ハイスクールD×D~転移の白 転生の赤~   作:新太朗

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派遣された聖剣使いたち

 オカルト研究部の部室では一触即発の危機になろうとしていた。それは教会から派遣された若い二人の聖剣使いの少女たちの所為だ。

 しかしリアスの機嫌が悪いのは他にもある。一誠だ。レーティングゲームでは散々な目に遭わされた。何か痛い目に遭わせたかった。

 しかしそれは出来ない。何故なら一誠は自分の兄で魔王の部下になったからだ。しかも上級悪魔認定もされて、手が出せないでいた。

 そんな中に堕天使コガビエルによる聖剣奪取事件だ。しかも自分が管理している街で何か大きな事をしようと聞かされればなお悪くなる。

 

「……それで態々教会があなた達を派遣したのはコガビエルから聖剣を取り戻すためなの?」

「ああ、そうだ」

 

 リアスの質問に答えたのは青い髪に緑色のメッシュをした少女、ゼノヴィアだ。傍らには布で巻かれた剣が置かれていた。

 彼女の持つ聖剣『破壊の聖剣』だ。いつ戦闘になってもいいように柄に手が置かれていた。

 

「いくら何でも二人だけなんて、自殺行為よ?」

「それでも私たちはやらなければならないのよ!主の名の元に!」

 

 今度は栗色の髪をツインテールにした少女イリナが答えた。彼女たち使徒にとって神は絶対なのだ。ならば任務は絶対に成功させなくてはならない。

 例え自分たちが死んでもだ。死ぬのは自分たちの信仰が足りていない証拠だ。だから神を信仰していれば、どんな強大な敵でも屠れると考えているのだ。

 

「だから事が終わるまでじっとしていろと?」

「ああ、これは我々の問題だ」

「ここは私が管理しているのよ!そんな事、容認出来る訳ないでしょ!」

「別に許可は求めていないの。こちらは勝手にするからそちらも勝手にどうぞ」

「おいおいイリナ。ここは共闘した方がよくないか?」

「……私は今、あなたの主と話しているの。黙ってくれない?」

 

 三人の会話に一樹が入った瞬間、イリナの声のトーンが少し下がった。一樹は『原作』のイリナとは思えない態度に困惑していた。

 

(イリナってこんな性格だったか?でもいいさ。いずれ、俺のハーレムの一員だ!)

 

 一樹はイリナとゼノヴィアの身体を舐めるように見ていた。それを二人は感じたのか立ち上がって、部室から出ようとした。

 しかしそこに祐斗が立ち塞いだ。祐斗の顔は今まで誰も見た事のないような憎悪に染まっていた。

 

「そこを退いて貰おうか」

「そうよ!私たちは忙しいのだから!」

「悪いけど、君たちの実力を知りたいんだ。先輩として」

「先輩だと?」

「『聖剣計画』と言えば分かるだろ?」

「あの計画の生き残りか!?」

「嘘、生き残りがいたなんて!」

 

 聖剣に関わる者なら絶対に知っておかないといけない事件、『聖剣計画』。この計画で多くの者たちが亡くなった。

 計画に関わった被験者たちは全員、死んだものだとイリナとゼノヴィアは思っていた。まさかこんな所で出会うとは思いもしかなった。

 

「言ってはなんだけど、君たちだけで堕天使の相手が務まるとは思えないけど?」

「なんだと?」

「私たちの実力を疑っているの?」

 

 祐斗の挑発に二人は睨みを利かせた。二人は幼い時より厳しい訓練をして、実践も何度も経験している。実力もそれなりにある。

 だからこそ、今回の任務に選ばれた誇りがある。それを疑われては黙っている訳にはいかない。二人は挑発に乗る事にした。

 

「いいだろう。なら試してみるか?私たちの実力を」

「悪魔なんて、相手にならないわ!」

「……そう来なくてはね」

「木場、俺も加勢するぜ!」

 

 三人の話にまたしても一樹が入ってきた。イリナは一樹に対して祐斗に向けるより睨みを利かせた。それは親の敵でも睨んでいる様だった。

 

 

 

▲▲▲

 

 

 

