FAIRY TAIL ~天に愛されし魔導士~   作:屋田光一

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間に合わないかも…とか思いながらも指が進んで間に合いました。

遂にきました幻想曲(ファンタジア)!皆さん!ハンカチ、タオル、ティッシュの用意は大丈夫ですか!?←自分からハードル上げていくスタイル

そしてこの回でBoF編も終幕。次回からはオリジナルも交えた幕間の章に入ります。予定としては4話くらい。そしてその次は…。

ひとまずは今回もどうかお楽しみください!


第39話 幻想曲(ファンタジア)

バトル・オブ・フェアリーテイルが本当の意味で終幕し、一日が明けた。その日行われる予定であった大パレード・幻想曲(ファンタジア)は二日先…正確には現在より翌日の夜に延期となった。

 

前日に街中で大々的に騒ぎを起こしていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)。その騒動に何かしらの原因があったのではと、近隣住民や観光客たちはあたりをつけているそうだ。実際間違っていない。

 

そしてすでにマスター・マカロフの容態がよくないことも、噂として広まっているようだ。もしかして引退するのではないか?もしそうなったとしたら、次期マスターは誰になるのか?年配の者達はマカロフの孫であるラクサスを候補としてあげながら、彼の幼少の頃を思い出して時の流れを実感している者も多い。

 

そんなマカロフの現在の状態はというと…。

 

「ポーリュシカさんのおかげで一命はとりとめたそうだ。安心してくれ。マスターは無事だ」

 

騒動が収まり一同が応急処置を受けて集っている妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド内にて、代表してマカロフの容態を聞いたエルザがメンバー全員にそう伝えた。そしてそれを聞いた瞬間、ギルド内にいたほぼ全員が喜びの声を上げる。

 

「良かったぁ!」

 

「一時はどうなるかと思ったよ」

 

「あのじーさんがそう簡単にくたばる訳ねーんだ」

 

同じテーブルの前に座っていたルーシィ、シエル、グレイもまた喜びを噛み締める。自分たちにとっては親も同然であるマスター・マカロフが無事であったことにようやく安堵できたと言ってもいい。勿論、メンバーに伝えたエルザも喜んではいるが、これまでの事を考えると、楽観的に考えるには尚早とも言える。

 

「しかし、マスターもお歳だ。これ以上心労を重ねれば、またお体を悪くする。皆もその事を忘れるな」

 

『アイサー!!』

 

日頃から問題を頻発させているギルドでマスターを務めるのは、やはり心の重圧を否が応にもかけさせてしまうようだ。分かっているのか否かは定かではないが、少なからず今後は自重を考えてメンバーは一斉に返事した。そして宴会さながらの盛り上がりでテーブルにある飲食物に手をつけ始める。

 

「でも、こんな状況で本当に幻想曲(ファンタジア)やるつもりなの?」

 

「マスターの意向だし、こんな状況だからこそ…って考え方もあるわよ」

 

暗くなりがちな気分を盛り上げて明るくするためにも、盛大なパレードで街やギルドの皆に光を見せる。マスター・マカロフの意向によって、中止ではなく、延期と街の中では周知させたのだ。最近になって妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入したジュビアは、その話を聞いて期待に胸を膨らませている。

 

「ジュビアも、幻想曲(ファンタジア)観るの楽しみです!」

 

「ん?ジュビアは参加する側だよ。聞いてないの?」

 

「ええ!?だってジュビア、入ったばかりだし…」

 

だがシエルから聞かされた内容にジュビアは驚き、困っているのか喜んでいるのか分からないような反応をしている。だが仕方ない部分もあるだろう。バトル・オブ・フェアリーテイルによって怪我をした者の中にはまだ完治の目処が立っていない者たちもいる。怪我が目立たない者や動ける者達は全員参加するようにと、通達されている。

 

「って事はやっぱあたしも?」

 

そしてそれはルーシィも同じだった。観る側の方で楽しむつもりだったが、参加しなければならないという事実に、二分された複雑な感情を見せている。ほとんど怪我をしていない彼女は、参加が確実だろう。人手も少ない。

 

「あんな状態でなけりゃ、ほぼみんな参加できるようなもんでしょ?」

 

呆れ顔でシエルが指を指した方向に、近くにいた者たちは一斉に視線を向ける。その先にいたのはラクサスと激闘を繰り広げた4人のうち2人。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるナツとガジル。だがその身体は包帯でぐるぐる巻きにされており、ガジルは右足にギプス。ナツに至っては右手をコルセットで固定されて顔までもが包帯で覆われている。当然ながら一番の重傷だ。

 

「確かに…」

「あんなのじゃなぁ…」

 

「あんなのとか言うなよ」

「ふぁがふんごがあげがあんがぐぐ!」

 

口元も包帯で覆われているせいか、ナツの声が籠りまくって言葉として成立していない。

 

