「おい!!鎧塚!お前に用があるって!女の子が…!」
最近何かとピリピリしている2年1組の生徒たちは、隣の2組の男子生徒のその声で第15小隊を見た。
その視線の先には、話していたのか4人が固まっていた。
「僕に?三吉くん、誰ですか?僕に用のある子って」
それだけ言うとヤヨイは立ち上がりスタスタと教室を出ていった。その時点で、教室の気温が心なしか下がっているのを感じた。
「ヤヨイさん、今回も平気ですよね…」
「へーきへーき、何なら隊長がへーきじゃないもん」
女子だけは、平常運転だが隊長のマシロだけは顔が暗い。
鎧塚 ヤヨイと言う人間はそのルックスと言動で学年に関係なくファンを持つほどの男である。そのためこうして時折友人経由で告白をする生徒が後を絶たないのだ。
そうこうしているとヤヨイが帰ってきた。
「お帰り、ヤヨイさん」
「ただいま。」
「どうだった?告白」
「えぇ…それはっと、もうウォータイムなんですね」
帰ってそうそう結果はどうかと問うたシオン、それに答えようとしたヤヨイは不意に時計を見た。そろそろウォータイムが始まる時間だ。
「ホントですね、そろそろ移動しませんと」
ミオの言葉に従い顔が暗いマシロを引っ張るようにブリーフィングに参加した。
そして今日の任務を司令官から伝えられた。
「第15小隊、貴様らはケインズ工場地地帯防衛だ」
「今日は私が前に出て攻撃するから。二人は掩護よろしく!」
『了解しました。マシロくん、どないしはりました?』
『…………』
『ク、クラフトキャリア発進します!!』
本日の作戦内容を確認するためにヤヨイがマシロに話しかけるが聞こえていないのか返事がない。
『ケインズ工場地帯です!』
「了解」
『了解です』
『…………』
「はぁ……全機降下開始!!」
指示を出さないマシロを見てシオンが声を大にして叫んだ。
「降下完了、これより進行する敵を排除!」
『了解』
『……了解した』
3つの機体がそれぞれの持ち場へと動き、シオンがヤヨイに撃つように促す。
「ヤヨイさん!」
『了解!』
フラッグへと接近中だった敵機が1つ音を立てて倒れ動かなくなった。
それを確認するとシオンは狙撃銃からナックルへと換装する。
敵の懐へ一気に入り込み次々に敵を倒していく。
1つ、また1つとブレイクオーバーにしていき、そこにいるのはシオンの機体のみとなった。
あらかた倒し終わったのでミオに残りの残全戦力を聞くために通信を開けようとしたその時、ミオの悲鳴がかった声が響いた。
『隊長、危ない…!!!』
見るとマシロの目の前に敵機が襲いかかるのが見えた。
「マシロ…!!!」
急がなければ、そう思いその場に行こう、としたその時。ポーンとその場に見合わぬ間抜けな音がした。
『残りの敵の撤退を確認。』
「ヤヨイ…さん?」
『シーちゃん…』
どこかいつもと違う雰囲気のヤヨイに女子二人は顔を見合わせ首を傾げた。
『ウォータイム終了』
ブリーフィングも終わり残りは下校となった。
シオンとミオは、第6小隊の面々と寮へと帰っていた。
「それにしても、今日は君たちらしくなかったね。」
「あぁ、どうしたんだ?」
ミハイルとバネッサが心配そうな声で訪ねた。その後ろにいるカゲトも心配そうな顔である。
「昼間さ、ヤヨイさんが告白されたんだよ。」
「そういえば、ヤヨイ呼び出されてたな」
「で、そのせいでマシロが拗ねたんだよね……はぁ………」
「はぁ…?」