まともなのは葉山のみ、大変です。
遊戯部の部室にて
「八幡は昨日もあのおなご共と一緒に遊びに行くとか、我を放置しすぎであろう!」
ドンと握りこぶしをテーブルにたたきつける材木座
「あのーちょっとやめてもらえませんか?うるさいですよ?」
「そうですよ、それにあの人達に割って入るのって無理でしょう?」
材木座は怒りをあらわにしているが相模と秦野は白い目で見ている。
「ええい!黙れ!我はこの秘蔵の禁書を用いたプロジェクトYを実行する!」
と薄い本を懐から出す
「ちょっとまたそんなもん持ってきて」
「そうですよ、この間葉山先輩に怒られたばっかりじゃないですか」
抗議の声を上げる二人に対し不敵に笑う材木座
「ムッフッフ、これは以前のような代物とはそもそもジャンルが違うのだ!そしてこれは作戦にとても重要なアイテムなのだ!」
「さっきのプロジェクトYって奴ですか?いったいなんなんですか・・・」
と材木座が持ってきた薄い本を受け取り読む二人
「・・・これってあれですか?ま〇マギの同人の百合本じゃないすか」
と二人が怪訝な顔をしているとノックをする音がする
「めずらしいな、入部希望者か?」
と相模が扉を開けるとそこにいたのは雪ノ下だった。
相模はそのまま硬直してしまう
「財津君から呼び出されたのだけれど、なんの用かしら?比企谷くんと由比ヶ浜さんとお話しするのに忙しいのだけれど、さっさと要件を言ってくれるかしら?」
「あんたいったいなに始めようとしてるんすか!」
秦野が叫ぶ
「ヌッフッフ、雪ノ下殿、由比ヶ浜殿と今まで以上に仲良くなりたいとは思わぬか?」
机に両肘をつきゲンドウスタイルになった材木座は言う
「何を言っているのかしらこの男は?帰ってもいいかしら?」
と帰ろうとする雪ノ下に
「ちょっちょっと待つのだ、まずはこれを読んでいただけぬか?」
と先ほどの同人誌を見せる
「・・・なんかこの黒い髪の女の子は私に少し似てるわね・・・こっちのピンクの紙の子は活発そうで由比ヶ浜さん似?かしら?」
と本を開く雪ノ下だったが読み始めてすぐ本を閉じる
「あなた、こんなものを読ませてどういうつもりかしら?〇されたいのかしら?」
怒気が半端ない、あまりの怒りのオーラに相模も秦野も足がすくんでしまう
「ま、まあ落ち着くのだ、良いか?雪ノ下殿の回りの女子の中でやたらと仲がいい二人組とかおるであろう?」
「・・・それがどうしたのかしら?」
「その二人が手を繋いでいるのを見たことは無いか?」
「・・・あるわね、それとこれと何の関係が?」
「その二人この本のような関係であるぞ?」
というと雪ノ下はバカにしたような顔で
「あなたの妄言に付き合ってられないわ」
そういって席を立つが
「待つのだ、例えば由比ヶ浜殿は友達にしてはやけに距離が近いとは思わぬか」
「・・・そうね・・・確かに近いわ・・・」
「であろう?由比ヶ浜殿としては親友の定義としてこの本のような関係が当たり前なのだよ、だから近い」
「・・・そうなの・・・?」
若干不安げな表情になる雪ノ下
「そうだ、我はおぬしら二人を見て少し不安になってのう、由比ヶ浜殿があんなにアピールしているのに手も繋がない、とても由比ヶ浜殿が不憫になってな、雪ノ下殿は我が言うのものなんだが人付き合いの幅が狭い、だから親友ができても常識がわからないと思ってな、我が注意喚起をするためこうやって来ていただいたわけよ!」
「そんなこと知らないわ・・・」
「まあ、ほれ我はその手の情報にも詳しい、これを差し上げるので勉強されるといいぞ?」
と先ほどの同人誌を指さす
「でもこの手の本を持っている事は由比ヶ浜殿に言わない方がいいであろう、女子同士の常識を知らなかったとか由比ヶ浜殿からあきれられるぞよ?」