「何言ってるか分かんないし…」

 

「さしずめ(ドラゴン)のミイラだね」

 

「ふぃひふがふがふががあんがふがふぁぐぐふぁぐ!!」

 

「わー、全然言葉が通じて来なーい」

 

「そんな大したこと言ってないと思うよ」

 

シエルの「ミイラ」発言にキレてることは確かだが、肝心の言葉がなんて言っているのかが伝わってこない。こちらも何と返せばいいのか反応に困るところだ。

 

「そもそもミイラが喋れるかよ。ま、どのみちこのクズが参加するのは無理だろうがな」

 

「おがえがべおごおご…!!」

 

「それは関係ねーだろ!鬼かお前は!!」

 

「何で通じてるのかしら…」

 

「きっと大した話じゃないからだよ」

 

「時折さらっと酷い事言うよな、ハッピー…」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)同士で通ずるものでもあるのか、あるいは別の何かか。兎にも角にもギルド内で起きていたごたごたは、これで全て片付いたと言える。騒ぎ、笑い、共に今を謳歌する。いつもの妖精の尻尾(フェアリーテイル)に戻った。それを実感したエルザの元に、一人の男が近づいてくる。

 

「やっぱり妖精の尻尾(ここ)はこうじゃなきゃな。これでようやく、帰ってこれた実感が湧いてきたよ」

 

近づきながら声をかけたその青年にエルザは振り向いて、その姿を確認する。軽いけがをした様子ではあるが、動くことに支障はないように見えるその青年・ペルセウスの姿を。

 

「ペル…そう言えば、帰ってきたばかりであったな。本来なら10年クエスト達成の祝いでもしてやりたいところなのだが…」

 

「そんなのは幻想曲(ファンタジア)が終わってからでいいさ。マスターへの話も、その後にするつもりだしな」

 

「シエルとは話せたか?」

 

「今朝、少しばかりな。詳しい事とか土産話も、幻想曲(ファンタジア)が終わってからにすると、約束もしたし」

 

そう告げながら彼は弟の方へと顔を向ける。色々と聞きたいこと、話したいことは互いに多くあるが、今は収穫祭のメインイベントに目を向けるべきだと判断しての事だ。これから待っている出来事の何もかもが楽しみなのか、兄から視線を受けていることに気付いたシエルは、ペルセウスに「ニカッ」と言う擬音がつくような笑顔を向けた。それを見たペルセウスもまた目を細めて笑みを浮かべている。

 

それを微笑ましげに見ていたエルザだが、その表情に影を落としながら真剣な面持ちでペルセウスに言葉をかけてくる。

 

「実は私も、お前にはいくつか聞きたいことがあるんだ」

 

その言葉に疑問符を浮かべながらエルザに向き直したペルセウス。そんな彼にエルザは告げる。

 

「特にジェラ…いや、ミストガンの…」

 

だが彼女のその言葉は突如遮られた。その原因は、ギルドに入ってきた一人の人物が発端だった。その場にいるほとんどの魔導士がその姿を見て一気に警戒を強くし、緊張状態を作り出したことによって。

 

体中を包帯で巻かれた状態でありながらファーコートを羽織って悠然と歩を進めてきたのは、ラクサスだった。

 

「ジジィは…?」

 

マスター・マカロフに会おうとしていることが、その一言で理解できた。だが、昨日の彼の所業を知っているメンバーたちからすれば、マカロフに会うことを許せるはずもない。

 

「テメェ…!!」

 

「どのツラ下げてマスターに会いに来やがった!!」

 

『そーだそーだ!!』

 

怒りと非難の声で埋め尽くされるギルド。極少数人がそれを止めようとするが止まる気配はない。エルザが「よさないか!」と強い口調で声をかけたことで、ようやくそれは収まる。その声でエルザの方へとメンバーたちが視線を向けると、彼女の近くにいたペルセウスが彼女の代わりに答えた。

 

「奥の医務室にいる」

 

「お、おいペル!?」

 

場所をあっさり告げた彼に動揺の声が上がるが、ラクサスはそれを気にも留めず、医務室へと歩を進めていく。それを警戒しながらもメンバーたちは見ていることしかできない。

 

「んがーーーっ!!ふぁぐああーぐぅ!!」

 

そんな空気をぶち壊してラクサスの行く手を遮ったのはナツだ。それに気付いたラクサスは足を止めて彼を見る。そしてナツは空いている左手の人差し指を勢い良くラクサスに差しながら叫んだ。

 

 

 

「ぎがふぎがごごばはがごふぇ!ksbwmlkzくぁwせdrftgyふじこlp!!ふぁぐあぐ!!」

 

 

 

「何て?」

それが一同の心の声だった。ポカーンとしながらナツを眺める一同にも気づかず、言いたいことは言い切ったと言わんばかりに息を整えているナツ。ラクサスに通じたのかさえ分からない。彼の言葉を理解できるとすれば現状一人しかいない。という事でシエルは彼に任せた。

