ハイスクールD×D~転移の白 転生の赤~   作:新太朗

14 / 50
残り37回

「―――覇槍」

「ぶぐっ!?」

 

 ライザーはグランド側の窓から声が聞こえた気がしてそちらを向いた。すると一誠が窓をライダーキックでぶち破り、そのままライザーの頭を吹き飛ばした。

 ライザーの頭は見事に爆散した。身体はゆっくりと背中から倒れた。

 

「なんだよ。しっかりと防御しないと駄目だろ?」

「ひょ、兵藤一誠!」

 

 レイヴェルが一誠の名を言うと他の眷属たちは臨戦態勢を漸く取った。

 

「まったくなっていないな」

「なっていないとは?」

「敵を見たら0.1秒で臨戦態勢にならないと駄目だろ」

「そ、そんなの無理に決まっているでしょう!」

 

 レイヴェルたちにそんな短い時間で臨戦態勢を取るのはまず無理だ。しかし一誠からしてみたらレイヴェルたちの対応は遅すぎるのだ。

 眷属たちは今にも一誠へ攻撃しようとしたが、レイヴェルがそれを止めた。彼女は一誠に聞かなくてはならない事があったからだ。

 

「どうしてリアス様の眷属を倒したのですか?」

「ああ、その事ね」

 

 態々自分から不利になるなど常人の考えではない。そんな事など気にしなければいいのだが、レイヴェルはきになっているので時間稼ぎと同時に行おうとしていた。

 

「理由は二つだ。一つ目はグレモリー眷属がフェニックス眷属に倒されるのを阻止するため。二つ目は逆でフェニックス眷属がグレモリー眷属を倒さないため。このゲームは非公式らしいけど、お前たちは成績によっては評価される」

 

 非公式とはいえ、将来の評価の基準になるであろう。それを一誠は阻止したかったのだ。それが一誠がこのレーティングゲームに参加した一番の理由だ。

 

「そ、そんな理由のために?」

「ああ、それ以外に参加する理由はない。1億ってのはただのブラフだ」

「なるほど……それでもあなたはお兄様には勝てませんわ!時間は稼ぎましたわ」

「まったく情けない。人間如きに一撃くらうとは……!!」

 

 先ほど頭が吹き飛んだライザーが復活していた。立ち上がり一誠に睨み付けていた。

 

「なるほど。復活ってそんな感じなんだな。聞いていたよりショボいな」

「なんだと!?」

「俺から言わせればお前のそれは復活ではなく超速再生に過ぎない。それも今ので結構な魔力を消費しただろ?」

「ふん!だからなんだ?俺の魔力が尽きる前にお前程度、倒すなど造作もない!」

 

 先ほど顔を吹き飛ばされたのにも関わらずライザーは強気だった。何故ならここに居る一誠一人倒すだけで勝負が付くからだ。

 

「残り37回」

「なんの数字だ?」

「先ほどの致命傷で使ったお前の魔力量から逆算した、お前が再生出来る回数だ。お前の魔力量はグレモリー先輩の3~4倍ほどだから俺の予想では後37回が限界のはずだ」

 

 ライザーは自分の回復回数など今まで数えた事はない。何故なら限界回数が来る前に勝負が付くからだ。

 そもそもそんなに致命傷の攻撃を受けた事がない。これまで一族の能力を当たり前に使っていたライザーにとって限界という言葉すら理解していない。

 

「そ、そんなの出任せですわ!」

「そうかな?なら試してみるか……」

「ぶぐっ!?」

 

 レイヴェルは一誠の言葉を信じようとしなかった。一族の不死は絶対だと疑わなかったからだ。もしここで疑えば先祖を否定する事に繋がると思ったからだ。

 なら一誠はライザーの顔面に力いっぱいに殴り飛ばした。顔は潰れたトマトのように爆散した。殴られた衝撃でライザーはそのままグランドへと飛んだ。

 グランドへ飛んだライザーを追って一誠は高速で移動した。そしてまたライザーの顔面を殴り飛ばした。

 

「ちょ、調子に乗るなよ!燃えろ!!」

 

 ライザーは追撃してくる一誠に炎の弾をぶつけた。一般人だったら丸焦げになっても不思議ではない火力だった。

 これで大抵の相手を負かしてきたライザーは思わずニヤけた。これで終わったと思った瞬間、自分の胸が何かに貫かれた。

 

