うと、白い煙がシャワーの様に広がり………
ミエゴンの姿が消えてしまった!!
「!? 何っ!?」
誠十郎機は、ミエゴンが居た位置を素通りして終わる。
「消えたっ!? 奴は透明になれるのか!?」
と、誠十郎が驚きの声を挙げた瞬間………
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
花組の背後を吐く様にミエゴンが再出現!!
不意を突く様に火炎放射を放った!!
「!? 危ないっ!!」
「「「「!?」」」」
間一髪の所で誠十郎が反応し、花組メンバーも慌てて散会し、難を逃れる。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
しかし、その間にミエゴンはまた姿を消してしまう。
「また消えたっ!?」
「クラリス! ゼットンを出せないの!?」
「すみません。まだ前の戦いのダメージが癒えてなくて………」
さくらが声を挙げると、アナスタシアがクラリスにゼットンを出せないかと問うが、クラリスはまだイズマエルから受けたダメージが癒えていないと返す。
そこで、空中にミエゴンの姿が現れたかと思うと、花組を踏み潰そうと落下して来る。
「! 危ないっ!!」
「「「「!!」」」」
今度はあざみが声を挙げて、またも散開する花組。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
「!? うおわあっ!?」
しかし、1番距離の近かった誠十郎機が、衝撃波に煽られて地面を転がる。
運悪く、転がされた先は坂となっており、誠十郎機は転がり落ちて行った。
「おわああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」
「! 隊長っ!!」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
さくら機が救援に向かおうとしたが、そうはさせないとミエゴンが火炎放射を見舞う。
「キャアッ!?」
直撃が避けたものの、炎の壁が出来て、誠十郎機の元へは向かえなくなる。
「隊長っ!!」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
さくらの声が響く中、ミエゴンが咆哮を挙げ、再度姿を消す。
その次の瞬間には、別の方向から火炎放射が見舞われる。
「! くうっ!!」
アナスタシア機が咄嗟に、伸びて来た火炎に向かって氷の弾丸を連射し、相殺する。
「待たせたなっ!」
とそこへ、漸く初穂機が到着する。
「初穂!」
「ん? オイ、隊長さんは如何した!?」
「それが………」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
誠十郎機の姿が見えない事を問い質そうとした瞬間、またも何も無い空間から火炎が伸びて来る。
「!? おわっ!? 何だっ!?」
「初穂! 気を付けて! 敵は透明になれる能力を持ってる!」
驚きながらも初穂機が回避すると、あざみからそう声が飛んだ。
「何だとっ!? クソォッ!! 厄介な奴だぜっ!!」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
そう言っている間にも、再度ミエゴンの咆哮と共に、先程とは別方向から火炎が伸びて来る。
「おわっ! チキショーめっ!!」
何とか回避しながらも、初穂は悪態を吐くのだった。
一方、その頃………
転がり落ちた誠十郎機は………
「クッ! マズイな………」
坂の下まで辿り着き、漸く止まった誠十郎機だったが………
既に周りはミエゴンが放った狐火で炎に包まれており、脱出出来る場所が無い。
『誠十郎! 後は俺に任せろっ!!』
「ゼロ、頼む!」
そこでゼロは自分の出番だと言い、誠十郎はウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出す。
「デュワッ!!」
ウルトラゼロアイを目に装着した誠十郎の姿がゼロへと変わる。
そして、光となって無限から飛び出して行った。
と、それから少しして………
突如無人となっていた無限のハッチが、独りでに開く。
中から、誠十郎が流れで持ち込んでしまっていた景竜の刀が、青白い光に包まれて浮かび上がる。
そして、まるでゼロを追う様に空を飛んだのだった。
再び、ミエゴンと戦う花組メンバーは………
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
「そこっ!!」
「当たって下さいっ!!」
姿を現したミエゴンに向かって、アナスタシア機とクラリス機が氷の弾丸と魔導弾で攻撃するが、命中する寸前でミエゴンの姿が消えてしまう。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
「! そこかっ!!」
「ハアアァァァーーーーッ!!」
と、別の場所にミエゴンが姿を見せると、初穂機とさくら機が向かう。
しかし、辿り着いたと思った瞬間に、またも姿を消すミエゴン。
「ああ、クソッ! コレじゃ鼬ごっこだぜ!!」
「初穂、相手は狐………」
「そう言う意味で行ったんじゃねえよっ!!」
あざみからのツッコミに苛立ちからか怒鳴り返す初穂。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
とそこで、またもミエゴンが姿を現す。
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
しかしそこで、ミエゴンは空に向かって火炎放射を開始。
「? 何っ?」
「「「「??」」」」
何の積りかと花組メンバーが見上げていると………
何と放たれていた火炎が球形に纏まり出し、巨大な火球と化した!!
「「「「「!?」」」」」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
花組メンバーが驚愕の表情を浮かべた瞬間、ミエゴンは咆哮を挙げ、巨大火球は花組メンバーに向かって降り注いだ!
「!? 嘘だろっ!?」
「み、皆さん! 早く逃げないと!!」
「駄目よ………もう間に合わない………」
初穂とクラリスが慌て、アナスタシアが思わず諦めの声を漏らす。
花組絶体絶命か!?
と、その時!!
「オリャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!」
ウルトラゼロキックの体勢で飛んで来たゼロが、巨大火球を蹴り砕く!!
「フッ!!」
「「! ゼロさんっ!!」」
着地を決めたゼロに、さくらとクラリスが歓喜の声を挙げる。
「俺はゼロ! ウルトラマンゼロだ!!」
キュリラアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!
そして、咆哮を挙げるミエゴンに向かって、高らかに名乗りを挙げるのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
ミエゴンを誘い出す仙吉でしたが、とうとうその狐火の餌食になってしまいます。
しかし、それでも尚、初穂に誰かの為に戦う事を説いてみせる。
元ネタはウルトラマンタロウ第26話『僕にも怪獣は退治できる! 』からです。
あの台詞はヒーローは何故戦うのか言うのを表現した名言だと個人的に思ってます。
姿を消せるミエゴンに苦戦する花組ですが、ゼロも参戦。
そして、景竜の刀が………
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。