新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター6『VS倫敦華撃団』

チャプター6『VS倫敦華撃団』

 

倫敦華撃団 登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界華撃団大戦の準決勝………

 

帝国華撃団VS倫敦華撃団の試合の日………

 

帝都の一角にて………

 

「あの、すみません。世界華撃団大戦の会場って何処ですか?」

 

1人の少年が、道行く男性にそう尋ねた。

 

「ああ? 世界華撃団大戦の会場? それなら、この通りを真っ直ぐに行けば着くよ。目立つ建物だから、すぐ分かるさ」

 

尋ねられた男性が、訝し気な様子を見せながら、通りの先を指さしながらそう答える。

 

「ありがとうございます」

 

「なあ、坊主………妙な格好だが、ひょっとして外国帰りか?」

 

とそこで、今度は男性が少年にそう尋ねる。

 

少年の格好は洋服だが………

 

Tシャツにデニムジャケットを羽織り、ジーパンにスニーカーと言う、太正時代では有り得ない服装だった。

 

「え、ええ、まあ………」

 

その質問に対し、少年は何処か曖昧に返す。

 

「悪りぃ事は言わねえ。行くのは止めときな」

 

「? 如何してですか?」

 

「ここ最近、帝都じゃ降魔に加えて、怪獣やら宇宙人やらっつうワケの分からねえ連中が暴れててよぉ。特に世界華撃団大戦の会場じゃ、何か有る度に怪獣が現れてるんだよ」

 

悪夢の開会式以来、世界華撃団大戦の会場では試合が行われる度に怪獣が出現しており、毎回破壊されては建て直しが行われている。

 

なので、好き好んで試合会場へと足を運ぶ者は誰もいなかった。

 

「今日は帝国華撃団と倫敦華撃団の試合の日だ。きっとまた怪獣が出て来るに決まってる」

 

「ありがとうございます。けど、如何して行かないといけないワケが有るので」

 

「物好きだな。ま、兎に角気を付けないよ」

 

行くと言う意思を変えない少年に呆れながら、男性はその場を後にする。

 

「帝国華撃団………確か、『ゼロ』が居るって言っていた部隊の筈」

 

「なら、そこに行けば『ゼロ』に会えるかも?」

 

と、少年の呟きに、何者かが返事を返す。

 

しかし、少年の周囲にはそれらしき人物は見当たらない。

 

「兎に角、行ってみよう」

 

「気を付けてね、『リク』」

 

『リク』と呼ばれた少年は、彼の『影』の中から発せられた声を聞きながら、世界華撃団大戦の会場へと向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

その世界華撃団大戦の会場………

 

帝国華撃団の控え場所………

 

「いよいよ倫敦華撃団との試合か………」

 

「「「「「…………」」」」」

 

そう呟く戦闘服姿の誠十郎の前に、同じく戦闘服姿のさくら達が強張った表情で佇んでいる。

 

「情報に拠りますと、倫敦華撃団はこの試合の勝敗に関わらず、WLOFから離脱する算段の様です」

 

「只、ウルティメイト華撃団への参加要請は出ていません。英吉利らしい二枚舌外交ですわね」

 

サポーターとして付いて来たカオルがそう言うと、すみれが呆れた様子を見せる。

 

「手厳しいですね、ミスすみれ」

 

とそこで、そう言う台詞と共に、ランスロットとそして初めて見る隊員を連れたアーサーが姿を現した。

 

「! アーサーさん」

 

「「「「!!」」」」

 

誠十郎が反応すると、初穂・あざみ・クラリス・アナスタシアも、倫敦華撃団の方へ向き直る。

 

「久しぶりだね、神山くん。この様な形で相まみえる事になってしまったのは残念に思うよ」

 

紳士的な態度でそう言うアーサーだったが………

 

そのアーサーの前に出たランスロットが、剣を抜き放って、切っ先を誠十郎の方へと向けた。

 

「!!」

 

「漸く来たね、神山………君に雪辱を果たす時がね」

 

既に闘志の漲っているギラギラとした目で誠十郎に向かってそう言い放つランスロット。

 

まるで今にも斬り掛かって行きそうな雰囲気だ。

 

『何だ? ヤケに熱り立ってやがるじゃねえか?』

 

(ああ、幾ら何でもおかしいぞ?)

