一誠は眷属たちを連れて近場の駅に来ていた。サーゼクスの命令で眷属たちを連れて冥界に行く事になった。しかし一誠たちはまだ冥界へ行った事のない者ばかりで転移魔法が使えないので手続きをする事になった。
(手続きをするのに駅ってどうなんだ?)
一誠はどうして駅で手続きをするのはが未だに理解出来ていなかった。しかしサーゼクスに駅に行くようにと指示があったので素直に従った。
駅に到着しているとすでに見知った者たちが待ったいた。一人が一誠たちに気が付くと手を振ってきた。
「兵藤!こっちだ!」
「匙に生徒会か……」
駅で待っていたのはソーナとシトリー眷属の面々だった。するとソーナが前に出てきた。
「冥界までは私が案内をするようにサーゼクス様に言われたのでどうぞ、よろしくお願いしますね」
「それはこちらこそ」
「兵藤……苗字は嫌いでしたね?」
「ああ、一樹とセットにされるのは嫌なんでね」
「分かりました。では一誠君と……ではこちらです」
一誠は一樹とワンセットにされるのをもの凄く嫌っている。それは一樹も同じで同列に並ばされると激怒する。
ソーナは一誠たちとエレベーターに向かった。そしてカードをエレベーター内に翳すとエレベーターが地下へと下りた。
そしてエレベーターが到着するとそこはまるで別世界の駅になっていた。
「それにしても転移魔法を使わずに列車ってどうなの?」
「冥界は人間界と壁によって区切られています。それを突破するには必要なのですよ」
「色々面倒なんだな……」
ソーナたちに続き、一誠たちも列車へと入り、席に座った。しばらくして列車は発信した。それほど揺れる事無く、静かな出発となった。
「ゼノヴィア、匙。修行をするぞ」
「ここでか?」
「こんな所で修行なんて出来るのか?」
「ああ、それじゃするぞ」
列車が出発してしばらくして一誠はゼノヴィアと匙の二人に修行をつける事にした。一誠は天井に両足で立って見せた。
「凄いな!」
「忍者か!?」
「二人にはこれをやってもらう。足に氣を溜めてつつ、全身の血流を操作するんだ。そうれば、頭に血が上る事もない」
「ああ、分かった」
「よ、よし!やってやるよ」
ゼノヴィアも匙もさっそく一誠のように天井に足で張り付こうとしたが、失敗して頭から落ちた。一誠もいきなり成功するとは思ってもいない。
「痛い……」
「くそっ……頭が割れそうだ」
「二人もいい線、行っているぞ。もう少し氣を操れないと出来ないだろうな」
「これをすぐに覚えてイッセーをあっと言わせて見せる!」
「そうだな!驚く所を絶対に見てやる!」
ゼノヴィアと匙は再び列車の天井に張り付いた。二人とも先ほどより集中力が増していた。しかしまた頭から落ちてしまった。
二人の氣のコントロールではまだまだ出来なかった。それでも一誠は二人に教えてもいいと思っていた。
(こいつらは中々スジがいいからな……このペースなら数日もいらないかもしれない)
ゼノヴィアと匙の氣の相性は非常に良かったりする。二人の覚えがいいのはそれがあるからだろう。だから少し早いけど、一誠は壁への張り付けを覚えさせた。
この張り付けが戦闘で絶対に役に立つと思ってからだ。二人が修行に励んでいるとソーナが一誠に近づいてきた。
「一誠君。匙に修行をつけてくれてありがとうございます」
「俺はあいつが強くなる手助けをしているだけだ。当人にその気がなければ、手伝いすらしなかったさ」
「そうですか……それで聞きたい事があるのですが、いいですか?」
「内容による……」
「一樹君との仲です」
一誠にとって一番話したくない事をソーナは一誠に聞いてきた。すると一誠の顔が不満で変な顔になっていた。余程、話したくない事なのだけどリアスと違いソーナを一誠はそれほど嫌ってはいない。
女性(リアス以外)には優しい美学を持つ一誠としては話してもいいけど、いい話ではないので極力話したくはなかった。
「……一樹が俺を嫌っているのは物心付いた時からだ」
「何があったのですか?」
「何も」
「何もないのに相手の事を嫌いになるなんて……」
ソーナは一誠の話に疑問を持った。物心付いた子供が、それも双子の兄弟をどう嫌いになると思ったからだ。しかし一誠が嘘を言っているようには見えなかった。
「俺は中学まで一樹と仲良くしようと頑張ったんだ……」
「10年以上……よく続けられましたね?」
「根気だけは子供の頃からあったからな。それでも10年、頑張ってみたけど結果はごらんの通りさ」
「しかし何が原因なのでしょうか?話を聞く限り、一誠君に落ち度はあると思えませんけど?」
10年もの間、一誠の善意を一樹は否定し続けた。それでも一誠は頑張ったが、結局仲良くはなれなかった。そして一誠は異世界へと転移してしまった。
そこで様々な事を経験して一誠は一樹への執着を綺麗さっぱり諦めた。心のどこかでは仲良くなれると思う反面、一生分かり合えないと思っていた。
「俺たち兄弟は二天龍の宿主の運命とか関係ない。俺はあいつの毛嫌いしている。ただそれだけさ。聞いても面白くも何ともないだろ?」
「そうですね……ですが、一誠君の過去を知れたのは収穫だと思います」
「ポジティブ……」
一誠はソーナとそれ以上話す事は無いと体を横に倒して眠りに入ろうとしていた。ゼノヴィアと匙は諦めずに天井への張り付く修行に励んでいた。
まさに二人が成功しようとした時だった。いきなり列車がブレーキを掛けて列車は止まった。止まった際の振動で一誠は起き上がった。
「何だ?どうしたんだ!?」
「分かりません。このような事、私も初めてです」
ソーナは列車の停止に驚きが隠せなかった。今までこのような事はなかったからだ。すると一誠は列車の外に視線を向けた。
「デカい奴が居るな……」
一誠は大きな氣を感じて外へと出て見た。そこには仁王立ちして一匹のドラゴンが居た。大きな氣の正体はこのドラゴンだった。
「久しいなアルビオン」
『貴方は……タンニーン!?』
一誠たちの目の前に居たのは魔聖龍タンニーンだった。思わずアルビオンは驚いていた。