葉山の受難   作:もよぶ

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第六話

数日後

「雪ノ下と二人っきりで毎日もっとゆっくりと話をしたいのだが」

またもや比企谷からの相談である、ただ今度は教室で普通に直接話をしてきた。

 

「君がみんな見てる前で話しかけてくるなんて珍しいな」

若干うんざり気味で比企谷を見る葉山

 

「込み入った話は、直接話したほうが早いことに気がついたんでな」

いやそれ普通わかるだろ?

と言うか今聞かれてるのは全然込み入った話じゃないだろ

 

「それでだ、さっきも言ったが二人っきりでゆっくり話す方法何かないか?」

こいつはアホなんだろうかといった視線を送りつつ葉山は答える

「普通にすればいいだろ」

「部室だと由比ヶ浜や小町や一色がいてなかなか難しくてな、たまにとか戸塚とか来るし、いや別に小町やあいつらが邪魔というわけでは無いんだ、雪ノ下が喜ぶしな?戸塚が来てくれる時なんて天にも昇る気持ちだしな、材木座?知らない名前だな・・・ともかくまあそれはそれとしてだ、どうすればいいと思う?」

 

「・・・家に帰った後電話でもすればいいだろ」

呆れを通り越してあきらめ気味に言うと

「ばっかお前、雪ノ下に電話とか恥ずかしくて出来るわけないだろ!すこしはボッチの気持ちも考えろ、用もないのに何となく電話とかハードル高過ぎんだよ」

 

今のこいつのどこがボッチなんだろうか、俺の周りより遥かに濃い面子が取り囲んで、二人でゆっくり話す時間がないと相談に来ているヤツがなぜボッチなのだろうか?

 

と、もはやあきらめ気味になった葉山のスマホに着信がある

「ちょっと失礼」

と一旦廊下に出て電話に出る、相手は雪ノ下

「どうかしたのか?学校で電話なんて珍しい」

「ごめんなさい、比企谷くんとのことで相談があるものだから」

なにか重要な要件なのかと思い少し焦った葉山だったが、またかとうんざり気味な口調になる

 

「・・・なんで電話してくるんだ?LINEでいいだろ」

「文章だけど長くなってしまうということが分かったから電話で簡潔に済ますことにしたのだけれど」

したのだけれどじゃないだろ、なんだこのカップル、思考がリンクでもしているのか?

 

葉山は少しイラついて頭をがりがりとかく

「比企谷くんと二人っきりでゆっくりお話がしたいのだけれど難しくて・・・あ!別に由比ヶ浜さん達が邪魔というわけでは無いの、むしろ由比ヶ浜さん達の事も大好きだしお話しするものとても楽しいのよ?でも比企谷くんとももっとお話ししたいの、比企谷くんの声をもっと聴きたいのよ?あなたにこの気持ちわかるかしら?」

 

やっぱり相談内容が一緒だよ・・・マジで思考がリンクしてないか?

何か妙な契約儀式でもしてるんじゃないだろうな?

黙っているとのろけが始まりそうなのでさっさと済ますことにする

 

「そもそも俺に電話する前に比企谷に電話して話せばいいだろ」

「それができたら苦労しないじゃない、何より理由がないのに電話するなんておかしいでしょう?」

何この似た者同士、今のあんたらの方が十分おかしいよ

 

「例えば優美子なんかは・・・」

「三浦さんと一緒にしないでくれるかしら?私と彼女は住んでる世界が違うのだから」

ぴしゃりと言われてもういったいどうすればいいのかと頭を悩ませる葉山

「それなら、例えば具体的に比企谷と何を話したいんだ?」

 

「愛の言葉ね」

 

恥ずかしがることもなく即答とは、俺が言うのもなんだが君たちは爆発した方がいいんじゃないかな?

 

「んじゃその愛の言葉とやらを言い合うゲーム的なものをやろうと電話すればいい、人に聞かれたら恥ずかしいとかそういう理由で、例えば片方ずつ言って言葉に詰まったら負け、罰ゲームとか、実際愛してるゲームってのがあるからそれ参考にすればいい」

 

「愛してるゲーム?興味あるわ、ぜひ詳細を教えなさい」

「・・・ネットで動画検索すればいい」

「あなたは色んな女性と年中そういうゲームをしているんでしょう?いいから教えなさい」

 

本当にこの二人は俺をなんだと思っているんだ?

