そしてウルトラシリーズ55周年!!
半世紀以上も続く日本特撮の傑作!!
これからもウルトラの星の輝きのあらん事を!!
そして新作!
ティガリスペクトの『ウルトラマントリガー』も本日より放送開始です。
チャプター1『さくらの苦悩』
第6話『さくらと小さな英雄』
チャプター1『さくらの苦悩』
友好珍獣 ピグモン 登場
にせ真宮寺 さくらと夜叉(SR)軍団の襲撃から数日後………
華撃団大戦準決勝の相手が、英吉利の『倫敦華撃団』に決まった。
優勝常連チームである伯林華撃団に匹敵すると言われている倫敦華撃団………
コレまで以上に厳しい戦いになると予測された。
花組メンバーは闘志を燃やしながら、舞台稽古にも精を出す。
そんな中で………
帝劇・舞台………
にせ真宮寺 さくらによって破壊された舞台だったが、イデや令士を始めとした裏方スタッフ総出の大修理で………
奇跡的に使用可能な状態まで修復する事が出来た。
そして今、花組メンバーは次の公演『キラー ザ ビートスター』の稽古を行っていた。
「…………」
その中で、ボンヤリとしている様子を見せているさくら。
「オイ、さくら! 何やってんだ!?」
「えっ?………」
「次! お前の台詞だろうがっ!!」
「あっ!?………」
初穂の怒鳴り声が響き、稽古が中断される。
「如何したんですか? さくらさん」
「稽古中にボーッとするなんて、さくららしくない」
「………ごめんなさい」
クラリスとあざみが心配そうにそう言うが、さくらは俯いてそう返すだけだった。
「さくら、やる気が無いのなら舞台を降りなさい。そんな人間に居られても邪魔なだけよ」
とそこで、舞台に対し人1倍厳しいアナスタシアから、そんな声が飛ぶ。
「………ハイ」
すると何と!
さくらは言われるがままに舞台を降り、退場してしまった。
「!? さくらっ!?」
「「「!?」」」
コレには初穂達も仰天した。
例え失敗しても、挫けずに立ち上がるさくらが、まるで全て諦めてしまった様に覇気が無くなってしまった事が信じられなかった。
「さくら! 一体如何したんだ!?」
「…………」
舞台袖で稽古の様子を見守っていた誠十郎も、驚愕を露わに問い質したが、さくらは何も答えず、その脇を擦り抜けて、大道具部屋から外へ出て行った。
「さくら………」
『オイオイ、如何しちまったってんだ?』
見た事も無いさくらの様子に、ゼロも困惑を隠せない。
「神山!」
「神山さん」
「誠十郎………」
「キャプテン………」
とそこで、初穂達が誠十郎の元へ集まって来る。
「皆………」
「さくらさん………如何しちゃったんでしょう?」
「さくらが稽古を途中で居なくなるなんて………1度も無かった」
「あんだけ舞台に情熱を向けてたってのによぉ………」
「正直、私も信じられないでいるわ………」
全員が困惑を隠せておらず、口々にさくらを心配する。
「俺にもさっぱりだよ。兎に角、さくらと話して来る。皆は稽古を続けててくれ」
誠十郎は自分が話して来ると言い、初穂達には稽古を続ける様に促すのだった。
帝劇2階・さくらの部屋の前………
「さくら。俺だけど、ちょっと良いかな?」
さくらの部屋の前に立った誠十郎が、ドアをノックした後にそう尋ねる。
「………どうぞ」
部屋の中から、何時ぞやアナスタシアに弟子入りを一旦断られた時よりも覇気の無いさくらの声が帰って来る。
『こりゃ本格的に参ってるな』
「………失礼するよ」
ゼロがそう言うのを聞いて、一瞬躊躇しながらも、誠十郎はさくらの部屋に足を踏み入れる。
「…………」
さくらは、あの時と同じ様に、壁に貼られた初代帝国華撃団の公演ポスター………
そのポスターに描かれた『真宮寺 さくら』の姿をボーッと見ている。
「さくら………」
「…………」
誠十郎が傍に寄るが、さくらは『真宮寺 さくら』の方を向いたままだ。
「一体如何したんだ? 稽古中にボーッとするどころか、途中で舞台を降りるなんて………さくららしくないぞ」
「…………」
『こりゃ重症だぜ………』
