ハイスクールD×D~転移の白 転生の赤~   作:新太朗

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VSコカビエル

 駆王学園に白き龍の皇帝が降臨した。その鎧は穢れを知らないほどの白だった。誰もが見惚れるほどの輝きがあった。

 夜空に浮かぶ月がさらにその輝きを増していた。誰もが知っている伝説の龍の魂が具現化した鎧。一誠は指を閉じたり開いたりして鎧の具合を確かめた。

 

(このフィット感、いいな。密着しているが、絶妙だ)

 

 ぴったりとしているけど、少し余裕のある鎧に一誠は満足していた。そもそも全身鎧を着るのはこれが始めてだ。

 アレイザードでもここまで全身鎧はなかった。それに一誠は肉弾戦を得意としている。それゆえに体の動きを制限するものは身に付けたくはなかったのだ。

 しかしこの『白龍皇の鎧』はそんな事はなかった。まるで一誠に最初から合わせたようなフィット感があるのだ。

 

『どうですか?始めてのバランス・ブレイクは?』

「ああ、問題ない。鎧なんて着るのは始めてだからな……それに全身鎧だと俺の動きを制限すると思ったのだけど、そうでもないな」

『ではコカビエルに見せてやりなさい。あなたの実力を』

「あれ?アルビオン。少し怒っているか?」

 

 アルビオンの声音には少しの怒りが含まれていた。それはコカビエルに侮辱された先代ヴァーリにたいしての怒りだ。

 コカビエルはアルビオンの前でヴァーリの死を喜んだのだ。ヴァーリに思い入れがあるアルビオンとしては許してはおけなかった。

 もし体があったならコカビエルをボコボコしていただろう。

 

「それじゃ……いくぞ!」

「ふん!バカめ」

「おらぁ!」

「なに!?―――がはっ!?」

 

 一誠は一瞬にしてコカビエルとの距離を詰めた。そして殴りかかった。しかしコカビエルは魔法障壁を三重にして防御した。

 しかし一誠の拳はそんな薄い障壁を何枚重ねようと無駄だった。障壁で威力が衰える事無くコカビエルの顔面に吸い込まれるように行った。

 コカビエルは座っていた椅子から吹き飛び、校舎に激突して、出てきた時には鼻血を出していた。

 

「くそがっ!!」

「どうした?まだ半減していないんだぞ。この程度ではないだろ?」

「舐めるなよ!餓鬼がっ!!」

「その餓鬼に鼻血を出されたのはどこの誰だ?」

「このっ!これでどうだ!?」

 

 コカビエルは十数枚の魔方陣を展開した。そしてそこから光の槍がこの場に居る者に向かって放たされた。

 

「これだけの光の槍を防げるか!?全員を守る事は出来ないだろう!?」

「舐めるなよ。コカビエル!龍翼千刃!」

「なんだと!?」

 

 一誠は光翼から無数の小さな刃をコカビエルの光の槍に向かって放った。威力ではコカビエルが上だが、数では一誠が勝っていた。

 

「くそがっ!」

「来ないならこっちから行くぞ!」

「このっ!」

「鰐回り」

「ぎゃあぁぁぁ!!?」

 

 一誠はコカビエルの背後に回り、翼を掴んで空中で高速回転して翼を捻じ切った。コカビエルも翼を捥がれた痛みに思わず絶叫した。

 一誠は翼を落として、足でグリグリとコカビエルに踏みつけるように見せた。

 

「お、俺の翼を!!」

「幹部の割りに脆い翼だな?もっと強靭かと思ったのだけど、意外に簡単に取れたぞ」

「白龍皇!!」

「来い、コカビエル!」

 

 一誠の手刀とコカビエルの光の槍がぶつかって、火花を散らした。周りの者たちはその様子をただ黙ってみていた。

 

(これが一誠の実力なのか!?このままだとコカビエルと相打ちにならないじゃないか!)

 

 一樹は一誠の予想以上の実力に焦っていた。一誠とコカビエルをぶつける事は成功した。後はお互いに潰し合えば、疲れた所を楽に横取り出来るはずだった。

 しかし完全に一誠の実力を測り間違えた一樹の計画は破綻したのだった。だが、一樹は諦めてはいなかった。

 

(ま、まだ大丈夫だ!もっと戦闘が長引けば……チャンスはある!!)

