罪人たちはユメを見る   作:嘉多華

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ためしに数話だけ。気分が乗ったり、面白いと思ってもらえたのなら、今後も続けて投稿するかもしれません。

とりあえず、今日はプロローグだけです。


プロローグ

 きっかけはただの偶然だった。

 

 高校受験も終わり、初めての一人暮らし。

 

 これから始まる新しい学生生活に期待していなかったと言えば嘘になる。それでも過度な期待はせず、これまで通りの気の向くままに毎日をだらだら過ごしていくのだろうという想像のほうがずっと大きかったというのもまた事実。

 

 そんな思いの中で始まった新生活は予想を裏切らないものだった。

 

 始業式の日。

 

 新しい教室でその日の日程について説明を受け、始業式で先生のありがたい話を聞き流し、クラスに戻れば俺が学校生活の中で最も嫌いな自己紹介をやらされる。

 

 仲のいい友達はいないし、他の奴らみたいに自分から積極的に話しかけるような性格でもない。毎朝一人で登校し休み時間も一人で本を読んで過ごす。昼休みも机で一人食事をし、バイトがあるので授業が終わればすぐに下校。

 

 とにかく毎日を一人で過ごし続けていた。

 

 友達がほしくないというわけではないけれど、それでも特に不満は無かった。

 

 一人でもそれなりに楽しく過ごせていたし、昔から友達と話をするのが好きというわけでもない。それどころか、人付き合いなんてただ面倒なだけ、生きていくのに必要な最低限の付き合いがあれば十分だと思っていた。

 

 他人と一緒だと何をするにも相手と合わせなければならないし、自分の好きなことを好きな時にできない。それが嫌だから、なんていうくだらない理由でいつも一人でいた。

 

 だからこそ、部活になんて入るつもりなんかはまったく無かった。わざわざそんなことのために時間を割くようならその分バイトで生活費を稼いだほうがいくらもましだから。

 

 事前に良く調べもせず、ただ新しい家から近いという理由だけで進学先を選んだのがいけなかった。

 

 まさか今年から新入生は必ず部活動に参加すること、などという新しい校則ができていたことに気づかないなんてと、この時だけはいつもなるようになると適当に物事を考えてきた自分の性格を恨んだ。

 

 結局は自業自得なので、やってしまったことはしょうがないと諦めることにした。

 

 そんなわけで何か部活に入らなければならなくなった。小学、中学と続けていたサッカー部は疲れるから嫌だし、続けるような思いいれもなかったので却下。

 

 とにかく高校生になったらのんびり過ごしたいと考えていたから、あまり体を動かさないですむ文化部にしようとはすぐに決まったので、実際にいくつかの文化部を回って、そのなかで面白そうだったところに入部しようと行動してみた。

 

 その結果として興味を持ったのがこの部活だっただけで、ここで何かしたい事があった訳でもない。部員も少なくてあまり気を使う必要もなく、なんとなく面白そう。理由なんてその程度のもの。

 

 やるべきことだけをやって、後は自分のやりたいことを見つけて、どうするのかはそれから考えるつもりでその部に入部した。

 

 少なくとも、そのときの俺は本当にそう思っていた。こんな適当な考えしかしてなかったはずなのに、ここが自分にとってかけがえのない場所になるなんてまったく想像もしていなかった。

 

 まったく、人生なにが起こるか分かったものじゃない。

 

 だからこそ俺は、いいや、俺たちは決断したのだ。

 

 この夢を終わらせることを。

 

 自分たちの世界で本当の夢を叶えるために。夢のようなこの世界での生活を自らの手で終わらせて、これまでのすべての関係をリセットした。

 

 つらかったときなんて数え切れない。自分が覚えていることを相手は覚えていない。そんな世界で一人過ごし続けることになったのだから。

 

 それでも自分で決めて選んだ道だから、今迄ずっと頑張れた。

 

 それがただの強がりだったとしても、頑張ったのだ。

 

 だからこそ今こうして、自分にできることを精いっぱい全力で頑張りながら、自分のことを忘れてしまったその人たちのために自分ができることを始めることができるようになれた。

 

―――だからまずは、俺を変えてくれた、かけがえのない彼女達のため。俺にできることをしよう。

 

 

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