「さあ、どうする? ランサーのマスター」
言峰が、ランサーのマスター──晴人に問いを投げる。
「ハッ。愚問だな、言峰綺礼。俺のランサーの能力を忘れたか?」
晴人が答えた刹那、ランサー──カルナが泥を焼き切り、クー・フーリンに鋭い突きをお見舞いする。
クー・フーリンは少し後退するも、カルナの一撃を魔槍と己の技量で受け流す。
「チッ……! てめえ、あの泥に纏わりつかれても何ともねえのかッ……!」
苛立ちを込めた声音で、クー・フーリンが狼狽する。流石に、カルナが聖杯の泥を焼き切るのは予想外だったのだろう。
それもそうだ、あの泥は、あらゆるサーヴァントを取り込む泥。あの泥にサーヴァントが触れれば──そのサーヴァントはあっという間に取り込まれてしまうだろう。
しかし──何事にも、例外というものは存在する。
逆に、泥に取り込まれず、取り込まれたとしても、跳ね返してしまうサーヴァントは存在する。
たとえば──英雄王ギルガメッシュ。
たとえば──怪力無双の英雄ヘラクレス。
たとえば──俊足の英雄アキレウス。
たとえば──憤怒の化身アシュヴァッターマン。
たとえば──施しの英雄カルナ。
自我が強い彼らにとって、聖杯の泥とは、脅威ではあるが、己が精神を取り込むには値しない障害物だ。
「光の御子よ。その心臓を穿つ魔槍、そして、それを扱いきる絶技、称賛に値する」
しかし、とカルナは言葉を紡ぐ。
「その刃は曇っており、技にも曇りがある。そして何より、今のお前は、狂っている」
その言葉に、クー・フーリンは嗤った。
「ハハハハッ! てめえ────本気で殺されたいらしいなァ!」
クー・フーリンは、怒りに任せ、凶猛なる魔槍を振るう。
刺突の連撃。
対して、カルナはそれを、黄金の槍で捌き、捌ききれなかった攻撃は、鎧で受け止める。
突如、クー・フーリンは連撃を止め、魔槍を投擲する態勢に入る。
そしてカルナも、同じく槍を投擲する態勢に入る。
「『
「『
紅き閃光と炎を纏った一撃が、衝突した──。
押し勝ったのは──炎を纏った一撃であった。
炎を纏った一撃は、刹那にクー・フーリンに直撃し、黒煙が舞った。
「てめえッ……!!」
黒煙が晴れ、そこには憤怒を露にするクー・フーリンがいた。
「これでも仕留めきれんか」
カルナが冷静に分析する。
しかし、またもや聖杯の泥が、カルナを取り込まんとカルナの左足を引っ張り込む。
「もはや──一撃で決めるしかあるまい」
刹那──泥が凄まじい炎に焼き切られる。
そして──カルナが携えていた槍は──
かの“神殺しの槍”であった。
カルナさんはええぞぉ……!(唐突な布教)