チャプター7『明日に向かって 進み続ける』
???………
「? 此処は………?」
気が付くと、アナスタシアは暗闇の中に立っていた。
光源1つ無いのに、自分の姿だけがハッキリとしている。
「私は………死んだのかしら?………だとしたら、此処はあの世かしら?」
何処か他人事の様にそう呟くアナスタシア。
「随分と殺風景なのね………地獄で永遠に責め苦を受ける事になると思ってたけど………」
とそこで、アナスタシアの耳に何かが聞こえて来る。
「? 赤ん坊の泣き声………?」
声が聞こえて来るその方向を見やると………
天文台らしき場所の置き去りにされている籠に入れた赤ん坊の姿が在った。
「アレは………?」
アナスタシアがそう呟いた瞬間………
『今日から君は………『朝倉 リク』だ』
目の前の光景が、赤ん坊を抱き上げながらそう言う壮年の男性のモノへと変わった。
「!? リク!?………じゃあ、あの赤ん坊は!?」
男が赤ん坊に『朝倉 リク』と名付けたのを聞いてハッとするアナスタシア。
そこで再び場面が切り替わり………
街を破壊している『ベリアル融合獣 スカルゴモラ』と対峙したリクの姿を映し出す。
『ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!』
お決まりの台詞と共にジードライザーを構えたかと思うと、その姿がジード(プリミティブ)へと変わる。
そして激戦の末に、スカルゴモラを必殺の『レッキングバースト』で撃破するジード(プリミティブ)。
「ひょっとしてコレは………リクの記憶?」
困惑しているアナスタシアの目の前で、ジードの戦いの日々が次々に展開される。
その中で繰り返し出て来る名前があった………
「? 『ベリアル』………? 誰の事?」
『ウルトラマンベリアル』………
光の国に生まれながら悪に走ったウルトラマンであり………
リクにとって関わりの深い者だった。
そして………
『ストルム星人 伏井出 ケイ』により、衝撃的な事実が明かされる………
「え………?」
それを聞いたアナスタシアは、最初理解が追い付かなかった。
「模造品?………リクが………作られた存在?」
リクことジードは、伏井出 ケイがベリアルの遺伝子を使って生み出した人造生命体である。
生み出された理由は、ベリアル復活の為に必要なウルトラカプセルを起動させる為に必要なエネルギー体『リトルスター』を回収する為だと。
真実を知らされ、心が折れかけたリクだったが………
名付け親であるあの男性………『朝倉 錘』との出会いにより、新たな力と共に立ち直った。
だが、間髪入れずに………
遂にリクは、自身の遺伝子上の父親………
『ウルトラマンベリアル』と対峙する事になった。
『息子よ………迎えに来た。父、ベリアルの元へ来い』
「アレが………ベリアル」
ジードと対峙する黒いウルトラマンを見てそう呟くアナスタシア。
当然ながら、リクはベリアルを拒絶し、両者はゼロも交えながら泥まみれになりながら激しく争う。
そんな中で、べリアスは怪獣カプセルの力を使い、『ベリアル融合獣 キメラベロス』となり、ジードを吸収。
精神世界でジードを言葉巧みに洗脳し、そのまま吸収されてしまうかに思われたが………
ゼロの奮戦とキングの手助けを受けた、嘗て両親を伏井出 ケイに奪われた少女・『鳥羽 ライハ』の呼び掛けにより、リクは正気を取り戻し、分離に成功。
そして、ライハの祈りのよって受け取ったリトルスターにより、ウルトラマンキングカプセルの起動に成功。
最強の形態『ロイヤルメガマスター』となった。
「美しい………」
ロイヤルメガマスターの姿を見て、アナスタシアの口からそう言葉が漏れる。
『どれだけ俺を否定しようと、お前はベリアルの息子! 生きている限り、俺の名前からは逃れられん!』
『逃げるつもりはない! この体があなたから作られたものでも、この魂は僕のものだ!』