 

「ガジル、通訳よろしく」

 

「『二対一で、しかもエルザとペルも後から来た状態でこんなんじゃ話にならねえ!次こそはぜってー負けねえ。いつかもう一度勝負しろ!ラクサス!!』だとよ」

 

「え、勝ったんでしょ?一応」

 

話に聞いた程度ではあるが、最終的にラクサスを制したのはナツだ。しかしガジルとの二人がかり、更にペルセウスやエルザといったS級魔導士も戦いに参加していた状態でも拮抗していたあの状態では、ナツは納得出来ない。そしてそれはガジルも同じだ。

 

「あいつはバケモンだ…。ファントム戦に参加してたと思うとゾッとするぜ…」

 

最早過去の出来事とも言える幽鬼の支配者(ファントムロード)との抗争。当時ファントム側にいたガジルは、もしあの場にラクサスもいたとしたら、恐らく自分は手も足も出なかったかもしれない。ジョゼならば勝てただろうが、ラクサス一人を下すのに、どれだけの犠牲を払わなければならなかったのかも計り知れない。そう思わずにはいられなかった。

 

そのラクサスは、ナツの横を通り過ぎてそのまま医務室に向かっていく。無視されたのかととったナツは「ラクサス(ふぁぐぁぐ)!」と名を叫びながら振り向く。だが、去り際にラクサスは右手を上げてナツに見えるように示した。肯定の意だろうか。それを理解したナツは目を見開いて、そして喜びを包帯で隠された表情に表していた。

 

「さあみんな!幻想曲(ファンタジア)の準備をするぞ!」

 

「いいのかよラクサス行かせちまって!」

「大丈夫よきっと」

「てかミラちゃん!何でケガしてんだよ!誰にやられた!?」

「ナツ…お前ラクサスよりひでー怪我ってどーゆー事だよ…」

「んがごがー!!」

「『こんなの何ともねーよ!』だとよ」

「ナツー!血ィ!血出てる!!」

 

エルザの檄を起点に一気に盛り上がり、明日の夜に向けて準備や練習を始めるメンバーたち。その光景を見ながら、ペルセウスは笑みを浮かべ、そして奥の方へと足を向けて進んでいく。それにいち早く気付いた彼の弟はすぐさま尋ねてきた。

 

「あれ、兄さんどこ行くの?」

 

「ちょっとトイレだ。準備は手伝うから心配ない」

 

「…そう?」

 

どこか気になるが、兄の事だから深く追求する必要はない。そう結論付けてシエルは準備を始める仲間の輪に混ざっていった。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

新しくなったギルドホームの内装は、彼の記憶の中とは大きく違う。まだ覚えたてではあるが、ペルセウスは迷うことなく目的の場所に着いた。弟に伝えたトイレ…ではなく、マスター・マカロフと、その孫であるラクサスがいる医務室。中に入ろうとはせず、扉の傍にある壁に、背中から体を預けて中の会話に耳を傾ける。

 

「全く…不器用な奴じゃの…。もう少し肩の力を抜かんかい」

 

聞こえてきたのはマカロフの声。ラクサスに語り掛けているであろうその声は、怒りを込めたものではなく、とても穏やかだ。家族に向けて話しかける時と、同じ…。

 

「そうすれば、今まで見えなかったものが見えてくる。聞こえなかった言葉が聞こえてくる。人生はもっと楽しいぞ」

 

ラクサスはこのギルドを…妖精の尻尾(フェアリーテイル)をもっと大きく、もっと強くしようとしていた。だがその根幹に存在したのは、彼に確かな愛情を向ける偉大な祖父(マカロフ)への想い。愛しい家族が愛する家を、誰からも守れるように。ただその一心だった。

 

しかしマカロフは、そこまでの高望みはしなかった。少しずつでも成長すれば、それで良かった。生きがいだった。強い力はいらない。賢くなくてもいい。ただ一つ。

 

「何より元気である。それだけで十分だった」

 

ラクサスの声は聞こえない。中の様子は見えないために、彼が今どんな表情で、どんな心情でいるのかは分からない。けれどペルセウスは確信していた。ラクサスもまた、ギルドの為を思っていること。家族を大事にしていること。誰の命も奪わなかった妖精の法律(フェアリーロウ)が、その確信を理由づけていた。

 

 

 

 

 

「ラクサス…お前を破門とする」

 

マカロフから下された処罰。家族でいられなくなってしまったその結果に、落胆しながらも反論の余地は感じられなかった。彼のとった行動は、家族や街にいる者達の命を危険に晒していたのだから。そしてそれはラクサスも同様に感じていた。だからこそ、彼もその処罰に反論しなかった。

 

「ああ…世話になったな…」

 