 

 一誠もコカビエルも戦闘が長引けば、どこかで隙が生まれるはずだ。それに魔王の増援がもうすぐ到着するはずだ。

 それに堕天使サイドからもコカビエルを止めるために誰か幹部クラスが来るはずだ。狙いはそこだ。

 

「部長!」

「カズキ……私たちは白龍皇の実力を履き違えていた。あんな化け物に勝てるはずがないわ……」

「そんな事、ありませんよ!あの二人が疲れてきた時がチャンスです!今、力を溜めています。溜まりきったら譲渡するので部長が決めてください!」

「カズキ……え、ええ!任せない際!」

 

 一樹に励まされてリアスは勇気を奮い立たせた。赤龍帝の能力の二つ『倍加』と『譲渡』を上手く使えば、リアスの消滅の魔力を魔王クラスまで持っていく事が出来る。

 流石の一誠もコカビエルも魔王クラスの攻撃を受ければ致命傷になるはずだ。一樹は静かに力を溜めていた。確実に一誠とコカビエルを仕留めるタイミングを見計らっていた。

 

「ふん!」

「がはっ!?」

「純潔の人外が近接で俺に勝てると思ったか?」

「この……!!」

「隙だらけ!」

「ぶはっ!?」

 

 純潔の人外の殆んどが中距離タイプだ。魔力を放出するだけで、近接にはかなり弱い。だから一誠はコカビエルの翼を踏み付けて挑発して冷静な対応が出来ないようにした。

 中距離では一誠は周りを守りながら戦うしかない。しかし近接ならコカビエル一人に集中する事が出来る。

 いくら一誠が強くてもコカビエルほどの実力者相手に周りのザコを守りながら戦うのは不可能だ。

 

「ふん!」

「この!!」

「後ろがガラ空きだ!」

「がはっ!?」

 

 コカビエルは一誠の拳を魔法障壁で防ごうとした。今度は六重の障壁だ。だが、一誠はそれを予想してか、障壁に攻撃が当たる直前で移動してコカビエルの背後に回り、右から左に蹴り飛ばした。

 

「くそがっ!!」

「どんどん行くぞ!」

「このっ!!」

「蛇絡み……ふん!」

「ぎゃあぁぁぁ!!?」

 

 一誠はコカビエルの腕に自分の腕を蛇のように巻きつけてから関節を逆に曲げて圧し折った。これでコカビエルの右腕は使い物にはならなくなった。

 コカビエルは右腕を押さえながら一誠を睨みつけた。しかしそんな事をした所で一誠には勝てないし、腕も元には戻らない。

 コカビエルの今、出来る事がそれくらいしかないないのだ。

 

「そろそろ終わろうか?コカビエル」

「こ、このっ!来るなぁ!!」

「今更、そんな攻撃が効くと思っているのか?」

 

 コカビエルは一誠と距離を取りながら光の槍を投げ続けた。しかしそんな攻撃では一誠に掠り傷がいい所だ。

 背中と腕の痛みで上手く攻撃が出来ないのだ。しかしコカビエルには秘策があった。

 

(この魔方陣さえ発動するれば……!!)

 

 四本の聖剣を統合するに使った魔法陣。これには膨大なエネルギーが蓄えられている。街一つを壊滅するほどのエネルギーだ。

 だが、自分がやられたら魔法陣は発動しない。だから少しでも時間を稼ぐ必要があるのだ。しかし一誠は待ってはくれない。

 

『DividDividDividDivid!!』

「ぐっ……」

「どうだ?半減された気分は?」

「このっ!!」

 

 連続半減されて本来の力の10分の1も出せないのに。コカビエルはヤケクソになり一誠に向かって行った。

 

「眠っていろ。コカビエル!」

「がはっ!?……」

 

 コカビエルは一誠の一撃に倒れて校庭にあった魔法陣は消えてなくなった。事件はこれで終わったかと思われた。

 

「ガアァァァ!!ヒョウドウイッセイィィィ!!」

「何!?」

 

 校舎から一匹の龍が姿を現した。その姿に一誠は驚きを隠せなかった。

 

「邪龍ザーハック……」

 

異世界の龍が怒りの咆哮を上げた。白き龍と異世界の邪龍の戦いが始まるのであった。

 

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