『変えられるものか! 運命を!』
『変えてみせる!! 僕の運命は僕が決める!!』
尚も揺さぶりを掛けて来るべリアルに、リクは真っ向から反論。
遂にはロイヤルメガマスターの必殺技『ロイヤルエンド』を食らわせ、ベリアルは倒された………
かに思われたが、実は生きており、新たなる姿………『ベリアルアトロシアス』となる。
その前に再び立ちはだかるジード(リク)。
いよいよ宇宙最大の親子対決の決着が着こうとしていた。
激戦の最中、ジード(リク)はベリアルの心の内を垣間見る。
膨大な負の感情を感じ取ったジード(リク)は、殴りかかってきたベリアルを抱き寄せ、涙を流しながら言葉を投げかけた。
『何度も何度もあなたは生き返り………深い恨みを抱いて………』
ジード(リク)の思わぬ行動に戸惑いを見せるベリアル。
『疲れたよね? もう、終わりにしよう………!』
『分かった様な事を言うな!』
そして、遂にその時が訪れる………
両者は必殺技であるレッキングバーストとデスシウム光線の撃ち合いとなり………
ジードが撃ち勝った。
『ジィィィィィドォォォォォ―――ッ!!!』
『さよなら………父さん』
最後の最後で自分の名を呼んだベリアルを、ジード(リク)も初めて父さんと呼んだのだった………
「リク………」
余りにも壮大で、そして悲し過ぎるリク(ジード)の人生に、アナスタシアは知らず知らずの内に涙していた。
「コレが貴方の言う………運命を変えるという事なのね」
『彼の言う言葉の重みが分かったかね………』
とそこで、アナスタシアの背後から威厳のある声が聞こえて来た!
「!? 誰っ!?」
アナスタシアが驚きながら振り返ると、そこに光源が現れ、暗闇だけだった空間に光が広がり始める。
「うっ!?」
余りの眩しさに腕で目を覆うアナスタシア。
それでも光源の中に良く目を凝らすと………
まるで王を思わせるシルエットが有る事に気付く。
「貴方は?………」
『朝倉 リクを良く知る者、とだけ言っておこうか………』
アナスタシアの問い掛けに、シルエットの人物はやはり威厳の有る声で答える。
『アナスタシア・パルマよ………朝倉 リクの記憶に触れ、今君は如何したい?』
「…………」
シルエットの人物からの問い掛けに、アナスタシアは俯いて考える素振りを見せる。
「………正直、まだ分からないわ………もう私は花組には居られない………降魔の方にも戻れない………もう何処にも居場所が無いわ………けど」
そこで、ギュッと拳を握り締める。
「まだ………まだ死にたくない! 死ぬわけには行かない! リクは逃げずに戦った! 自分の運命から!!」
先程までのリクの記憶の事を思い起こしながらそう言うアナスタシア。
「私はずっと逃げていた。星の定めには逆らえない………それが運命だって言い訳して………でも! リクは本当に運命を覆した! 変えて見せた! なら! 私だって!!」
『ならば行くが良い。君の運命を変えられるのは、君自身だ………』
そう言って、シルエットの人物がアナスタシアに向かって開いた右手を向けたかと思うと、そこから光の粒子が溢れ出て来て、アナスタシアを包み込む。
「コレは?………」
『若きウルトラマンの事を頼んだぞ………』
「貴方は、ひょっとして………」
◇
帝劇地下・医療室………
「!? うわあっ!?」
とうとう負荷に耐え切れなくなったリクが弾き飛ばされ、壁に叩き付けられた!
「リク!」
「………アナスタシアさんは?」
ペガが助け起こすが、リクは自分の身に構わず、アナスタシアの事を気に掛ける。
「………バイタル、正常値に移行」
「やったで! もうコレで大丈夫や! 後は意識が戻るのを待つだけや!」
令士がそう呟いた瞬間、こまちが歓喜の声を挙げる。
「良かった………」
弱弱しくも安堵の笑みを浮かべるリク。
とそこで、医務室内に衝撃が走った!!
