≪west control Here, I wish for a unicorn flight and runway designation≫
(ウエストコントロール、こちらユニコーンフライト滑走路の指定を願う)
≪Ok Unicorn Flight, moved to Runway 26. Allow taxiing≫
(了解。ユニコーンフライト、ランウェイ26へ移動せよ。タキシングを許可する)
2機の戦闘機がタキシングウェイをゆっくりと移動する。
指定の滑走路に進入した2機はスロットルレバーを全開にして一気に加速。
軽量ボディに強力なエンジンを搭載した
『ロッキードマーティン F-16CJ(block50)』2機は直ぐに離陸速度に達し離陸を開始した。
静かで清んだ青空をジェットの轟音が騒がしくする。
高度を上げて水平飛行になった所で
≪地上部隊はかなり危険な状態だ。現場の報告ではメッサー型の戦闘機が4機、シュトゥーカ型の対地攻撃機が3機とのこと≫
≪ラジャー≫
≪現在、航空監視のため737
≪ラジャー。...ユニコーン1、こっちは2機あわせてアムラームが4発、サイドワインダーも4発。一気にミサイルで終わらせるか≫
≪ああ、アムラーム発射後左右にブレイク...敵の右翼、左翼からサイドワインダーで一気に畳み掛ける。撃ち漏らしがあるならドックファイトだ≫
≪
ユニコーン1とユニコーン2は簡単に作戦を打ち合わせた。
その後、しばらく現場に向けて飛行中の2機に新たに無線が入る。
≪こちら空中管制機 スカイアイ。敵機を捕捉、地上を狙っている7機に加えて別空域にもう4機を確認≫
≪なに?≫
≪俺達が来たときに備えてだろうな...足りない分はドックファイトで補う。ユニコーン2行くぞ≫
≪あいよ...よし、レーダー捕捉。ユニコーン2攻撃準備に入る≫
≪ユニコーン1も捕捉した。ロック後アムラーム射撃≫
≪
コックピット前方の
≪ユニコーン1 エンゲージ。fox3!≫
≪ユニコーン2 fox3≫
F-16Cの翼両端から『AIM-120 アムラーム』が発射された。
≪ブレイク!≫
ユニコーン1の号令で二機はお互いに左右にバンク角を90°取り散開した。
───────────────────
7機の航空機による攻撃にさらされる藤原達は必死の抵抗を見せていた
特に急降下でやって来るスツーカの攻撃は激しく機銃や爆弾が降り注ぐ。
3輌の車両がさまざまな方向から弾幕を張る為にちょこまかと走り回る。
しかし、それを嘲笑うかのように航空機は標的を民間人へと向けた。
無抵抗の人々に浴びられる銃弾の雨。
一機のスツーカが投下した500kg爆弾が地面に突き刺さると同時に起爆。
大量の土と共に馬車や民間人が無惨にも宙に舞った。
...だが、やられてるのを黙って見ているわけではない。
イヴェコが一端停車すると後部座席からチャドが降りる。
車両に括り付けた細長いケースを開けた。
こういう事もあろうかと、予め用意していた『FIM-92G スティンガー』を取り出した。
標的はちょうど低空で通り過ぎたBf109
「Fire!」
発射機からミサイルが放たれる。
赤外線、紫外線シーカーにより熱源追尾能力があるスティンガーが排気管から出る高温を探知してBf109目掛けて突き進む。
前方の排気管を追っていたミサイルは排気管よりも手前の右主翼根元付近に着弾。
起爆の衝撃で右主翼をほぼ根元から失いエンジンも破損、機体本体にも亀裂が走り煙と炎に包まれた機体はそのまま地面にまっ逆さまだった。
その場の全員が声を上げる余裕がないほど緊迫していた。
ただ聞こえて来るのは悲鳴と怒号だけ
「航空支援はいつ到着する?!」
銃声と怒号が飛び交う中、グラハムが声を張り上げて言う
「もう暫くかかるかもな..」
藤原はそう言った
...その時だった。
突如2機のスツーカと1機のBf109が空中で爆散した。
「よっしゃ!来たぞ!」
藤原は声を上げた。
援軍の到着に皆歓喜していた。
遊軍機が撃墜され散り散りに逃げるような動きをするクロイツの戦闘機と攻撃機
残ったBf1092機とスツーカの1機はすぐさま状況を別の機体に報告した。
────────────
≪クソっ...奴らが来た!助けてくれ!≫
遊軍の悲痛な叫び声が無線機から鳴り響く
≪全機、敵機襲来!戦闘空域に向かう!≫
少し離れた空域で待機していた6機が隊長のエルンスト・ミッチェル少佐の号令の下スロットル全開で戦闘空域へと向かった。
≪敵機はかなりの高速だ。上方もしくは下方から狙え!いいな、後ろを取ろうなんて考えるな!≫
ミッチェルは言う
彼自身は敵戦闘機との空戦の経験はない。
祖国において、大陸戦争でたぐいまれな操縦技術で帝国の勝利に大きく貢献した彼はメディアから引っ張りだこで、彼に憧れて入隊した新米も多数いた。
それ故に彼は敵と接敵を急ぎつつ疑問を抱いていた。
(なぜ俺はこの世界に派兵されたのか..)
