後日、海老名が珍しく葉山に話しかけてきた。
「隼人君、動画見たよ?」
「・・・何のことかな?」
多分あれのことだろうとは思ったが話題にもしたくないのでとぼける葉山
「愚腐腐腐・・・とぼけないでよ?ヒキタニくんとベッドで激しくヤッてたでしょ?みんなものすごく捗ったって喜んでたんだよ?」
ほらやっぱりアレだ、どうせあの後陽乃さんに接触して手に入れたんだろう、あのタイミングで姫菜があそこにいるなんてなんというバッドタイミングだ
「・・・この際仲間内で見るのは仕方がない、でも拡散するのは止めてくれないか?比企谷達にも迷惑がかかる」
陽乃さんも気軽にデータを渡すなよ・・・また面倒ごとが起きたじゃないかと頭を抱える葉山、
「あーそれは大丈夫、見るときは私のスマホでしか見せてないからさ、それよりいいもの見せてもらったからお礼がしたいなと思って」
「お礼?別に・・・」
その話題に触れないことがお礼だと言おうとしたが、海老名から衝撃の事実を伝えられることになる。
「んーなんか動画貰った時に聞かれたんだけど、雪ノ下さんと結衣が百合に走ってるとか?なんか知らないかって聞かれたんだけどさ、実は思い当たる節があって、ちょっと確信が持てなかったからその時は知らないって答えたんだけど・・・」
「・・・詳しく聞こうか・・・」
海老名はニヤっと笑うと話を続ける
「この間の結衣の誕生会の時ざ、ざざ虫?君が雪ノ下さんにこっそり薄い本を何冊か渡してたんだよね、雪ノ下さんはお金握らせてたから多分代わりに買わせてたのかもしれない」
薄い本?と首をひねる葉山
「それで最近とらの〇なで彼を見たんだけど、彼が買っているジャンルがことごとく黒髪ロングの女の子と明るいギャルっぽい女の子が絡んでるものばかり買っていたんだんだよね・・・百合本ってやつ?」
「そういえばアカシックレコードを解放するだとか雪ノ下さんに見せるだとかなんかLINE来てたな・・・」
「へえー・・・それちょっと見せて?」
と海老名にLINEの会話内容を見せた
「このアカシックレコードって同人誌のことだと思うよ?多分構ってくれなくなったからって雪ノ下さんを百合本で洗脳して結衣とカップルにしてヒキタニくんと距離を置かせようとしたんじゃないかな?」
「・・・ええ・・・なんて余計なことを・・・」
「私も最近あの二人の距離ずいぶん近くてちょっと変だなって思ってた、でも雪ノ下さんとヒキタニくんの関係全然変わってないよね?百合って男が混じるのはタブーなんだけど・・・でもそのおかげでいいハチハヤが見れたんだけどね」
「それは全く関係ない、ともかく情報ありがとう、これは内密にね、その動画のこともね」
「どういたしまして、大丈夫、私は口硬い方だから秘密にしとくね?もちろん隼人君とヒキタニくんの仲のことも秘密にしておくからさ」
そういうと海老名は自分の席に戻っていった。
「なんか変だと思ってたが材木座君が発端か・・・陽乃さんにこの件ばれると材木座君が社会的に抹殺されるよな・・・」
放課後葉山は遊戯部へ行くことにした。
中からは材木座の声が聞こえる、葉山はノックもせずに扉を開けると開口一番
「全員正座、理由はわかるよね?」
「ほら!また俺達とばっちりですよ!」
「もうこの先輩マジ勘弁してくださいよ・・・」
と相模と秦野は材木座を睨み嘆きつつあきれ顔
「ふーん?なんのことやら?我なーんも・・・」
としらばっくれる材木座だったが、葉山は材木座の肩を思いっきりつかんで迫る
「そういうのはいいから、同人誌の件だよ?わかるだろ?」
「あ、あれは~その~ほら!雪ノ下殿が~」
と下手な言い訳をしようとする材木座を制してさらに迫る葉山
「あのね?マジでこれ以上問題起こさないでくれるかな?いや本当にね?マジで、フォローする俺の身にもなってくれるかな?」
顔は笑顔だが目が全然笑ってない、葉山の手には力が入り材木座の肩をメリメリとつかむ、
「ヒー、も、申し訳ございませんでしたー!!!」
材木座は恐怖を感じてその場で土下座する
「君たちもだよ?二人もいてなんで彼の暴挙を止められなかったのかな?」
完全にとばっちりである
「い、いやそれは・・・」
「連帯責任だ、そこに正座」
葉山は言い訳なんて聞きたくないとばかり冷たく言い放つ
「ほらやっぱり俺達とばっちりだ!」
相模と秦野は叫んで材木座の隣に正座、結局この日またも葉山の説教を受ける三人であった。
ただ今回は雪ノ下から同人を取り上げようにもすでに結構な量の同人誌を渡していたらしく回収するには大変な量、その為
『材木座君から変な本貰っただろ?ああいうのはごく特殊な事例だから一般的ではない、彼には制裁をくわえておいたからね、結衣とは普通に仲良くすること、陽乃さんにばれたらめんどくさくなるよ?』
とLINEで忠告するに留めるしかなかった。
無論返答は
『なんのことかしら?由比ヶ浜さんは私の親友よ?・・・でもご忠告感謝するわ』
とわかってるのかどうなのかわからない返事が返ってきた。
「やれやれ、もうこれ以上は勘弁してくれよ?」
その後、雪ノ下と由比ヶ浜を見ると前よりはべたべたしていないように見えた。
一応忠告は受け取ってくれたらしいがそれでも普通よりは明らかに二人の距離は近い。
「今まで通り普通の相談のLINEも来るし、一応は大丈夫かな・・・」
でもこれ以上問題が起きたら色々諦めようかなと思う葉山であった。
月日は流れ受験シーズンが近くなると比企谷と話すことも減ってきた、ねっとりとした視線もその余裕を失ったのか最近感じてない。
「大学に行ってしまえば俺はお役御免だな」
しかしながら男どもからメッセージは未だにバンバン飛んでくる、特に材木座がうざったい
『八幡が二人にかかりっきりで我はいつも放置!なあ葉山殿!我はどうすればいい?寂しくて死ぬ』
いや君、比企谷達は受験勉強だろ?それに君は毎日遊戯部の方へ顔出してるんじゃ?
