FAIRY TAIL ~天に愛されし魔導士~   作:屋田光一

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お待たせしました、後編です。
そう言えば前編で書き忘れましたが、今回の話を決めるアンケート、実は僕予想出来ていたんですこのウェンディメインの話が一位になるの。(笑)

でもまさか3つ選択肢があるのに投票数の半分を占めて一位になるのはさすがに予想できませんでした…。これがヒロインの力か…。

そしてこの回で、幕間章となる5.5章は終了です。次回からはメインの新章に入ります!


第71話 ウェンディ、初めての大仕事!?(後編)

「―――っていう感じで出てきて、あとは乗雲(クラウィド)蜃気楼(ミラージュ)を使って追いかけたってわけ」

 

「なんでわざわざそんな回りくどいことするの…?」

 

足を動かしながらもシエルはここに至るまでの経緯を語った。わざわざ兄に出入り口の封鎖を願い出たのは、自分からギルドを出ることは絶対にないという事を、他の面々に前提として思わせることが狙い。その隙を突いて密室から誰にも気づかれずに抜け出した。

 

わざわざそこまで手の込んだことをしてまでウェンディたちを追いかける必要があったのか、そんな疑問があるにはあるが…。

 

「しかし、今頃ギルドでは大騒ぎになっているのではないか?誰かが書庫の中を確認しようものならお前の不在はすぐにバレるだろう?」

 

「ああ…兄さん辺りが大騒ぎしてそうだな…。あとは帰った後にめっちゃ叱られたりとか…」

 

「だ、大丈夫なの、それ…?」

 

共に話を聞いたフリードがふと抱いた疑問を口にすると、シエル自身も色々とまずいことは自覚があるのか、現状起きているであろう事件と帰った後に待ち受ける説教を思い浮かべて、辟易している。ウェンディから心配の声が上がっているが、多分大丈夫じゃない。

 

「ま、今更何言ったところで待ち受けてることが変わることもなし…今はこのままついて行くしかないよ」

 

「妙なところで肝が据わってるよね、シエルって…」

 

先に起きることが分かるからこそ、今くよくよ考えて目先の事に集中できなくては本末転倒。それが今のシエルの心情だ。切り替えて頭の後ろに両手を持っていきながらぼやいたシエルに、妙なずぶとさを感じ取ったハッピーであった。

 

シエルも加わって森の中を徒歩で移動。しばらく真っすぐに進んでいた一同だったが、時間が経つにつれて、シエルが上の方を気にする様子が度々見受けられるように。それに気付いたウェンディが声をかけた。

 

「シエル、どうかした?」

 

「あ…うん、ちょっとね…」

 

だが尋ねてみると妙に歯切れの悪い返事しか返ってこない。何かに気付いているのは確かだが、それを言うべきか否かで迷っているような…。と考えていると、彼女はふと思い出した。シエルが上の方を気にかけ始めた時に、自分も感じていたある違和感を。

 

「(もしかして…!)あの、もうすぐ雨が降りそうですから、少し急ぎましょう」

 

「!!分かるの…!?」

 

「うん、私、空気の流れが読めるから」

 

「まさか~?」

 

彼女が感じていたのは雨の予感。天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるウェンディは人一倍空気の流れに敏感だ。まだ何となくの範囲ではあるのだが、天候魔法(ウェザーズ)を扱う事で天気にはさらに過敏なシエルが上を気にしていた様子を見て、その予感は確信に変わった。

 

だが現在上空は雲一つない快晴。雨が降るようには到底見えないと、ハッピーがくたびれた様子でぼやいていた矢先、まるで意図していたかのように雨雲が流れ始め、彼らの上空から無数の雫が降り始めた。予報的中だ。

 

「何だこの天気~!?シエルのせい!?」

 

「俺は何もしてないよ!今は!!」

 

「早く雨宿りしないと!!」

 

ほぼ何の対策もしていなかった為に、雨風を凌げる場所が辺りにない状態でウェンディの言っていた通り降ってきた雨。それから逃れる為に一行は一気に駆け出し、どこか雨宿りができる場所がないかを探す。シエルの魔法を使えば雨を晴らすこともできるし、そうじゃなくても雨から逃れる術もいくらでもあるが、それは必要以上の手出しという扱いになってしまう。何か雨を避けるような場所がないか。シエルが森の中を見渡してそれらしいものを探す。

 

「あ、みんなあそこ!」

 

すると先にウェンディがシエル達に声をかけて指を指す。そこには十分なスペースが確保できる洞穴が見えた。不幸中の幸いだ。これで雨を凌ぐことができる。

 

「ふぅ…ひとまずここで止むまで待機だな」

 

多少濡れてしまったが、とりあえずずっと雨に打たれ続けるよりはいいだろう。降り出してから比較的迅速に行動したことが功を奏したようだ。洞穴の中に入ったシエルたちは一息つくことにした。

