ハイスクールD×D~転移の白 転生の赤~   作:新太朗

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崩壊

 リアスは目の前が真っ白になっていた。ライザーとのレーティングゲームが始まってすぐに眷属が全員、倒されたからだ。

 倒したのは助っ人として参加した一誠だ。前にもあった目にも止まらぬ速さで眷属たちを一撃で沈めた。

 

『り、リアス・グレモリー様の女王一名、戦車一名、騎士一名、僧侶一名、兵士一名、リタイアです……』

「あ、あなたよくも私の可愛い眷属たちを!!ど、どこに!?―――がっ!?」

 

 グレイフィアのアナウンスで漸く一誠に睨みを利かせたが、目の前から一誠の姿が消えたと思ったら背中から凄まじい衝撃が前へと抜けていった。

 倒れる際に後ろを見てみると一誠が拳を突き出している姿がそこにはあった。

 

「がはっ……い、一体、これはどういう事なの?まさか裏切ったの!?」

「裏切ったなんて、失礼だな。そもそも俺はあんたの仲間ではないだろ?」

 

 一誠はリアスに金で雇われた助っ人に過ぎない。そもそも前提がリアスは間違っていた。一誠の誓約書にはどこにも『グレモリー眷属に攻撃してはいけない』や『共闘しなければならない』など書かれてはない。

 ただライザーを倒した際に1億払うと負けた際に奴隷になる事しか書かれていない。屁理屈になってしまうが。

 

「だ、だからって……あなた一人でライザーに勝てる訳が……」

「いや、普通に一人で勝てるが?むしろお釣が出るくらいだ」

「そ、そんな訳……」

「俺は相手の氣を見て、実力がどの程度なのか測る事が出来るんだよ。あのフェニックスが千人居たとしても負ける気がしないな」

 

 ライザーが千人居ても負けないのは『白龍皇の光翼』を使わないでの数だ。もちろん、これは虚言でもなければ、強がりでもなく事実だ。

 例えライザーが油断していなくても一誠には勝てる事はない。理由はライザーが一族の能力に胡坐をかいているからだ。

 

「だから俺がフェニックス眷属を全滅させるまでここで大人しくしておいてくれよ。これ以上攻撃するとリタイアになるかな」

「あ、あなた……!!」

 

 リアスは怒りをぶつけようとしたが、身体が上手く動かなかった。肺に十分な酸素が無いのだ。ゆっくりと呼吸してもまだ十分とはいかなかった。

 

(よくも私たちのレーティングゲームを……!!でも外ではお兄様が見ているはず、様子が可笑しいのは見えているはず。すぐに中止にするはず……)

 

 観戦室に居るであろう兄がゲームを中止してくれるとリアスは信じていた。すでにゲームは破綻しているのだから中止になる。

 そしたらリアスは一誠に文句を言ってやるつもりでいた。しかし一誠はどこか余裕な表情をしていた。

 一誠は懐から一枚の紙を取り出した。

 

 

▲▲▲

 

 

「サーゼクス!これは一体、どういう事だ!?」

「分かりません。彼が裏切ったとしか……」

「これはレーティングゲームを中止に……」

『ああ、テステス。聞こえているか?魔王』

 

 スクリーンには一誠が一枚の紙をどこかへ向かって喋りかけていた。紙をしっかりと広げて見せ付けるように。

 

『もしレーティングゲームを中止しようとしているならアンタの妹は呪いで死ぬ事になる。俺はこのゲームに参加するに当たって、ある契約を結んだ。その契約は果たされていない』

「契約……?グレイフィア」

「はい。サーゼクス様」

「君が報告してきたもので間違いないかい?」

「はい。間違いありません」

 

 サーゼクスは人間の一誠がリアスとある事を書面に残している事を報告していた。しかし大して重要ではないと思い、無視していた。

 ここに来てその書面についてよく調べなかった事を後悔していた。

 

「グレイフィア。君はあれに呪いがあると思うかい?」

「無いと思われます。あの書面に魔力の類は一切感じられませんでした」

「君がそこまで言うなら間違いないだろう」

『もしかして書面に魔力が無いから呪いは無いと思っているか?だったら残念だな。今日、学校に来てグレモリー先輩に改めて書面にしたんだ。そっちにはちゃんと呪いがあるんだわ』