自分自身の技量に自信がある故にそこに引っ掛かっていた。
本国での報道はワンパターンで
『友好条約締結間近!』
『現地民は友好的。国民の往来も可能か?』
『反対派の散発的な抵抗、しかし帝国軍の圧勝』
などプラスの面しか国民に知らせていない。
もしこの報道が事実であるなら、この地に派兵される必要はないはずだ。
つまり、意図的に国民に虚偽の事実を吹き込んでいる事になる...
どんな裏があるにせよ、自分の目で見たものが『現実』であり、それを自らの目で確認してやろう。
...そんな事を思いつつ機体を飛ばしていた時だ
≪隊長!一時半の方向!≫
ミッチェルを呼ぶ声が無線機から聞こえる
ミッチェルはその方向を見た。
そこには細長い雲が一直線に伸びている。
そんな雲が自然に形成されるわけはない。明らかに敵機だ。
≪全機、タンクを切り離せ!≫
ミッチェルの指示により、4機のBf109が胴体下に抱えた増槽を切りはなし、迫り来る敵機へと向かった。
──────────────────────
コックピットに異様な警報音らしきものが鳴り響く
しかしそれは警報ではなく、サイドワインダーのシーカー音だ。
“LOCK”
無機質で冷たい声色の女性の言葉だ。
≪FOX2!≫
ユニコーン2がサイドワインダーを発射。
発射後回避行動をとったその直後に無線が入った
≪
≪Whoo!≫
≪まだ喜ぶのは早いぞ。ユニコーンフライト、新たな
ユニコーン1、2はその方角を確認した。
≪
一足先にユニコーン1が目標を視認。
こちらを目掛けて飛来する4機のBf109だ。
≪ユニコーンフライト、接近する
≪
≪
AEW&Cの指示に2機は接近する敵機に対して真っ正面から挑んだ
────────────
≪来るぞ!≫
ミッチェルは怒号を上げた。
高速の両軍機の一気が距離が詰まっていく...
≪今だ!≫
ミッチェルの怒号と共に4機が上方に散開した。
それにあわせてF-16Cもそれに合わせる形で上昇する。
(速度差があるならそれを逆手に取ればいい!)
帝国空軍の英雄として名を轟かせた彼には豊富な経験がある。
上昇したBf109はそのままループで180°方向転換。追いかけるF-16Cもそれに合わせて上昇した後に水平軌道になった。
案の定F-16Cは持ち前の高速性故にミッチェルの機体をオーバーシュートしてしまう。
狙い通り。
あとは自ら射線に出て来た敵機を蜂の巣にするだけ...
だが、そう簡単に行くはずがない。
いや彼の考えた方法など、今では何人ものパイロットがやって来た事だ。
せいぜい600km/h程度のBf109では最大で音速の2倍出せるF-16Cには敵わない。
オーバーシュートしてしまえば直ぐにスロットルを全開にして一瞬のうちに射程外に出てしまう。
加速して逃げたF-16Cは驚異的なパワーで急上昇している。
軽戦闘機で比較的小柄なサイズのF-16Cだがミッチェルには双発の重戦闘機程の大きさに思えた。
急上昇するF-16Cの翼全体には白い雲の様なものが形成され、神秘的な見た目であった。
ミッチェルはふと我に帰り周囲を確認する。
3番機の右手後方から別のF-16Cが接近していた。
≪ローナンド、右後方!≫
ミッチェルは怒鳴った。
しかし次の瞬間...
