「抑止の輪より来たれ──天秤の守り手よ!」
よしっ! 詠唱は終わった。あとは彼の“施しの英雄”が召喚に応じてくれればいいのだが……。
俺がそう思っている内に、召喚陣を起点とし、眩い光が放たれる。
光は徐々に収まっていき、その場には黄金の鎧を身に纏った白い幽鬼のようなサーヴァントが立っていた。
やがて白い幽鬼のようなサーヴァントは、こちらを見向き、口を開く。
「サーヴァント・ランサー。真名をカルナ。召喚に応じ参上した。問おう──。お前が、我がマスターか?」
「ああ、そうだ。俺が、お前のマスターだ」
俺は右手の甲に刻まれているマスターとしての証──令呪をランサーに見せつける。
ランサーの真名、カルナ──インドの叙事詩『マハーバーラタ』に謳われる“施しの英雄”。生まれつき身に纏っている黄金の鎧、『
そんなサーヴァントを引き当てることに成功した俺は内心、今にも舞い上がりたくなるような高揚感に包まれていた。間違いなく最強クラスのサーヴァントを引き当てた。ちなみに今回の聖杯戦争は第五次、つまりは『staynight』の聖杯戦争ということだ。
『staynight』に登場するサーヴァントはどれもこれも強者揃いだ。例をいうとバーサーカー。此度の聖杯戦争でバーサーカーとして召喚される英霊は原作通りに行けば恐らく、ギリシャ神話随一の大英雄・ヘラクレスだ。
ヘラクレスの宝具は『
更にヘラクレス自身も非常に強く、並のサーヴァントでは一撃で粉微塵になるだろう。しかし、そんな化け物を完全に倒すことが出来るかもしれないのが先程召喚したランサーだ。
理由としては神殺しの槍というのもあるが、これは英雄王戦にとっておくものとする。ランサー自身の技量も非常に高く、その上魔力放出(炎)というスキルによる圧倒的火力、そして何より宝具。それらを以てすればヘラクレスすら殺せるかもしれない、と睨んでいる。
おっと、少し長話になってしまったようだ。
そして俺の心の中での長話が終わった直後、家に仕掛けてあった結界が一つ、何者かにより壊されたようだ。
「敵か」
「ああ、敵らしいぞ」
ランサーにそう返した直後、ランサーは霊体化し、俺は庭へと駆け出る。
庭へ出ると、既に結界を全て破壊したのか長刀を持っち、青い着物を着た男が庭先に立っていた。
嘘だろ……、何で彼が此処に……?
「漸く出てきたか、ランサーとやらのマスター」
俺の混乱は収まらないまま、眼前の男は長刀──物干し竿を構える。
「いやはや、女狐に召喚されたと思いきや、まさか拙者を召喚した直後に殺され、その殺した者が拙者のマスターになるとは」
男はそう零し、こちらに対する殺気を強める。それと同時にランサーも霊体化を解く。
「ほう、その者がランサーか。中々に強そうだな」
「得物を見る限り、お前はセイバーか?」
ランサーが問いを投げる。
「いや、拙者はアサシン。
佐々木小次郎。原作では山門から動けなかったサーヴァント。しかし、此処に移動出来ているということは魔力源が変わっているということだ。
「いざ──参る!」
そうして、俺とランサーの初戦が幕を開けた。
ちょっと場合によっては書き直すかもしれません……。