沈黙し続けるさくらの様子を見て、ゼロはそう呟く。
「………神山隊長。隊長は何にも思わないんですか?」
とそこで、長い沈黙を破って、さくらは吐露する様に誠十郎にそう尋ねた。
「? 何がだい?」
「私達………帝国華撃団についてです」
「華撃団について? ひょっとして、真宮寺 さくらさんが居た帝国華撃団みたいに活躍出来てないと思ってるのか?」
「…………」
黙り込んださくらを見て、誠十郎は図星だと推測する。
「そんな事は無いさ。確かに、まだ嘗ての帝国華撃団には及ばないかも知れないが、俺達だって立派にやって来た。再興は果せているさ」
「でも! 怪獣や宇宙人が現れたら、結局最後はゼロさんに頼るしかないじゃないですか!!」
「!? それは!?」
『………そう言う事か』
そう言い返して来たさくらに、誠十郎は思わず目を見開き、ゼロは納得が行った様な様子を見せる。
「私達華撃団がどんなに頑張ったって、結局最後に怪獣や宇宙人を倒すのはゼロさんや他のウルトラマンさん達………私達なんて、大抵役に立っていないじゃないですか。ううん、いっそ華撃団だって、ウルトラマンさん達さえ居れば、必要無い存在なんじゃないですか!!」
「! さくら! 言い過ぎだぞっ!!」
吐き捨てる様にそう言うさくらに、誠十郎は思わず怒鳴る。
「誠兄さんに私の気持ちなんて分からないでしょう! 憧れの人の事を汚す奴に手も足も出せずに、結局ゼロさんに助けて貰った情けない私の気持ちなんか!!」
「!?」
『あの時の事か………クソッ! 何で気付けなかったんだ!!』
しかし、そう怒鳴り返されて、誠十郎は黙り込み、ゼロもにせ真宮寺 さくらが襲撃して来た時にその事に気付けなかったのを呪う。
「出てって下さい………」
「さくら………」
「出てってっ!!」
話を続けようとする誠十郎だったが、さくらはコレ以上話したくないと強い拒絶を見せる。
「…………」
その様子に、誠十郎は黙ってさくらの部屋を出て行くしかなかった。
少しして………
帝劇支配人室にて………
「そう………天宮さんがそんな事を………」
さくらの部屋を後にした誠十郎は、その足ですみれの元を訪れていた。
「申し訳ありません。自分が気付かなかったばかりに………」
「神山くんのせいじゃないわ」
頭を下げる誠十郎に、すみれはやんわりとそう返す。
「それに………彼女の思いは私にも良く分かるわ」
「支配人………」
「悲しいけど、今の私達はゼロやウルトラマンの方達の力を頼らないと怪獣や宇宙人とは戦えない………それが現実ですわ」
エボルトラスターを手にし、苦い顔でそう漏らす様に言うすみれ。
華撃団の戦力だけで怪獣や宇宙人を退けた事が無いワケではないが、その戦果は数えられる程しかない。
「………ですが、何時までもその厚意に甘んじる積りはありません。帝都、そして地球は、この星で生きている私達自身の手で守らなければならないのです」
『その通りだぜ』
すみれのその言葉に、ゼロも口を挟んで来る。
『本当は俺達に頼らずに、地球人が自分達の力で地球を守るのが正しい。俺達のやってる事は、飽く迄それが出来る様になるまで手助けだ』
「ゼロ………」
ゼロの言葉に、誠十郎も同意する様に声を出す。
「兎も角、天宮さんの事は任せたわよ、神山くん」
「ハイ。明日、もう1度さくらと話してみます」
最後にそう言い合うすみれと誠十郎。
しかし………
事態は思わぬ方向へと進む事となる………
◇
翌日………
帝劇2階・誠十郎の部屋………
早朝からけたたましく鳴るノックの音で、誠十郎は目を覚ます。
「ふああ~~………何だ、こんな朝早くから?………」
まだ開き切らない目を擦り、覚醒し切れていない頭で起き上がりながら、誠十郎は部屋のドアを開ける。
「神山!!」
「!? おうわっ!?」
途端に初穂が怒鳴り込む様に姿を見せ、寝ぼけていた誠十郎の意識は一瞬で覚醒。
「神山さん!」
「誠十郎!」
「キャプテン!」
更に初穂の後ろには、クラリス・あざみ・アナスタシアが控えていた。