 

「ウェンディのおかげで助かったよ」

 

「だね…」

 

雨が来ることを察知し、そして洞穴をすぐさま見つけた彼女の活躍は、何気ないように見えるが非常に大きい。そのことを素直に口にすれば、彼女は口元に弧を描きながら首を少し横に振ってこたえた。

 

「ううん、シエルのおかげでもあるんだよ?」

 

「え、いや、俺は何も…」

 

シエルも彼女と同じように雨が来ることに気づいてはいたが、あまり手助けばかりしてはいけないと自分に言い聞かせて耐えようとしていた。だが結果的には、自分が読んだ空気の流れとシエルの様子から、その答えに行きついた。

 

彼女はそれを、まるでシエルが口に出さずとも自分に教えてくれたように語り、礼を示している。図星をつかれたような感覚に、思わず彼女から目を逸らしながらシエルが何かを呟いているそんな光景。

 

「(オイラは一体、何を見せられてるんだろう…?)」

 

目の前で言いしえぬ空気を醸し出している年少組二人を、どう形容していいか自分でも分からない表情で、ハッピーはただただ眺めていた。何だろう。この二人日に日に距離が近くなっているように見えるのは気のせいだろうか。非常に不服だが、自分はシャルルと距離を縮めようにも突っぱねられている現状だというのに。

 

だが、ハッピーの憂鬱はこれだけに留まらない。「それに…」と心の中で呟いてシエルたちから目を逸らして外の方へと着目すると…。

 

 

 

「ラクサーーース!!!」

 

「(あいつは何をしてるんだろう…?)」

 

雷まで鳴り始めた雨雲が覆う空に向かって、何故かラクサスの名を叫ぶフリードの姿。あいつの頭の中はどうなっているんだ。ハッピーは心の底から本気で思った。ついでに言えば、ウェンディが呼びかけるまで、フリードはずっと雨に打たれっぱなしだった。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

しばらくしてようやく雨が上がった頃には、既に太陽は西の方へと沈みかかっている途中で、夕焼けの光が森全体を照らしている。直に暗くなるだろう。そうなれば森の中を進むのは危険になる。

 

「今夜は野宿するしかないみたい…」

 

「寝床は、さっきの洞穴があるから大丈夫だと思うけど…」

 

「問題は食糧だな」

 

生憎オニバスに向かうのに列車以外の方法を考えていなかったため、ウェンディたちの荷物に食糧は入っていない。着の身着のまま彼女たちの後を追ってきたシエルも同様だ。なので食糧の確保は今からこの森の中で行うしかない。

 

「食べ物集めぐらい手伝ってよ。でないとお腹減って倒れちゃう」

 

「案ずるな。オレも己の為すべきこと、為さざるべきことはわきまえている男だ」

 

「一々言い回し固すぎ…」

 

食糧の確保に関してはさすがに必要最低限だと認識をしているフリード。何やらハッピーがフリードの言動にぼやくことが多いが、気にせずに彼は続けた。

 

「オレに食糧の心当たりがある。既に準備も終えている」

 

「本当ですか!?」

 

「さすがに用意周到だな!」

 

「いざという時は頼りになるね!」

 

雷神衆の一人として様々な経験を積んできているフリードの準備の良さに、3人の顔が明るくなる。そして彼は剣を引き抜くと事前に地面に記していた術式に魔力を込め、その術式を発動させる。恐らく食料となる生き物を捕まえるための罠が張られているのだろう。発動された術式を眺めながら、3人の期待値は大きくなっていく。

 

 

だが、術式に刻まれたルールを目にしたシエルは、「ん?」と言う声と共に怪訝な顔へと変わった。そしてそこに刻まれたルールをよく読んでみると…。

 

「『この術式に入った…羽魚は落下する』!!?」

 

「え、何で羽魚!!?」

 

羽魚。鰓の部分から一対二枚の羽が生えている空中を泳ぐ不思議な魚類。フリード曰く、この辺りは羽魚の回遊ルートであり、今の季節になると羽魚は産卵のために群れとなって登ってくるらしい。

 

そんな羽魚が、フリードの術式にかかって何十匹と言う規模で次々と落下してくる。魚が大量に手に入ることは本来なら嬉しい出来事だろう。魚が食べられないシエルはともかく、魚好きなハッピーには天国…のはずなのだが、彼の表情はどこか暗い。それもそのはず…。

 

「これ…食べられるんですか?」

 

「ううん、滅茶苦茶まずいんだよ…。オイラたち、前にひどい目に遭ったんだから…」

 

落ちてきた内の一尾を持ちながら尋ねたウェンディに、げんなりとした顔でハッピーが答える。少し前に街への帰路で全員が空腹に苛まれていた際に羽魚を釣って食べようとしたのだが、一番の魚好きであるハッピーでさえ、えずくほどのまずさである。正直食糧として機能はしない。

