拠点を失った魔術師・日野晴人。
彼はあれから、冬木市のあるボロアパートに拠点を移し、聖杯の泥に対する策を考えていた。
(ランサーの宝具で焼き払えるか……? ……いや、無理だ。焼き払ったとしても、大元を破壊しない限り、あの泥は無尽蔵に湧きやがる)
晴人はひたすら思案する。あの泥の対策を。しかし、良い策が思い浮かばず、彼は
「ランサー」
「どうした? マスター」
晴人は己がサーヴァントであるランサー──カルナを呼び出し、カルナも霊体化を解き、応じる。
次に、晴人から紡がれた言葉は、突拍子のないものであった。
「今夜、言峰を倒す」
それに対し、カルナは静かに頷いたのだった。
夜になり、言峰がいる教会に向かった晴人とランサー。
闇夜の中、教会の門前に煌々と輝く電灯は、どこか不気味さを纏っていた。
「よく来たな、ランサーとそのマスター」
「────ッ」
門をくぐったその先に、奴──言峰綺礼はいた。
「言峰綺礼……お前を、殺す」
僅かな憎悪を纏った声音で、晴人は宣言し、抜刀する。
同時に、カルナも霊体化を解き、闇夜を微かに照らす黄金の槍を構える。
「ほう……私を殺す、ときたか……。ならば──殺してみるがいい。殺せるなら、な」
そう言った瞬間、教会の墓地が、聖杯の泥で溢れ返った。
「──ッ! ランサーッ!!」
晴人が叫んだ刹那、カルナは溢れ返り、自らに襲い来る泥を躱し、言峰に接近。今にも言峰に死の一撃を手向けようとしていた。
しかし、それにも関わらず、言峰はフッと嘲笑っていた。
「────『
刹那──紅き魔槍が、カルナの身を貫いた。
カルナは吐血し、力無く膝をつく。
「遅くなったな。ライダーとそのマスターを捜してたが、結局は見つからず終いだったぜ」
血に濡れた漆黒の戦士──クー・フーリンがその場に降り立つ。
「クー・フーリンッ……!? もう召喚されるクラスの枠は無い筈……!」
晴人が驚愕の声を漏らす。
それもその筈、何せ八騎目のサーヴァントだからだ。
聖杯戦争には既に七騎のサーヴァントが揃っている。
セイバー・アルトリア・ペンドラゴン。
アーチャー・エミヤ。
ランサー・カルナ。
ライダー・オデュッセウス。
キャスターは恐らく佐々木小次郎の言動から考え、メディア。
アサシン・佐々木小次郎。
バーサーカー・ヘラクレス。
それらが、此度の聖杯戦争で召喚されたサーヴァントだ。
しかし、眼前には、八騎目のサーヴァントであるクー・フーリンがいる。
そこで晴人はあることに気付いた。
(聖杯の泥、聖杯、アインツベルン……!)
連想ゲームのような感覚だが、晴人は間違いなく、聖杯の器であるイリヤスフィールをこのサーヴァントが喰らっていると断定した。
そうでもなければ、あのサーヴァントから発せられる膨大な魔力は、説明のしようがない。
「質問だが、そのクー・フーリン、聖杯の器を喰らっているな?」
その質問に対し、言峰は薄ら笑いを浮かべ、答えた。
「ああ、そうだとも。聖杯の器且つバーサーカーのマスターであったアインツベルンの娘を触媒にし、喰らわせ、聖杯の泥を浴びせ、召喚したとも」
平然と、イリヤスフィールを殺したことなど、何も思ってないように、言峰は言った。
「さて、話を変えるが、お前のサーヴァントは今、絶体絶命らしいぞ」
そこで晴人はハッと気付く。いや、気付いてしまった。
カルナが、聖杯の泥に纏わりつかれていることに。
「ぐっ……!」
苦しそうに藻掻くカルナ。その身には、黄金の鎧があれど、今はサーヴァント。所々汚染されてしまっている。
「さあ、どうする? ランサーのマスター」
現在、FGOはアトランティス攻略中の作者。絶賛、苦戦中。