とりあえず解決した。妹からの気持ちも受け取った。受け止めた。そして気づく。【俺らーーーしたこと無くね?】

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唐突に書きたくなった。作者本人もそいえばこいつらデートしたことないのに(まだにゃんにゃん関係じゃないときの兄妹モードのお出かけは除く)にゃんにゃんだけしてるとか、けしからん。とか謎思考がフルバーニアンしたからよし書こう。ってなったんだよね。(関あきうぉ風)...最後のほう駆け足感ある。


9-nine- そらいろ 新海兄妹デートする。

大変だった。俺も、天も。ソフィーから受け取ったアンブロシアをなんとか天に打ち込んだ俺は、コンビニに行くと嘘の書き置きを残してゴーストを倒しに行った。ソフィーから炎を操るアーティファクトを受け取って。紆余曲折あったが、香坂先輩や九条、結城、さらには眠っていたはずの天まで駆けつけ、ゴーストを倒し、高峰のアーティファクトも残ったアンブロシアを天が打ち込むことで強制解除させた。その後、天とそういう関係になったり、天にカウンセリングしてもらったり、性欲をコントロール出来なかったり。ほんとに、色々あった。だが、ここでふと思ったのだ。

 

俺らまともにデートしたことないよね?

 

と。いやいや、わかってるよ?そんな余裕なかったことぐらい。そのあと普通に学校始まっちゃったし、天は家帰らなきゃ行けないから登下校中しかあんまり話せなかったし。だが、明日はまた週末。つまり、華の土日だ。よし、ここは頑張った妹様に優しい優しい兄様が手厚く労ってやろうではないか。うんうん。

 

「...」ウンウン

 

「翔...授業終わったけど何キモイ顔してんの?...引くんだけど」

 

「うるせぇな!与一。ほっとけ!」

 

「にひひー、じゃあまた来週ー」

 

クラスメイトの与一がパタパタと忙しそうに教室を出ていく。あいつはいつも元気で能天気だなと溜息。そこで、さらにもう1人歩み寄ってきた。

 

「ふふふ、やっといつもの調子に戻ったみたいだね、新海くん」

 

「九条...」

 

九条 都。アーティファクトユーザーであり、今回の一連の事件にも協力してもらったうちのクラスの美少女様。ちなみにご実家はかなりのお金持ちであり、ご本人もお嬢様。しかし、そんなお家に生まれたにも関わらず、性格や気質はすごく庶民的。祖父の経営しているカフェでアルバイトをしたり、月1回のモックを1000円もしちゃう自分へのご褒美で贅沢だー。なんて言っちゃう、ちょっと天然な娘。

 

「ありがとな、おかげで調子も戻ってきたよ」

 

「いいえ、どういたしまして。1人で解決しに行っちゃったのは少しびっくりしたけど、新海くんが無事で良かったです。もうあんな無茶しちゃダメだよ?」

「はい、わかりました。反省してます。」

 

「ふふふ、はい、よろしい♪でも、大丈夫かなー。最近は天ちゃんも付きっきりだし、前よりもーっと仲良しだもんね?」

 

「まぁ、な。天にはだいぶ心配かけたし。もうしないよ。とりあえず、しばらくは平和らしいし。また何かあったらソフィーが教えてくれるはずだから、その時はまたお願いしていいか?その、男としてちょっと情けない気もするけど。」

 

そうだ。まだ、終わっていない。ゴーストを撃破し、高峰のアーティファクトも強制解除させたけど、ソフィーは俺にしばらくアーティファクトを預けておくと言って去った。しばらくは安全とも言っていたが、またどこからアーティファクトユーザーが危害を加えてくるかわからない以上、警戒はしておくべきだろう。

 

「いーえ、この件に関しては、何かあったら、まだアーティファクトを持ってる私や結城さん、香坂先輩に、元アーティファクト所有者の天ちゃんにもちゃんと報告すること。いいですか?新海くん。」

 

「了解しました。九条隊長。」敬礼

 

「ふふ、はい。」敬礼

 

そこで、教室の、教卓の方の出入口からヤツの声が響く。

 

「にいやーん!帰ろー!!」

 

「はぁ、わざわざ呼びに来なくても、現代にはスマホという便利な通信機器があるじゃねぇか...」

 

「ふふふ、でも、そうやって言うけどしっかり帰る用意してる新海くんてほんとに天ちゃんのこと大好きだよね。」

 

「...否定しづらいのがまた、だよなー...それじゃあ九条、また来週。今度ナインボール行くから」

 

「はい、お待ちしております。バイバイ、新海くん。」

 

学校指定のカバンに持ち帰える教科書やら筆箱やらを詰め込み、九条に別れを告げ、教室の出入口へと足を急がせる。急がせる理由としてはヤツが急かすのだ。早くしろと。

 

「おっそいよ!にいやん!愛しい妹が呼んでるんだから、もっとこう...瞬間移動してハグするくらいn...」

 

「うっせ」ぺち!