 

「…と思うのが、素人の浅はかさ。大方、焼き魚にでもしたんだろう?」

 

そんなハッピーの言葉を否定するように、フリードはそう言葉にしながら魔法を使って山積みになった羽魚のうちの一部を空中に浮遊させる。

 

「羽魚の調理には、コツがあるんだ」

 

そして言うや否や、空中に浮遊させた羽魚を、目にも留まらぬ剣捌きで、次々と身二つと背骨一つの三枚おろしにしていく。彼が手に持つ長い細剣で斬ったとは思えないほどの奇麗な出来栄えだ。

 

「おお…手際もいいしかなり早い…!」

 

「フリードさんって、お料理がお得意なんですか?」

 

「それ程でもないが、ラクサスや雷神衆と行動するときなど…たまにな」

 

そうしてフリードが作り上げた料理は、全て羽魚がメインの材料となっている刺身、カルパッチョ、天ぷら、甘酢あんかけ、羽魚のだしで作った湯豆腐などの豪華なレパートリー。外で作ったものとしてはクオリティの高い品々が、用意されたテーブルに並んでいた。

 

「「おいしそ~~!!」」

 

目を輝かせて歓声を上げる少女と青ネコ。しかし、唯一フリードの料理の腕を見て関心はするものの、料理自体を見てとくに食欲を湧かせられない少年が一人。

 

「…俺、自分の分は自分で取ってくるよ…」

 

「え、シエル、食べないの…?」

 

テーブル前に設置された椅子に座りながら、今か今かと食べたそうにしている二人に背を向け、一人森の方へと向かおうとするシエルに、ウェンディが声をかけるが彼は「うん、俺の方は気にしないで~」と返してそのまま奥の方へと入っていく。こんなに美味しそうなのに本当に食べないのか?と言う疑問が浮かんでいる。

 

「シエルは魚が嫌いなんだよ。勿体ないよね、絶対美味しいのに」

 

「やれやれ、あいつの食わず嫌いも困ったものだ。さ、お前たちは遠慮せずに食べてくれ」

 

目の前のご馳走を放って一人違う食材を探しに行ったシエル。気にはなるが本人もああいっていたことだし、ウェンディたちは早速テーブルにある料理を口につける。

 

 

 

だが、口の中に広がったのは予想していた旨味とは正反対の味。たった一口食べただけで顔が青ざめ、思わず手に持っていたフォークを取り皿の上にそっと置いた。

 

「やっぱ、調理法の問題じゃなかった…」

 

「私たちもシエルのとこに行きましょう。確か、向かった先には木の実があったはず…」

 

「あい…」

 

覆すことが不可能な羽魚の味を理解したウェンディとハッピーは、シエルが入っていった森の奥へと、彼を追いかける形で向かっていく。唯一黙々と羽魚の料理を食べ続けているフリードは、そんな彼女たちの様子に、半ば呆れるような面持ちで呟いた。

 

「先程のシエルと言い、好き嫌いは感心しないな。魔導士は体が資本だというのに…」

 

羽魚は人を…舌を選ぶ味だというのにそれを感じさせない。恐らくフリードがその最たる例と言う事だろう。羽魚を口に入れても微塵も苦しみを見せない彼の特殊さが、垣間見えた気がした。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

その後、シエルと合流して無事に夕食をとり、一夜を明かしたウェンディたちは、森の山道を抜けて今度は照り付ける太陽にさらされた砂漠を歩いていた。一気に風景がガラリと変わったが、オニバスへの方向は今のところ間違っていないらしい。

 

あまりの暑さにうんざりとした様子のハッピーと、少しばかり消耗している様子のウェンディに反し、シエルやフリードは普段通りの様子で砂漠の砂地を歩いている。

 

「ウェンディ、今のところ大丈夫?」

 

「うん、大丈夫。シエルもフリードさんも、暑さに強いんですね」

 

「二人ともこっそり魔法で涼しくしてるんじゃないの~?」

 

度々ウェンディの体力を気にかけてシエルが声をかけるが、強がりなのか本当にまだ余裕があるのか、ウェンディは弱音を一切吐かない。その代わりなのか、ハッピーの方が砂漠の中で一切暑がりもしない二人に懐疑の視線を向けてきている。

 

「仲間を差し置いて、自分だけ楽をしようとは思わん。単に鍛え方の問題だ」

 

「俺の場合は太陽の光から自分の魔力に変換できるから、暑いと感じても、体力は減り辛いのが理由かな」

 

「そんなことも出来るんだ…!」

 

