チャプター3『ワームホールからの刺客』
双頭怪獣 パンドン
宇宙捕獲メカ獣 Σズイグル
ラグストーン・メカレーター登場
中国・上海………
クワクワアーッ!!
咆哮と共に右手を振り下ろし、ビルを叩き壊す赤いゴツゴツとした皮膚に、2つの頭がくっ付いている頭部を持った怪獣………『双頭怪獣 パンドン』
クワクワアーッ!!
更に2つ有る嘴の付いた口から火炎放射『火炎地獄』を放ち、上海を火の海にして行く。
「この野郎ーっ!!」
と、怒りの叫びと共に、パンドンの身体に飛び蹴りを喰らわすシャオロン機。
クワクワアーッ!!
「!? おうわっ!!」
しかし、パンドンには余りダメージは無く、逆に振られた腕で弾き飛ばされてしまう。
「むむむむむむーっ!!」
一方ユイ機は、パンドンの尻尾を掴んで進軍を食い止めようとしている。
クワクワアーッ!!
「!? キャアッ!?」
だが、コチラもパンドンが尻尾を振った事でアッサリと振り払われてしまう。
クワクワアーッ!!
転がるユイ機に向かって火炎地獄を放とうとするパンドン。
そこへ、上空からガンクルセイダー部隊が援護を開始。
ロケット弾でパンドンを攻撃する。
クワクワアーッ!?
それによりパンドンは一瞬怯む。
クワクワアーッ!!
しかしすぐさま、お返しとばかりにガンクルセイダー部隊に向かって火炎地獄を放つ。
回避行動を執るガンクルセイダー部隊だが、1機が躱し切れずに火炎を食らい、黒煙を上げた。
「脱出ーっ!!」
射出座席でパイロットが脱出し、落下傘が広がると、炎上したガンクルセイダーは墜落して爆散した。
クワクワアーッ!!
それを尻目に、燃え上がる上海の街を我が物顔で進軍するパンドン。
「チキショウッ! 好き勝手やりやがって!!」
「このままじゃ、上海が………私達の街が!?」
悪態を吐くシャオロンと、燃え上がる上海の街を見て悲鳴の様な声を挙げるユイ。
と、その時!!
暴れるパンドンに、ビームの様な物が命中する。
クワクワアーッ!?
「!?」
「! アレはっ!?」
怯むパンドンに驚くユイよ、ビームを放った存在………ネオブリタニア号を黙視するシャオロン。
と、そのネオブリタニア号から光の玉が飛び出したかと思うと………
「ハアッ!!」
ウルトラマンジード・プリミティブの姿となって、パンドンの前に着地を決めた!
「! アレは帝国華撃団から報告の有った新しいウルトラマン!」
「ジード………だっけ?」
ジードの姿を見たシャオロンとユイは驚きを露わにする。
クワクワアーッ!!