ラクサスのその声と共に、こちらに近づく足音。そして、小さいながらもしっかりと、彼の声は耳に入った。

 

 

 

「じーじ…体には気を付けてな…」

 

「出てい゛げ…!」

 

これまでの彼では考えられなかった穏やかな孫の声、涙混じりの祖父の声。それを最後に、ラクサスは祖父の元を去った。医務室から出てきたラクサスは、壁にもたれかかってこちらの会話を聞いていた様子のペルセウスを視界に捉える。

 

「聞いてたのか…」

 

「何となく、こうなるかもしれないとは思ったが…」

 

引き止めようとはしない。祖父であるマカロフも、破門をしたくてその決断を下したわけではない。苦渋のものだ。それに反論することは彼のその決断をふいにすること。そしてラクサス自身の贖罪の想いも無駄にすることになる。ペルセウスの前を通り過ぎていくラクサスは、すれ違いざまにこう零した。

 

「シエルに伝えてくれ。『今まですまなかった…』ってな…」

 

その言葉を残して立ち去っていくラクサスの背を、彼は何も言わずに見送った。どこか悲しげな表情を浮かべながら…。

 

 

 

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フィオーレ王国のとある荒野の一角。岩山一つを中から抉り取り、住居兼拠点として作り上げた、建物と言うのも難しいその場所。何羽ものカラスが集い、まるで廃墟のような印象を受けるその拠点は、実は紛れもなくギルドの一つだ。

 

「カラスぅ~~お前は何故にそんなに美しい。あ?そりゃあ嫌われモンだからってよォ?よぉしよしぃ」

 

その拠点のバルコニーの手すりに止まっていた二羽のカラスに、一人の男がねっとりとした声を出しながら近づいていく。そしてその内の一羽を両手で抱える。随分と濃く蓄えられた黒い髭と、大柄な体を持つ中年の男は、傍から見ればただカラスを可愛がっているようにも見える。だが、抱えられていないもう一羽は何かを感じとり、その場から飛び去って行く。

 

そして男に抱えられていた一羽は、途端にその動きを止めると、一瞬で一枚の紙へと変貌し、床に力なく落ちていった。

 

「ぶはは!美しいものは儚い命だ」

 

「全くもってその通り」

 

カラスを紙に変貌させたその元凶の男の元に、二つの影が近づいてくる。その内の一つは男の呟きに同意を示し、口元に弧を描きながら長杖を片手にして近づいてきている長身痩躯の男。そしてもう一つの影は、一見すると怪我人だ。痛々しいものを見せるように体中に包帯が巻かれているその男は…。

 

「マスター・『イワン』。ガジルくんが訪ねられましたので、勝手では、誠に勝手ではございましたが案内致しました」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)にいるはずのガジル・レッドフォックス。他の者達が幻想曲(ファンタジア)の準備を行う中、彼は一人でこのギルドを訪問していた。

 

「おーおーガジルちゃん!また随分と派手にやられちまったみたいで、可哀想になぁ~!」

 

「わざとらしい演技はよせや」

 

いかにも満身創痍に見えるガジルを心配する言動の男『イワン』に、顔を顰めながら素っ気なく返す。互いに知っている関係のようだ。

 

「さて、バトル・オブ・フェアリーテイル…あれから、一体あれからどうなったのか、教えていただけますか、ガジルくん?」

 

丁寧な口調が特徴のようである痩躯の男を皮切りに、このギルドにまで周知されていたバトル・オブ・フェアリーテイルの話がガジルから語られる。そして、ラクサスが破門されたことも含めて、全て伝えられた。

 

「そうか…ラクサスは破門されたのか…ぶははは!こりゃ好都合だな~」

 

「…そのラクサスの事だがな、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だったなんて聞いてなかったぞ」

 

ガジルから問われた内容を聞いたイワンは、それに吹き出し、突如大きく笑い出した。彼にとってはその問いはあまりに滑稽であったのだ。

 

「あれは()()()()。ニセモノちゃんよぉ…」

 

「ニセモノ?」

 

舌なめずりをしながら告げたその単語を、ガジルは思わず反芻した。何故この男がラクサスの事に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)についてこれ程までに詳しいのか。その理由は単純明快。

 

本名を『イワン・ドレアー』。元々は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士にして、ラクサスの実の父親である。数年前に、危険分子とみなされてマカロフに破門をされた後、妖精の尻尾(フェアリーテイル)への報復を企んでギルドを新設させたのだ。

 

そして今、新設させた闇ギルド・『大鴉の尻尾(レイヴンテイル)』のマスターに座している。

 

「マスター・イワンのご子息であらせられるラクサス殿。彼は、そう彼は幼少の頃はとても身体が弱かったのでございます」

 

「それを不憫に思ったオレは、ラクサスの身体に魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ」

 