「わかったわ、他にも持っていたら見せてもらえるかしら?」
「無論だ、あと八幡にも内緒にしておいた方がいいぞ?俺と由比ヶ浜どっちが大事だとか言われたら困るであろう?」
「そうね、そんなこと言われてしまったら私どうしたら・・・」
頭を抱える雪ノ下
「さしずめまず由比ヶ浜殿とこのような関係になることを目標にしたらよかろう?八幡は黙っていても一緒にいてくれるでな?何しろ人生を・・・」
と材木座が調子に乗って話を続けると
「あなた?それ以上言うのをやめなさい、私たちの告白を汚すつもりかしら?そう言えば前にLINEで私たちの告白のこと知ってると書いてたわね・・・やっぱり物理的に脳から消去しないとダメかしら?」
雪ノ下がものすごい目つきで睨んでくる
あまりの怖さに足がすくむ材木座
「・・・ま、良いこと教えてもらったし不問にしておくわ、とりあえず、これはいただくわね、あなたは参考になりそうなこの手の本を定期的に私によこしなさい」
そう言うと雪ノ下は出て行った。
ほっと安堵のため息をつくと三人だったが
「あんたは一体何を考えてるんですか!」
相模が叫ぶ
「ヌフッこれであの氷の女王は由比ヶ浜殿に夢中になるであろう、そうなると八幡は必然的にあぶれる!これで前のように一緒に遊ぶ時間ができる!これぞプロジェクトY(百合)ちなみにあのおなご二人のイニシャルとかけておる!我天才!」
「この人ほんとバカだな・・・」
「遊ぶことより受験でしょう・・・」
高笑いをする材木座に呆れ顔の遊戯部の二人であった。
~~~~~~
材木座君からの妙なLINEの後、注意深く三人を観察していたが、特に変わったことはないようだった、いつも通りベタベタしている模様、強いて言えば学校にいるときは雪乃ちゃんと結衣はよく手を繋いでるようだ、二人の距離がいつもよりなんか近いような気もするが・・・
『我の秘伝のアカシックレコードを展開した!これで、かの氷の女王も禁断の愛に目覚め、八幡は暇になるであろう!』
こんなLINEも飛んでくる、少し不安になって観察しているがあまり変化は無いようだが?
『毎日楽しくて仕方がない』
相変わらず雪乃ちゃんからはこんなLINEがバンバン飛んでくる、だからそれを比企谷に言えよ!
でも状況は悪くなってないようなので一安心していいのかなと思っていたのだがこれは大きな間違いだったようだ。
数日後
今目の前には陽乃さんがいる、帰宅途中にファミレスに連れ込まれたのだ。
しかも微妙に不機嫌だ、最近特にこの人の機嫌を損ねるようなことをした覚えはないのだが?
陽乃さんは終始無言だ、変わりに俺が料理をいくつか頼み、お互い一口食べた後陽乃さんはこちらを睨みつけてくる
「あのさー隼人、あんたなにか余計なことしてない?」
開口一番これである。
「なんのこと?全然わからないんだけど?」
「とぼけないで、雪乃ちゃんと比企谷くんのことよ!」
余計なこと?受験もあるので肉体的接触を避けるよう色々やったことなのだろうか?
キスしまくってるとか徹夜で電話で話をしたりとか?
キスに関しては俺のせいでもあるかもしれんが、大半は俺のせいではないだろう、二人の仲をどうこうしている訳でもないのに?
と頭に疑問符を浮かべる葉山に陽乃は声を荒げる
「一向に雪乃ちゃんの「初めて」が撮影できないじゃないの!」
は?この人何言ってるんだ?
「えっと、陽乃さん?どういう意味かな?」
「だから!雪乃ちゃんと比企谷くんは付き合い始めたわけでしょ?そうなるともうあの二人絶対やっちゃうでしょ!はたから見ても、もうあと一歩じゃない!だから内緒でカメラをあちこち取り付けたのに全然撮影できないの!」
あれ?この人こんなにバカだったのかな?
ってかあちこちってマンションの部屋中につけてるのか?
