その後もことあるごとに葉山のスマホには質問やらなにやらが飛んでくる、特に比企谷がやばい、高校三年生という大事な時期ではあるが男女とも体は大人であるし、性欲も旺盛である、特に比企谷の場合は相手は学校一の美少女、しかも恐らく比企谷が何をやっても受け入れるレベルであることは想像に難くない。
しかも雪ノ下は一人暮らしである、黙っていると盛りのついた猿のように・・・いやまあたとえが悪かった、とにかく薄い本のようなことを毎日実行することになるのは間違いない。
今日も比企谷から雪ノ下のいい匂いに耐えられんだの、雪ノ下からは受験に影響が出ない正しい性行為とはだのどう返答していいかわからないような質問がバンバン飛んでくる。
最もそれに対して葉山は律義に返答をしてしまうため余計に質問が加速する結果となっていた。
無視をしようものなら、やれ既読無視だの、返事が遅いだの送ってきて、挙げ句には直接電話がかかってくるのである。
試しに雪ノ下からのLINEを無視してみた事があるが、夜にも関わらず電話がかかってきて
「あなた?無視するとはいい度胸ね、こちらは困っているのよ?困っているといえば、昔チェーンメールなんてのがあったわね?あれ解決したのは誰だったかしらね?彼のおかげよね?私が困るということは間接的に彼にも迷惑がかかるのよ?そもそも私と彼はお互いの人生を・・・」
開口一番ものすごく怖い、そしていつの間にかのろけにシフトするのである、そしてその電話は永遠に止まらない。
面倒なので上の空で適当に相槌をうつと
「あなた本当に聞いているの?」
と言ってくる。
だから俺じゃなくて比企谷と話せよ!
でも今の人の話を聞かないラブラブぶりからすると雪乃ちゃんと話しているのばれたら俺は比企谷に弁解の余地もなく殺されるんじゃないだろうか?
ともかく放置してたら受験勉強なんぞそっちのけになりそうな勢いである、どちらかが落ちてしまったりすると恐らくもう片方も故意に浪人するとか言い出しそうだ、そしてその結果陽乃さんが動いて・・・
最終的に自分も色々手伝わされ平穏な生活は送れない可能性が高い。
大学は一人暮らしをする予定なのだ、めんどくさいしがらみから解放されたいという気持ちはある。
「やっぱ高校の時は俺があの二人を見てないと駄目だよな・・・」
なんとかなだめつつ肉体的接触はキス程度にするよう説得を繰り返す毎日であったが、流石に限界はある、部室に二人っきりだと恐らく歯止め役がいないのでキス以上に発展する可能性が高い、流石にあの二人も学校でどうこうはしないとは思うが何がきっかけでそうなるのかわからないのである。
小町に話して協力してもらおうかと思ったが、この手の場合、障害があると逆に燃えるのが定石である。
あからさまな監視がついてしまうとそれをくぐり抜けたくなるのが人の性なので、本人たちが自然と出来ない雰囲気になる様にしないといけない、無論二人の仲は今までどおりの状態でである。
「あの二人お互いのこと好きすぎるだろ・・・一体どうしたらいいんだ?」
無理難題を抱え込んで廊下で一人ぼーっと外を見ていると
「隼人君、ちょっといい?」
聞き覚えのある声に呼ばれる、振り向くと由比ヶ浜が三浦と立っている。
「結衣に優美子かどうした?」
同じクラスになった為か二人はよく一緒にいることが多い、でも人間関係は変化しているようだ、今まで優美子の後ろにいる事が多かったが今は結衣の方が積極的になることが多くなっている。
ともかく結衣は何か話があるらしい
「もし隼人君が優美子と付き合ってるみたいな感じになってたとして「ちょちょっと、結衣?恥ずかし「優美子?ちょっと黙ってて?」ゴメン・・・」優美子と仲のいい女の子がどういう感じで接してきたらそっちとも仲良しになれるかな?もちろん優美子とその人は仲が悪くならない方向で」
これって比企谷達のことだよな?アレに介入するなんて無理ゲーってやつでは?