「皆………一体如何したんだ、こんなに朝早くから揃って………」
「さくらの奴が居ねえんだっ!?」
「!? 何だってっ!?」
初穂の言葉で、驚愕を露わにする誠十郎。
「昨日の様子が気になって、皆目が覚めた」
「それでさくらさんの様子を見に行ったんですけど………」
「部屋のドアが開いていて、机の上にコレが有ったの」
クラリスとあざみがそう言い、アナスタシアが1枚の便箋を手渡して来る。
そこにはさくらの字で『探さないで下さい』とだけ書かれていた。
「! さくら………」
『まさかそこまで悩んでたとはな………』
誠十郎とゼロは、さくらの気持ちに気付けなかった己を呪う。
「神山! 一体全体、さくらは如何したってんだよ!?」
「………実は」
誠十郎は昨日さくらが言っていた事を皆に話す………
「そう………それであんなに落ち込んでたってワケね………」
「さくらさんは人1倍、華撃団の隊員である事に誇りを持ってましたから………」
アナスタシアが納得が行った表情となり、クラリスは同情の様子を見せる。
「ふざけんなよ! 勝手に悩んで勝手に居なくなりやがって!!」
とそこで、初穂が怒りの様子を露わに駆け出そうとする。
「初穂! 何処へ行くんだ!?」
「決まってんだろ! さくらを連れ戻すんだよ!!」
「でも、肝心のさくらが何処に居るか分かるの?」
「ぐうっ!………」
誠十郎の問い掛けにそう返す初穂だったが、続くあざみの言葉を聞いて苦い顔をして足を止める。
「………ひょっとすると」
「心当たりが有るの? キャプテン」
そこで、誠十郎が心当たりが有る様な様子を見せ、アナスタシアが訪ねて来る。
「ああ………兎に角、皆。さくらの事は俺に任せてくれ。必ず連れて帰る」
誠十郎は初穂達に向かってそう宣言する。
「………頼むぜ、神山」
「お願いします………」
「頑張って」
「期待してるわよ、キャプテン」
「…………」
初穂・クラリス・あざみ・アナスタシアがそう返すのを聞きながら、誠十郎は頷く。
そして、すみれから外出許可を貰い、さくらを連れ戻しに出るのだった。
◇
一方、その頃………
そのさくらは………
帝都郊外にとある1軒家………
「…………」
その家の縁側に、相変わらず暗い表情で、脇に天宮國定を置いた状態で、さくらは座り込んでいた。
「急に帰って来たから驚いたぞ………」
その隣には、ガタイの良い髭を生やした男の姿が在った。
「お父さん………」
僅かに視線をその男………父である刀鍛冶の『天宮 鉄幹』へと向けるさくら。
「大方、何かやらかしたんだろう………」
「…………」
割と容赦の無い鉄幹の言葉にも、さくらは俯いたまま何も返さない。
「それで逃げて来たってワケか。此処に来たってのは、そう言う事だろ」
そこで鉄幹は縁側から立ち上がる。
「家に居たいなら好きなだけいろ。此処はお前の家なんだから」
「………お父さん」
「ゆっくりと休め………」
そう言い残してその場を後にする鉄幹。
年頃の娘に対する不器用な父親の優しさだった………
「…………」
鉄幹が去った後も、只俯いて縁側に座り込んでいるさくら。
その様子は、まるで生ける屍の様だった………
「…………」
と、不意に立ち上がったかと思うと、天宮國定を残して、フラフラしながら何処かを目指して歩き出したのだった………
さくらの実家・鍛冶小屋………
フラついているさくらが辿り着いたのは、父・鉄幹の仕事場である鍛冶小屋だった。
「…………」
その鍛治小屋の隣に在った納屋の中へと足を踏み入れるさくら。
「………まだ有ったんだ」
そして、壁に立て掛けられ、埃を被っていた1本の木刀を手にする。
良く見ると、柄の部分に平仮名で『れいけんあたらか』と書かれていた。
「懐かしいな………」
懐かしむ様な表情となるさくら。
それは幼少期、真宮寺 さくらに憧れていた彼女が、その愛刀である『霊剣荒鷹』の積りで振っていた木刀だった。
幼き頃故、字を間違えて『あたらか』と書いてしまったのだが………
「ははっ、馬鹿だな、私………でも、今の私が有るのはコレのお陰………」