やっぱこの人なんか仕掛けてたか。
あきれる葉山
「前にそういうのは早いだのなんだの言ってたでしょう、俺たちは今年受験なんですよ?そんなのにうつつを・・・」
と説得しようとしたが
「ああでも言わないと学校で始めちゃう勢いだったじゃない!それに受験なんてのはわかってるわ!だからせめて二人っきりでいちゃいちゃしてるところでもいいから撮影したいの!でも比企谷くん全く雪乃ちゃんのとこに行こうともしないじゃない!代わりにガハマちゃんが頻繁に行くようになってるのよ?なんで?」
なんでと言われても・・・
「それは受験が近いから一緒に勉強とかではないのでしょうか?」
「これ見ても同じこと言えるの!?」
と陽乃さんスマホで動画を見せてくる、どうも件の隠しカメラで盗撮もとい撮影したものらしい
『由比ヶ浜さんは胸が大きくてうらやましいわ』
『あん、あんまり揉まないでよゆきのん』
『私のも揉んでいいのよ?』
『ゆきのん、最近なんか変じゃない?ちょっとコミュニケーションが過剰かなーって』
『あら?女同士これが普通なのでしょ?由比ヶ浜さんだって今までよく抱きついて来たじゃない?』
『そうだけど・・・まあいいか!んじゃお言葉に甘えまして、デヘヘーゆきのーん』
『ん・・・ウフフ、いまとっても幸せよ?』
『ゆきのん、あたしも・・・』
「・・・なんですかこれ?」
動画にはリビングでいちゃついている二人が映っている
「私が聞きたいわよ!あんたが余計なこと言ったんじゃないの?」
「俺が言ったのは雪乃ちゃんと仲良くしたらと言っただけで、こういうことをしろとは全く言ってないし、それに比企谷とのことがある前から結衣は雪乃ちゃんの所によく行ってたの知ってるでしょう?」
「そりゃ知ってるけどさ・・・なに?んじゃあ前からこういう仲だったってこと?これじゃまるでレズじゃん!」
と声を荒げる陽乃葉山は落ち着くようなだめる
「ちょっと陽乃さん落ち着いて、声が大きいですよ・・・大体雪乃ちゃんが同性愛者だったら比企谷とああいう仲にならないですよね?それにそういう性癖かどうかなんて一番あなたが知ってるでしょう?」
「知ってるわよ!だから困ってるんじゃない!これじゃいつまでたっても雪乃ちゃんの初めてが見れないじゃないの!」
バチーンとテーブルを叩く陽乃
もうこの人も勘弁してくれよ・・・
と頭を抱える葉山
「ともかく、そういうのは高校卒業してからと俺はアドバイスしています、陽乃さんも雪乃ちゃんを盗撮している暇があったら彼女の勉強を見てやるとかしたらいいでしょう?」
「あの子にはそんなの必要ないわ、それより今のままじゃ雪乃ちゃんが・・・」
「女子同士で多少過激なスキンシップなんてたまにありますよ、確かに学校でも手をつないでいたりしますがそれで比企谷との仲がどうこうなってるわけではないので安心してください」
最近性行為うんぬん等のLINEは来なくなったのだが、それでもやはり雪乃ちゃんからは男子が好みそうな流行りの~はとか比企谷からは女子が好みそうなデートスポットだとか流行りのスイーツを教えろだのは未だに来るのだ。
誰が見ても相思相愛なのは間違いない。
「あんたを信じていいのね?」
「嘘は言っていません、信じるかどうかは好きにしてください、んじゃ俺はこれで」
そう言うと葉山はファミレスを出ることにした。
因みにファミレスで飲み食いした分は払わずに出てきた。
「迷惑料ってことでいいよね」
そう言うと葉山は文字通りダッシュで家に帰るのだった。
しかしながら帰ってから陽乃さんからLINEが来ている。
『閃いたわ、なんかのお祝いって名目で雪乃ちゃんと比企谷くん達を呼び出すの、そして上手いこと部屋に二人っきりにさせて反応を見るのはどうかな?』
いい加減諦めてくれないかね?
『反応っていくら二人っきりにしても他の人がいる家でどうこうするはずないでしょう』
『だから、こっそりお菓子や飲み物にアルコールを混ぜるのよ!大学じゃよくあるのよ?目当ての女の飲み物にわからないようにアルコール入れてなんてね?実際スクリュードライバーなんてそういう目的に使われる飲み物だし』
なんだこの人怖すぎるだろ
『いくらなんでも未成年に飲酒は駄目ですよ!』
『大丈夫、私新歓コンパでアホな先輩に飲まされてねー、ほら、私酔えないでしょ?逆に相手潰して色んなドリンクの製法を根こそぎ聞き出したの、酔っても次の日になればすっかり元通りなんて便利なのもあるしねー』
この人の怖すぎだろ
でも飲酒は駄目だ
『飲酒は駄目です、今年は受験なんですよ?止めないとそっちの親に言いますよ?』
もうほっとけと思う葉山だったが陽乃はしつこく食い下がる
『ふーん、ファミレスであんた食い逃げしたよね?その分払ってあげたんだけど?逆に私があんたの親に言ってあげようか?そちらのご子息は食い逃げして会計を人押し付けて知らぬ存ぜぬなんですよー?ってね』
おいまじか、それは勘弁してくれ、この人の事だからあることない事事実を拡大して一部を切り取って話すだろ!