 

「のぉぉぉ...」

 

相変わらず生意気なことを言う妹の額にチョップをくれてやる。結果、額を抑え、呻き声を漏らしてその場で蹲る妹。ちょっとわざとらしい。

 

「ほら早く立てよ、わざとらしいぞ」

 

「もっと優しくしてよ!妹様よ?あたし」

 

「ハッ...」

 

「また鼻で笑うし...はい!」

 

手に持った大きめの荷物を俺に差し出す。...これは、あれか、またお泊まりセットだろう、きっと。いや絶対そうだ、そうに違いない。

 

「お前最近何も言わないで泊まってくるよな。」

 

「ふっふっふ〜ん。すでににいやんの部屋はあたしに侵食されているのだ〜」

 

ニヒルな笑みを浮かべて両手をワキワキと俺の顔の目の前で侵食されているような動きをする妹(アホ)追い出そうにもこいつは合鍵を所持しているせいで我が家のロックは意味が無い。諦めるしかないのがまた腹立つところである。

 

なんだかんだ、話していると自宅に着いた。エレベーターで自分の階へ、ドアを鍵で開けると家主の俺を差し置き天が先行する。

 

「おい、自分の荷物くらい自分で置けよ!」

 

「へっへ〜ん、さぁシモベよ...あたしのにもt...」

 

「...」ジトッ

 

「はぁ〜い♪ご苦労さま、おにいたま!だ〜いすき♡♡」

 

少しジロっと強めの視線を送ると、すぐに猫なで声になり、おにいちゃん好き好きアピールをしてくる天。前まではすぐさま言い返すのだが、そうしない辺り、むふふな関係になってからさらに天に対して甘くなってしまった自分に少し落胆する。

 

その後、普段着に着替え(もう裸見たから2人とも気にしない)俺はパソコンを起動して、少し調べ物をしようと胡座をかくとそこにすかさず天が座りに来る。

 

「...なぁ。」

 

「なんでごぜーましょうか?あにさま?」ドヤ

 

こいつはなんでドヤ顔なのだろうか。

 

「いもうとさまの御髪のせいで視界が不安定なのですが...あと重い。」

 

「あたしの髪は綺麗でsy...って!重い言うな!重いって!これでも女の子よ!あたし!」

 

「わかったわかった、なら頭少し横にするか、斜めに寄りかかるかどっちかにしてくれ。」

 

「あ〜い」

 

天は斜めに寄り掛かるという選択をしたようだ、右肩にぐっと重みがかかる。...そしてしばらく、パソコンをいじっていると...

 

「ねぇおにいちゃん...」

 

「んー?」

 

「もうほんとに大丈夫?体調悪かったりしない?」

 

「大丈夫だって、この前の妹様カウンセリングが効いたよ、ありがとう。それに、しっかり謝っただろ?悪かったって。」

 

「そうだけど...心配じゃん。あたしお兄ちゃんだいすきだし...ほんとに死んじゃうんじゃないかって...」

 

その先を言わせないように唇を重ねる。天は一瞬驚いたものの、すぐに瞼を閉じてキスに集中する。

 

「これでいいだろ?ごめんって」

 

「わかった、いーよ。許してあげる...へへへ」

 

照れくさそうに、笑う。あの時、天が弱気になって俺に抱いてと言ってきた時に認めてしまったら、天は消えてしまっていたのかもしれない。本人も、思い出も、この...温もりも。考えると不安になって、思わず、天の体を抱きすくめてしまう。

 

ギュッ

 

「わっ...どーしたの?」

 

「ごめん、まだ不安だったのかもしれない...驚かせたか?」

 

「...まぁ、びっくりはしたけど...いいよ、嬉しい」クス

 

怖がらせてしまったんじゃないかと思ったが、そんなことはないようで、あどけなく微笑む天。いまにも消えてしまいそうな雰囲気だったが、事件前の弱った笑みではなく、あどけなくもどこか活力のある、前向きな笑顔。よかった、本当に。

 

「ねぇ、にいやん。」

 

「んー?」

 

「明日どっかいこーよー」

 

「いいけど、どこ行くんだよ」

 

「うーん、モール?」

 

「ここら辺だとそこしかないからなぁ...」

 

「かと言ってこの街から出るのもめんどくさいですからなー」

 

「そうだな。じゃあ明日遊びに出かけるか。」

 

「うん!あ、じゃあじゃあ、お昼ご飯はナインボール行こうよ!またナポリタン食べたい!」

 

「じゃあ、そうするか。」

 

まぁ、九条にまた行くって約束したし、ちょうどいいか...