二人の男から説明されたその内容に、ガジルは驚愕する。身体に埋め込まれた魔水晶(ラクリマ)。それが何を意味するのかは、十分に理解できた。滅竜魔法を扱えるようになる代物。ナツやガジルとは別の方法で会得できる希少な存在だ。勿論珍しさも半端ではない。

 

「破門されたラクサス殿はここに、いずれここに来ることとなるでしょう」

 

「ああ、丁度いい。あの魔水晶(ラクリマ)は金になるって最近知ったところだ。それも信じられねえほどの金に」

 

それが一体何を意味するのか。ラクサスの身体から魔水晶(ラクリマ)を取り出し、資金とすることを目的としている。イワンにとっては元々息子のラクサスには過ぎた力。取り出した際にはラクサス自身がどうなるかは分からないが、最早知った事ではない。今やただの金と同義。

 

「お前はもう少し潜入を続けろぉ。いいか?万が一スパイだとバレてもこの場所だけは吐くんじゃねぇぞ」

 

「そんなヘマはしねぇよ」

 

勢いよく顔を近づけながら低い声で釘を刺してくるイワンに動じることなく、「ギヒッ」と獰猛な笑みを浮かべながらガジルは承諾したのだった。

 

 

 

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マグノリアの収穫祭もいよいよ大詰め。二日ほど延期されていた一大イベントが、遂に開催される時が来た。

 

マグノリアを代表とするギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちによる、魔法を活かした大パレード。その名も幻想曲(ファンタジア)

 

雲一つない快晴の夜空を彩るは、様々な色彩の花火。暗い街に似合わない豪華な光に包まれて、様々なモチーフが施されたパレードフロートが直列に進み、その周り、またはフロートの上から魔導士たちが各々の魔法や特技を使ってパフォーマンスを行っている。

 

列の両端に集った観客たち、中には住宅の屋根の上から観覧している者達もいる。誰も彼もが輝くような笑顔を浮かべていた。

 

特に注目を集めていた演目を記しておこう。

 

最初に盛り上がりを見せていたのは、ミス・フェアリーテイルコンテストに出場していた女性魔導士たちのうち3人。ルーシィをセンターに、レビィ、ビスカと共に旗を両手に持って一糸乱れずダンスを披露。完成度の高さ、そして時折個性が感じられるアドリブパフォーマンスが、観客の視線を釘づけにしていた。

 

次に注目されたのはすぐ後ろを行進するフロート。ひびの入った石の塔をモチーフとしたフロートに乗っているのは、全身接収(テイクオーバー)獣王(ビースト)の姿となったエルフマン。フロートの柵の一つを剛腕で掴みながら客たちに向けて威嚇のように雄叫びを上げるその姿は圧巻。その迫力に歓声を上げる者も多い。さらに、石の塔の頂点に付けられた桃色の薔薇が花開くように解けると、まるで花の精を現すかのようにミラジェーンの姿が出現する。先程のエルフマンと合わせるとまさに「美女と野獣」。そして、そのまま彼女は変身魔法を使って、その姿を変化させた。

 

だがその姿がまさかの大蛇。石の塔を押し潰し、周りに威嚇していた野獣のエルフマンさえも尻尾を巻いて逃げだす(ように見える)変貌に、観客の一部、特にミラジェーンのファンは目を疑うように絶句していた。「美女と野獣、時々大蛇」。観たいような観たくないような作品が頭に浮かぶ…。

 

気を取り直して次に注目されたのは一見すると何も乗っていない青いフロート。だが、その先頭に乗っている青と水色の王子のような服を着たグレイによって、一瞬で大きな氷の城が出来上がる。そして、その周りをグレイと同じ色と意匠を模した姫のようなドレスを着たジュビアが城やフロートから水を吹き出させる。アイコンタクトで息を合わせ、城の頂点まで橋のように水流を起こすと、その上に「FAIRY TAIL」と氷の文字が作り出される。氷と水の幻想的なイリュージョンに、うっとりとしている者達も多かった。

 

そこからさらに盛り上がりを見せたのは忘れてはならない妖精女王(ティターニア)のエルザ。姫騎士を彷彿とさせる鎧姿の彼女の周りを、10を超える剣が等間隔に並んで旋回し、彼女自身もその中心で緩やかに剣舞を披露する。そしてしばらくすると彼女はその身体に光を纏って換装。凛々しい鎧姿から一転、妖艶的な踊り子の衣装を身に纏い、両手には石突にも細長い布を付けた曲剣をそれぞれ一本ずつ持ちながら艶やかに舞う。

 

そしてさらに後方に、他のフロートと比べても小さい、子供ぐらいの高さしかない小さなフロート4つと共にと歩で進みながら、紅蓮の炎を後に残して悠然と進む火竜(サラマンダー)。ナツを象徴する炎が、フロートそれぞれに付けられた煙突から噴き出される炎、ナツ自身が起こす炎と組み合わさり、温度が非常に高い。そのフロートを牽く四足歩行の謎の生き物を模した機械のうち一体に乗った、彼の相棒であるハッピーが観客たちに手を振っている。そして彼は大きく息を吸い込み、空中に炎を何発か飛ばす。それは空中で文字になり妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名を記して…。

