とある魔術の統一言語(ゴドーワード)   作:玄霧皐月

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第一章 始まり
始まりの日


四月某日始業式にて

 

「最後に去年退職なされた英語科の石伊先生に代わって新しくこの学校で教鞭を執る事になった先生を紹介する、玄霧皐月(くろきりさつき)先生だ」

 

そういって紹介された先生は眼鏡をかけていて人畜無害そうな先生だった

 

「玄霧皐月です、今年は中学二年Ⅾ組の担任をします。担当科目は英語で中学二年生を担当します。よろしくお願いします」

 

「玄霧先生はね、とても優秀な言語学者であり、今年18歳でありながらイギリスの大学を卒業し英語だけではなく世界のほとんどの言語を扱うことができるんだ」

 

そう校長先生が自慢げに玄霧先生を紹介して、その日の朝礼は終わった

 

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一週間後 学園都市常盤台学生寮にて 

 

「お姉さま、最近常盤台生に送られてくるという手紙の話ご存知ですか?」

 

ゲーセン帰りで疲れていて、もう寝ようかという所でルームメイトの白井黒子は言った

 

「知ってるわよ、何でも変な手紙が送られてくるようになって、鬱気味になっている子もいるらしいじゃない」

 

少し腹を立てながら私はそう言った

 

「でも妙なんですの、何でもその手紙は自分の一週間の行動が事細かに書かれているという話ですわ、それも、自分の忘れてしまっている行動ですら書かれているらしいですの」

 

気味が悪いといったように体を震わせながら黒子は言った

 

「犯人は何が狙いでこんな事をするのかしらね、それにストーカーにしてもそんな大勢の人を一週間も付け回して行動を正確に記録するなんて無理なはずよ」

 

心底不思議だそんなことできる奴なんているわけがない

 

「一人だけその手紙を送れる人物に心当たりがありますの」

 

「誰よそいつ」

 

黒子に心当たりがあることにびっくりしながらも私は聞き返した

 

「お姉さまと同じ超能力者である≪心理掌握(メンタルアウト)≫食蜂操祈さんですの、彼女なら生徒たちの記憶を読み取って一週間の行動を記録した手紙を作ることができるはずですの」

 

確かに彼女ならそんなこともできるかと思った、しかし

 

「あいつにそんなことする理由がないと思うけど、あいつ以外にそんなことできる奴いなさそうよね、とにかく明日話を聞いてみましょうか」

 

そう言って今日はひとまず寝ることにした

 

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翌日放課後

 

食蜂操祈を見つけた私は単刀直入に切り出した

 

「ねえあんた、最近常盤台生に送られてる手紙、あんたがやってるんじゃないでしょうね」

 

「あらぁ、なんでそんなことを疑うのかしらぁ」

 

飄々とした態度を崩しもしないで彼女は言った

 

「一週間の正確行動を書いた手紙なんてあんたが記憶を読み取って書いたとしか思えないわ、なんでこんなことするのか教えなさい」

 

そう言うと彼女は笑いながら

 

「私が記憶を読み取れるから私が犯人だなんて安直すぎるんじゃない?そもそもその手紙には本人が忘れていることも書かれているって話なんでしょ、私は本人が覚えていることしか読み取れないからその手紙を書くことは不可能なんだゾ」

 

とバカにしたように言った

 

私はカチンとしながら

 

「最初からそこまで疑っていたわけじゃないわよ、そもそもあんたがそんなことをこのタイミングでやる理由もないし」

 

 

「それにしてはとってもけんか腰だったけどねぇ」

 

彼女はニヤニヤしながらやはり私を馬鹿にしたように言った

 

「うっさいわねぇ、とにかくあんたも犯人に心当たりないの?」

 

「そうねぇ、そういえば手紙が送られているのは中学二年生のD組だけみたいよ、担任の玄霧先生に聞いてみましょう、ちょうど私も気になっていたから一緒にいくわぁ」

 

たしかに玄霧先生に聞くことはいいアイデアだと思ったが彼女がついてくるのは意外だった

 

「いいわよ、私一人で聞いてみるから」

 

私はそういうや否や職員室に走り出した

 

「ちょっと、おいてかないでよぉ」

 

後ろからそんな情けない声が聞こえたような気がしたが無視した

 

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職員室

 

「中学二年の御坂美琴です、玄霧先生いらっしゃいますか」

 

そう言って中に入り、玄霧先生の机まで行くと彼はまるで彫刻でも見るように私のことを二、三秒観察してからゆっくり口を開いた

 

「ああ、御坂さんですか、とりあえず座ってください、何か御用ですか?」

 

彼はいつもと変わらぬおっとりとした雰囲気でそう言った

 

「単刀直入に言います、先生のクラスの生徒にいたずらで手紙が送られている件に関してなにか知っていることはありますか?」

 

私はほんの少しでも情報がもらえたらいいと思い質問した

 

「その手紙を送ったのは僕です、いたずらのつもりではありませんでしたが」

 

あっけないほど簡単に自分がやったと認めてびっくりしていると

 

「うそ~あの手紙を送ってたのはあなただったんですかぁ」

 

と遅れてやってきた食蜂操祈が先に驚きの声を上げた

 

「あんたが玄霧先生を操っているわけじゃないでしょうね」

 

疑いの目で彼女を睨むと

 

「そんな訳ないじゃない操るならもっとやりそうな人を選ぶわよ」

 

確かに彼女ならこんなわかりやすく操りはしないか、さっきの驚き方は素だったみたいだし

 

「じゃあ、どうしてそんな手紙を送ったのか説明してください」

 

私は純粋な疑問を先生にぶつけた

 

「それは、私には記憶することができないからです」

 

「どういう意味ですか?だって先生は知識も豊富だし私たちのこともわかってるじゃないですか!」

 

私も食蜂の意見に賛成だ、どういうことなんだろう?

