ハイスクールD×D~転移の白 転生の赤~   作:新太朗

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決戦へ

 一誠たちがフィルと接触していた時、リアスたちはフリードの足止めを受けていた。前回とは違い、フリードは聖剣を持っていた。

 しかもこちらには近接が出来る者が小猫しかいなかった。だが、聖剣に触れる訳にはいかなかった。悪魔の弱点だ、触っただけでもダメージがある。

 だからリアスは慎重にならざる負えなかった。

 

(早くカズキたちの援護に行かなくてはならないのに!)

 

 同じく襲撃を受けている一樹の下へ急ぎたかったリアスは焦っていた。場所も問題だった。住宅地の密集地帯だ。

 下手に攻撃して流れた攻撃が家に当たれば取り返しのつかない事になる。

 

「そこを退きなさい!滅びろ!!」

「ヤベっ!?今のはヤバかった~~悪魔が調子の乗ってんじゃないぞ!!」

「雷よ!」

「こわっ!?バルパーのおっさん!早くコカビエルの旦那と合流しましょうよ!」

 

 フリードは近くにいた中年の男性に話しかけた。皆殺しの大司教バルパーだ。バルパーは何かを考えているようだった。

 

「フリード!そろそろいいだろう!コガビエルと合流するぞ!」

「はいな~!それじゃ悪魔どもまたね~」

「待ちなさい!……朱乃、小猫!すぐに追いかけるわよ!」

「はい。部長!」

「……はい」

 

 リアスたちは逃げ出したフリードたちの後を追いかけた。

 

(なんだか嫌な感じね……)

 

 リアスは心のどこかで不安を感じていた。言葉では表せない不気味で心が落ち着かない感じだ。リアスはそんな不安を押し込んでフリードたちを追いかけるのであった。

 追いついた先で一誠、一樹、祐斗の三人と鎧を着た人物を目撃するのであった。

 

 

▲▲▲

 

 

「何を遊んでいる?フィル・バーネット」

 

 コガビエルの言葉はそれだけで周りを威圧してきた。一樹たちと合流したリアスたちはその場に立ち尽くすしかなかった。

 

「コカビエルさん。いえ、目的の人物に会う事が出来たので挨拶をしていただけですよ」

「ならこちらを優先しろ。そういう契約のはずだが?」

「分かっていますよ……」

 

 フィルは一誠を見て笑った。しかしその笑みは残忍な笑みだった。リアスたちは腰が引けていた。しかしリアスは気丈に振舞った。

 

「初めましてかしら?堕天使コカビエル」

「リアス・グレモリーか……その紅髪を見ていると忌々しい兄君の事を思い出すよ」

「そう……それで私の縄張りに何の用なのかしら?内容によっては消し飛ばすわよ」

「ふん!……戦争だよ!」

「戦争ですって!?」

「そうだ!古の戦争を再開するのだ!あと少しで我々の勝利は確定だったにアザゼルの奴が弱腰になった所為で中途半端に終わってしまった!」

 

 天使、堕天使、悪魔が冥界の覇権を争った戦争は二天龍の介入もあって決着付かずに終わってしまった。それがコカビエルには納得出来なかった。

 今日まで『神の子を見張る者』の総督のアザゼルに戦争の再開を進言してきた。しかしアザゼルは『戦争はしない!』と頑なだった。

 だからコカビエルは戦争を回避出来ない状況を作り出そうとした。それが今回の事件だ。教会から聖剣を奪い、魔王の妹たちが居る場所で事件を起こしてリアスたちを殺害すれば悪魔たちが宣戦布告すると睨んでいた。

 

(そうなればアザゼルも戦争に参加せざるおえない)

 

 総督が参加すれば残りの堕天使も参加する。そこで天使と悪魔を殲滅するば晴れて堕天使が冥界の覇権を握る事が出来る。

 そうすれば自分が正しかった事が証明出来る。コカビエルの頭にはその事しかない。周りの事なんてどうでもいいのだ。

 