フリードは己の体力や体を鍛えていれば暑さなどどうにでもなると言った主張でハッピーに反論。シエルはある意味、自分の魔法の恩恵を受けている。魔法を覚える際にそうできるように仕組みを考えて己の力に変えてきたため、ベクトルは違うが、フリードと似たようなことか。まだまだ独自性が残されている天候魔法(ウェザーズ)の特性に、ウェンディが感嘆の声をあげる。

 

「うへぇ…もうダメぇ…」

 

「ハッピー!!」

 

砂漠特有の暑さと直射日光で体力の限界が来たのか、力なく空中から砂漠の砂地に落下するハッピー。目を回してその場に倒れ伏したその姿を見て、すぐさまウェンディが彼に近寄る。

 

「待ってて、私が元気にしてあげる」

 

「あ、ウェンディ…それなら俺が…」

 

何の躊躇いもなく体力を回復するための魔法を使用するウェンディに、使えば体力を激しく消耗することを知っているシエルが変わるために声をかけようとする。だが、その声は途中で自ら区切った。自分はあくまでただ同行している身。本来ならこの場にいなかった存在で、今の道中での行動を左右する立場ではない。

 

ハッピーの体力の回復なら自分でもできるが、それでは間接的に助けに入っていることになる。だが、このまま放っておけばハッピーの体力はますます消耗し、それに伴ってウェンディの魔力も削られていく。どうするべきか。どの判断が正しいのか。頭の中で整理をするが、正答が浮かばない。

 

折角共に来たというのに、今近くにいるのに、安易に助けを加えることも出来ない。歯がゆい思いを抱え、胸に右手を持っていきそれを握り締めてその想いに堪えていると、シエルの後ろからフリードが彼女の元へと近寄り、声をかけた。

 

「君が魔力を使う事はない。オレが何とかしてみよう」

 

その言葉にウェンディも、そしてシエルも、彼に何か妙案があるのかと言った表情で問いかける。それに対して笑みを浮かべながら、フリードはまず、剥き出しになっている岩場にハッピーの体を横たわらせた。

 

「まずこうして寝かせる。次に術式を書く」

 

そしてハッピーが横になっている岩を囲むように術式を書き、その魔法を発動させる。その内容は『この術式の中にいる者は、暑さを感じない』。これで砂漠による暑さからは逃れられるが、もう一つの問題があった。

 

「岩が熱くて焦げちゃうよぉ…」

 

日中は常に日光によって熱される岩が、とてつもない熱を放っているために、横になっているハッピーの背中から、焦げるような黒い煙が発生し始めている。これ、本当に大丈夫なのだろうか?

 

「術式を設定するには、時間がかかるんだ」

 

「て言うか、術式から出たら意味ないんじゃ…」

 

結局のところはその場凌ぎだ。何とか出来ないものかと頭の中で整理をしていたシエル。するとある事に気付いたのか「あ!」と声を発してフリードへと声をかける。

 

「ねえフリード。術式って、確か生物にも直接書くことが出来たよね?」

 

「術式ではなく、正確には闇の文字(エクリテュール)だが…それが…!そういう事か」

 

彼はトラップによく応用される術式魔法の他に、人物に直接魔法の文字を刻むことでその対象に感覚を与える魔法、闇の文字(エクリテュール)が使える。彼はこの魔法を基本、相手に対して痛みや恐怖と言った攻撃の文字を、自分には翼を始めとした強化、付与の文字を刻むことで戦闘を行う。

 

だが今の状況でこの話を切り出したシエルの意図を、フリードは少しばかり遅れながらも理解した。その魔法を今この状況においても活用できることを。

 

「この場合は…闇の文字(エクリテュール)“耐暑”及び“耐熱”!」

 

髪に隠れていた右目を黒くし、ハッピーに二回剣を振ってそれぞれ告げた二つの文字を刻む。それによって一瞬ハッピーは痛がる素振りを見せるが、刻まれた文字がハッピーに吸収されるように消えていくと、へとへとになっていた彼の表情がパッと覚醒する。

 

「わ~い!ホントだ!全然暑くなくなった~!!」

 

そして途端に(エーラ)で空に飛び立ちながら元気よく喜ぶ。どうやらばっちり効いたようだ。ウェンディが両手を合わせながらその様子を笑顔で見ている。

 

「スゴイですね、フリードさん!」

 

「いや、まだまだだ。シエルが気付かせてくれなければ、この方法も思いつかなかっただろう」

 

ハッピーを元気にしたフリードのもう一つの魔法を見てフリードにそう告げるも、そのフリードはシエルの功績として告げ、彼に向けて笑みを浮かべる。今回はウェンディのサポートとして同行したのに、後から来たシエルに助けられた。彼の観察力の高さは知っていたが、改めて垣間見ると目を見張るものがある。フリードは素直にそう思った。

 

「ハッピーも元気になったし、先を急ぎましょう!」

 

勢いに乗ってきたチャンスを逃さないように、張り切った様子のウェンディの声に各々が返事をして更に歩を進めていく。

 