 

その後、夕食(買ってきたセブウェイのサンドイッチ)を摂り、しばらく2人で動画を見たり、ゲームをしたり、漫画を読んだりして自由気ままに過ごした。気づけば夜の1時近くになっていた。いくら2人で一緒に家を出るとはいえ、このままでは出かけるのがお昼すぎになってしまう可能性が大きい。(2人とも2度寝癖があるため)

 

「天さんや」

 

「なにかね、翔さんや」

 

「そろそろ寝ないと、明日の遊ぶ時間が無くなってしまいますよ?」

 

「あ、ほんとだー、じゃあ、にいやん一緒に寝よー!」ぼふっ

 

俺はベットの上で横になりながら携帯をいじっていたが、天はベッドを背にして漫画を読んでいたので、しまった後、こちらに飛び込んできた。そのまま俺の懐に入ってくる。我ながらダダ甘な妹に変貌してしまったなと思う。

 

「じゃあ電気消すぞ」

 

「ほいほい」

 

カチッ

 

一瞬で訪れる暗闇、聞こえるのは俺の懐で天がモゾモゾ動いて、服やらブランケットやらが擦れる音。妹様カウンセリングが行われる前はこの暗闇に若干の恐怖を覚えていた。だが、今ではそれもなく、ただ自らの腕のなかにある温もりのおかげか安心すら覚えている。

 

「ねー、にーやん」

 

「ん?」

 

「明日楽しみだね。」

 

「あぁ、そうだな」

 

「なんかえっちしてからにいやん丸くなった?」

 

「どういう意味だ?え?」

 

「これが童貞卒業の余裕ですかー、なるほど」

 

「叩くよ?ねぇ、叩くよ?」

 

「ごぉうむぇんなはーい」

 

空いている手を持ち上げ叩く前動作をする俺を感知したのかすかさず俺の胸にへばりつき、身を縮めて回避しようとする天。

 

「はぁ、甘くなったのか?俺」

 

「おっと〜?天こと好きすぎか〜?兄上〜?」

 

「......」ペチッ

 

でこぴん。

 

「いぴゃっ!?...む〜...」ポフッポフッ

 

額を手のひらで抑え仕返しと言わんばかりに軽く俺の胸を叩き始める。そこまで強くないので本気で怒っているわけではないようだ。叩くのを辞めたと思いきや、次は俺の寝巻きに口をつけ...

 

「ふー!!!」

 

「熱いわ!」

 

「おかえしだよ〜ん、へへへー」

 

「わかったわかった。もう寝るぞ」

 

「ういうーい」

 

今度こそ寝る。天を苦しくないぐらいの力加減で抱きしめる。もう絶対に離さないように。天の手からアーティファクトは離れたとはいえ、異世界人がまた襲ってこないとも限らない。次は絶対に守りきる。どんな手を使ってでも。

 

 

「にーやん、ねー、にーやん!」

 

「...」

 

「いや起きろや!」ペツッ

 

「む?...朝か......寝よう」

 

「ちょっとまてーい!」ガバッ!

 

「寒!ちょっ、天!ブランケット剥ぐなよ!」

 

「にいやんが起きないのが悪いんでしょ!」

 

なんという朝だ。寒い、寒すぎる。主に下半身が...って!

 

「お前!ブランケットと一緒にズボンまで剥ぐなよ!」

 

「でも目、覚めたでしょ?」フフン

 

「あぁ!おかげでな!」ズボンハキハキ

 

「ひゃっひゃっひゃっ、さーて顔でも洗いますかねって...わひゃあ!」

 

油断し、洗面所に向かおうと背を向けた瞬間にお腹に手を回しベッドに倒す。

 

「な、なに!?怒った!?」

 

「ほ う ふ く だ!!」

 

「え...あっひゃっひゃっひゃっ!ちょ、くすぐりはダメ...ひっひっひ...あぁぁーーー!!」

 

 

数分後

 

 

 

「ハァハァ...」ビクッビクッ

 

「どうだ...思い知ったかこの悪妹め...」

 

ベッドの上でうつ伏せになり、時折ビクッとなる天。少々やりすぎたかもしれない。いや、ズボンを下ろすのは大罪だ。しかも早朝。これは許せません。

 

「くっそ、覚えておけよアニキめ...」

 

その後、天が回復した後に2人で仲良く顔を洗い、歯を磨いて朝ご飯。しばらく休憩し、時刻は11時...

