異世界戦争   作:ロングキャスター

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異世界戦争1-2

のどかな草原が地平線の先まで続く。

 

 

 

季節は春を終え夏になろうとしている。

 

暑さを増した日射しがそれを知らせるがが、その暑さも時おり吹く風が紛らわし涼しさを覚える。このまま横になって目をつぶれば眠りに落ちてしまいそうなほどだ。

 

そんな異世界ものでよく語られるようなのどかな光景。

そんな誰もが憧れるような美しい世界は今、大きく影を落としている

 

 

 

 

 

 

 

 

20××年11月13日。

 

太平洋上に浮かぶ3つの大きな島。

 

 

 

これは民間軍事会社(PMC)『RALF(ラーフ).International.Defence.Force(R.I.D.F)』の拠点だ。

 

 

 

R.I.D.F.は世界的に最も巨大な軍事力を持つPMCで、その規模は一国の軍隊に匹敵する。

 

 

 

陸戦隊、空戦隊、海戦隊の3隊に別れているが、分かりやすく言うならば、陸、空、海軍である。

 

そんなラーフ社の演習場の一角に突如巨大な時空の歪みが生じた。

 

よくある異世界と現代が繋がった的な流れで敵が攻めてくるかと思えば事情は違った。

 

 

 

その歪みからは数名の人がやって来た。当初は目的も言語もわからない状態であったが、身振り手振りのコミュニケーションや相手側の魔導師が、言語習得の魔法でも使ったようで、通訳として対話が可能になった。

 

 

 

そこで得られた情報は以下の通りである。

 

 

 

・彼らの世界では何不自由なく過ごせていたが、突如謎の武装集団に襲われた。

 

・奴らは大変高度な技術力があるらしく何も抵抗出来ないまま国や村、町が襲われた。

 

・奴らは現地民を連れ去り、虐殺などしている。

 

・結果、どうしようもないので別次元の人達に助けて貰おうとした

 

 

 

 

 

というのだ。

 

 

 

まぁ、なんとも虫のいい話だ。

 

上記にもあるが自分達で何も出来ないから他の人に頼むとはただの他力本願というだろう。しかし、少なからず自力で抵抗はしているらしいので最後のあがきというか...

 

 

 

この件に関してはもちろん軍は消極的だった。

 

もちろん報酬は出すというが、国情を聞くに現地ではこちらでいう米国並みの国力を持つというが、逆に我々からすれば少し国力のある発展途上国レベルだ。そこから得られる報酬はたかが知れてる。

 

もし本格的な介入をすれば、莫大な費用がかかる。その上、敵勢力になるであろう相手がどれ程の軍事力を持つかもわからない。

 

もし、現在のラーフ社を越える軍事力があるとすれば結果は目に見えてる。ただの金の無駄遣いにもなってしまう。

 

これ以外にも、米軍の下請け的存在になりつつあったラーフ社にはすでに手一杯の問題もある。

 

 

 

まず、2001年より勃発しているアフガニスタン紛争だ。

 

これにNATO陣営として参戦するラーフ社は現在も対テロ戦闘等でアフガンに駐留する。

 

そして、現在状況が悪化しているシリアにも出兵が検討されるなど頭を抱える事が多いのも現状だ。

 

 

 

しかし、ラーフ社は未知の要救助者である異世界人を刺激しないようゆっくりと状況を確認していった。

 

下手に断って謎の魔法などで痛い目も見たくはなかったのだ。

 

小規模な派遣団などを投入し、徐々に全容が明らかになり、それに伴いラーフ社の見解も変わっていった。

 

得られる報酬は少ないものの、それ以上の収得物が得られるのがわかったのだ。

 

それは『手付かずの石油・鉱山資源』と『広大な土地』だ。

 

 

 

枯渇へと向かう現状の石油資源。これを大量に確保できるどころか、出所を偽れば世界に売り出すこともできる上、軍事に必要不可欠な鉱山資源にも溢れている。

 

これに加えて敵勢力となる相手の軍事力が十分に対抗可能なものであるという確証も得られただけでなく、敵は聞くに大国であるようだ。つまり、完全なる制圧にならなくても莫大な戦争賠償が取れるというオマケまでついてくるのだ。

