新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『怪獣酋長』

チャプター2『怪獣酋長』

 

友好珍獣 ピグモン 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都中央駅・大帝国ホテル………

 

アーサーの部屋………

 

「アーサー。本国から連絡があったの?」

 

アーサーの部屋に呼び出されたランスロットが、部屋に入るなりアーサーにそう尋ねる。

 

「ランスロット、ノックぐらいしたら如何だい?」

 

そんなランスロットに溜息を吐きながらも、半ば諦めた様子を見せるアーサー。

 

「今し方決まったそうだよ………次の世界華撃団大戦の準決勝。その勝敗に関わらず、我が倫敦華撃団はWLOFを離脱する事となった」

 

「ふ~~ん、そっか………」

 

それを聞いたランスロットは、椅子に腰掛ける。

 

「流石に本国も、コレ以上今のWLOFには付き合い切れないと判断した様だ。次の試合を最後の義理立てと言うワケさ」

 

「…………」

 

「かと言って、まだウルティメイト華撃団を信用したワケでは無い。恐らく、倫敦華撃団は独自の道を行く………そう言う事になるだろうね」

 

「へ~、そう」

 

話に既に興味を失っている様子で、ランスロットは椅子に座ったまま背凭れに深く凭れ掛り伸びをする。

 

「ランスロット。コレは僕達倫敦華撃団の行く末に関わるかも知れない事だよ。もう少し真剣に聞いたら如何だい?」

 

「関係無いよ。例え倫敦華撃団が如何なろうが、私がやる事は1つ………戦う事だけさ」

 

渋面をしながら注意するアーサーだが、ランスロットは何処に吹く風と言う様子で笑みを浮かべる。

 

獲物を前にした、獰猛な獣の様な笑みを………

 

(………最近、ランスロットの戦闘狂ぶりに磨きが掛かっている様に見える。一体何が………)

 

そんなバトルジャンキー度が加速しているランスロットに、アーサーは疑問を感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

帝都郊外・さくらの実家にて………

 

「………何年ぶりだろうな。もう、此処へ行く事は無いと思っていたのに………」

 

さくらの実家の前に立った誠十郎がそう呟く。

 

『此処にさくらが居るのか?』

 

「ああ、さくらが行くとしたら、此処以外無い」

 

尋ねて来たゼロに確信を持って答えると、誠十郎は庭の方へと回る。

 

「10年ぶり………ぐらいか? ああ、此処は変わって無いな」

 

懐かしい光景に、誠十郎はノスタルジーを感じる。

 

(さくらと2人で裏山に入って、剣術の練習とかキノコ狩りとかしてたな………おじさんの鍛治仕事について行って、1日中、野山を亀回ったりもしたっけ………)

 

思い出が次々と脳裏に蘇る。

 

「………ん?」

 

「…………」

 

とそこで、誠十郎は縁側に座って鞘から抜いた天宮國定を眺めている鉄幹の姿に気付く。

 

………その様子は何処か複雑そうだった。

 

「鉄幹さん!」

 

「ん? お前は………」

 

「ご無沙汰しています、神山 誠十郎です」

 

「誠十郎………ああ、誠ボンか! 誰かと思ったぜ」

 

誠十郎に自己紹介され、鉄幹は思い出した様に笑みを浮かべる。

 

「大きくなって見違えたな。噂は聞いてるぞ。降魔だけじゃなく、怪獣や宇宙人相手に奮戦してるそうじゃないか」

 

「恐縮です………あの、鉄幹さん。それは、さくらの刀ですよね?」

 

誠十郎は、鉄幹が持っていた天宮國定に言及する。

 

「ああ。刃こぼれが無いかと思ってな………」

 

「さくらは………此処に居るんですか?」

 

「ん? アイツ、黙って出て来たのか?」

 

「あ~、いや、それは………」

 

「誠ボン、嘘が下手だな」

 

誤魔化そうとした誠十郎だったが、鉄幹には見透かされていた。

 

「………さくらの奴なら、多分鍛治小屋の方だろう。スマンが、序にコイツも持って行ってやってくれ」

 

そう言うと、鉄幹は天宮國定を鞘に納め、誠十郎に差し出す。

 

「鉄幹さん………」

 

「何が有ったかは知らんし、口出しする積りは無い………だが、アイツを連れ戻せるとすればお前だけだろうな」

 

