駆王学園の一室に魔王サーゼクスとセラフォール、天使長ミカエル、総督アザゼルの三大勢力のトップ陣が一同に集まっていた。
他にもサーゼクスの眷属のグレイフィア、セラフのガブリエル、副総督のシェムハザがそれぞれのトップの後ろに控えていた。
さらにリアスやソーナに彼女たちの眷属、一誠とゼノヴィアにギャスパーが会談が始まるのを今か今かと待っていた。
(ギャスパーが居るなんて、『原作』にはなかったぞ!?)
一樹は『原作』ではいないはずのギャスパーが居る事に内心焦っていた。本来ならオカ研部室にてテロリストに捕まり、神器を利用されてこの場にいる者の動きと止める役割があるからだ。
しかし現在ギャスパーは一誠預かりになっており、グレモリー眷属にはいない。もうその時点で『原作ブレイク』になっていた。しかし一樹は怒りでその事を忘れていた。
「時間だな。そろそろ始めようぜ」
「そうですね」
「こちらはいつでも構わないさ」
アザゼルから始まり、ミカエルとサーゼクスが続いた。部屋の中の空気が先ほどより引き締まった。誰もが生唾を飲み込んだ。
「まずは俺の部下のコガビエルが迷惑をかけたな」
「それはこちらもです。教会で色々と思惑が巡っていたせいで事態がより複雑になってしまったのだから」
「それはこちらにも言える。身内の勝手な判断で天使と堕天使側に大いに迷惑をかけてしまった」
「後先考えない部下を持つと苦労するな」
「そうですね。今後はこのような事がないように徹底させますので」
「こちらも身内への指導を徹底させるつもりだ」
会談はコガビエルの事から今回の事が二度と起こさないようへの対処などの話なった。謝罪もあったが、今後のついての話し合いになった。
「今回の事を踏まえて、俺は三大勢力での同盟を持ち掛けたい」
「我々がいつまでもいがみ合ってもいい事はありませんからね」
「変わる時が来たという事ですか?」
「それも時代の流れってやつだ」
「流れですか……いつまでも信者たちを騙すのにも疲れましたしね」
「まずは我々から変わりますか」
アザゼル、ミカエル、サーゼクスの三人は同盟に向けて話し合いを始めるのであった。そして話がまとまるとアザゼルは一樹の方を向いた。
「兵藤一樹。お前はこれから何をするつもりだ?」
「そんなの決まっている!部長をレーティングゲームで頂点に立たせる事だ!」
「カズキ……」
リアスの目標がレーティングゲームの頂点になる事だ。一位になる事で自分の実力を冥界全てに知らしめるのだ。
一樹はその夢を手伝おうとしていた。『原作』の一誠のように独立は考えておらず、リアスを一位にする事しか考えていないのだ。
「兵藤一誠。お前はどうなんだ?」
「そうだな……最強かな」
「なに?それはどういう意味だ?」
「文字通りだ。先代が成し得なかった事をするまでだ」
「お前……」
アザゼルは一誠の言葉を聴いて、背筋が凍るような感覚に陥っていた。一誠が見せる笑みに覚えがあった。
昔、その笑みを見た事があったからだ。それだけではない。
(この雰囲気は……ヴァーリと同じ!?)