 

「私は君たちの特徴を記録しているに過ぎないんです、もし君の特徴を君より持っている持つ第三者が現れたとすれば私はその人を御坂さんだと認識するでしょう」

 

「だとしてもなんでこんなことをしたんですか?」

 

彼の記憶できないということが本当だとしてそれが手紙とどう関係しているのだろう

 

「私は君たちの記録を読み取って私の記憶を取り戻そうとしているだけです、手紙を送るのは彼ら自身が忘却した記憶を求めていたからです」

 

まったく要用を得ない、誰が忘却した記憶を返してほしいと言ったのだろうか

 

「それはあなたの独りよがりでしょ」

 

「そうかもしれませんね、けれどもこれが私が私であるために必要な行動、いわば趣味なんです、記憶することのできないわたしには自ら何かをしようとはできません、私にできることはただ人に求めていると思うことをすることだけです、私は皆さんが忘却した記憶を求めていると感じています、だからこそ私はその記憶を返却したいのです。」

 

うーん本当のことを言ってるのかどうか今一わからないわねどうしようなんて思っていると

 

「えい」ポチッ 

 

どうやら食蜂が能力を使ったらしい

 

「じれったいからぁ、能力で記憶を見てみましょう、嘘か本当か一発で分かるんだゾ」

 

そう言ってボタンをポチポチしながら記憶を探っていく食蜂

 

「あらあら、おかしいわねぇ、ちゃんと記憶を持っているわ」

 

やっぱり嘘だったのか、けど嘘をついているようにもおもえなかったなぁなんて思っていると

 

「けど知識の記憶領域に私たち生徒の身長や体重、髪型なんかの特徴をわざわざおぼえているわぁ」

 

「それって変なの?」

 

そう聞くと食蜂は

 

「身長体重を覚えるのはまあいいとして、御坂さんの髪形を茶髪のショートヘアという知識でしか覚えていないのは変じゃない?普通は見たまま覚えるわよぉ」

 

確かにそうだ、普通髪形なんて見た目を画像でそのまま覚えるはず、それをわざわざ言葉にしておぼえるなんておかしい

 

「私の仮説だとぉ、彼は多分記憶できないのではなく、自分が記憶したことを思い出すことができないんだと思うわぁ、言葉という知識を思い出すことはできるけど、だからわざわざ知識として人の特徴を覚えたり人の記憶の中から自分の行動の記録を探したりしてたんでしょう」

 

「知識があるなら覚えているのと同じじゃないの?」

 

私がそう聞くと

 

「違うわよぅ、知識でしか思い出せないということは実感がないということよぉ、たぶん生きているという実感もこの人にはないわ、あるのは知識と自分の記録を収集しなければという使命感だけ、本当はもう覚えてはいるんだから思い出せるようになろうとしなければいけないのにね」

 

そんな勘違いをして今まで人の記憶を読み取っていたと思うとかわいそうになってきた

 

「あんたどうにかできないの?」

 

そう聞くと

 

「無理ねぇ、なんで思い出せないかなんてわたしにはわからないわぁ、私にできるのは記憶を読み取って知識として与えてあげることだけ、とりあえず今までの記憶は知識として教えてあげるくらいならできるわぁ、根本的な解決にはならないけど、人からもらった虫食いの知識よりはましでしょう、あとはお医者さんに見せるしかないんじゃなぁい?」

 

結構できてるじゃないか

 

「じゃあそれやっちゃって」

 

「わかったわぁ、じゃあ最近のからどんどんやっていきましょうか」

 

記憶を知識に変換し始めて結構立ったころ

 

「まだ終わらないの?」

 

もうそろそろ待っているのも限界になってきた

 

「御坂さんはぁ見てるだけだから暇でしょうけど私はたいへんなのよぅ」

 

そうだろうけど暇なものは暇なのだそんなことを思っていると

 

「あらあらぁ、五歳の時の記憶に面白いものがあるわぁ」

 

「どんな記憶なの?」

 

「妖精に追いかけられて妖精を握りつぶしてしまった記憶よぉ、どうやらこれがあってから記憶を思い出すことができなくなったみたいね」

 

「妖精?」

 

まさか妖精のいたずらだとでもいうのだろうか?科学の都市に住んでいるものとしてそんなものは認められない

 

「本当だとしたら治せるかもしれない人に一人心当たりがあるわぁ」

 

そんな奴がいるのか、

 

「誰なのその人?」

 

「上条当麻、学園都市に住んでいる高校一年生よぉ、彼ならばもしかしたら治せるかもしれないわぁ」

 

確証はないけどねぇ、と付け足した彼女のは確実に恋する乙女の顔だった

 






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