木場祐斗は校舎裏であるとんでもない光景を見ていた。それは一誠と女子生徒が男子生徒の前でキスをしているシーンだった。
(何をしているんだ!?)
祐斗は状況に付いて行けなかった。どうして一誠が堂々と男子生徒の前でキスをしている。そして男性生徒はどうして一誠と女子生徒とのキスを見ているのか。
訳が分からなかった。しかし祐斗が一誠の下に来たのかは主であるリアスの命を受けたからだ。
(部長がどうして彼を呼んだのかは元気が無い事と関係しているのだろうか?)
数日前にリアスは冥界の実家に一時帰省していた。そこからリアスは元気が無い事は眷属の誰もが分かっていた。
しかし自分は主の剣だ。主が言わない事を無理に聞こうとは思わなかった。しばらく観察していると女子生徒は男子生徒とどこかへ向かって居なくなった。残った一誠は祐斗の方向を見た。
「っ!?」
「出て来いよ」
一誠と目が合った祐斗は大人しく出て行った。そこで一誠はニヤついた顔をしていた。分かっていたのだ、祐斗が隠れていた事に。
「気がついていたのかい?」
「当たり前だろ?気配丸出しで気がつかない方が無理だ」
「気配って……」
「俺には感じ取れるんだよ。それで何のようだ?」
「部長が君と話したい事があるから今日の放課後、部室に来て欲しいんだ」
「話ね……」
一誠はどこか乗り気ではなかった。それを感じて祐斗は申し訳ない表情をしていた。
「分かった。放課後だな?」
「ああ、それじゃ伝えたからね」
祐斗はそれだけ言ってそそくさにどこかへ消えた。
▲▲▲
「しまった!寝過ごした!?」
一誠は放課後、少し時間を空けてオカ研の部室に行こうと屋上で寝ていたら一時間は軽く越して、二時間になろうとしていた。
起きた一誠は急がずにオカ研の部室に向かった。
「時間は決めてないしいいだろう」
会う事だけで時間を決めていなかったので一誠はゆっくりと部室に向かっていた。そして部室の前に来て一誠は手を扉の前で止めて、中に居る気配を感じた
(強い氣が居るな。それに他にも大勢居るな)
オカ研の部員以上の人数に一誠は一先ず部室に入る事にした。
「どうも!兵藤一誠、ただいま参上!」
「「「…………」」」
部室に居た全員があ然と一誠を見ていた。部室の中にはリアス一樹たちの他に銀髪のメイドとホスト風の格好をした男とその後ろに15人の美女と美少女たちが立っていた。
(メイドだけ強いな)
一誠は銀髪メイドが部屋の中で一番の強さを持っている事を見抜いた。それと同時に懐かしんだ。異世界アレイザードに居るメイド長の事を
(どうしてメイドってのはこうも強いんだ?)
主人に奉仕して仕えるはずの存在であるメイドが強さが必要かどうか怪しくなってくる。そんな中、一番に声を出したのは一樹だった。
「一誠!どうしてお前がここに来た!?」
「お前らの主に聞け」
「え?部長が?」
一樹はリアスを見たが、リアスは黙ったままだった。そんな中、ホスト風の服を着た男が一誠をみて、リアスに問いかけた。
「なんだ、リアス。まだ眷属が居たのか?」
「……彼は眷属ではないわ」
「何?では何故、ここに居る!?」
「話があったからよ。ずいぶんと遅かったのね?」
「ああ、屋上で寝ていた」
「そう……」
リアスはそれだけ言って黙り込んでしまった。それ以前にあまりにも元気がなかった。一誠は男の事が気になっていた。
「それでお前は一体誰なんだ?」
「なんだ、俺の事を知らないのか?」
「知らないのは当たり前だろ。ザコを一々覚えていられるか」
「ざ、ザコだと!?ふざけるな!!ミラ」
「はい。ライザー様」
ライザーと言う男にミラと呼ばれた少女がいきなり一誠に向けて、棒を突き出した。だが、一誠はそれを難なく掴んでミラに拳をお見舞いした。
「……え?」