「…………」

 

誠十郎は無言で鉄幹から天宮國定を受け取り、鍛治小屋の方へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍛治小屋………

 

「此処も変わっていないな………何もかも、あの頃のままだ」

 

鍛治小屋の光景も変わっていない事で、誠十郎はまたノスタルジーを感じる。

 

「………さくらは?」

 

キュイキュイキュイ~

 

「キャアッ! ちょっと、止めて!!」

 

とそこで、鳴き声の様な声と、さくらの声が響いた。

 

「! さくらっ!!」

 

慌てて声が聞こえて来た場所へと向かう誠十郎。

 

そこで彼が見たのは………

 

「わっ! ちょっと! 駄目だって!」

 

キュイキュイキュイ~

 

飛び跳ねているピグモンに寄り掛かれているさくらの姿だった!

 

「! さくらぁっ!!」

 

すぐさま誠十郎は、ピグモンに飛び掛かろうとする。

 

「!? えっ!? 誠兄さんっ!?」

 

キュイキュイキュイ~!?

 

驚くさくらとピグモン。

 

『待て、誠十郎! そいつは敵じゃないっ!!』

 

「!? 何っ!?」

 

しかしゼロがそう言って制止を掛けた事で、誠十郎は寸前で思い止まる。

 

「あ、危なかった~………」

 

キュイキュイキュイ~………

 

さくらとピグモンは、揃って安堵の様子を見せる。

 

(ゼロ、この怪獣は………?)

 

『そいつは『友好珍獣 ピグモン』だ。名前の通り、友好的な怪獣だ』

 

(そうなのか………)

 

ゼロとそう会話を交わしながら、誠十郎はピグモンに視線を向ける。

 

「誠兄さん………如何して此処に?」

 

とそこで、さくらが暗い表情を浮かべて、誠十郎にそう問い質す。

 

「如何してって………さくらを連れ戻しに来たに決まってるじゃないか」

 

「…………」

 

誠十郎がそう返すと、さくらはスッと視線を逸らした。

 

「さくら………」

 

『まだ駄目みてぇだな………』

 

さくらの変わらぬ様子に誠十郎とゼロは頭を捻らせる。

 

キュイキュイキュイ~

 

するとそこで、ピグモンが今度は誠十郎の方に、さくらの時と同じ様にピョンピョンとジャンプしながら寄り掛かって来る。

 

「おわっ!? 何だっ!?」

 

「誠兄さん!?」

 

キュイキュイキュイ~

 

誠十郎とさくらが驚きの声を挙げる中、ピグモンは誠十郎に向かって鳴き続ける。

 

「一体何なんだ?」

 

「もしかして………何かを伝えたいんじゃ?」

 

キュイキュイキュイ~

 

さくらがそう推察すると、ピグモンは肯定するかの様にさくらを見て頷いて見せた。

 

(ゼロ、分かるか?)

 

『ちょっと待て。テレパシーを使ってみる』

 

そこでゼロが、テレパシーを使ってピグモンと対話を試みる。

 

? キュイキュイキュイ~?

 

と、テレパシーが届いたのか、ピグモンは動きを止める。

 

『ふんふん………それで?………!? 何っ!?』

 

ピグモンと対話していたゼロだったが、突然驚きの声を挙げる。

 

(如何した、ゼロ!?)

 

『マズイ事が起きてやがる! 『ジェロニモン』が現れやがった!』

 

(『ジェロニモン』!?)

 

『ああ、『怪獣酋長 ジェロニモン』………死んだ怪獣を蘇らせる能力を持ってやがる』

 

(!? 怪獣を蘇らせるだって!?)

 

コレまでに戦って来た怪獣や宇宙人とは別のベクトルでヤバいジェロニモンの能力に、誠十郎が驚愕の声を挙げる。

 

『如何やらこの近くで邪霊を集める儀式をやってるらしい。それであらゆる次元から怪獣達の邪霊を集めて、怪獣軍団を作り上げる積りみてぇだ』

 

(怪獣軍団だって!? 只でさえ強い怪獣が軍団になって襲って来たら………)

 

『コイツは如何やら、その儀式の最中に間違って復活させられたらしい。それでその事を知らせようとして様だ』

 

(そうだったのか………)

 

キュイキュイキュイ~

 