 

「ぐはぁ!!」

 

途中で盛大にむせた。見たところまだ怪我は完治には程遠い。口周りの包帯が取れているだけ、回復は進んでいるようだがそれでも時間はかかりそうだ。そんな状態でも絶対参加すると言っていた結果らしい。その様子がおかしかったのか、観客たちからも笑いがこぼれている。

 

そんなパレードの様子を見ながら緊張の面持ちをしている者がいた。今回初参加の内の一人で、最年少のシエルだ。純白の法衣に近い衣装に身を纏った彼は徐々に近づいている出番に激しく緊張していた。

 

「つ、遂に来るか…ぅう~~!夢にまで見た初参加だけど…いざ来るとまだ震えが…!」

 

「そう固くなる必要などないぞ?」

 

そんなシエルに声をかけるのは彼の次の出番、最後尾のフロートを担当するマスターのマカロフだ。

 

「パレードは楽しいものじゃ。見る者も、行う者も、楽しく笑うことが出来る。じゃからお前らしいパフォーマンスを、心から楽しみながらやればよい」

 

パレードに参加できるほどまで体調が落ち着いたギルドの最年長の言葉は、最年少であるシエルの心にすっと落ち着いた。彼の言葉を噛み締めるように大きく深呼吸を一つ。もう大丈夫。震えは止まった。一言礼を告げれば、マカロフは歯を剥きながら笑みを向けた。

 

「次、スタンバイお願いしまーす!」

 

「あ、来た!じゃあ俺、楽しんで行くね!マスター!!」

 

「うむ、その意気じゃ!」

 

係の者に呼ばれ自分が担当するフロートに乗り込んだシエルを見送るマカロフ。その後方から彼に声をかけてくる人物がいた。

 

「マスター」

 

「ん?ガジルか」

 

所用でマグノリアの外へと出ていたガジルである。まだ怪我が完治している様子ではないが、無理をしてでもナツが参加しているところを見ると、彼も既に動く事なら問題ないはず。

 

「お前は参加せんのか?」

 

「ガラじゃないんでね」

 

「よー言うわ。『シュビドゥバー』の癖に!」

 

収穫祭の前に盛大に披露したガジルのあの姿を思い出して笑いを零しながら告げたマカロフに、ガジルはどこか羞恥心を感じた。BEST FRIEND(あっち)幻想曲(こっち)も大して変わりゃしないと言うのだろか?

 

「これを…」

 

するとガジルはマカロフに一枚の小さな紙きれを渡す。そこにはある場所について、細かくメモがされていた。その内容はというと…。

 

「マスター・イワンの、あんたの息子の居場所を突き止めた」

 

「すまんな、危険な仕事を任せて…」

 

「ま、気にすんな。抜かりはねぇよ。オレが“二重スパイ”だってのはバレてねぇ。それより奴は、ラクサスの魔水晶(ラクリマ)を狙ってる」

 

イワンがマスターを務める大鴉の尻尾(レイヴンテイル)。ガジルはそのギルドから妖精の尻尾(フェアリーテイル)に差し向けられたスパイ…とイワンは思い込んでいるが、事実は違う。マカロフの方からイワンに接触するように指示を出され、二重スパイとしてガジルに潜入を任せたというのが事の真相である。ガジルから渡された場所のメモを懐にしまうと「よくやってくれた」とガジルを労った。場所さえわかれば後はどうとでもなる。好きにさせるわけにはいかない。

 

「マスター、準備できました!」

 

「んじゃ!行ってくるぞい!!」

 

真剣な面持ちから一転。どこかファンシーな衣装に身を包みながら、マスター・マカロフは最後尾のフロートと共に行進を始めた。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

マカロフがガジルと話している間に、シエルの演目は進んでいた。フロートは土台が大きな白い雲、その後方には虹のアーチを中心に、雨や雪、太陽をモチーフとした光る装飾が施されている。そのアーチを潜って現れたのが、体を覆うような白い法衣に身を纏ったシエル。てるてる坊主をモチーフとした衣装だそうだ。

 

彼はまず小さめの曇天(クラウディ)をいくつも作り出して上空へと飛ばす。数は9個。その雲目掛けて様々な色の魔力の弾を飛ばして打ち抜いていくと、晴れ、雷、雨、竜巻、雪といった様々天候の魔力で作られた「FAIRY TAIL」の文字を作り出して夜空を彩る。観客たちの視線を釘付けにしながら、彼は次の行動に移った。

 