あと優美子は立場弱くなりすぎだろう・・・前は平気でジュース買ってきてとか言ってたのになぁ・・・
諦めさせた方が結衣の為ではと思った葉山だったがここで一つひらめきが宿る
「うん、そうだね、その人たちに遠慮せずできるだけ長い時間一緒にいるといいと思う、自分のことをよく見てもらうってのは大事だからね、裏であれこれ画策するのが一番良くない」
うん、言ってて自分が凄く嫌になったな、俺って屑だなぁ・・・
「そっか・・・遠慮しちゃうのが良くないのか・・・」
由比ヶ浜はうんうんとうなずいている
「そうだね、特にその仲のいい女子と今まで以上に仲良く接するのが大事じゃないかな?そうすれば男の方は二人を同時に見ることになるからね、必然的に結衣のことも見てくれるようになると思うよ?」
「そっか!隼人君!ありがとう!優美子、あたし部活いくから!」
「ちょっと結衣!あーしとカラオケに行くって・・・」
「隼人君と二人っきりで行けばいいじゃん!割引チケットはペアだからちょうどいいし!じゃーバイバーイ」
結衣は走っていった、そして顔を真っ赤にした優美子が一人残されている
「・・・でもさ・・・」
一人ブツブツとつぶやいている
とにかく、これであの二人も過度な接触は控えるだろ。
結衣が積極的になれば二人っきりという状況も起きにくくなるからな。
なにより雪乃ちゃんと結衣が前のようにべたべたしていれば比企谷も接触は避けるだろう
陽乃さんが知ったらまた揉めるかもしれんがまあいいか!多分雪乃ちゃんと比企谷がどうにかするだろ!よしこれで当面の問題は解決できた。
なんかゲスイ作戦な気もするが肉欲におぼれて浪人するよりは遥かにましだ。
晴れやかな顔になる葉山だったが
「隼人・・・あのさ・・・」
優美子のことを忘れてた。
「ああ、そうだね優美子、また二人っきりで遊ぼうか?」
「うん!」
去年よりもいい笑顔をするようになったなと思いその笑顔に癒やされながら一緒に遊びに行くことにしたのだった。
数日後
『由比ヶ浜さんが前のように部室に毎日顔を出してくれるの、親友と恋人両方が常に一緒にいるのよ?あなたにこの素晴らしい気持ちがわかって?』
と歓喜に満ちたLINEが飛んできた。
うんそうなると思った、でもそういうことは俺じゃなくて別な人に言うべきじゃないかな?
『由比ヶ浜が来てくれたおかげで部室に百合の花が咲き乱れているのだが、いや由比ヶ浜の事は嫌いじゃないし雪ノ下と仲良くしているのはいい事なんだが、雪ノ下と二人っきりになる機会が激減してしまった、これは受験勉強をしろという神の啓示か?なあ?俺はどうすればいいんだ?』
高校生の義務を神の啓示と言うかこいつは、君は勉強しろ、雪乃ちゃんと同じ大学に行くんだろ?
しかしやっとこれで正常化されたとホッとする葉山であった。
由比ヶ浜効果は絶大だった、それからほとんどキスだの性行為だのといった質問はなくなり、バカげた質問メッセージもなくなっていった。
実際のところどうかはわからないが、たまに三人で歩いているところを見ると健全なお付き合いをしていると信じたいところではある。
幸いにも陽乃さんからの追及は無い模様、あの人こっちにかまうの止めるようにしたのだろうか?
材木座からLINEが飛んでくる
『八幡が全く構ってくれなくなった・・・そんなにあのおなご共の方が大事なのかよ!こうなったら我の封印されしアカシックレコードを解放するしかあるまい!』
なんだ?何か余計なことするんじゃないだろうな?
そのなんとかレコードってのはなにか聞いてみるもイマイチ要領が得ない、ともかく余計なことをして雪乃ちゃんの怒りを買わないようにと釘を刺しておいたが・・・
一抹の不安を覚える葉山だったが、この時材木座を問い詰めておけばよかったと後々後悔するのである。