『れいけんあたらか』を優しく撫でるさくら。
するとそこで、その近くに在った二振りの木刀に目が行く。
「あ、コレ………」
それを見たさくらの脳裏に、誠十郎の顔が浮かぶ。
それは鉄幹が誠十郎の為に作った物であり、コレを使って幼き日のさくらと共に剣の稽古に励んでいたのだ。
「私が隊長なら二刀流だって言って、それに誠兄さんは付き合ってくれて………」
とそこで、さくらは納屋から見えていた1本の木に視線を向けた。
「…………」
『れいけんあたらか』を手にしたまま、その木の元へと向かうさくら。
それは大きな桜の木であり、良く見ると幹に3本の爪痕の様な傷が刻まれていた。
「あの時、降魔が突然現れて、この桜の木を………その時に颯爽と現れて、降魔を倒してくれたのが、真宮寺 さくらさん」
さくらの脳裏に蘇る降魔を一刀の元に斬り捨てた真宮寺 さくらの姿。
彼女が帝国華撃団に入ろうと志す切っ掛けとなった出来事………
さくらの原点であり、原動力だった。
この場所は彼女にとってとても大切な場所だった。
『誓い』と『約束』………
彼女が彼女である為の思い出の場所………
真宮寺 さくらと出会い、彼女の様になると誓った………
そしてもう1つ………
実はさくらは、幼少期の誠十郎と、ある約束を交わしていた。
それも彼女にとって、大切な思い出だった。
「誠兄さん………」
その約束を思い出して頬を染めるさくら。
だがすぐにまた暗い表情となった………
(私は華撃団から逃げ出した………例え誠兄さんが約束を覚えてくれていたって、もう関係無い事じゃない………)
そう思ったさくらの脳裏に、にせ真宮寺 さくらとゼロの事が過る。
(私なんて………華撃団なんて、ゼロさんやウルトラマンさん達が居れば必要無い………)
またそんな思いが胸中に渦巻き出す。
と、その時………
さくらが立っている桜の木の裏側で音がした。
「?………」
何かと思って、桜の木の裏側を覗き込むさくら。
すると、何か動くモノが在った。
「? 誰………?」
そこでさくらは、桜の木の裏へと回り込む。
そこに居たのは………
キュイキュイキュイ~
赤いサンゴの様な身体に白い手足と尻尾を持った小さな怪獣だった!
「!? か、怪獣っ!?………!? キャアッ!?」
驚いたさくらは思わず後退り、尻餅を着いてしまう。
「いった~い………」
キュイキュイキュイ~!
と、さくらが痛がっている様子を見せると、怪獣は近寄って来て、その傍に座り込んだ。
「えっ?………」
キュイキュイキュイ~
驚くさくらに向かって、怪獣は声を掛ける様に何度も鳴き声を挙げる。
「………もしかして、心配してくれてるの?」
キュイキュイキュイ~
さくらの言葉を肯定するかの様に声を挙げる怪獣。
「………ありがとう、大丈夫だよ」
そう言ってさくらが立ち上がると、怪獣も立ち上がる。
「貴方………悪い怪獣じゃないんだね」
自分を心配してくれた事と、クラリスのゼットンの事を思い出し、さくらはそう判断した。
キュイキュイキュイ~
それを肯定するかの様に、小さな怪獣………
『友好珍獣 ピグモン』は鳴き声を挙げるのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
いよいよ本作のメインヒロインであるさくら回です。
普通メインヒロイン回って最後の方になるんですが、アナスタシアは彼女の設定の特殊さ故に、最後となります。
さくらには他のメインヒロインとしてイベントを入れる予定なので、お楽しみに。
後半には倫敦華撃団戦も入れる予定ですので、今回もチャプターが長くなるかと。
ご了承ください。
そしてそんなさくらですが………
にせ真宮寺 さくらの件で自信を喪失し、華撃団の存在にさえ疑問を覚えてしまいます。
そして、逃げる様に実家へと帰省。
そこで出会ったのは………ピグモン!?
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。