新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『スタァの重み』

チャプター2『スタァの重み』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・玄関前………

 

「パオォォォーン! ゲキゾウくんの参上だぁ!」

 

久々にゲキゾウくんの姿となった誠十郎が、優勝記念公演の宣伝に精を出していた。

 

「あ! ゲキゾウくん!」

 

「皆! 帝劇で近日! 華撃団大戦の優勝を記念した公演が開かれるゾウ!」

 

ゲキゾウくんの姿を見て近寄って来た少女が出たのを皮切りに人が集まって来て、ゲキゾウくん(誠十郎)は宣伝を開始する。

 

「上海歌劇団、倫敦歌劇団、そして伯林歌劇団も参加する一大公演だゾウ! 是非、楽しみにして欲しいゾウ!!」

 

「へえ………他の歌劇団も参加するのか。しかも花組と戦った歌劇団ばかり………過去を乗り越えて手を取り合うって事か。素晴らしいな」

 

「優勝記念公演………私、絶対に観に来るわ!」

 

他国の歌劇団も参加するという事に、帝都市民達は興味津々であり、皆楽しみで目を輝かせている。

 

「よろしくお願いします! 帝国歌劇団・花組、一生懸命頑張ります!」

 

とそこで、そう言い台詞と共に、さくらが姿をみせた。

 

「! あ、天宮 さくらさん!? ほ、本物!?」

 

「あのっ! あのっ、ファンです! 次の公演も応援しています!」

 

まさかのさくらの登場に、帝都市民達は興奮した様子でさくらの周りに集まり出す。

 

「応援ありがとうございます! 優勝記念公演も、是非お願いしますね!」

 

『アイツもすっかり一端のスタァだな』

 

(さくらも宣伝を手伝ってくれるのか。良し、俺ももっと頑張るぞ!)

 

優勝記念公演の宣伝を手伝ってくれているさくらの姿を見て、ゼロが感慨深そうにし、ゲキゾウくん(誠十郎)も奮起するのだった。

 

「優勝記念公演は最高の公演になるゾウ! お楽しみにだゾウ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数10分後………

 

「ふう………皆、応援してくれてる。良かったね、ゲキゾウくん!」

 

一頻りの宣伝を終えたさくらが、満足そうにゲキゾウくん(誠十郎)に声を掛ける。

 

「パオォォォーン!(ありがとう、さくら)」

 

ゲキゾウくんとしてのリアクションをしつつ、心の中でさくらに礼を言う誠十郎。

 

「………ねえ、ゲキゾウくん。ちょっとだけ聞いてくれる?」

 

(ん? 如何したんだ?)

 

とそこで、さくらがそんな事を言って来て、誠十郎はゲキゾウくんの中で首を傾げる。

 

「わたしね………優勝記念公演の主演になったの。それはとても嬉しいんだけど………でも、すっごく怖い」

 

やがて、さくらはそう語り出す。

 

「本当に………わたしが主演で良いのかな? お客さんに、笑われたりしないかな?」

 

(さくら………)

 

「この優勝記念公演は、単純なお祝いの公演だけじゃなく、ウルティメイト華撃団の本格的な始まりを告げるもの………もし、何か失敗しちゃったら………」

 

吐露する様にそう言うさくら。

 

(さくら………元気付けてやりたいが、しかし、今の俺はゲキゾウくんだ………)

 

さくらを元気付けたいと思う誠十郎だが、今はゲキゾウくんに変身している状態なので、如何したものかと頭を捻る。

 

(………いや、それでも出来る事は有る!)