話が通じた事が嬉しいのか、ピグモンがピョコピョコと跳び上がる。

 

「誠兄さん? 如何したんですか?」

 

「大変な事になったぞ、さくら。怪獣酋長 ジェロニモンがこの近くに居る」

 

「怪獣酋長?」

 

「ソイツが怪獣達の邪霊を集めて復活させ、怪獣軍団を作り上げる積りみたいだ」

 

「!? ええっ!?」

 

誠十郎の言葉に驚きの声を挙げるさくら。

 

「このピグモンはその儀式で間違って復活させられ、それを知らせに来てくれたんだ」

 

キュイキュイキュイ~

 

誠十郎の言葉を肯定する様に、ピグモンが鳴き声を挙げながら飛び跳ねる。

 

「誠兄さん………何でそんな事が分かるんですか?」

 

しかし、誠十郎がゼロと一心同体になっている事を知らないさくらは、怪訝な様子でそう問い質す。

 

「!? あ、いや………それは………と、兎に角! 帝劇に連絡だ!!」

 

誠十郎は答えに窮し、誤魔化す様にそう言って、スマァトロンを取り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・支配人室………

 

「何ですって!? 怪獣軍団!?」

 

誠十郎からの報告を受けたすみれが驚愕の声を挙げる。

 

『ハイ。ゼロが言うには、怪獣酋長 ジェロニモンはそれだけの事が出来る力が有ると………』

 

「怪獣酋長………」

 

ジェロニモンの肩書を反復するすみれ。

 

初代帝国華撃団も、『反魂の術』と呼ばれる魔の呪術によって蘇った様々な敵と戦った事が有る。

 

今回のジェロニモンに事は、その事を彷彿とさせた。

 

「………分かりましたわ。すぐに花組を向かわせるわ」

 

『お願いします。自分とさくらは出来る限りジェロニモンの情報を集め、可能ならば儀式の妨害を試みます』

 

「天宮さんは大丈夫なの?………」

 

『正直、まだ………ですが、事が事だけに、今は少しでも手が必要です』

 

「無茶をしては駄目よ、神山くん」

 

『ハイ………』

 

その言葉を最後に、通信が切れる。

 

「…………」

 

すみれは一瞬逡巡した様な様子を見せたが、すぐに今度は格納庫の令士へと通信を送る。

 

『此方格納庫。司馬です』

 

「出撃よ、司馬くん。花組の機体を全機、轟雷号に搭載して頂戴」

 

『しかし、すみれさん。さくらちゃんの機体はまだ………』

 

「………『試製桜武』の使用を許可します」

 

『!? なっ!? で、でも、あの機体は!?』

 

『試製桜武』と言う名前を聞いた令士が動揺を露わにする。

 

「暇を見つけてはコツコツと整備していたのでしょう? イデさんも見ていたそうよ」

 

『………参ったなぁ。すみれさんばかりか、イデ先生にまでお見通しだったってわけか』

 

観念したかの様にそう言う令士。

 

「ほほほ………『帝劇のトップスタァ』に隠し事は出来ませんのよ」

 

得意げに笑ってそう言うすみれ。

 

「今天宮さんは大きな試練が課せられているわ。けど、それを乗り越えられた時………彼女は超えられる。彼女の中の夢を。今こそ、追い続けた夢に挑む時ですわ」

 

『了解しました。『試製桜武』を搭載しておきます』

 

そう言って、令士は通信を切った。

 

(私に出来るのはココまでよ………後は貴方次第よ、天宮さん)

 

すみれは椅子から立ち上がると窓際へと移動し、空を見上げた。

 

(『試製桜武』はあのさくらさんさえ、乗りこなせなかった機体………ですが、天宮さんが試練を乗り越えれば必ず………)

 

見上げる空に、真宮寺 さくらの顔が浮かぶ。

 

(さくらさん………貴方に憧れていた娘は、今貴方を超えて行くかも知れませんわ)

 

そう思うすみれの顔に、僅かに笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

さくらを追って彼女の実家を10ねんぶりに訪れた誠十郎。
そこで彼もピグモンと出会う。
ゼロを介し、ピグモンからジェロニモンの話を聞く誠十郎達。

一方、出撃準備に入った帝劇では、謎の機体の存在が………
果たして、すみれの期待通りに、さくらは立ち直れるのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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