 

広い砂漠地帯を歩き続けてどれくらいが経っただろう。もうそろそろオニバスに到着する頃だろうかと言うところで、突如反応を示したのはシエルとウェンディ。

 

「っ!この空気…!」

 

「嵐が来る!!」

 

共に空気の流れに敏感な二人。砂漠地帯で起こる嵐。つまりは砂嵐だ。しかもそれはただの砂嵐ではない。

 

「この地方特有の“呪いの砂嵐”だ…!」

 

「話に聞いてはいたけど、こんなときに発生かよ…!!」

 

呪いの砂嵐。それはまるで砂嵐自身が意思を持っているかのように、あらゆるものを飲み込もうと生物目掛けて迫ってくる、悪意のある自然現象。時折砂嵐に怪物のような顔が見えるという噂もあり、呑み込まれたら最後、二度と出ることが出来なくなるとさえ言われている。

 

「どっかに隠れなきゃ!!」

 

「この砂漠に、隠れる場所などない。逃げるんだ!!」

 

嵐に巻き込まれてしまっては終わり。身の安全を最優先し、一行がすぐさまその場から離れる。少しでも距離を長くとり砂嵐が収まるのを待とうという判断だ。呪いとまで言われている砂嵐だ。下手に手を出すと何があるかも分からない。

 

「あ、あれって!?」

 

すると、砂丘の一つのてっぺんで、人間らしき影が膝をついて何か下の方を覗き込んでいる光景が目に入る。遠目からでは分かり辛いが、視力の優れているウェンディは、それが誰なのかすぐにわかった。

 

「ルーシィさーん!!」

 

その場所にいたのはルーシィ。更に、盛り上がっている砂の影響で見え辛かったが、もう一つの存在にも彼女は気づく。それは彼女の相棒である白い毛を持ったネコ。

 

「あれ、シャルルも!?」

 

「…ぷい」

 

一緒には行かないと豪語していたシャルルだが、何だかんだで彼女も心配でついてきていたらしい。だが本人を前にすると素直になれないのか、ウェンディから顔をそむける。

 

「心配でついてきちゃ、って!何でシエルまでここに!?」

 

「あ、いや…一足先に追いついてね…」

 

「書庫にこもってたはずなのに!?何で!!?」

 

ギルドの書庫にずっといたはずの少年の姿を目にして、ルーシィの表情が仰天で染められる。彼女はまだ知らない。両者が愛読している推理小説のトリックの如く、彼が書庫から気付かれずに外へ出ていたことを。

 

それはともかく、ルーシィたちも知らずのうちに合流していたシエルも含め、全員無事のようだ。だが、現状一番危機にあっている存在がいることに、ハッピーとシエルがその目で気づいた。

 

「あれ!?エルザ!!」

 

「流砂に呑まれかれてる!?」

 

ルーシィが覗き込んでいた場所は、すり鉢状に出来た流砂。その中心に鎧姿で緋色の髪の女性が呑みこまれそうになっている。彼女を背後から地面を自在に移動できる星霊バルゴが抱きかかえているが、何故か持ち上がらないらしい。

 

「バルゴが抱えられないって、どういうことだ…!?」

 

「まずいな…。ここはもうすぐ砂嵐に呑みこまれる」

 

「ええっ!?」

 

シエルたちが逃げようと距離をとっていた呪いの砂嵐。再び見えるところまでその脅威が迫ってきており、ルーシィが引き攣った悲鳴を上げる。よく見てみると、確かに怪物さながらの怨嗟感じる顔のようなものが浮かんでいる。気のせいか唸り声も聞こえる。

 

「私に構わず、お前たちは行け!」

 

「何言ってんのよ!!」

 

さすがにエルザと言えど、あの悪意を感じる砂嵐に呑みこまれれば命の保証も出来ない。放ってはおけないとルーシィが声をあげると、エルザを抱え上げようとしているバルゴがいつもの抑揚のない声で今の状況を伝えてくる。

 

「不思議です、この重さ…。まるで巨大な鉄の塊のような…」

 

「鉄の塊…?」

 

確かにエルザは普段から上半身は甲冑のような鎧を身に纏っている。しかし、それ以外に彼女が身につけているものは重いものなどなかったはずだが…?

