TS少女とDr.エイト 作:Dr.エイト/Spider
あるサイトにて配信された動画の始まりです。
画面には赤い髪の少女が映し出されています。
「初めましてこんにちは。研究者のエイトと申します。専攻はファンタジー学です。こちらは助手の……」
「いや硬い硬い! 緊張してんの? ガチガチじゃん。ども、Dr.エイトの助手にして魔王軍四天王、キーリ・スカラだぜ。得意な魔法は炎と雷かな。みんな、俺の顔を覚えていって。今日中に」
緊張はしていませんが。
二種類の声が聞こえているのですが、映っているのは少女だけ。そして、くだけた話し方をしている
「ちょっと怖い上に中二病ですよ。私は緊張してるわけではなくてですね、フランクな研究者って腹立つだけではないですか。これはパリッとしてるというのです」
もう一つ聞こえる声は男性で、姿は映っていない代わりに、画面の上部に心電図のモニターのようなアイコンが表示され脈動しています。私ですね。
「ふーん。何でもいいから進めていこうぜ」
「たった30秒でもう興味ないような声を出さないでくださいよ。そうですね。このチャンネルは、私とこちらのキーリ助手の二人で、ファンタジー世界の秘密について考察していくチャンネルです。私は子供のころからファンタジー小説や映画が好きで、ファンタジーの世界に行ってみたいとも常々考えているんですよ」
「現在進行形だったん?」
「しかしながら、ファンタジー世界に行くことなんてほとんど不可能ではないですか」
可能性はゼロではないのでいつかは行ってみたいと思いますが。
「そうだなー」
改めて聞いてみると、短時間にファンタジーがゲシュタルト崩壊しそうですね。言い換えも考えてみるとしましょう。
「だからこそ、ファンタジー世界の生き物や物理法則について考えてみたいと思ったのです。助手はどう?」
「俺はその“ファンタジー世界”と言われるところの出身だから、Dr.エイトの科学的な考察については興味がある。それにエイト一人だったらクソつまんなそうだし、俺が見ておかないと」
「それはどうもありがとうございます。では早速タイトルコール、いってみましょう」
「応援よろしくお願いします!」
「……
「うちの施設っぽいでしょう? 蜘蛛の巣いっぱい」
「掃除しろ」
エイト(CV:
キーリ・スカラ(CV:キーリ・スカラ)
♰ ♰ ♰
どこにでもいる普通の配信者であった私、三井栄人に転機が訪れたのは、ある日並行世界を観測していた時のこと。
突然装置が爆発したかと思うと、赤い髪の少女が現れたのです。
少女の名前はキーリ・スカラ。
彼女は自らを男だと言うのでした。詳しく話を聞いても要領を得なかったのですが、元々は男の身体だったのが、この場所では女の身体になっていたという話です。生物学は専門ではないのでそのあたりよく分からないのですが、ファンタジーですね。
そして、彼女は施錠してある実験室の中に出現し、並行世界からこの世界へと移動してきたということになるのです。驚きの連続でした。
彼女はこの世界に戸籍も済む場所もないので、私が面倒を見ることに。
私が観測したことが世界渡航の引き金になった可能性もあるのですから、当然です。
彼女の身に起きた物事の原因を究明する必要もあるでしょう。
でもそれはそれとして、配信には付き合ってもらいます。
だって彼女、とても可愛い声をしているんです。
彼女と一緒なら、天下すら狙えるかもしれません。
目指すはファンタジー補完計画、ですかね。
A:君もTSしていますね。それが答えです。
いや、意味分からんし。