「ぐふっ!?……な、何故!生きている!?」

「お前程度の炎で俺が燃える訳ないだろ?」

 

 ライザーの胸を貫いたのは一誠の手刀だった。ただし、人間の腕ではなくドラゴンの鱗に守られた腕だ。

 リアスと初めて戦った時は両腕だけだったが、今回は全身をドラゴンへと変身していた。

 

「ど、ドラゴンだと!?ば、バカな!」

「相手の事をろくに調べなかったのか?だとしたらお前は相当の間抜けだな!」

 

 一誠が手刀をライザーから抜くと胸と背中から大量の血が溢れて出してきた。一誠は腕を振るって血を飛ばした。

 

「改めて自己紹介でもしようか。十三種神滅具は一角に担う白き龍の皇帝の魂を封印した神器、『白龍皇の光翼』を持つ人間……兵藤一誠だ」

「は、白龍皇だと!?」

 

 一誠は背中に『白龍皇の光翼』を出して、自分が白龍皇であると見せ付けた。白い翼にクリアブルーの羽。それは間違いなく誰がどう見ても白龍皇だった。

 

「あ、ありえませんわ!」

「何がありえないんだ?」

「だ、だってあなたの兄は赤龍帝……」

「ああ、だから?」

「二天龍なら出会ったら戦うはずでしょ!」

 

 レイヴェルは叫ばずにはいられなかった。歴史上、二天龍が戦わなかった事など無い。一誠の兄である一樹が赤龍帝なのだから戦って当たり前だ。

 そして実力からして一誠が勝つのは明白で一樹は本来なら生きてはいないはずだ。なのに今夜のレーティングゲームに参加した。

 

(一体、どういう事ですの?)

 

 レイヴェルの頭の中はグチャグチャになっていた。

 

「それは簡単だ。一樹が弱いからだ」

「赤龍帝が弱い……?」

「ああ、そうだ。戦士なら自慢をするなら自分より強い相手に限る。だが、一樹は弱い。眷属全員合わせても俺の足元にも及ばない。それだったら倒しても意味はないだろ?だから今も生きているんだ」

 

 一誠は根っからの戦士だ。それも戦闘凶だ。戦いに至上の喜びを感じる。もちろん性欲もあるだろうが、戦いはそれの上をいく。

 

「皆!兵藤一誠の足止めを!お兄様は急いでリアス様を倒してください!」

「あ、ああ!!」

 

 レイヴェルは一誠に勝てない事を悟り、作戦を変更した。別に一誠を倒す事に拘る必要はない。重要なのはキングであるリアスだ。

 レーティングゲームは所詮、チェスなのだ。キングを取ればそこでゲームは終わる。レイヴェルはライザーをリアスの下に行かせて残った自分たちで一誠の足止めをしようとした。

 

「だから遅いんだよ」

「がはっ!?」

「お兄様!?」

 

 ライザーは炎の翼を広げてリアスの下に行こうと飛ぼうとしたら一誠に顔面を殴られて、グランドの中心地に戻された。

 

「誰一人としてグランドから出すつもりはない」

「ど、どうすれば……」

 

 万策尽きたと言わんばかりのレイヴェルは膝から崩れた。これまで対戦してきた相手とは違う。自分たちにとっての絶対的強者。

 そんな相手に小細工など意味を成さない。力で叩き潰されるのオチだ。レイヴェルの心はここで折れた。

 

「に、人間如きに!!」

「―――だから行動が遅いんだよ!」

「ぶぐっ!?」

「どんどん行くぞ!」

「こ、この!!」

「おらっ!!」

「がはっ!?」

 

 ライザーでは高速で移動する一誠を捕らえられない。一方的に殴られていた。

 

「全身変身した状態でどこまで行けるのか試させてくれよ。さて、後何回だったかな?」

 

 そう言って一誠は残酷な笑みを浮かべながらライザーたちに一歩、また一歩と近づいて。眷族たちは何とか突破口を見つけようと戦闘態勢を取った。

 ライザーもまだ諦めていなかった。

 

「今から真の敗北を教えてやるよ。ライザー」

 

 一誠は拳を固めてライザーたちへと走り出した。白き龍の皇帝の暴力が不死鳥を死へと導く。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。