三人称side
「『
“対界宝具”である乖離剣エアから放たれし『
正しく、“対界宝具”の名に相応しい威力であった。
「ウォォォオオォォ!!」
それに対し、ランサーは、風圧を圧縮し、空間をも切断する剣の閃光の一撃を黄金の鎧──『
「フハハハハ! 面白い!
高笑いを上げ、ランサーに関心した様子のギルガメッシュ。
尚も、ランサーに空間をも切断する閃光を浴びせ続ける。
しかし、ランサーの鎧は概念的な攻撃をも跳ね返す最強格の鎧だ。ランサーは閃光を浴びせ続けられても尚、倒れない。元より、ランサー・カルナに倒れる気は一切ない。己が倒れてしまえば、英雄王の次の目標は己のマスターだろう。
──己を求めたマスターを殺させはしない。それのみが、カルナという大英雄を突き動かしていた。
「フハハハハ! 中々耐えるではないか! しかし、そろそろ限界だろう!」
事実、カルナの肉体は限界に近づきつつある。いくら鎧が凄まじいと言っても、大きいダメージを何度も食らい続ければ、施しの英雄と言えど消滅してしまうだろう。
あと一分──エアを放ち続けていればギルガメッシュの勝利だっただろう。
しかし、この時、ギルガメッシュはある存在を完全に脳内から除外していた。
刹那──英雄王の横腹から鮮血が飛び散る。
「何──!?」
「俺も忘れてもらっちゃ困るな。英雄王」
そして斬ったのは、炎を刀身に纏わせた刀を持った日野晴人であった──
続けて、晴人はギルガメッシュの背を斬る。
「おのれおのれおのれェ!」
ギルガメッシュは背を斬られた衝撃と怒りでエアの発動を止めてしまう。
そして、持っていたエアで、晴人を貫こうとした刹那──
「ハァッ!」
それを宝具である鎧の能力で瞬時に肉体を回復させたカルナが槍で阻み、ギルガメッシュのエアを持っている右手を切断する。
「──ッ!!」
ギルガメッシュは怒りに任せ、『
そして、次の一手で勝負が決まった──
──カルナがギルガメッシュの隙を突き、霊核に槍を突き刺したのだ。
ギルガメッシュは吐血し、己の敗北を悟る。そして、ギルガメッシュの体は、光の粒子と化し始める。
「ク、フハハハハ……! 本気の我を打ち負かすとは、な……」
ギルガメッシュは笑いを浮かべ、自らの消滅を受け入れる。
「お前の敗因は、我がマスターを忘れていたことだ」
「全く、我としたことが、正にその通り、グフッ! よ……」
敗因を告げるカルナに、吐血しながらも、返答するギルガメッシュ。
しかし、その穏やかなギルガメッシュの死様は、まさかの事態により、悲惨なものとなる──
「ご苦労だったな、ギルガメッシュ」
刹那、ギルガメッシュの体を黒い何かが貫く。
「き、綺礼、貴様……!」
そこに現れたのは、がっしりとした体型の神父──言峰綺礼であった。
「おっと、失礼したな。私は言峰綺礼。この聖杯戦争の監督役だ」
そして、言峰が名乗ったと同時にギルガメッシュを串刺しにした黒い何かは、ギルガメッシュを包み込み、捕食した。それを見た晴人は冷や汗を流す。
「ランサー! 絶対にあの黒いのとは戦うな! 呑み込まれるぞ!」
晴人が必死の形相でカルナに注意喚起をした瞬間──黒い何かがカルナを呑み込もうと襲い掛かる。
「くっ……!」
それをカルナも察したのか、槍で受け止めず、身を翻し、回避を行う。
「ほう。あれの正体に気づいているか」
言峰が関心した様子で言う。それに対し、晴人は刀を構える。
「ああ。なんとなく、この聖杯戦争は何かあると思ってたからな」
晴人は言峰を警戒し、刀を構えたまま返答する。
「あれは聖杯だ」
「やはりあれが聖杯……!」
淡々とそれを答えた言峰に、晴人は目を見開く。
「しかし、汚染されてはいるがな」
続けて、言峰が言った。
晴人はやはりか、という表情を浮かべる。
晴人がそういう表情が出来るのも前世というものがあってだが。
「……退くぞ、ランサー」
晴人がそう宣言すると、カルナは霊体化し、急いでこの場を離れて行く晴人の後を追う。
「……邪魔はさせないぞ、ランサーのマスター」
晴人とカルナが去るのを見つめながら、言峰は不敵な笑みを浮かべる。
……色々とヤバいぞう、これ。