「! はわわっ!?」
「クソッ! 誠十郎の奴、苦戦してんのか!?」
ペガが慌て、令士は誠十郎達が苦戦しているのかと想像する。
「!!」
途端に、明らかに疲労困憊の様子のリクが立ち上がり、装置にセットして有ったウルトラカプセルを回収して医務室を後にしようとする。
「! リク!!」
「オイ!?」
「大丈夫なんか!?」
戦いに行こうとしているのを察したペガ、令士、こまちが慌てる。
『リク。今の貴方の状態では真面に戦えません。変身出来るか如何かさえ怪しい状態です』
レムが無情にそう言って来るが………
「………ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
だが、リクはいつも通りにそう言い放ち、フラつきながらも医務室を後にした!
「! リクッ!」
「あのバカ!」
ペガが慌て、令士が思わず悪態を吐く。
と、その時………
何かが開く様な音が響く。
「「「!?」」」
ペガ、令士、こまちが振り返ると、そこには………
「皆………」
霊子再生槽を自ら開け、起き上がったアナスタシアの姿が在った。
「!? ブフッ!?」
「ちょっ! 見んといときぃっ!!」
「アナスタシアさんっ!!」
再生槽に入れられていた為、全裸だったアナスタシアの艶姿を見て思わず鼻血を出す令士と、そんな令士の目を慌てて塞ぐこまちに、すぐさま医務室のベッドのシーツを剥がしてアナスタシアに掛けてやるペガ。
「ありがとう、ペガ」
シーツを身体に巻き付けながらペガに礼を言うアナスタシア。
「司馬くん。私の機体は出せる?」
「!? 何っ!?」
「アカンで、アナスタシアさん! アンタ、死ぬ1歩手前やったんやで!!」
アナスタシアの問いに令士が驚愕し、出撃する積りなのを悟ったこまちが慌てて止めようとする。
「気遣ってくれてありがとう………でも、私は行かなきゃならないの」
「あわわっ!」
しかし、アナスタシアはそう返しながら、フラ付きながらも立ち上がろうとしたので、ペガが慌てて肩を貸す。
「ありがとう、ペガ」
「アナスタシアちゃん………まさか、今度は戦って死のうとかって考えてるんじゃないだろうな?」
とそこで、令士がアナスタシアを睨む様に見据えながらそう言う。
………鼻に若干血が染みている詰め物をしているので、今一締まらない姿だが。
「いいえ、違うわ」
「!………」
しかし、アナスタシアは即座にそう返して来たので、令士は驚いた様に目を見開く。
「私はリクを、花組の皆を助けに、そして………自分の運命を覆しに行くの」
令士に向かってそう言い放つアナスタシア。
その顔に先程までの絶望の色は無く、只覚悟と決意の決まった表情だけが在った。
「………分かった! すぐに用意するぜっ!!」
令士は破顔すると、彼女の機体を用意する為、すぐさま格納庫へと向かった。
「ちょっ! 司馬さんっ!?」
「ペガ、悪いけど、このまま格納庫まで連れてってくれないかしら?」
こまちが更に慌てていると、アナスタシアは肩を貸してくれていたペガにそう頼み込む。
「………うん、分かった」
「ありがとう………」
ペガは一瞬迷った様子を見せたが、すぐにアナスタシアに肩を貸したまま歩き出す。
「ちょっ! ペガくん! ああ、もう! しゃあないなぁ!!」
それを見てこまちも、諦めたかの様にペガが支えているのと反対側に付き、アナスタシアに肩を貸した。
「こまちさん………」
「この借りは高くつくで! 返すまで帝劇から出て行かせへんからな!!」
「………分かったわ」
ペガとこまちに肩を貸され、アナスタシアは格納庫を目指すのだった。
つづく
新話、投稿させて頂きました。
死に縁に居たアナスタシアは、ウルトラカプセルを治療に使われた影響か………
リクの記憶を垣間見る。
彼の言う『運命を覆す』と意味の重さを知ったアナスタシア。
そんなアナスタシアを導いた威厳の有る声………
一体、何トラマンキングなんだ(笑)
無事治療に成功したリク。
しかし、誠十郎達の苦戦を察し、疲労困憊の身体を押して前線へ向かう。
そして、その後に………
アナスタシアが続くのであった。
次回は注目です。
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