 

 

 

結果、軍はこの事案に対し『武力行使による平和維持』として介入を決定した。

 

もちろんそれなりの代償があるのも覚悟の上、それ以上の成果が得られるとふんだのだ。

 

 

 

 

 

 

 

という流れで現在に至る。

 

本格的な軍事介入後の暴れっぷりは見事で、まず陸上部隊と簡易の航空戦力が築かれた敵の防衛ラインを突破。

その後整備された空軍基地から航空部隊を展開し一帯の制空権は完全に掌握した。

 

数基のレーダーサイト、『ボーイング 737 AEW&C 』早期警戒管制機による複雑化されたレーダー網に打つ手なしである。

 

当初は敵勢力も挑発的で大規模な報復攻撃もあったが、それを尽く返り討ちにされて次第に戦闘も散発的になっていった。

しかし、ここ最近になって動きが活発化し始め、さらには戦力も増強されつつあった

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

この世界は『中世ヨーロッパの前期~中期に相当するファンタジー世界である。

 

人種以外にエルフやドワーフ等といった『THE 異世界』というような、数多くの種族が暮らしている。

 

 

そしてそんな世界に明らかに似つかわしくない3台の車輛がのどかな平原を一連に走っていた。

 

 

「あ゛~、あづい~」

 

ギラリと照り付ける日差しがオリーブドラブで塗装された『M1151 ハンヴィー』の分厚い装甲を熱する

 

サウナ状態のハンヴィーに乗る日本人、篠原 咲 伍長はその暑さに愚痴をこぼした。

 

「しゃあねぇだろ、もうじき夏なんだから」

 

ハンヴィーを運転する小隊長、藤原 啓一少尉は言った

 

「せっかく異世界だと思ってちょと楽しみにしてたのに~」

 

「戦地に行くってのに楽しみに~とかは置いとけよ。第一中東上がりなんだからもう少し我慢しろ」

 

藤原は篠原の方をチラチラと視線に入れるように話す。

一方篠原は険しい顔で目を閉じて上を見上げている。

 

「中東上がりだからって暑さに慣れてる訳じゃないんですからね?...こんな暑かったら眠れないですよ」

 

「暑いのは十分同感だが、任務中に寝るな」

 

藤原は実にあっさりと注意した。

 

「相変わらず仲良しだなぁ。お二人さんは」

 

二人の会話を後部座席で聴いていた隊員の一人、イーライ・ウェルコット 二等軍曹がニヤけ顔で言う。

 

「やっぱ、デキてるんじゃねぇのか?」

 

続けてもう一人の隊員、グラハム・シュピーゲル二等軍曹が茶化す

 

「うるせぇぞ。なんだったらお前らがお守り(おもり)するか?」

 

藤原は言った

 

「おっと、ベビーシッターは勘弁だ」

 

イーライは言った

 

「ベビーシッターって...子供じゃないんですけど?」

 

篠原は呆れたような口調だった。

 

「だってお前、小学生だろ?」

 

イーライは小バカにしたような口調で言った。

 

「はっ倒しますよ?!若く見られても中学生です!」

 

「中学生で威張んなよ...」

 

グラハムが苦笑を浮かべる。

 

「はいはい、そこまで」

 

藤原が仲裁に入った。

 

篠原は一般戦闘部隊所属としては珍しいの日本人隊員だ。

そしてさらに珍しい理由として、彼女の体格だ。

148cmの小柄な体格はかなり異色で、一般戦闘部隊中最も身長が低く、その為同部隊どころか他部隊からもイジられる、イジられキャラとして定着しつつある。

 

「篠原、寝るなとは言わないし、寝ろとも言わないが咄嗟に動けるようにはしとけよ?」

 

「いえっさぁ~」

 

藤原の言葉に、普通ならぶん殴られるような腑抜けた返答で答えた。

 

 

 

 

そんなたわいもない話で盛り上がりつつ、彼らの車輛は全く風景が変わることのない平原をひたすら走り続けた...

 

 

 

 

 

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