「ハアッ!!」
と、怒りを露わに向かって来るパンドンに対し、ジード・プリミティブもジャンプニーを繰り出すのだった。
◇
一方、その頃………
日本の帝都・海辺では………
「誠十郎さん!」
「さくら! 皆っ!!」
誠十郎が、ランスロット捜索で散っていた花組メンバーと合流する。
「この辺りに向かうランスロットらしき人を見た人が居ました」
「かなりフラフラしてて、傍から見てても危なかったそう」
クラリスとあざみがそう報告してくる。
「ひょっとすると、もしもって事も有るわね」
「オイ、縁起でもねえ事言うなよ」
思わず最悪の事態を想像するアナスタシアに、初穂が諫める様に言う。
「兎に角、すぐに捜索を………」
と、誠十郎がそう言いかけた瞬間、スマァトロンが着信音を立てた。
「ん? こまちさん? 上海の件なら、リクくん達が対応してくれた筈だが?………」
送信者がこまちである事を確認した誠十郎が、電文を表示する。
『アーサーさんが病室から居なくなってもうた! すんまへん、神山さん! まさか鎮静剤を打たれたのに抜け出すとは思ってへんかったんや!』
『緊急事態や!』と題された電文には、アーサーが病室から姿を消したと言う驚くべき事態が書かれていた。
「!? アーサーさんがっ!?」
「! 如何したんですか、誠十郎さん!?」
「「「「!!」」」」
思わず声を挙げてしまった誠十郎に、花組一同が詰め寄る。
「アーサーさんが病室から姿を消したらしい。多分、自分もランスロットさんを探す為に………」
「!? アーサーさんがっ!?」
「馬鹿じゃねえのか!? 自分の怪我の具合の方が深刻だろっ!!」
誠十郎がそう言うと、クラリスが驚きの声を挙げ、初穂も怒鳴る様に言い放つ。
「如何するの? キャプテン?」
「………先ずはランスロットさんだ。その後でアーサーさんを探そう」
指示を求めるアナスタシアに、誠十郎はそう判断を下す。
「分かりました! ランスロットさーんっ!! 何処ですかーっ!?」
それを聞いたさくらが、いの一番にランスロットの名を呼びながら走り出す。
少し遅れて、誠十郎達もその後に続くのだった。
そして、そのランスロットは………
「…………」
藤宮の手により砂浜へと運ばれ、そこへ体育座りで相変わらずへたり込んでいた。
「…………」
その隣に只無言で佇み、波の止せ返す海を眺めている藤宮。
「………何も聞かないの?」
沈黙に耐えかねたかの様にボソリとそう呟くランスロット。
「聞いて欲しいのか?」
藤宮は相変わらず海を見ながら問い返す。
「…………」
そこでランスロットは、再び沈黙する。
「………私は………トンでもない事をしたんだ………」
しかし、吐露する様にポツリポツリと語り出した。
帝国華撃団との試合で、自分が仕出かした事を話すランスロット。
藤宮はそれを、やはり海を見たまま聞く。
「最強の黒騎士なんて持て囃されて………良い気になってたんだ、私は………何が騎士だよ………」
「…………」
「騎士は何かを守る存在………私には守りたいモノなんて………何も無かった………」
「守りたいモノなんて幾らでも有る………俺は嘗てそう言われた事がある」
と、藤宮はそんな言葉をランスロットに返す。
「………誰に?」
「仲間………いや、友達にだ」
藤宮の脳裏に過る、1人の青年………『高山 我夢』
「人間は過ちを犯す………だが同時に償う事も出来る生き物だ」
「償う………」
「お前がコレから如何するかは俺の知った事では無い。だが………何もしない事が正しい事なのか?」
そう投げかけると、藤宮は踵を返し、その場から去って行った。
「…………」
残されたランスロットは、体育座りのまま藤宮が見ていた海へと視線を向ける。
「………私は」
何かを言おうとしたが、言葉にならない………
と、そこへ!
「ランスロットッ!!」
「!?」
聞き馴染みの有る声にビクリとなりながら視線を向けるランスロット。
「ゼエ、ゼエ………やっと………ハア、ハア………見つけた………」
そこに居たのは、如何見ても顔色が最悪の状態で呼吸も整っていないアーサーの姿だった。
その手には、ランスロットの二振りの剣を持っている。
「ア、アーサー………」
思わず立ち上がるランスロットの脳裏に蘇るアーマードダークネスとなっていた時の記憶………
自分は彼を機体ごと何度も何度も………
「あ、あああ!?………」
ランスロットは罪悪感に押し潰されそうになり、頭を押さえて苦しむ様子を見せる。
「ランスロット! 落ち着いて! 僕は………僕は大丈夫だ!」
するとそこで、アーサーがそれまでの今にも死にそうだった様子が嘘の様に凛とした表情を見せ、姿勢を正した。
「!?」
「ランスロット………僕は君に恨みなど抱いていない………寧ろ、君の異変に気付けなかった僕にも責任は有る」
驚くランスロットに、アーサーはそう言葉を続ける。
「君の犯した過ちは大きい………けれど! だからこそ君はコレからも騎士であらねばならない! それこそが倫敦華撃団の団員としての償いとなる!」
「アーサー………」
「僕も手助けをする。だから、ランスロット………戻って来てくれっ!!」
そう言って、手に持っていた剣をランスロットに向かって差し出すアーサー。
「!!………」
一瞬躊躇しながらも、その剣を取ろうとするランスロット。
しかし、剣に手が触れた瞬間………
脳裏に再び、アーマードダークネスとなっていた時の記憶が過る!