 

そんなランスロットの姿に、ゼロと誠十郎も違和感を覚える。

 

「ああ、もう待ちきれないよ。今すぐこの場で………」

 

とそこで、ランスロットは我慢出来ないと言って、抜身の剣を持ったまま誠十郎に近づこうとする。

 

「! ランスロットさんっ!」

 

しかしそこで、さくらが割って入る。

 

「………天宮 さくら」

 

「止めて下さいっ! こんな所で戦おうだなんて、何を考えてるんですか! 華撃団の隊員としてあるまじき行為ですよ!!」

 

ランスロットが視線を向けて来ると、さくらはそう訴え掛ける。

 

「………へえ」

 

しかし、当のランスロットはさくらを見て何やら感心した様な様子を見せる。

 

「ランスロットさん?」

 

「随分と顔付きが良くなったじゃないか。あの時から随分と腕を上げたみたいだね。ああ、君と戦うのも楽しみになって来たよ」

 

困惑するさくらに向かって、恍惚の表情を浮かべるランスロット。

 

「!!」

 

まるで危険人物の様なその様に、さくらは思わず身震いした。

 

「止めるんだ、ランスロット! 『アパテー卿』も止めて下さい!」

 

そこで漸くアーサーからの制止が入り、見慣れぬ隊員………『アパテー卿』の名も明らかになる。

 

「…………」

 

だが、アパテー卿はまるで鉄仮面の如き無表情で只沈黙していた。

 

「フフフ、決めたよ。神山の前に、先ず君に相手をしてもらうよ」

 

「!?」

 

「そうと決まれば、早速試合と行こうじゃないか! アーサー! 先に行っているよ!!」

 

驚くさくらを余所に、ランスロットは踵を返して戻って行った。

 

「あ、ランスロット!!………全く………お騒がせして申し訳無い」

 

「…………」

 

頭を抱えた後、帝国華撃団の面々に向かって頭を下げるアーサーの横で、相変わらず無表情のままで佇んでいるアパテー卿。

 

「アーサーさん。ランスロットさんは一体如何したんですか?」

 

「僕にも良く分からない。前々から好戦的な所が有ったけど、最近それが酷くなっている様で………」

 

誠十郎の疑問に、アーサーも困惑している様子を見せる。

 

「兎も角、試合では容赦しないよ。母国の人々に、倫敦華撃団は変わらないという事を示す為にも、僕達は必ず勝利する!」

 

しかし、すぐに気を引き締めた様子を見せ、帝国華撃団の面々に向かってそう宣言した。

 

「アーサーさん………」

 

「では、コレで失礼するよ」

 

「…………」

 

誠十郎の呟きを背に、アーサーもその場を後にし、アパテー卿も無言のままその後に続いた。

 

「あのアパテー卿って奴、何か不気味だったな………」

 

「一言も喋らなかった上に、表情が全く変わらなかった………まるで人形みたい」

 

終始一言も喋らなかったアパテー卿に対し、初穂とあざみがそんな印象を抱く。

 

「色々と気になるけど、今は目の前の試合に集中しましょう」

 

「神山さん。今回の出場メンバーは如何しますか?」

 

そこで、アナスタシアがそう言って意識を試合に切り替えさせ、クラリスが今回の出場メンバーを尋ねる。

 

「ランスロットさんのあの様子からすると、さくらさんを出場させないワケには行きませんわね」

 

「となると、さくらさんは決まりですね」

 

「…………」

 

すみれとカオルがそう言う中、さくらは複雑そうな表情を見せる。

 

「では、残りの1人は………」

 

そして誠十郎は、残る1人のメンバーを選抜した………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界華撃団大戦の試合会場………

 

スタジアム………

 

『さあ、世界華撃団大戦もいよいよ準決勝! 快進撃を続ける帝国華撃団を迎え撃つのは倫敦華撃団! 伯林華撃団に次ぐと言われるこの最強の騎士団を如何迎え撃つのか! 頑張れ! 帝国華撃団っ!!』

 

何度目とも知れぬ再建を果たした無人の会場に、実況者の声が響き渡る。

 

コレまでのWLOFの不祥事や、帝国華撃団の活躍を目にしてきた結果か、実況者の心もすっかり帝国華撃団寄りとなっており、私情染みた激励まで飛んでいる。

 

とそこで、帝国華撃団サイドの出場ゲートを通り、誠十郎機と試製桜武、そしてクラリス機が現れる。

 

「またこの形に戻したのか………」

 

誠十郎が、スタジアムの形が莫斯科華撃団戦の様な市街地ではなく、上海華撃団戦と同じ競技場の様な形になっているのを見てそう言う。

 

「既に3回目の建て直し………相当な予算が使われている筈です」

 

「こんな事に使うより、もっと大切な事が有る筈なのに………」

 

クラリスとさくらは、降魔や怪獣達への脅威への対策よりも、粗意味の無い華撃団大戦へと予算を湯水の様に使うWLOFに嫌悪感を露わにする。

 

とそこで、誠十郎達の正面に倫敦華撃団の霊子戦闘機………『ブリドヴェン』達が姿を見せる。

 

「ふふふ………さあ! やろうじゃないかっ!!」

 