圧倒的にこちらが不利じゃないか!
何もかも諦めた葉山
『分かりましたよ・・・んで何のお祝いにするんです?』
『え?しらないわ?んじゃ適当にセッティングよろしくね!食べ物と飲み物は準備しとくから!』
「丸投げかよ!」
つい自室で叫んでしまう葉山、それは心配なった親が様子を見に来くるレベルであった。
次の日
「ったくあの人は妹の事となると本当に・・・しかもお祝いとかどうすれば?」
ぶつぶつ言いながら授業を受ける葉山、比企谷を見ると相変わらずニヤニヤして授業なんて上の空のようだ。
「頼むからしっかりしてくれよ?」
昼休み、一人で窓の外を見ながらボーッと考えてると教室に三浦と由比ヶ浜が入ってきた。
「隼人、今度結衣の誕生日のお祝いするんだけど・・・」
季節は六月も半ば、そう言えば!
葉山はポンと手を叩く
「結衣はヒキオ達に祝ってもらうらしいけどあーしあんま雪ノ下さん達と仲良くないし、別でお祝いするし、前のグループのメンバーでさ・・・」
と話を続ける三浦に
「優美子!やっぱり君は最高だよ!」
と抱きつく葉山
「わわわ!」
抱きつく二人を見て慌てる由比ヶ浜
三浦に至っては突然の事で気を失った模様
教室は大騒ぎになる
「葉山君が三浦さんを抱き締めてる!」
「えー!三浦さんじゃ勝ち目ないよ」
「うわっリア充はどこでも盛りやがって、TPOをわきまえろよ」
なんか最後に聞き覚えのある声がした気がするが、鏡で自分の顔見た方がいいとおもうよ。
気絶した三浦をお姫様抱っこする葉山
「保健室に連れていくから」
と教室を出る。
後ろでは大騒ぎであった。
保健室にて、三浦を介抱する葉山、しばらくすると三浦は目を覚ます。
「隼人・・・」
顔が赤いようだがそれよりもだ
「結衣の誕生日だけど比企谷達と祝おうよ、人は多い方がいいだろ?」
と説得にかかる葉山、三浦は何が起きてるのか理解出来て無いようだ。
「し、しつれーしまーす」
由比ヶ浜もおずおずと保健室に入ってくる。
「結衣、君の誕生会俺たちと比企谷達みんなでやろう」
「え?いいの?」
「優美子もそれでいいよな!」
の葉山はニコッと笑う
「う、うん!」
まだ理解が追い付いてない三浦は流れで頷くのだった。
「・・・すまん結衣、あとでちゃんとみんな呼んでお祝いやるから許してくれ・・・」
教室に戻る葉山、因みに比企谷へ誕生会のことを話すと。
「え?お前も?ってか三浦は大丈夫なの?雪ノ下と喧嘩したりしない?」
そこは大丈夫、もしもの事があったら俺がフォローすると伝えると渋々納得したようだ。
放課後今度は一色からLINEが飛んで来る。
『葉山先輩、マジでちょっと先輩と二人っきりにさせてほしいんですけど』
いろははまだ諦めてなかったのか?
ややこしくなるから諦めた方がいいと思うのだが
『それはそれとして、結衣先輩の誕生会わたしも行きますので』
え?大丈夫なんだろうか?
陽乃さんへ計画を伝えると
『ガハマちゃんの誕生会か、それなら雪乃ちゃんも比企谷くんもは断れないね!んじゃ私も行くから、会場は雪乃ちゃんのとこね!』
それからどうやったのかは知らないが本当に誕生会は雪乃ちゃんのマンションで執り行われる事になった。
「仕方ないから陽乃さんの言うとおりにしたけど、上手いこと阻止した方がいいよな、でもなんかめんどくさくなってきた」
ため息をついてがっくりと肩をおろす葉山であった。