≪fox2!≫
敵機から何かが発射された。
その何かは回避する3番機...ローナンドの機体に吸い付くように飛翔し、機体は無惨にもバラバラに砕けた。
≪なんだ今のは!≫
ミッチェルは誰に言うわけでもなく、怒鳴る
(あれが生き残りのパイロット達が言っていたか..)
Bogen Gottesこと神の弓
これに狙われたが最後機体は粉々になる。
避けようにも驚異的な速度で飛来し、回避する暇もなく誰が狙われているかすら分からない...
それが放たれたが最後...誰かが死ぬ。
こういう話しが帝国空軍内部に広まっていた。
ミッチェルもその噂を聞いていた。
如何なものかと興味深かったが、今は恐怖と危機感だけだ。
ミッチェルはただひたすらに操縦桿を動かして狙いを定められないように小刻みに動かしつつ状況の確認も怠らない。
だが、それでも敵機は後方を狙っていた。
≪隊長!後方です!≫
ミッチェルはすかさず後方を確認した。
≪!!≫
ミッチェルは足元のラダーペダルを踏んだ。
機体が横滑りしたその刹那、真横を何かが横切った。
(なんだ?!弓か!)
ミッチェルは先ほどの神の弓もとい、サイドワインダーかと思ったがそれがなんだったのかは直ぐに分かることになる。
間一髪で回避したミッチェルは再び辺りを見渡した。
また1機が餌食になろうとしていた
ミッチェルはその機体に注意しようとしたのだが、彼が声を発する前にF-16Cの機銃がBf109を粉砕させた。
(まさか...機銃だというのか?!一体どれほどの口径を使っているんだ!?)
ミッチェルを驚愕させたF-16Cの機銃...
『M61 バルカン』は言わずと知れたあのバルカンだ。
6銃身の回転式機関砲で毎分6~6600発を発射する。
口径はBf109も装備している20mm機関砲と同じだが、1秒間に100発の発射レートである。
さすがに同口径とはいえ、一瞬のうちに数十発を受ければ意図も容易く粉砕してしまうだろう...
ミッチェルはただただ絶望していた。
圧倒的な機体性能差で為す術もなく、技量でどうこう出来る相手ではない。
(このままでは..)
ミッチェルの脳裏に最悪のシナリオが浮かんだ
≪全機撤退だ!...残っている機体がいるのなら≫
自分でも驚く程に覇気の無い言葉だった。
それほど、この状況に衝撃を受けていたのだ。
(圧倒的な空軍力の差がある..)
地上部隊、海上部隊が円滑に戦闘させる為には空軍により上空を制圧する必要がある。
これがいわゆる『制空権』なのだが、これを確保出来る状況に無い帝国軍の命運はほぼ決していた
(...このままでは帝国は負ける)
ミッチェルは思った。
そして彼は辺りを見渡す。
(残ったのは2機か)
自分の他にもう1機が編隊を組んでいた。
あれだけの戦力差で2機が生き残ったのだ、上出来だろう...
彼らの帰路は重く、虚しいものだった
─────────────────────
「なんとかなってくれましたね..」
篠原は静けさが戻った平原で一人呟いた。
「空軍様々だな」
藤原は言う。
隊員達も民間人達も安堵の様子だ。
だが嵐の爪痕は非常に酷かった...