 

「そろそろ行くか〜」

 

「あいよ〜、あたしは準備OK」

 

「俺もだ、よし、窓締めて、お湯消して、元栓閉めて...行くか!」

 

「あーい、新海兄妹、休日のモールへ、いざゆかーん!」

 

「はしゃぎすぎだぞ、ほら」

 

部屋を出て、鍵を閉めたあと、手を繋いで歩いてゆく。自宅からモールはそこまで離れておらず、徒歩で数十分といったところだ。着いたらまず、天の行きたいところに連れて行ってやろう。

 

 

 

 

 

 

「でだ。」

 

「〜♪」

 

「なんで1件目で下着屋だお前」

 

「にいやんの焦る顔が見たくて!」

 

「お前な!これやられる側からした結構恥ずかしいんだぞ!他の人の目もあるし、なにより...」

 

「ねぇねぇ!これとかどう!?」

 

「聞けよ!...まぁ、いいんじゃないのか?」

 

「えー、もっとこう、なんかないの?」

 

「卒業したての男に何を求めてるんだ...てか金は?女性用の下着って高いんだろ?」

 

「あっ、それはお母さんからもらってるから大丈夫ー」

 

「あっ、そう。なら店の前のベンチに居ていいか?」

 

「ダメ!あともう1セット選んで!」

 

「なぁ、兄に下着選ばせるってどうなの?」

 

「あたしは一向に構わん!!」

 

「無駄にキリッとすんな!」

 

そのあと、しっかり選ばせられました。

 

「...」グテ

 

「にいやん疲れすぎ〜」クスクス

 

「お前のせいだ、お前の」

 

「へへへ〜ごめんて〜。じゃあ次はペットショップいこ!ペットショップ!」

 

「はいはい、お姫様」

 

〜ペットショップ〜

 

やって来ましたペットショップ。結構色んなところから鳴き声が聞こえる。このモールにあるペットショップはトリミングなどをしてくれるペット用美容院なども併設されており、いつも人気があるところだ。さらに、休日なこともあって店の中にはそこそこお客さんがいる。

 

「にいやん!見てみて!このチワワ可愛い〜!!」

 

「お〜......ちょこまかするのがお前に似てるな〜」

 

「それどういう意味!?」

 

「いやだって、最近お前俺の周りでしっぽぶんぶん振ってるじゃん」

 

「え〜、あたしは犬扱いですかそうですか...ちなみに、可愛い?」

 

「アーハイハイ、カワイイデスネー」

 

「怒った、あたし怒っちゃいましたわ。ナインボールでパフェも頼んじゃうからね!」

 

「え、ちょ」

 

「確定事項なのでっっ」ドン

 

「くっそ...」

 

〜そして映画館〜

 

「お前何見たいの?」

 

「う〜ん。...この、【家畜転生〜俺は何とかして食品加工を回避する!!〜】ってやつ面白そうじゃない?」

 

「なんだそれ、B級通り越してC級映画に差し掛かりそうなタイトルしてるんだけど...」

 

「まあまあ、ものは試しだぜぃ!あ、あたしジンジャエール!」

 

 

視聴後

 

 

 

「...」

 

「...」

 

「ねぇ、にいやん。あたし、メビウスより訳の分からない展開で頭追いつかないんだけど」

 

「奇遇だな我が妹よ、俺も全く同じだ」

 

「序盤で加工される直前に作業員に泣き落としして助けて貰ってたけどあれなに?言葉伝わらないよね?」

 

「しかもなんで助けられた挙句に自分自身が他の家畜の加工指示してんのか俺には全く意味がわからなかったんだが...」

 

「...」

 

「...」

 

「ナインボール行くか...」

 

「そうしよっか...」

 

映画の内容が意味不明すぎてもはや考えることもめんどくさくなった俺たちは、足早に九条都さんの勤務先、九条のお祖父さんがマスターをしているかカフェ、ナインボールへと向かった。ちなみに、俺の食生活は九条のお祖父さんによって支えられている。

 

カランコロン

 

「いらっしゃいませー...って新海くん?あ、天ちゃんも」

 

「みゃーこ先輩こんにちはー!」

 

「さっそく来たよ」

 

「ふふ、はい。お好きな席にどうぞ。」

 

2人で奥の隅の席に座る。メニューを見つつ二人で話しているとしばらくして、九条が水を持って現れた。

 