しかしその拳がミラに当たる事はなかった。ミラ本人の前で止められたからだ。先ほどまで静寂を保っていた銀髪メイドにだ。
「離せ」
「その攻撃はやり過ぎです」
「さっきから黙っていたんだから最後まで黙っていればいいものを」
一誠はゆっくりと殺気を納めた拳をミラから離した。ミラは一誠の殺気に腰が抜けて床に座り込んだ。先ほどの出来事を受け止め切れなかったからだ。
「さて、グレモリー先輩。まず聞きたいんだが」
「何かしら?」
「先輩とこのアホ男との関係とこっちのメイドは誰なんだ?」
「彼はライザー・フェニック。私の許婚で、そっちのメイドはグレイフィアで私の兄の眷属よ」
「許婚と兄の眷属ね……」
一誠は再び2人を見て、実力を測っていた。
「お嬢様。そろそろそちら方は誰なのですか?一樹様にそっくりな顔ですが?」
「彼は兵藤一誠。カズキの弟よ」
「彼がそうですか」
グレイフィアは一誠を少し見て、視線をリアスとライザーに戻した。そこからしばらくの間、沈黙が続いた。
「それでリアス、どうしてこの人間をここに呼んだんだ?」
「……ライザー。レーティングゲームをするに当たって私にハンデを貰えないかしら」
「ハンデだと?まさか、この人間を参加させるつもりか?」
「ええ、そうよ。私はゲームの経験は無いし、眷属の数でも貴方に劣っているわ」
「ふん。いいだろう。俺もコケにされた礼をしないと気が済まないからな」
リアスとライザーは二人でサクサクと話を進めていった。そんな中、一人だけ穏やかな気持ちではない人物が一人、一樹だ。
(どうしてだ、リアス!『原作』と違う事をするなんて!!)
転生して『原作知識』がある一樹にとってリアスの行動は予想外だった。ただでさえ、弟一誠が白龍皇である事も想定外なのに。
これ以上、自分の知らない物語が始まると対処にしようがない。しかしここでリアスに正面きって反発するのは後の展開に大きく関わってくるのは明白だった。
(だが、俺がライザーを倒せば問題ない!)
ここ数年、この日のために自分なりに修行をした。悪魔に転生した時のために身体を鍛えてきた。今の一樹なら十分、ライザーに勝つ事は難しくない。
「ちょっと待て!何を勝手に話を進めている。俺はお前らの揉め事に関わるつもりはないぞ!」
「何だ?自信がないのか?人間。それはそうだよな。所詮は人間が悪魔に勝つなど出来るはずも無い」
「なんだと?」
勝手に話をするめるリアスとライザーに怒りが沸々と沸いてきた。
「人間が悪魔に勝てないか。それはどうだろうな」
「何?負け惜しみか?」
「これ、誰のだと思う?」
「それは……!?」
「え?嘘……きゃあぁぁぁぁ!!」
一誠が見せたのは女性物の下着だった。ライザーにはその下着に見覚えがあった。今朝、見たばかりだからだ。
ミラは自分の胸を触り、そこに下着無い事を確認すると悲鳴を出して、ライザーの後ろに隠れた。
一誠が持っているのはミラの下着だった。
「取られた事に気づかないとか、情けないないな」
「貴様……!!」
「人間が悪魔に勝てないと言っていたな。逆だ、悪魔が人間に勝てると思っているのか?」
一誠はライザーに向けて、不敵な笑みを浮かべて挑発していた。ライザーは顔を真っ赤をなっていた。プライド大きく傷つけられたからだ。
だが、ここで暴れる訳にはいかなかった。目の前にはグレイフィアが居たからだ。ライザーは自分を落ち着かせた。
「グレモリー先輩」
「何かしら?」
「正直、あんたらの面倒事に巻き込まれるのは御免だったけど、気が変わった」
「それじゃ……」
「ああ、参加してやるよ。そのレーティングゲームに!」
こうして一誠はレーティングゲームへの参加する事にした。この選択が後に大きな戦いを産む事を一誠を含めて誰も知る由もなかった。