「状況の確認をしよう。生存者を集めても負傷者とそうでない者で別ける...遺体もだ。そしてラコスティ...お前は負傷者の手当てを頼む。2、3人手伝いを連れてな」
「イェッサ」
藤原は一通り指示を出した。
第2小隊の衛生兵、ラコスティは直ぐに3人手伝いを呼んでいる。
負傷者は治療を受け、無傷の者やかすり傷程度の軽傷者が馬車や荷物の整理、隊員達は遺体の回収にあたる。
────────────
作業は半日程掛かってしまいもうすぐ日が沈もうとしている。
作業が終了し再び出発を開始した。
「埋めてお仕舞いってのは...かわいそうな気がしますけどね..」
再び移動を開始したハンビーの車内で篠原は言った。
「ちゃんと葬儀出来ればいいんだけどな」
「さすがにこの状況だと無理だな」
藤原とグラハムが答えるように言った。
「...避難民はどうするんです?」
暫く沈黙が続いた車内。
その沈黙を篠原が破った
「他の町に身寄りのある人達はそこに行くんだと」
「無い人は?」
「さぁな」
「さぁなって...他人事みたいに」
藤原の言葉に篠原は呆れたような口調で言った。
「だからってどうにも出来ねぇだろ?」
「難民キャンプを作るぐらい出来るでしょう!」
徐々に篠原がヒートアッブしていく
「それを作る費用と場所は?」
「それくらい大した問題じゃないじゃないですか。場所だって沢山あるわけだし」
「落ち着け、篠原」
イーライが仲裁に入った。
「でも..」
「篠原、これは規則なんだよ...。上は難民を受け入れないと言ってるんだ」
「規則って...規則が大切なのは分かります。でもだからって沢山の人を見殺しにするんですか?!」
藤原の言葉に完全にスイッチが入ってしまったようで、 ヒートアッブした篠原の勢いは止まらない。
「...そうか、そうですよね。規則を破れば隊長も降格されちゃいますよね。自分の立場が大切だからそう言いなりみたいになるんですね??」
「いい加減やめろ!」
篠原をイーライが叱咤する
興奮状態の篠原とそれを押さえるイーライ...
グラハムは運転中のため、何も出来ないでいる。
そして助手席で腕を組み、うつむく藤原...
一瞬静けさが戻った後、藤原が口を開いた。
「困った人を助けてたい気持ちはよく分かる。俺もそうだからな。...だがな、俺たちは何者だ?」
「...兵士ですけど」
「そうだ。俺ちは兵士であって誰でも助けるスーパーヒーローではないんだよ」
「っ!」
篠原は言葉に詰まった。
まさに正論、それもドが付くほどの正論だった。
それでも篠原は言葉を探した。
「りょ、良心とかはないんですか..」
絞り出したその言葉は先ほどの勢いが嘘のようにか細いものだった
「その良心が痛みながら、それを押し殺してる気持ちが分かるか?」
そっと呟かれたその言葉に一同は黙り込んでしまった
────────────────
避難民と別れ、ようやく基地に帰りついた第2小隊と戦車小隊。
出発時に使用した備品の返却や清掃等で忙しくしている最中、藤原は会議室の中にいた。
正面に立つ藤原と中年層のおじさま方がどっかりと椅子に腰かけている。
その‘’おじさま‘’ことお歴々の質問攻めに合う。
「まず今回の出動、ご苦労だった」
お歴々の一人、DW地区陸軍派遣隊航空総監...
という長ったらしい肩書きの軍人らしい黒髪短髪の中年男性は労った。
「呼ばれた理由はわかるな?」
別の男が言った。
航空総監とほぼ同じ髪型で金髪のその男はグレーを基調とした色に青色が混じった迷彩服を着こなしている。
DW地区空軍統合総監の彼はグリーン系の迷彩服のお歴々が集まるなかでひときわ浮いていた。
「はい。もちろんです」
空軍総監の言葉に短く端的に答える。
「では...なぜ難民を連れて来たのかね?」
...そう、結局連れて来ちゃったのである。
陸軍普通連隊総監の問いに、
「避難民の中には重症をおった者もおり、我々が現地で施した応急処置程度では済むものではなく、より高度な医療処置が必要であると判断しました」
と答える
「中には負傷してない者もいたようだが?」
同じく普通連隊総監が問う
「負傷者の面倒や子供たちの保護者代わりの者等です」
「まぁつまり、可哀想だから連れてきたわけだな?」
空軍総監が言った
「単刀直入に言うとそうなりますでしょうか」