 

と、考えてシエルは思い出した。エルザは何かしら依頼に向かう時、やけに大荷物を牽いて来ることを。そこで聞いてみた。

 

「エルザ!今何か荷物を持ってきてるの!?」

 

 

 

 

 

「…芝居の道具を、ずっと握っている…」

 

「ええ!?」

「そりゃ重いでしょ!!」

 

いくら何でもまさか過ぎた。何より規律にうるさいエルザがどうしてウェンディたちを追いかけに来たのか、シエルはすぐに合点がいった。

 

「しかし…これが無ければ舞台が出来ん…!」

 

同時に、トラウマと怒りが込み上げてきた。主に、エルザの苦しげな声を共に発したセリフで。

 

「どのみちやらねーからな!!?今回の仕事は舞台の助っ人じゃねーんだよ!!やってたら帰れなくなるし、そもそもあそこでやるのはもうコリゴリだし!!あと一つ言っておくと俺はもう絶対にやらないし!!それが原因で今出られないんだろ!?捨てろ!今すぐそんなもん捨てろ!!命捨てるよりも何千万倍マシだぁ!!!」

 

「す…捨てろだと!!?私の大事な思い出なんだぞ!!そんなこと出来るか!!!」

 

「俺の心を壊しかけた思い出が人の命より大事であってたまるかぁ!!!」

 

「何の話をしている!!?」

 

怒りながらも青ざめた顔で次々とエルザに怒鳴り散らすシエルの勢いに、場にいる全員(バルゴを除く)がギョッと驚愕の表情でシエルを見て絶句している。その中でエルザが絶望を味わうような顔で懇願するように返すが、更に怒りが助長したシエルの怒号に突っぱねられる。あんまりにも必死に叫ぶ少年の様子に「以前舞台で何があったのだ…?」と思わずフリードが呆然と呟いた。

 

「エルザ!どのみちそこから出ないと、何も出来ないわよ!!」

 

「うっ…!くぅ…すまない…!私の思い出…!!」

 

シエルの主張では意固地になって手放せずにいたが、最後にルーシィが告げた言葉が結果的に後押しとなったのか、エルザは悲しそうに涙を流しながら、砂に埋もれた芝居道具を手放した。大きな枷がなくなったことで脱出が容易になった瞬間、バルゴが勢い良くエルザを抱えて飛び出し、無事に流砂から脱出を成功した。

 

「ああ…私の心の拠り所がぁ…」

 

「後で掘り出しゃ良いじゃない!!」

 

「お仕置きですね?」

 

未練がましく砂の中に埋もれていった道具たちへと手を伸ばしているエルザに、ルーシィもいい加減イライラしていたのか怒り交じりに叫んだ。しかし、彼女が脱出に手間取っている間に、状況は最悪の一言になっていた。

 

怨嗟の顔を浮かべた砂嵐が唸り声を上げながら、どんどんこちらへの距離を詰めていく。しかも距離と速度から考えれば、最早逃げる余裕もないに等しい。このままでは全員呑みこまれ、二度と外へと出ることが出来なくなる。考えている時間はなかった。

 

「俺が、あの砂嵐を消してみせる!」

 

「え!?消すって、出来るの!?」

 

「分からないけど、これは天候魔法(ウェザーズ)の魔導士である俺じゃないと出来ないことだと思うから…!」

 

命に関わる危険が訪れた場合は、躊躇いなく加勢する。それは最初に約束したことだ。あの呪いの砂嵐を前にしても何もしないままでいることは出来ない。唸り声を上げながら迫りくる悪意の砂嵐を前に堂々と立ちながら、シエルは両手を前に突き出して魔力を練り上げ始めた。

 

「シエル…。っ!」

 

そんな彼の後ろ姿を見ていたウェンディは、彼の名を小さく呟く。そして数瞬の思案の後、決意したように表情を変え、動き出した。

 

「天候は砂嵐、後に…!」

 

「シエル待って!!」

 

砂嵐に匹敵する竜巻の魔法を放とうと集中した魔力を撃ち出そうとしたその時、後ろにいたはずの少女からその声が上がる。思わずその手を止めて振り返るほどに、シエルは驚愕した。

 

「え、ウェンディ!?」

 

「私が、何とかしてみる!」

 

そう言うや否やシエルよりもさらに前方へと駆け足で出るウェンディ。彼らの更に後方にいたルーシィやシャルル達も心配の面持ちで見つめ、シエルも彼女の突然の行動に危険だと声をあげる。だが…。

 

「お願い。私にやらせて!」

 

振り返り、力強い眼差しと言葉をシエルに向けてみれば、少年は二の句が継げなくなった。彼女の相棒であるシャルルもまた、その名前を呟くことしかできない。そんなウェンディは、改めて迫りくる砂嵐の方へと視線を戻すと口いっぱいに周りの空気を吸い込み、膨らませる。

 

 

 

 

「天竜の咆哮ーー!!!」

 

そして放つは、純白の竜巻の如き咆哮。小さな身体から発されたとは思えない規模のその竜巻は、怨嗟の表情を映し出す顔の部分に直撃し、何と大幅に押し返すほどの威力を見せる。だが、もっと驚いたのはその後だ。

 

彼女自身に自覚があるのかは分からぬが、その咆哮に何かしらの治癒効果が付加(エンチャント)されており、砂嵐が浮かべていた怨嗟交じりの表情が、途端にパッチリと目がさえたようなものを浮かべたと思いきや、癒されたような気の緩んだ表情へと徐々に変化していき、そのまま白い竜巻と共に一片残らず消滅していった。

 

消えていく瞬間にいくつかハートマークが飛び散ったように見えたが、幻覚か?