 

 サーゼクスはグレイフィアの方を見た。グレイフィアは首を左右に振った。つまり確認していないという事だ。

 もちろん一誠が嘘を言っている可能性は高いが、それを無視する理由はどこにもない。選択次第で妹リアスの命を自分の手で。

 

「父上、申し訳ありませんが……」

「ああ、これは仕方ない。フェニックス卿もよろしいですか?」

「ええ、彼の要求を飲むしかこちらの選択肢はないようですね」

 

 サーゼクスは下唇を噛み締めていた。ここまで完全に一誠の掌で遊ばれている。サーゼクスは一誠を心のどこかで下に見ていた。

 人間だから大した事はないだろうと慢心していたのだ。

 

(リアスは彼の実力を知っていたから助っ人にしたのか?だとしたら後で詳しい話を聞かなくては。これ以上、後手に回る訳にはいかない)

 

 レーティングゲーム後にサーゼクスはリアスから一誠の詳しい事を聞こうと決めた。一般人と思っていた人物にここまで掻き回されて黙っている訳にはいかない。

 悪魔の威信にも関わってくるからだ。それと同時にサーゼクスはホッとしていた。

 

(彼の実力ならライザー君を倒してくれるだろう……私の立場からすれば複雑だが……)

 

 一誠がライザーを倒せばこの婚姻は無効になる。これで無闇に婚姻を結ぶ事はなくなるだろう。

 サーゼクスとしてはリアスに勝ってもらいたい。だが、悪魔のそれもフェニックスが人間一人に負けると言うのは他の神話勢力に知られると悪魔への評価が下がる。

 その事だけがサーゼクスの気がかりだった。

 

「これが神のみぞ知るか……」

 

 最初はライザーの勝利が濃厚だったが、一誠の行動でそれも分からなくなっていた。結果はもう誰にも予想出来なくなっていた。

 

 

▲▲▲

 

 

 

『り、リアス・グレモリー様の女王一名、戦車一名、騎士一名、僧侶一名、兵士一名、リタイアです……』

「何!?どういう事だ!」

 

 ライザーは思わず椅子から立ち上がってしまった。レーティングゲーム開始直後のグレイフィアのアナウンスの内容に平常心ではいられなかった。

 開始直後に眷属全員がやられるなど今まで一度もなかったからだ。頭が理解する事が出来なかった。

 

「お兄様、落ち着いてください」

「これが落ち着けるか!何故、リアスの眷属が全滅したのか説明出来るのか!?レイヴェル!」

「それは……」

 

 ライザーの妹であるレイヴェルもまた例のない事態に混乱していた。それでもライザーの前に立ちはだかった。

 

「落ち着いてくださいお兄様。今、お父様や魔王様、重鎮の方々が見てるのですよ!キングであるお兄様が動揺しては示しが付きません!」

「……す、すまん。そうだな」

「はい。そうです」

 

 レイヴェルは落ち着きを取り戻したライザーにホッとした。このまま動揺した状態では勝てるものも勝てない。

 

「リアス様の眷属が全滅したのは兵藤一誠がやった以外に考えられません」

「リアスの眷属が全員、あの人間にやられたと言うのか!?」

「そうです。忘れたのですか、お兄様。彼はグレイフィア様の下着を私たちに気付かれずに奪ったのですよ。人間にそんな芸当が出来るとお思いですか?」

「それは……」

 

 そんな事が出来る人間が居るとは思えない。いくら油断していたとしても最上級悪魔から気付かれずに下着を奪うなどライザーはもちろん、眷属たちにも無理だ。

 

「しかしこれはチャンスです!」

「チャンスだと?」

「はい。兵藤一誠だけがイレギュラーで対策のしようがありませんでした。眷属が全滅した今ならリアス様を守っているのは彼一人だけです」

 

 そう、残っているのはリアスと一誠の二人だけだ。いくら一誠が強くても一人でリアスを守りながらキングであるライザーを倒すのは不可能に近い。

 数で勝るこちらが有利なのだ。勝ったも当然になった事にライザーはニヤリと余裕を取り戻した。その時だった。

 

「―――覇槍」

 

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