藤原は言った。
「お人好しで行動していいほど甘い話しではないんだぞ?!お人好しがしたければ自衛隊にでも入ったらどうだ?」
砲兵連隊総監がかなり興奮した様子で言った。
「一応私は日本国民です。自衛隊も尊敬してますのでそう言うのはやめて頂きたいのですが」
藤原は言った。
その言葉に砲兵総監はフンと鼻で笑うようにあしらう
「連れてきた事のリスクは理解しているか?」
「もちろんです」
航空総監の問いに端的に答える。
「ではなぜ連れてきた!」
再び砲兵総監が声を荒らげた
「やってしまった事をとやかく言ってもどうにもならんだろ」
普通連隊総監が言う
「私的感情を一小隊の隊長が先行し、規則を破った事は非難されて当然だろう。だが、今は非難するのではなく今後を話す事が目的だ」
航空総監は言った。
「我々としても、敵空軍に対してもう少し強めに牽制を掛けていれば防げたかもしれんしな」
空軍総監は言う。
「とやかく言うのはやめて、もう難民を受け入れる体制に変えるのが手っ取り早いんじゃないのか?」
それまで黙って聞いていた機甲総監が口を開いた。
「なんだと?!」
砲兵総監は長机を叩き怒鳴った
「あの...よろしいでしょうか?」
お歴々の口論で蚊帳の外になっていた藤原が割って入る。
「今後について少しお話を」
藤原はそう切り出すと、長くなる話を始めた。
「まずは難民の居住区を基地の外れに建設します。しかしこの居住区は難民を受け入れるような簡単なものではなく、自らで自給自足を行える一つの町のようにするのです」
「つまり、居住区の確保と簡易的な住居の提供だけであとはノータッチでいい...言うなれば、難民キャンプを作るのではなく現地民の新たな町を作る手助けをするわけだな?」
空軍総監が言った。
「はい。さらに、人が住む所には必ず商人と商店が出来ていくものです。それらが出来れば我々もより楽に現地通貨を得る事が可能になるはずです。 」
「現地通貨か..」
普通連隊総監は言う
「現状、長期任務の場合数多くの食料、燃料を車輛に満載して出撃しています。ですが、長期になれば食料や燃料の携行数は上昇します。もちろんそれでは車輛のキャパシティをオーバーしてしまい、結果として空軍の輸送機による航空投下で補っている状態です」
藤原は空軍総監を見た。
その時の藤原の顔は『あとはよろしく』と言いたげな表情だった。
「確かに我々の輸送機による物資輸送で地上部隊の支援を行っている。ただ、ここ最近になって陸軍の出動回数、期間の延長等で輸送任務の数がうなぎ登りだ。陸軍の支援をすることに躊躇いはないが、輸送任務の増加で燃料コストや整備コストが増え続けている」
「ですので、現地通貨を得る事が可能になれば食料だけでも現地調達が可能になり、その空いたスペースに燃料を余分に携行することも可能になるのです」
藤原は更に続けた
「さらには商人の往来があれば、より多くの情報を入手しやすくなります。仕事上町を転々とする商人は豊富な情報を持っていますからね」
「そう上手くいくならいいがな」
「上手くいくためには我々が尽力せねばな」
砲兵総監の言葉にそれまで完全に沈黙していた一人の男が反論した。
口髭と顎髭を蓄え、右の頬に生々しい傷痕を付けた貫禄あるその男は、この軍のトップ...
厳密にはDW地区統合総司令官、ドレイク・D・ラッセル大将である。
「少尉、まずは今回の件について君にはペナルティを与える必要がある。わかるね?」
ラッセルは聞いた
「はい。承知しています」
「君には停職2日、減給4ヶ月そして始末書を書くように。...そして、仕事も申し付けよう」
ラッセルは一呼吸置いて
「今回の難民に対して、氏名、年齢の聞き取り、そして今後の環境改善や運営に関する相談といった細々した作業をしてもらう。もちろん手当ては出さない、いいね?」
藤原はただ軽く頷いた。
「ではこちらの問題に移ろう。マークセン総監、そちらの動きは?」
ラッセルは空軍総監、フェルドア・マークセン中将に尋ねた
「はい。我々の同胞である地上部隊が危機に合ったこと、並びに現地民に対しての被害や別部隊も同様の被害に合ったことから、今後の友軍地上部隊、民間人への被害を食い止めるため..」
マークセンは出し惜しみするかのように一呼吸置いて続きを述べる
「...‘’静空の嵐‘’作戦を決行しました」