かつて育てた半悪魔の白龍皇と同じだった。アザゼルは椅子から立ち上がり一誠に近づいた。
「お前は自分が何を言っているのか、分かっているのか!?」
「もちろん……俺と先代を同じように考えないで貰いたい」
「お前の発言を危険だと判断する者がいたらどうするんだ!?」
「最強になれば関係ないだろ?」
「それは……」
確かにそうだ。いくら危険だからと言って命を懸けて倒すだけの価値があるかどうかは別の話だ。挑んだ所で死ぬのが確定している相手にわざわざ殺されに行く訳がない。
「それに準備はもう完了している」
「準備だと?一体……」
「それは後のお楽しみってやつだよ」
「本当に似ているな……」
アザゼルは諦めたようで椅子に座り直した。どことなく一誠は似ていた。先代白龍皇のヴァーリに。だから何を言っても聞く耳を持つ事はないだろう。
アザゼルには会った時から少し分かっていた。一誠がヴァーリと同等の戦闘凶だという事が。
「兵藤一誠の話は一旦置いておくか。同盟をするに当たって、話しておかないといけない組織がある」
「組織ですか?それは……」
「トップに居るのは無限の龍神だ」
「それは……!?」
アザゼルの言葉にミカエルは言葉を失った。だが、サーゼクスは特に驚きはしなかった。その組織は一誠を経由して黒歌から情報を得ていたからだ。
それもかなり詳しい情報を持っていた。そしてこれからその組織と関わった悪魔の捕縛が水面下で進んでいた。
しかも知っているのは一誠を含めて数名しかしらない。
「まさかオーフィスが組織を作っているとは……」
「しかもその組織には堕天使や天使、悪魔に人間と色々な種族が関わっているようだ」
「まさか天使までも!?」
「堕天していないのが不思議だ。神の不在が原因だろうな」
聖と魔のバランスは神と魔王がいたからこそ、成り立っていた。だが、今はどちらも不在になっている。サーゼクスは魔王だが、悪まで名を受け継いだに過ぎない。
それで魔王とは言えないのだ。だからバランスが取れずに天使もそう簡単に堕天しないのだ。
「サーゼクスはあまり驚かないんだな?」
「その組織についてはある程度、情報を持っているので」
「ほぉ……俺でも組織の一部しか分からないのに」
「その組織に部下のスパイが潜入しているので」
「よく潜り込ませたな……」
もちろん潜っているの黒歌だ。彼女は元々組織に所属していたので簡単に情報を得る事が出来た。黒歌が組織に入ってしばらく経つので怪しまれずに情報をサーゼクスに渡す事が出来たのだ。
「あとで詳しい情報を渡しますので活用してください」
「それはありがたい」
「ええ、助かります」
アザゼルとミカエルがサーゼクスに軽く頭を下げた瞬間に爆発音が部屋の中に響いた。そして窓の向こうで黒い煙が上がっていた。
「あそこは……オカ研の部室!?」
「一体、誰が!?」
「始まったか……」
リアスと朱乃は何が起こっているのか理解が追いつかなかった。だが、一誠は『白龍皇の光翼』を展開して、デュランダルのレプリカを太刀に変えて臨戦態勢を取っていた。
一誠だけではないゼノヴィアもデュランダルを構えていた。
「ゼノヴィア、ここは任せた。ギャスパーを守れ」
「分かった。任せろ!」
「ギャスパー。ゼノヴィアから離れるな」
「は、はいぃぃぃ!!」
一誠は外に出る前にギャスパーにペットボトルを投げた。中身は赤い液体が入った。赤い液体の正体は一誠の血だ。
「ギャスパー。何かあればそれを飲め。いいな?」
「わ、分かりましたぁ!」
「さて、始めるか。テロリスト共!」
一誠は飛んで行ってしまった。校庭には無数の魔方陣が展開されており、そこから次々と悪魔が現れた。
三大勢力が張った結界をすり抜けてやってきたのだ。情報がどこかから漏れていたのだ。だから彼らは結界をすり抜けられた。
「魔王、天使長、総督を討ち取れ!!」
「かかれ!!」
「皆殺しにしろ!!」
悪魔たちが次々とサーゼクスたちがいる場所に攻撃しようとした。だが、攻撃を放つ前に絶命した。一誠が目にも留まらぬ速さで切り捨てたのだ。
「悪いがこっちも仕事でね。とっと死んでくれ」
白き龍が暴れて、この場に居る者たちを次々と屠っていくのであった。まるで先代白龍皇の再来のようであったと、のちにアザゼルが語るのであった。