 場所は変わって、旧校舎の裏側に全員が移動していた。そこでリアスと朱乃が人避けの結界と周りへ攻撃が行かないようにの結界が展開していた。

 イリナとゼノヴィアは身体のラインが分かる黒い戦闘服を着ていた。祐斗は自分の『神器』である『魔剣創造』で一本の魔剣を作り出した。一樹は『赤龍帝の籠手』を出現させていた。

 

「あの男は赤龍帝だったか」

「やっぱり貴方は罪深いわ。私が断罪してあげる!!」

「その聖剣、へし折ってやる」

「へへっ……」

 

 ゼノヴィアとイリナは聖剣を構えた。祐斗は大きな魔剣を作り、聖剣を睨んでいた。そして一樹はゼノヴィアとイリナの身体を厭らしい視線を送って不気味な笑みを浮かべていた。

 

「いくぞ!」

「神の名の下に!」

「砕けろ!!」

「うおぉぉぉ!!」

 

 ゼノヴィアは祐斗を相手にして、イリナは一樹を相手にした。

 

「折角、再会したのにさっきのはないんじゃないか?」

「黙って……」

「お、おい……」

「黙ってと言っているでしょ……」

 

 イリナは腕に巻かれた紐、もとい『擬態の聖剣』を剣の形に戻した。『擬態の聖剣』は持ち主のイメージ通りに形を変える事が出来る。

 イリナは低い声で一樹を黙らせた。イリナの低い声に一樹は思わず後ずさりをした。

 

(どうして『原作』と違うんだ!?)

 

 『原作』と違うイリナの性格に一樹は動揺していた。『原作』のイリナは主人公である一誠に惚れており、好意を寄せていたはずだ。

 なのに目の前のイリナはそれと真逆で一樹の事を心底毛嫌いしているよだった。

 

「貴方の視線は昔から気持ち悪いのよ……」

「な、なんだと!?」

「その汚らわしい口を閉じなさい!!」

「このっ!」

 

 聖剣で切りかかってくるイリナを何とか篭手で防ぎながら一樹は反撃のチャンスを待った。しかしいつまで経ってもそんなチャンスなど来ないのに、一樹はまだ分かっていなかった。

 

「どうした?その程度なのか」

「この……っ!?」

「大きな口を開いたかと思ったら……」

「黙れ!僕は聖剣を破壊するんだ!同志たちのために……!!」

 

 ゼノヴィアは自分の体格に合っていない大剣を振りまして、隙だらけの祐斗を見下ろしていた。周りには砕けた魔剣が散らばっていた。

 ゼノヴィアの聖剣は『破壊の聖剣』。壊す事において、これ以上の聖剣はないだろう。ゼノヴィアにはもう一本聖剣があるのだが、使わなかった。

 その聖剣は彼女たちにとって切り札だからだ。ここで使うメリットはどこにもなかった。

 

「ぐはっ!?」

「赤龍帝ってこんなものなの?噂と違って弱いわね?」

「黙れ!!」

 

 イリナは一樹のあまりの弱さに噂が間違っていると思わざるえなかった。赤龍帝の噂。それは天使、堕天使サイドに広く伝わっていた。

 だからイリナは自分では敵わないと思っていたが、蓋を開けてみるとそんな事は全然なかった。

 

「イリナ。大丈夫か?」

「私を誰だと思っているの?ゼノヴィア。それに赤龍帝が予想以上に弱かったから」

「しかし油断するな。もしかしらたら油断を誘う演技かもしれん」

「そんな感じには見えないけど?」

 

 怒りに任せて滅茶苦茶な攻撃をしてきた一樹。お世辞にも演技しているようには見えなかった。それはゼノヴィアの目にもそう見えた。

 自分で演技と言っていたが、そんな事もなかった。

 

「何にせよ、一気に決めるぞ。イリナ!」

「ええ、任せて。ゼノヴィア!」

 

 ゼノヴィアとイリナの二人が勝負を決めようとした時、二人の後ろに何かが落ちてきた。二人はそちらに視線を送った。

 

「な、何だ!?油断するなイリナ」

「一体、何が落ちてきたの!?」

 

 そして砂煙が立ち込める中、人の影がくっきりと見えてきた。

 

「面白そうだな。俺も混ぜてくれよ」

 

 そこには不敵に笑みを浮かべている一誠が立っていた。

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