 

しかし、すぐにそう思い直すと………

 

「パオオオオオオン!」

 

ゲキゾウくんとして嘶いた。

 

「ゲ、ゲキゾウ………くん?」

 

突如嘶いたゲキゾウくんに、さくらは戸惑いの色を浮かべる。

 

そんなさくらの頭に、ゲキゾウくんは手を置き、優しく撫で始めた。

 

「あ………」

 

「そんな顔してちゃ駄目だゾウ。さくらちゃんは帝劇のスタァなんだから、笑ってなきゃあ」

 

「………ふふっ、もしかして、元気付けてくれるの? ありがとう」

 

ゲキゾウくんの意図を察したさくらが笑みを浮かべる。

 

「そうだよね。不安なのは当たり前………それを乗り越えてこそ、スタァになれる! しっかりしろ、天宮 さくら! 前を見ろ! 限界を………超えろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

そして自らを鼓舞する様に叫び声を挙げた。

 

「ふう………コレで、良し! 何か、元気出て来たぞー!」

 

すっかり元気を取り戻した様子で、右手で拳を握り、天へと突き上げるさくら。

 

「うん! 後は、剣の稽古で邪念を払うべしっ! それじゃ、ゲキゾウくん。わたしは行くね! バイバイ!」

 

最後にゲキゾウくんに手を振ると、さくらは帝劇の中へと戻って行った。

 

(さくら………君は強いな。ははっ、本当に大したものだよ)

 

『アレでこそだな。にしても、誠十郎………励ましにパオオオオオオン!はねえんじゃねえのか?』

 

それを見送ったゲキゾウくん(誠十郎)に、ゼロがそうツッコミを入れて来る。

 

(し、仕方ないだろう! 今の俺はゲキゾウくんなんだから!)

 

『なら、今度はちゃんと神山 誠十郎として励ますんだな』

 

(分かってるって………)

 

更にそう会話を交わすと、ゲキゾウくんの変身を解き、誠十郎の姿に戻る。

 

(剣の稽古をするって言ってたな………様子を見に行くか)

 

そして、さくらを追って、帝劇の中へと戻って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・中庭………

 

(お、居た居た………)

 

中庭にて木刀を振っているさくらの姿を発見する誠十郎。

 

(………ん?)

 

するとそこには、先客の姿が在った。

 

「…………」

 

ベンチに腰掛けたアナスタシアが、食い入る様に木刀を振るうさくらの様子を見ている。

 

『アナスタシアじゃねえか』

 

「何をしてるんだい?」

 

そのアナスタシアに声を掛ける誠十郎。

 

「さくらの練習を見ていたの………綺麗な、迷いの無い剣をね」

 

「………アナスタシア?」

 

意味深な事を言うアナスタシアに、誠十郎が首を傾げると、彼女はベンチから立ち上がる。

 

「ごめんなさい。邪魔しては悪いから、もう行くわ」

 

そして、逃げる様に中庭から去って行った。

 

『何だ、アイツ?』

 

「アナスタシアさん………」

 

その様子をゼロが不信がり、さくらも気付いて心配そうな瞳を向けていた。

 

「アナスタシアさん、何かあったんでしょうか?」

 

そう誠十郎へと声を掛けてくるさくら。

 

「ん~~………後で話でもしてみるか」

 

原因が分からない誠十郎は、兎も角話を聞いてみようと言う。

 

「それはそうと、さくらの方は大丈夫か? 主役をやる事になったけど………」

 

「不安が無いって言うと、嘘ですよね。でも………誠十郎さん。わたしが主役で………本当に大丈夫だと思いますか?」

 

まだ不安が拭い切れていない様子で、誠十郎にそう尋ねるさくら。

 

「さくらなら、大丈夫さ。きっと今までで1番の公演になる!」

 

誠十郎は迷い無くそう返す。

 

「うっ………嬉しいけど、流石に重圧で苦しく………」

 

しかしさくらはプレッシャーを感じてしまう。

 

「ははっ、流石のさくらでも、そんな風になるんだな」

 

「当たり前ですよ。わたしだって、普通の女の子なんですから」

 

「そうだったな。ごめんごめん」

 

心外だと言うさくらに、軽い調子で謝罪する誠十郎。

 

「いえ、でも、誠十郎さんと話してたら、何だか勇気が湧いてきました! ありがとうございます、誠十郎さん! わたし………頑張ります!」

 

そこで何時もの調子を取り戻したさくらが、誠十郎に礼を言う。

 

『それでこそだぜ』

 