 

「呪いの砂嵐が、消えた…!」

「やったぁー!!」

「ウェンディ…すごーい!!」

 

後方から聞こえてくるその声を聞きながら、シエルはただ茫然としていた。自分が対処しなければと思っていた災害級の自然現象を、守りたいと思っていた少女が、一人で解決してしまった。

 

一人の少女の活躍が、この場にいる全員の命を救ったのだ。

 

「すげえ…ホントにすげぇや、ウェンディ!」

 

心から素直に出てきたのはその言葉。色々と衝撃ではあったが、シエルはある種の感動さえ覚えていた。まだ入ったばかりで仕事に不慣れだと思っていた少女が、怯えることなく前に出て、脅威を払ってみせたこの事実に。

 

「ぁ…えへへ…!」

 

称賛の言葉をかけられて照れくさくなったのか、顔を赤らめて体をクネクネと捻じらせている彼女を、どこか安心したような顔でシャルルが見ていたのは、誰も気付かなかった。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

その後はトラブルも起こることなく(エルザが芝居道具をどうしても掘り起こそうとしていたので、仕方なくバルゴの手を借りて掘り起こしたが)、一向はオニバスに無事到着した。出発してから丸一日は経過しているため、遅れてしまったことに怒っていないか心配はしていたが、依頼主のラビアンが経営しているシェラザード劇団に到着すると、意外過ぎる光景が広がっていた。

 

「どうも、ありがとうございます!」

 

劇団の入り口は多くの観客で行列が出来ており、その入り口からひょっこりと顔を出している座長ラビアンが、満面の笑顔で来客を迎えている姿。確か依頼書には「公演で失敗が続き、心も体もボロボロだ」と聞いていたが…?

 

「何で元気なの…?」

 

「役者たちと仲直りして、舞台が出来るようになったんです。お客も大入り。ありがとうございます!」

 

依頼が発行されてからどれだけのタイムラグがあったかは分からないが、どうやら自力で立ち直ったようだ。本人からすれば良い出来事なのだろうが、苦労してようやくたどり着いた魔導士側からすれば、取りこし苦労である。

 

「折角苦労して掘り出したというのに…!」

「オイラ…ダメ…」

「はぁ~~…!」

 

結局舞台の助っ人がしたかったのに出来そうになくて落ち込むエルザ、そしてここまでの苦労が無駄足に終わって限界を迎えたハッピーとルーシィが、その場で座り込んだり、倒れたりする。

 

「まあ、でもこの分なら、これ以上問題は…」

 

ラビアンの機嫌の良さそうな雰囲気を見て、肝心のウェンディへの対応はひどいものにはならなさそうと確信したシエルが安堵を吐く。すると、彼も何故かその場に腰を下ろして、どこか疲れたような声を漏らす。近くにいたウェンディがそれを見てどうしたのかと声をかけると、彼はこう返した。

 

「あれ、何か…安心したからかな…?腰が抜けて…」

 

ここまでずっと張りつめていた糸が唐突に緩んだことで、彼の力も大きく抜けてしまったようだ。情けないが、自力で動けるようになるには少しかかりそうだ。

 

だが、不調を訴えた者はまだいる。突如口を押さえて顔色がどんどん悪くなっていくのは、まさかのフリード。昨晩羽魚を食べすぎたせいで、今になって気分が悪くなってきたらしい。

 

「うっ…いかん…!立ってられない…」

 

どうやら舌は特殊だが、胃袋までは特殊にはならなかったらしい。魚好きのハッピーでさええずくような味の羽魚を何十匹も一人で食えばそりゃそうなる。倒れ伏したフリードに慌てるウェンディの傍らで、シエルとシャルルが呆れて様な表情を浮かべている。

 

「おぉ~~~い…!」

 

すると今度は駅の方面から、こちらを呼んではいるがどこか力のない声が聞こえた。その声の主を目にしたウェンディは、再び驚きを露にする。

 

「ナツさん!?」

 

それはまさかのナツだった。エルザたちがウェンディたちを追いにギルドを出た後、彼女たちのみならずシエルまでもウェンディを心配して追いかけに行ったと聞いて、ナツも我慢をやめてウェンディたちを追いかけた。

 

だが、自ら葛藤を続けた末に選んだ手段は、線路が直って運行を開始した列車。しかし、乗り物に極端に酔いやすいナツは、オニバスに着いても自力で降りれず、マグノリアに戻ったりオニバスに再び行ったりと何度も往復をしていたことで、終始グロッキー状態だったという。