再び雲を作り出したシエルは横に集まる一つの家族に目を付ける。父と母、そして男女それぞれの幼い子供の家族だ。そこに三つの雲を早く、しかし早すぎない速度で近づけていく。先に二つの雲が子供たちの前に到着。好奇心旺盛な子供たちは目の前まで来た雲に疑問を抱きながらも手を伸ばす。途端、雲が弾けて男の子の方は雪で作った小さな雪だるま、女の子の方は優し気な太陽の光で作った一輪の花が現れた。それを目にした子供たち、そして周りの観客たちも一気に目を輝かせる。

 

そして今度は父親の方に、遅れてやって来た雲が近づいてきた。「お?パパにも来てくれたみたいだぞ~」と自慢げに告げる父親が雲に手を伸ばすと、突如雲が感電。微量の静電気が流れ、「いったぁ!?」と父親が叫ぶと同時に雲も弾ける様に消えた。それを見ていたシエルは握りこぶしを口元に持って行ってイタズラが成功したように笑う。そう、イタズラだ。それに気付いた観客たちがシエルを指さしてそれを父親に伝える。

 

「このイタズラ小僧~~!!」

 

父親の叫びに周りの観客たちはおろか、妻である母親も、子供二人も巻き込んで爆笑。悪戯妖精(パック)の名に恥じないパフォーマンスである。その姿を別の場所から眺めているのは、彼の兄であるペルセウスだ。本来なら彼も動くことが出来るので参加と命じられているのだが、弟の初の晴れ舞台をどうしても見たいがために、観覧側に持ち込むよう交渉したのだ。その甲斐あって、立派に成長したシエルの姿を目に焼き付けている。

 

「一年…たった一年で、本当に大きくなったんだな…」

 

身長自体はそこまで伸びてはいないが、魔導士としては本当に大きくなった。まだまだ頼りないところがあった部分もあるが、そこはまたこれからの成長が楽しみと言うもの。ふと視線を別の方向に向ければ、観客たちが賑わう列から外れた路地裏に、見知った影を見つける。

 

「もう街からも出ちまったのかと思ったけど、見に来てたんだな」

 

迷わず声をかけるペルセウス。その影の正体はラクサスだった。最後の最後、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士たちが集う幻想曲(ファンタジア)をこの目にしておこうという思いからであろうか。

 

「…お前は参加しねえのか?」

 

「シエルの晴れ舞台だからな。少々骨は折れたが、何とか説得できたよ」

 

「晴れ舞台」。その単語を聞いたラクサスはどこか、顔を俯かせて呟いていた。だが、それにペルセウスは気付かない。

 

「マスターだ!」

「マスターが出てきたぞ!!」

 

観客たちが騒ぎ出したその言葉に、二人の視線もパレード側に向けられる。一際大きいフロートの一番高い位置で、猫を模したキャップを被り、猫の尻尾も取り付けたマスター・マカロフが、片足を上げながら両腕を上下に高速で動かしながらあらゆる方角を向いて見せる。

 

「何か妙にファンシーだ!」

「ファンシーつーかファンキーじゃね?」

「似合わねぇ!」

「そのコミカルな動きやめてくれ~!」

 

どこか面白おかしいパフォーマンスに周りの観客たちも大いに笑っている。近くにいるペルセウスすら、口元に弧を描いて笑っている。そんな様子をラクサスは穏やかに眺めていた。

 

幻想曲(ファンタジア)。この一大イベントは、彼が妖精の尻尾(フェアリーテイル)として過ごした中で、縁深い思い出といっていい。10年以上前、ラクサスがまだ魔導士になるよりも前の頃、祖父との約束で幻想曲(ファンタジア)を一緒に見たこともある。まだ子供という事で背丈が低く、他の観客たちの背に埋もれてパレードが見れなかった自分を、祖父は自分を肩車しながら自分の下半身を魔法で肥大化させ、誰よりも高い位置からパレードを見させてもらった。

 

『どうじゃ、ラクサス!あれが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士じゃ!!』

 

『すげえ…すげえよじーじ!オレのじーじは、サイコーのマスターだあ!!』

 

あの時は純粋に祖父が、ギルドが大好きだった。それを一番感じさせてくれたのは、この幻想曲(ファンタジア)だ。記憶から呼び起こされたその光景を思い出し、感傷に浸りながら、ラクサスはその場を後にしようとする。

 

「ラクサス、あれ…見ろよ」

 

だがそれをペルセウスに呼び止められ、ラクサスは反射的にパレードの方を振り向いた。その目に映っていたのは、彼にとって大きな衝撃を与える光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コミカルな踊りをしていたマスター・マカロフが、突如堂々とした立ち姿と表情で、右手の親指と人差し指を天高く上に上げている。

 

マカロフだけではない。パレードで行進していた全ての魔導士たちが、マカロフと同様に天高く親指と人差し指を立てた手を上げていた。

 