漆黒のブリドヴェンを駆るランスロットが、既に抜身の状態の2剣を構えながら、そう声を挙げる。

 

「良し………行くぞっ!!」

 

蒼いブリドヴェンを駆けるアーサーも、そう言いながら細身な刀身のロングソードを抜き放つ。

 

「…………」

 

そして最後に、ランスロット機と同様の剣を一振りだけ装備したアパテー卿の純白のブリドヴェンが、無言のまま剣を抜く。

 

『さあ、いよいよ試合開始です! 世界華撃団大戦・準決勝! 『帝国華撃団』VS『倫敦華撃団』! 華撃団大戦! レディィィ・ゴゥッ!!』

 

「アハハハハハハッ!!」

 

と、実況者の試合開始の合図が響くと同時に、ランスロットが歓喜の笑いを響かせながら一気に突っ込んで来た!!

 

その狙いは………

 

さくらの試製桜武だ!!

 

「!!」

 

驚きながらも刀を抜き放つと、峰にもう片方の手を添えて斬り掛かって来たランスロット機の2剣を受け止める試製桜武。

 

だが勢いは殺せず、試製桜武はランスロット機諸共、そのまま床を破壊しながら誠十郎機とクラリス機を置き去りにして滑って行く。

 

「! さくらっ!!………!!」

 

慌てて追おうとした誠十郎だったが、嫌なモノを感じて飛び退くと、先程まで誠十郎機が居た場所を、アーサー機の斬撃が通り過ぎる。

 

「ランスロットには悪いけど、君も相手は僕がさせてもらうよ」

 

「アーサーさん………」

 

二刀を構える誠十郎機と、ロングソードを構えるアーサー機が睨み合う。

 

「「…………」」

 

更にクラリス機も、残るアパテー機と睨み合っていた。

 

「…………」

 

此処へ来ても尚も無言なアパテー卿。

 

(何なの、この人!?………)

 

そんなアパテー卿に、クラリスは不気味な寒気を覚えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ランスロット機から斬り掛かられたさくらの試製桜武は………

 

「そらそらそらそらぁっ!!」

 

「クッ! ハアッ!!」

 

ランスロット機から繰り出される2剣による斬撃を、刀で捌く試製桜武。

 

「やっぱりそうだ! 機体の性能だけじゃない!! 随分と腕が上がってるじゃないか!! 何があったんだい、さくら!?」

 

さくらの腕が格段に向上している事を、ランスロットが問い質す。

 

「………自分の不甲斐無さのせいで………守れなかったモノが在ったからです」

 

ジェロニモンとの戦いで犠牲となってしまったピグモンの事を思い出しながら、さくらはそう返す。

 

「成程ね~。でも良かったじゃないか、お陰で強くなれたんだし」

 

「!!」

 

ランスロットのその言葉に、目を見開くさくら。

 

そして繰り出された2剣の攻撃を受け止め、鍔迫り合いに転じる。

 

「良かった?………ランスロットさん………本気で言ってるんですか?」

 

「だってそうだろ? その守れなかったモノが在ったからこんなに強くなれたんじゃないか。お陰でアタシも大満足さ」

 

ランスロットが心底嬉しそうにそう言った瞬間………

 

「ふざけないで下さいっ!!」

 

さくらの怒声が木霊し、ランスロット機の2剣が弾かれて宙に舞い、ランスロット機の背後に落ちた。

 

「おろっ!?」

 

「確かに私は強くなれたかも知れません! でも! 本当はあの子を守りたかった!! 助けてあげたかった!! だからコレから私は守れるモノを守り続けなくちゃならない!! この強さはその為の物です!!」

 

試製桜武が、刀の切っ先をビッとランスロット機に突き付ける。

 

「貴方も華撃団の隊員でしょう! 守りたかったモノを守れなかった事が良かったなんて言わないで下さいっ!!」

 

「ハハッ!」

 

華撃団の隊員としての誇りを説くさくらだったが、ランスロットは笑いを零し、機体を一気にバックステップさせたかと思うと、床に突き刺さっていた2剣を回収する。

 

「そんな台詞は勝ってから言うんだね! アタシは強い奴と戦えればそれで良いのさ!!」

 

「………貴方には負けない………華撃団の隊員として………絶対に!!」

 

そんなランスロットの態度に、さくらは怒りを露わに叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

世界華撃団大戦の会場に向かう謎の少年。
一体誰なんだ?(棒読み)

そして倫敦華撃団との激突。
戦闘狂に磨きが掛かっているランスロット。
一体何があったのか?

そして3人目のメンバー、アパテー卿………
察しの良い方なら、名前で既にコイツが何者なのかお分かりですね。
更に次回ではトンでもないモノが登場します。
お楽しみに。

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