 

「ぅお…もう、ダメ…」

「ナツさん!!」

「何しに来たんだこいつ…?」

 

結局ウェンディたちの前まで到達した途端地面に倒れ伏すナツ。シエルが零したこの一言に尽きる状態だ。そして、その惨状を目の当たりにした依頼主であるラビアンは、突如表情を歪めると舌打ちを一つ。

 

「態度変わった!?」

「で、出たな裏の顔…!!」

 

さっきまでの慇懃無礼な態度から一変して不遜な感情をあらわにした顔を向けながら、劇団の前で倒れ、蹲る一行を見渡して、ラビアンは悪態をつき始めた。

 

「こんな場所で寝られちゃ営業妨害だ!キミ!!」

 

「はいっ!!」

 

あくどい顔を浮かべたままウェンディに向けて指をさし、入り口前の階段を下りて近づいてくるラビアン。シエルは残念ながら腰にまだ力が入らず庇おうとすることも出来ない。無理難題をこのまま押し付けられるのでは?と言う心配をよそに、ラビアンは表情変わらずこう告げた。

 

「こいつらを全部片付けてくれ!大仕事だが…報酬はちゃんと払う」

 

「えぇーーっ!!?」

 

本来の依頼と違う、予想外の頼まれ事で驚愕の声をあげるウェンディ。だが、逆にシエルは安心した。自分たちが受けてきた苦労と比べれば、遥かに優しく、しかも報酬まで保証してくれるという事なのだから…。

 

 

 

────────────────────────────────────────

 

 

 

時刻は既に夕刻。街灯の魔水晶(ラクリマ)が点灯を始めた頃。とりあえず邪魔にならないような場所にみんなを運び込んだウェンディは、落ち込んだように溜息を一つ吐いた。ちなみにシエルは、ウェンディの手を借りて何とか立ち上がり、今では十分に動けるようになっている。

 

「これが初めての大仕事だなんて…」

 

彼女が本来こなそうとしていた仕事とは随分予定が変わってしまった。何と言うか、やるせない気持ちでいっぱいと言う感じだ。しかし、彼女を手伝ったシャルルは、落ち込んでいる様子のウェンディに、フォローするような言葉をかけた。

 

「いいんじゃない?みんなあなたの心配してたけど、むしろあなたがみんなの役に立ってるわ。これも仕事の内よ。胸を張っていいと思うわ」

 

「そうかなぁ…」

 

動けなくなってしまった仲間を運び、介抱する。と明記すれば、確かに仲間の為に力となっていると言える。しかし、ウェンディ自身はどこか釈然としない様子だ。

 

「俺もそう思うよ。ウェンディのおかげで、すごく助かった。大変な仕事でもきちんとしっかりとできることは、見てる人はちゃんと見てるしね」

 

「…オスガキにしては、中々いい事言うわね」

 

劇団のある建物の隅っこで休みながらシエルがそう言葉にすれば、やはりまだ壁を感じるがシャルルも肯定的な言葉を更に続けている。

 

「(まあ、それだけじゃないんだけど…)」

 

同行していく中で、シエルはウェンディの行動一つ一つを振り返っていた。天気の流れをいち早く汲み取って行動に移し、自分から動いて避難も行い、大変な道のりでも弱音一つ吐かずに進んでいき、更には呪いの砂嵐にさえ物怖じせず立ち向かって退ける。あれほどの活躍をこの目にすれば、認められない訳がない。

 

それに、最後に大仕事を頼まれた後のあの行動も、シエルは思い返した。

 

『ウェンディ、乗雲(クラウィド)なら簡単に運べるけど、どうする?』

 

『ううん、大丈夫。私が頼まれたことだから。シエルは休んでて』

 

釈然としない大仕事だったが、それでもちゃんと自分でこなそうという姿勢は、中々出来るものじゃない。合流した時に彼女は言っていた。「自分でも出来るんだってところを見せたい」、「やり遂げて安心させたい」と。

 

「(改めて見させてもらったよ。もう君は立派な、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なんだって…)」

 

気付けばシャルルと仲直りしていたウェンディが、満面の輝かしい笑顔を浮かべている様子を見ながら、シエルは心から彼女の今後が明るいものであることを確信していた。




次回予告

強力な力を持つ兄に、何度も挑んで、挑んで、その度に返り討ちにあうマフラーの少年。

そんな二人の勝負を、少年の相棒である青いネコと共に、自分と同じ位置から見ていた兄たちと年の近い少女。

少年が勝負を挑み、兄が勝ち、自分が兄を讃え、少年を少女とネコが慰め、そんな日常がずっと、続くと思っていた。


けどその日々はもう、戻ってこない。

次回『泡沫の夢』

もう夢でしか見れない、彼女の笑顔。

それもまた、泡のように消えていく…。
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