驚愕に目を見開いているラクサスに、ペルセウスは独り言のように話しだした。

 

「あのポーズ、マスターに意味を聞いたことがあるんだ。『たとえ姿が見えなくても、遠くに離れてても自分はずっとあなたを見ている。』そんな意味が込められたメッセージだと」

 

ギルドの者達が一様にとっている暗号のようなポーズ。ギルドの絆を感じさせるようなそのポーズを始めてみたペルセウスが前触れもなく聞いた時に、話していたことだ。

 

「いつ、誰が最初に考案したのか、結局は教えてもらえなかったよ。マスターが考えたのか?って聞いても『ワシではない』って。けどこれだけは感じたよ。このポーズを最初に考えた人は、ギルドの事が、家族の事が本当に大好きだったんだなって」

 

ペルセウスの言葉を聞きながら、ラクサスは頬に流れる熱いものを感じ取っていた。何故なら、そのポーズは…。

 

 

 

『じーじ!今回は参加しないの、幻想曲(ファンタジア)?』

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入り、初めての幻想曲(ファンタジア)に参加するラクサスは、祖父に今回参加しないのかと尋ねていた。

 

『お前の晴れ舞台じゃ。客席で見させてもらうよ』

 

『じーじのトコ、見つけられるかなぁ…?』

 

『ワシの事などどうでもよいわ』

 

マカロフとしては、初の晴れ舞台となる孫の勇姿を見ることの方が大事だ。しかし、ラクサスもまた、マカロフに立派な姿を見せるために、彼の居場所は見つけたい。すると、彼は妙案を思いついたように指を鳴らした。

 

『じゃあさ、オレ…パレードの最中、こうやるから!!』

 

天高く右手を掲げ、親指と人差し指を伸ばしたそのポーズ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士ならば皆掲げたことのあるこのポーズを見たマカロフは、それに首を傾げた。

 

『なんじゃそりゃ?』

 

『メッセージ!じーじのトコ見つけられなくても、オレはいつもじーじを見てるって証!!』

 

それを聞いたマカロフは目頭が熱くなった。幼い時は身体が弱かった孫が、今では魔導士に、そして祖父想いの心優しい子に育ってくれたことに、感無量となっていた。

 

『見ててな!じーじ!!』

 

そしてその年の幻想曲(ファンタジア)。彼は祖父に宣言した通り、マカロフが見ている前で、そのポーズをとった。そしてそれはメンバーに伝わり、新しく入った者達にも受け継がれ、ギルドから旅立つ者達に、同じポーズをとって決意の約束を刻む証にもなっている。

 

それを作り出したのは、祖父と、祖父が造ったギルド、そこに属する家族を愛する、一人の少年。

 

「っ…じーじ…!」

 

頬を伝う熱いもの…涙を流しながら、彼らがとったポーズの意味をラクサスは理解した。

 

 

───たとえ姿が見えなくとも、たとえ遠く離れていようと、ワシはずっとお前を見てる。ずっとお前を、見守っている。

 

 

「…ああ、ありがとな…」

 

祖父の声が聞こえたラクサスは、流れる涙を拭うことはせず、彼らに背を向けて歩き出す。想いは受け取った。これ以上は言葉はいらない。マグノリアの外へと歩むラクサスに、ペルセウスは呼び止めることはせず、己の右手を掲げ、親指と人差し指を天高くに伸ばした。

 

「じゃあな、ラクサス…またな…」

 

呟くように零したペルセウスの言葉。届いたかどうかは彼には分からない。

 

 

 

「…またな…か…」

 

同じように彼らと同じように右手を掲げたラクサスにしか、それは分からなかった。

 

溢れる歓声。広がる笑顔。空を彩るは花火と、魔法で作られた「FAIRY TAIL」。

 

幻想を奏でるパレードはまだまだ盛り上がりを見せていた。きっとこの夜は、みんなの心に長く残るだろう…。




おまけ風次回予告

ペルセウス「さて、正式に合流もできたことだし、改めてよろしくなルーシィ」

ルーシィ「は、はい!こちらこそよろしくお願いします、ペルセウス…さん!」

ペルセウス「そんなに畏まらないでくれよ。それと、皆からは『ペル』って呼ばれてるから、そっちで呼んでくれる方がいい」

ルーシィ「す、すみません…幻の魔導士、なんて言われてる人を前にしてるんだって思うと、緊張しちゃって…」

ペルセウス「あ~…下手に噂を広められるのが嫌な性分だからな…そう広まってるのか…」

次回『ペルセウスという男』

ルーシィ「そんなに気にすることですかね…?」

ペルセウス「実際に目にするときと印象が違ってしまうもんだぞ。化け物ネズミを退治したコスプレ好きの財閥令嬢の上に鍵コレクターなんて…」

ルーシィ「あたしも噂より、実際に目にした方がいいと思います!はい!!」
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