「いざ──参る!」
そう啖呵を切ったアサシン──佐々木小次郎は長刀を構え、目にも止まらぬ速さでランサーに斬りかかる。それをランサーは、槍で受け流す。
「アサシン・佐々木小次郎と言ったか。此処が貴様の死地と知れ」
そう言うと、ランサーも凄まじい速さでアサシンに槍の連撃を食らわせる。しかし、アサシンはそれを見切ったかのように長刀で防ぐ。
(これが、サーヴァント同士の戦い……!)
俺はただ、神速に等しい素早さでの戦闘に呆然とするしかなかった。
しかし、俺には一つだけこの戦闘で分かることがある。
“ランサーが攻めきれていない”。この事実だけはなんとか把握出来た。恐らく、原作でもそうだったが、アサシンは攻める戦いではなく、守る戦いをする。それによりランサーは完全には攻めきれてない。アサシンを打ち破るにはランサーのスキルの一つ──『魔力放出(炎)』を使用する他ないだろう。仕方ない──。
「ランサー、魔力を放出せよ!」
ランサーはそれを聞き、「了解した、マスター」と返答する。
「アサシン、どうやら我がマスターは早く決着をつけたがっているようだ。悪いが、手向ける一撃。只それのみで勝負をつけさせてもらおう」
「そうか、ならば仕方あるまい。こちらも全力でお前を葬るとしよう」
ランサーとアサシンはそれぞれそう言うと、攻撃の手を止め、ランサーは槍、アサシンは長刀を構え直す。
「秘剣──」
次の瞬間、ランサーは炎を纏った槍で、アサシンは三方向同時から、同時に一閃する。
「ウォォオオォォォ!!」
「──『燕返し』!」
一閃した後、お互い時が止まったように硬直する。すると、ランサーが何事もなかったかのように構えを解く。
「──見事だ。アサシン」
ランサーは素直にアサシンに称賛を送る。
「──しかし、その絶技、オレには及ばん」
瞬間、アサシンの胴が斜めに裂け、青い着物が紅の鮮血に染まる。
「不覚を取ったか……」
アサシンは仰向けに地に倒れ、そう呟く。
俺はひたすら呆然と、この光景を見ていた。
「嗚呼、最期に、こうして月を見るとするか……」
アサシンは息を絶え絶えにしながらも、月を眺めていた。
そして、アサシンは光の粒子となり、消滅した。その際の死顔は、穏やかなものであった。
「これが……、サーヴァントの死か……」
俺はアサシンが消滅する様を見て、思わず呟く。サーヴァントの死はアニメで観た。しかし実際は、もっと凄惨なものだった。
「唐突だが、マスターの願いを聞いていなかったな」
ランサーが何事も無かったかのように問いかける。
「マスター。お前の願いは何だ?」
俺の願い、願望、それは──
「──聖杯戦争の幕を閉じる。只それだけだ」
唐突に始まり、唐突に終わります。