「その意気だ。され、それじゃ俺は………アナスタシアの様子でも見て来るよ」

 

「………はい。何だか、元気が有りませんでしたよね」

 

先程のアナスタシアの様子を思い出しながら言うさくら。

 

「心配するのは分かるけど、ココは俺に任せてくれ。さくらは、自分の稽古をしっかりとする事。主役なんだからな!」

 

「………はい! 分かりました、誠十郎さん!」

 

しかし、誠十郎にそう言われ、自分の稽古へと戻るのだった。

 

そして、誠十郎はアナスタシアを探しに、中庭を後にする………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・中庭に通じる扉前………

 

「さくらも心配していたが………本当にアナスタシアは如何したんだろう?」

 

『アイツがあんな姿を見せるなんて、初めてじゃねえか?』

 

誠十郎が先程のアナスタシアの様子を思い出していると、ゼロもそう言って来る。

 

「ちゃんと話してくれれば良いんだが………ん?」

 

とそこで、その当のアナスタシアの姿を、2階へ通じる階段前で見つける誠十郎。

 

その前にはクラリスの姿も在った。

 

「あの、アナスタシアさん。台詞合わせ、一緒にお願い出来ませんか? 脚本で少しイメージが掴み難い所が有って………」

 

「ええ、良いわよ。私で力になれるなら」

 

「ありがとうございます。それじゃあ、資料室へ行きましょう」

 

クラリスに台詞合わせに誘われ、共に2階の資料室へと向かうアナスタシア。

 

(資料室か………)

 

『すぐに行こうぜ、誠十郎』

 

(ああ………)

 

すぐさまにその後を追い、資料室へと向かう誠十郎だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・資料室………

 

誠十郎が資料室へと入ると、すぐに台詞合わせをしているアナスタシアとクラリスの姿を確認する。

 

「私達が諦めたら、子供達はどうなるの!? あの子たちは私達の事を信じてる!! ねぇ! 姉さん!!」

 

クラリスが自分の台詞を言い、アナスタシアの台詞を待つ。

 

「…………」

 

しかし、アナスタシアはぼんやりとしている。

 

「………あの、アナスタシアさん? 次はアナスタシアさんの台詞です」

 

「え………? あ、ごめんなさい」

 

クラリスに指摘され、漸く我に返るアナスタシア。

 

「何処か調子が悪いんですか? さっきから、集中出来ていない様ですけど?」

 

「………何でもないのよ。ごめんなさい」

 

心配そうに尋ねるクラリスだが、アナスタシアは何でも無いと返す。

 

『オイオイ、本当にらしくねえぜ』

 

「アナスタシア………」

 

ゼロもそう言う中、誠十郎はアナスタシアに声を掛ける。

 

「………キャプテン」

 

「君が間違えるなんて、珍しいな。えっと………」

 

『考えられる原因としちゃあ、疲れてるってのが妥当だが………』

 

「(そうかも知れないな)皆の指導もしていて大変だし………少し休んだ方が良いんじゃないか?」

 

何処か疑問気なゼロの言葉を受けつつ、アナスタシアにそう言う誠十郎。

 

「………そうね。その方が良いのかも………」

 

「アナスタシアさん………」

 

それを受け入れたアナスタシアの様子を見て、クラリスが心配そうな表情を浮かべる。

 

「………ごめんなさい。今日はもう休ませてもらうわ」

 

そう言うと、アナスタシアは何処か力無い様子で資料室を後にした。

 

「………アナスタシアさん、何かあったんでしょうか?」

 

「そうだな………ちょっと心配だから様子を見て来るよ」

 

「お願いします、神山さん」

 

そして再度アナスタシアを追い、誠十郎も資料室を後にするのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

久々にゲキゾウくんとなって優勝記念公演の宣伝に精を出す誠十郎。
さくらも手伝いに現れるが、主役になった事にプレッシャーを感じている事を吐露する。
ゲキゾウくんと誠十郎としての励ましでプレッシャーを撥ね退けるが、今度はアナスタシアの様子がおかしい。
果たして、彼女に一体何が?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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