「お前たちの縄張りで待っている。さっさと準備を整えて来い!行くぞ、フィル・バーネット」

「ここであなたの首を取りたかったのですが……コカビエルさんとの約束もありますので」

「そうだな。お前は俺が始末をつける。首を洗っておけ」

 

 フィルはコカビエルとどこかへと飛び去った。一誠はそれをただ眺めていた。すると一樹が近づいてきた。

 

「おい!一誠。さっきの男は知り合いなのか!?」

「直接的な知り合いではない」

「なんだそれは!!教えろ!!」

「断る。お前は自分の主の縄張りの事でも気にしていろ」

「あ、おい!」

 

 一誠はそれだけ言って一樹たちから離れた。残された者たちはお互いに顔を見合わせるしかなかった。

 

「みんな、一先ず学園に向かうわよ。そこでソーナたちと合流して作戦を考えましょう」

「はい部長」

「我々も同行させてくれ」

「あなたたち……」

 

 リアスは素早く眷属たちに指示を出した。その際にゼノヴィアとイリナも同行する事になった。敵が態々戦う場所を指定してきたのだ。

 行く以外の選択肢はない。リアスたちは学園へと急いだ。

 

 

▲▲▲

 

 

「ソーナ!」

「リアス。無事でしたか……」

「ええ。コカビエルは?」

「すでに学園内に」

 

 学園に到着していたリアスはソーナたちと合流した。学園にはすでに結界は張られていた。しかしソーナたち程度が張った結界などコカビエルにとって紙並みに脆いものだろう。

 

「この程度の結界ではコカビエルが本気で暴れたら一溜まりもありません」

「ええ、分かっているわ。それでお兄様への連絡は?」

「それが妨害されていて、冥界への連絡が出来ないのです」

「なんですって!?」

 

 冥界への連絡が一切出来ない。それは今の状況を魔王や他の悪魔に知らせる事出来ない。こんな事は一度もなかった。

 つまり何者かが意図的に邪魔しているのだ。

 

(『原作』にこんな展開はなかったぞ?)

 

 一樹は『原作』にない展開に動揺を隠せなかった。そもそも『フィル・バーネット』なる人物も物語には一切出てきてはいない。

 一樹の余裕は『原作』を知っているがゆえのものだ。知りもしない人物や展開には何も出来ないのだ。応用力がまったく皆無だ。

 

「ソーナはここで結界の維持と冥界への連絡をお願い」

「分かりました。リアスたちも気をつけて……」

 

 リアスたちは結界内へと入っていった。ソーナたちはただリアスたちの身を心配するだけだった。

 

「会長で尻で副会長は胸だな」

「「っ!?」」

 

 次の瞬間、ソーナと椿姫の尻と胸を誰かに強く握られた。二人は咄嗟に飛び身体に触ってきた人物に目を向けた。

 

「ひょ、兵藤!?お前、どうして……」

「どうしてって……コカビエルを倒しにきたんだよ」

 

 そこに居たのは一誠であった。手を閉じたり開いたりとしていた。それを見たソーナと椿姫は尻と胸を腕で隠した。

 

「兵藤!お前、会長と副会長の尻と胸を触るなんてうらや……じゃなくて失礼だぞ!」

「いいじゃないか。命があって」

「何言っているんだよ!」

「俺が敵だったら今頃、全滅していたぞ?」

「「「っ!?」」」

 

 一誠の一言に全員が唾を飲み込んだ。確かに全員が学園に意識が向いており、後ろから近づく一誠に気がつかなかった。

 敵が結界内にいるからと油断していたのだ。伏兵がいないとは限らない。

 

「そうですね……油断していたのは確かです。ですが、触る必要が?」

「それは単に俺が触りたかったから」

「…………」

 

 ソーナは一誠が笑顔で言うものだから何とも言えない表情をしてしまった。一誠の事を周り聞いた事のあるソーナは怒りを押し込めた。

 

「それじゃ会長、匙を借りていくぜ」

「ちょっと待て!兵藤」

「兵藤君、匙を連れてどこに?」

 

 一誠は学園を指差した。そして笑顔で匙に向かって言い放った。

 

「貴重な実践経験を積むぞ」

 

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