大体どうすればと言われても受験勉強しろとしか言いようがないのだが。
『隼人君!やべーわ俺予備校行ってても全然やべーわ』
戸部、お前は勉強しろ
『ダメ元でスポーツ推薦狙ってみたけどやっぱり駄目だったよ、でも大学に行ってもテニスは続けたいな、葉山君もサッカー続けたい?』
戸塚、君だけが一番まともだ、比企谷が結婚してくれという気持ちも大変わかる
『葉山先輩!先輩が逃げないように連絡先確保しといてくださいね!絶対に既成事実作るのでその時は協力よろしくお願いします!』
いろは、君は何を言っているんだ?
それに何故俺に言ってくるんだ・・・
『ねえ隼人・・・最後にさ・・・』
そうだな優美子、でも君とは最後にはならないつもりだ
『あー息抜きにはちはやが見たいなー』
・・・・君とは最後にしたいかな?
『高校生の雪乃ちゃんの初体験を動画に収めることが出来たはずなのに・・・これからに期待だね、その時はあんたも協力しなさい』
この人まだ諦めてないのかよ、そして勘弁しろ!
受験の結果はなんとか皆志望校に合格した、葉山も念願かなって一人暮らしをする事となる。
比企谷や雪ノ下は葉山とは違う大学になった。
彼らもアパートを借りて一人暮らしである。
案の定いきなり同棲するとか言い始めたので葉山は両親達が卒倒するから止めておけと釘をさしておいたのである。
でも今後どうなるかはわからない、後は自己責任に任せるしかないだろう、これ以上は彼の知ったことではない。
因みに今年のプロムでは最後に比企谷と雪ノ下カップルのダンスが披露された、これは二人への忖度であることは想像に難くない。
ただ、雪ノ下とのダンスが終わった後、由比ヶ浜が飛び入りで比企谷とダンスをし、それが終わった後は今度は一色もと、事情を知らぬ者にとっては何が起きてるのか分からない事態となっていた。
「波乱万丈だった高校生活も終わりだな」
ダンスも終わり皆がやがやと騒いでいる時に葉山は最後だしと、雪ノ下へ挨拶でもしようかと近づく、すると材木座が雪ノ下となにか話しているようだ、手には本らしきものを持っている
「葉山殿に死ぬほど怒られたので持ってきたくは無かったのだが・・・これが百合本では邪道と言われてるおぬしが希望している例のジャンルのものだ」
「本当に色々あるのね・・・私をこうしてしまったあなたには責任があるのよ?結局あなたの目論見外れてしまってごめんなさいね。私と比企谷くんの仲はこんなもので離れたりしないわ、でもこれのおかげで由比ヶ浜さんと今まで以上に仲良くする方法が分かったんですもの、それには感謝ね」
遠目に見ると材木座が本を渡しながらなにやら話しているようだ。
「?なにしゃべってるんだ?それにあの本はなんだ?もしかしてアレが例の?」
雪乃ちゃんはそれを手にすると結衣の元へ走り出し読ませているようだ。
なんか結衣が顔を赤くして手をブンブンふっている、なんか揉めているようだが?
最終的には二人で泣きながら抱きあっていた。
あの二人仲良かったけど比企谷のことがあるしな、流石に大学違うしこれでお別れなんだろう。
「これで最後か、俺も連中とはこれで最後だし、アレは見逃してやるか」
そう思うと少しだけ感傷的になる葉山だった。
これで終わり?
いえ最後に爆弾が待っています。