「はい、お水です。ご注文はお決まりですか?」

 

「えーっとあたしはナポリタン!」

 

「俺はいつもので」

 

「はい、お飲み物はどうされますか?」

 

「あたしオレンジジュース!」

 

「俺はコーラで」

 

「はい、承りました。少々お待ちください♪」

 

注文をとり終えた九条は厨房の方へと消えていった。天は余程楽しみだったのか、足をパタパタさせて上機嫌だ。

 

「にいやん」

 

「はい」

 

「【いつもの】で通じちゃうあたり、結構食生活やばくない?」

 

「ほっとけ。自炊だって、最初のうちはしてたけどだんだんめんどくさくなってやらなくなったんだよ。」

 

「じゃあ、あたしが作ったげよっか?」

 

「......できんの?」

 

「なんだその目は、できますぅ!これでもお母さんに教えてもらってますぅ!」

 

「なら今日は何か作ってもらいましょーかね?」

 

「よっしゃぁ!どんとこいやぁ!」

 

そんな感じで会話をしていると、厨房から、器用に飲み物と注文した食事を持って九条が現れた。

 

「はい、お待たせしました。ナポリタンとハンバーグランチ、それとコーラとオレンジジュースです」

 

「わーい!」

 

「ありがとう九条」

 

「いいえ。どうぞごゆっくり〜」

 

食事を俺たちの前に置くと、他のお客さんから呼ばれたのか、足早に去っていく九条。うん、かわいい。

 

「にいやん」

 

「はい」

 

「夜ご飯もやしだけがいい?」

 

「なんでだよ!?」

 

「だってみゃーこ先輩のことやらしい目で見てたし」

 

「見てないわ!」

 

「みゃーこ先輩はあたしの!以上!QED!!」

 

どうやら我が妹はやきもちを焼いたようで、ぷんすこと怒った雰囲気を醸し出しつつ、それでも美味しそうにナポリタンを食べていく。あぁ、平和だなぁ。

 

〜夕食の買い物後 自宅〜

 

ナインボールで食事をとり、再度モールで遊んだ後、近くのスーパーで夕食の買い物をした。今回は天が作ってくれるということで、リクエスト兼料理が本当にできるのかという疑いの元、魚で何かを作れ!というテーマを提示した。

 

「ふっふっふ〜ん。あまり、妹様を舐めないで貰えますかな?」

 

お玉とヘラを交差させつつドヤ顔で、自信たっぷりに言う妹(アホ)さぁ、どのような料理ができるか見ものだな。

 

30分後

 

「ふむ、見た目は...悪くないな...」

 

「でっしょ〜?」♪♪

 

テーブルの上には、味噌汁、漬物、ご飯、鮭のホイル焼き、小松菜の胡麻和え、里芋の煮っころがしと良くもまぁ30分で作れたなといった料理が並んでいる。

 

「まぁ、とにかく、味だ」

 

「いやいや、美味しいに決まってますから!」

 

「...いただきます。」

 

そして、1品ずつ食していく俺。幸いにも爆弾が仕掛けられているものはなく、むしろ、美味い。

 

「美味いな...」

 

「へへへ、嫁さんにしてくれてもいいのよ〜ん♡♡」

 

「そのウザイ絡みがなきゃ考えてやるよ」

 

「うざい言うな!クるから!胸に!この純情なハートに!」

 

「お前が純真ならこの世に我慢という言葉はねーな」

 

「だからやめろ!」

 

そんな感じに、2人で夕食をとる。軽口を言い合い、からかいあっているが、天の料理には正直びっくりした。おいしいし。そんなこんなで俺たち兄妹の一日が終わった。

 

〜就寝〜

 

「ねえ、にいやん」

 

「はいはい」

 

「ちゅーして?」

 

「...えー...」

 

「なんだその反応は、おい」

 

「寝ようぜ?」

 

「ちゅーしてくれたら大人しくなります」

 

「.........はぁ」

 

「沈黙なげえよ」

 

「目閉じろ」

 

「あい」

 

唇を重ねる。初めは優しく、壊さないように。それでも物足りないのか、天の方から強くしろと、雰囲気で催促してくる。

 

「...」

 

「ん...っ......ちゅっ......はぁ......へへ」

 

「もう寝るぞ」

 

「へへへ、は〜い」

 

抱きしめる。もう絶対に離さない。絶対に忘れない。忘れられないモノ(思い出)。忘れてはいけないコト()があるから...願わくば、この素敵な日常が壊れませんように...

 

 

 

 

 

 

 

 




そらちゃん...すき。


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