「!? うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
途端に、ランスロットは悲鳴の様な叫びを挙げて、アーサーが持っていた剣を振り払った!!
「!? ランスロットッ!?」
「嫌だ………剣を取ったら………また………あの時みたいに………」
驚くアーサーの前で、ランスロットは両手で頭を抱えて苦しむ。
アーマードダークネスとなっていた事が、完全にトラウマとなってしまっていた。
「ラ、ランスロット………」
今まで見た事も無いランスロットの弱弱しい姿に、アーサーも言葉を失う。
………と、その時!!
突如上空に暗雲が立ち込めたかと思うと、渦を巻く穴の様な物が出現した!!
「!?」
「!? 何だ、アレはっ!?」
驚くランスロットとアーサー。
それは『ワームホール』と言われる、一種の空間転移の現象だった。
出現したワームホールから、巨大な『何か』が現れたかと思うと、地響きを立てて着地した!
「! うわっ!?」
「あうっ!?」
振動に耐えられず、アーサーとランスロットは転倒する。
それは、まるで機械部分と生体部分を併せ持つ怪獣………『宇宙捕獲メカ獣 Σズイグル』だった!!
「!? か、怪獣っ!?」
グギャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!
ランスロットが思わず声を挙げると、Σズイグルが低い咆哮を挙げて動き出す。
そして、その視線をランスロット達の方へと向けたかと思うと………
身体の中心部に在る凹んだ部分から、光線を発射して来た!
「!?」
「! ランスロットッ!!」
思わず固まってしまったランスロットを、アーサーが最後の力を振り絞って突き飛ばす。
「! あうっ!?」
「うわああああああっ!?」
地面に倒れるランスロットと、Σズイグルの光線を真面に浴びてしまうアーサー。
「!? アーサーッ!!」
ランスロットが叫んだ瞬間………
アーサーの身体は、金属の十字架状のケースに包まれた。
そして、そのままΣズイグルの方へと吸い寄せられ、中心部に在る凹んだ部分へとくっ付いた。
「ア、アーサーッ!!」
「ランスロットさんっ!!」
と、ランスロットの悲鳴が木霊すると、誠十郎を始めとした花組メンバーが現れた!
「しっかりして下さいっ!!」
「何でこんな所に怪獣がっ!?」
さくらと誠十郎が倒れたままのランスロットの傍に屈み込むと、他のメンバーはランスロットを守る様に得物を構える。
「!? オイ! あの怪獣の身体にくっ付いてるのって!?」
「アーサーさんっ!?」
そこで初穂とクラリスが、Σズイグルに捕らわれの身となっているアーサーの存在に気付く。
と、その時!
まだ開きっ放しだったワームホールが怪しい光を放ったかと思うと、新たな影が出現し、Σズイグルの隣にゆっくりと着地した。
「「「「「「「!!」」」」」」」
グルロロオオオオオッ!!
それは球体が型のゴツゴツとした身体に、サイボーグの様に機械を埋め込まれた人型の怪獣………
『ラグストーン・メカレーター』だった!!
つづく
新話、投稿させて頂きました。
上海に出現したパンドンに立ち向かうジード。
一方、ランスロットは藤宮とアーサーから説得を受けますが、まだ立ち直れません。
そんな中で、ワームホールからΣズイグルが登場。
ランスロットを庇ったアーサーが囚われてしまいます。
更に、あのエクリプスモードのコスモスを苦戦させたラグストーン・メカレーターまで登場。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。