その出会いは奇跡のようなものでした。【完結】 作: 白黒魂粉
突然の引越しから数日が過ぎた。
俺は東風谷が何時登校するのかを知らなかった為、彼女とバッタリ出くわすことがないように、朝の8時には登校を済ましている生活になっていた。
「……早起きは辛いが…それよりも東風谷と出会う方が辛い目に逢いそうな気がする。」
実際にはそんなことあるわけがないのだが、そう体に言い聞かせて
何とか登校していた。
そんな生活を続けたある日の下校の時間。
その日は終業式が近いためか、昼からは役員の生徒が椅子などのセッティングなどの準備がある為、俺を含む一般生徒は昼までの授業だった。
いつもよりも早く家に帰れる……と言っても特にすることはないので
適当に家の周辺を見て回るのもいいか、と思いついたのでそうすることにした。
「さて、それじゃあ行ってみようかな」
家に帰り昼食を済ました後、俺は家の鍵をしめて外へと出た。
「…そういえば美咲さんや母さんと最近あっていないな……」
おかしな話だ。
……まさか、一瞬不吉な考えが頭をよぎったがそれを一蹴して俺はブラブラと歩き始めるのだった。
ー
ーー
ーーー
俺自身、ここまで時間を潰せるとは思っていなかった。
ふと腕時計に目をやると出発してからゆうに3時間は過ぎていた。
結構歩いたなぁ……
と丁度見つけた公園のベンチで休憩していると……
「ねぇ、隣…いいかな。」
と声をかけられた。下を向いていたので、俺はそのまま「どうぞ。」とだけ伝えて、端の方へと寄る。
するとその声の主は
「……まさか、ちょっと会わないだけでわたしの声を忘れちゃった?」
と呆れた口調でそう言った。
「…?って、あんたは……東風谷の保護者の自称神様……?」
「ほほぉう?随分な言い草じゃないか。誰が……自称神様だってぇ…?」
「まったまった!訂正するから許してくれって……ください!」
怖すぎるだろ……ほんとにどこからそんな威圧感が出せるのやら…
目の前にいる少女の様な出で立ちをしている彼女が……東風谷の神社に祀られる神様……守屋諏訪子…という存在だ。
「全く……そこまで怒っちゃいないからいいけどさ……それよりもどうしてここに?」
「俺は……ちょっと時間があったからここら辺の地形を見ておこうかと思って」
「へぇ?昔のことは覚えていなんだ…?ふぅーん……」
なにかニヤニヤとしながらこちらを見てくる諏訪子を見て
「昔……?なんの話なんだ?」
俺はそう尋ねた。
すると彼女は顔に手を添えて
「……あぁ、そうか。今の話は忘れて。そんなことよりも……」
「そんなことより…?」
「最近、どうして君の元気はないのかな?早苗に会えないから?」
「………」
何も言えない。
羞恥心からなのだろうか、それとも…維持を張ってるだけなのか…
それの全容は分からないが、俺はとにかく黙秘を選択した。
「答えない…ってことは図星でいいって事だよね。
……もしそうならごめんね、私から謝っておく」
「なんの話しだ?」
「そうだね……それを理解してもらう為には…あの子が今まで生きてきた軌跡を知ってもらわないとダメかもしれないね…」
遠い目をしながら、諏訪子はゆっくりと彼女の…東風谷の過去を話し始めた……
次回、早苗の過去。
なぜ桜田に拘るのかが判明する……かも
お楽しみに