名誉毀損で訴えてやりたい気分だ。

まあ訴えてもこの二人が相手だとひどい目に合わされるのはこっちだなと半ば諦め気味に参考になりそうな動画を雑に検索する。

ちなみに検索の一番上に来た動画はいかにも私たち青春してます的な陽キャな女子と男子がキャッキャウフフしている動画だった、雪乃ちゃんがものすごく嫌いな感じの動画だよなこれ?

でもまあいいか、めんどくさいしとアドレスを教える。

 

「今アドレス送ったからそれ見て参考にしてくれ」

「・・・あら?あなた、たまには役に立つのね」

と電話を切られる

「たまにはって・・・ハー、もう引企谷といい雪乃ちゃんといいなんで二人はこうも・・・」

葉山は額に手をやるとよろよろと席に戻る

 

席に戻ると比企谷がまだいた

「ずいぶん長かったな、うんこか?」

 

「・・・まあそんなところだ、ところで君は雪ノ下さんから電話が来たらちゃんと出るんだろうな?」

「当たり前だ、すべてを捨ててでも電話に出る」

電話一本に重すぎだろう・・・

 

「んじゃ心配ないな、ほら席に戻れ受業が始まる」

いぶかしげな視線を送る比企谷を無視して午後の授業に取り組むことにしたのだった。

 

次の日、比企谷は二限目になってようやく登校してきた模様、比企谷の目は腐っているどころかゾンビ化していた。

 

「葉山、昨日の夜雪ノ下から電話が来てな?あいつとゲームをやってたんだよ!結局俺が負けたんだが幸せな気分だ、んでそのままずっと話をしてな?気がついたら日が昇っていた、おかげで俺はほぼ徹夜だ、少し仮眠をとったので遅刻してしまったが、雪ノ下も少しは寝ているはずだ、徹夜はお肌に良くないからな」

 

来て早々こちらに報告してきた、マジか何時間電話してるんだこいつら?

それで遅刻したのか、今年は受験なんだぞ?大丈夫か?

やけに興奮気味な比企谷を見て若干引き気味になる葉山

 

「スマホって充電しながら電話すると熱くなるのな、初めて知った」

うんそうか、そして君の席はあっちだ

「雪ノ下が愛の言葉ゲームをやろうと言ってきてな、交互にずっと言い合うんだが、さっき使った言葉を使ってはだめなんだ」

そのゲームを提案したのは俺だ、でも細かいルールや勝負の詳細なんぞ聞きたくないのだが

 

「雪ノ下の口からあんな言葉が聞けるなんて・・・」

ニヤニヤ顔がとても気持ち悪い

 

「なあ、年齢的にもう結婚って出来るんだよな?高校卒業と同時に結婚してもいいかな?」

こいつはバカなのか?

「あのな?言わなくてもわかると思うが今の時点で結婚とか色々問題しか起きないからな?」

 

「それは分かってるんだが・・・分かりたくない、雪ノ下も恐らく同意見だ、式はこの間の教会にしようかと思ってるんだが、平塚先生呼んだらやばいかな?でも呼ばないと後が怖いしな」

 

ダメだこいつ早くなんとかしないと・・・

ほとんど寝てないのでハイになっているんだろうか、比企谷は妄言を延々と垂れ流す機械と化しているようだ。

兎に角現実に戻さないと

「のろけはもういいから、ほら授業始まるぞ、受験あるんだからしっかりしないと、結婚よりも大学落ちたら大変だろ?」

 

「そうだな、落ちたら専業主夫の道でもいいかもな、雪ノ下はどんなことがあっても一緒と言ってるしな」

「バカなこと言ってないで席に戻れ、先生来るぞ」

 

まだなにか言いたそうな比企谷を追い返す葉山、因みに罰ゲームの内容は弁当に苦手なもの入れたからそれを残さず食うことらしい、授業終了と同時に比企谷が教えに来た。

だから俺に報告に嬉々として来るな、後ろにいる赤い眼鏡と三年になって増えたその同志達が鼻血噴出しているぞ。

 

雪乃ちゃんは学校に遅れるのを覚悟で弁当作りに励んでいるとか、昼には間に合わせるらしいが学校よりも弁当を作ることを優先とかどうなってんだ?

そもそも雪乃ちゃんから弁当作ってきてもらってる時点で罰ゲームの意味はないんじゃないだろうかと二人の将来がとても心配になる葉山だった

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