CONTROL   作:白燐乱

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ドゴッ

 

 

 

それは、平穏な寮の談話室に突然響いた音だった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ………?」

 

「マシロってさ、昔っから嫉妬深いくせして仲間思い、そのくせ人に裏切られるのが怖いんだよ。

 それでLBX仲間が他のことに興味を示すとそれに対して嫉妬しちゃうんだよ。」

 

「へぇ…」

 

「でもさ、仲間思いだからその友達のこと悪く言えないんだよ。

 

本当はなんでLBXよりもそれをやってるんだ、って言いたいけどその子のこと考えたら言えないって言ってた。」

 

 

「ナルホド、性格のせいで強く言えないのか」

 

「そ、今回もヤヨイさんには恋人の方がいいんだ〜って考えてるんじゃないかな?

まぁ、今回はアイツの思い込みだけどね。」

 

「そうですね、ヤヨイさんは恋人とかよりも仲間大事にしますから」

 

 

そんな会話をしながらいつの間にか寮についていた。

心なしかいつもよりうるさい気がする。

 

 

「あー、遅かった?」

寮に入り、談話室に行くと見慣れた男子2名が殴り合っていた。

 

 

 

「お前なんかにわかるかよ!?」

 

「わかるわけないやろ!?他人やで!!」

 

「人に裏切られる辛さがお前に…!!!」

 

「はぁ?待てや。さっきまでと話が脱線しとらんか?」

 

「そうだったか?」

 

「あぁ…てかその告白してきてくれた子には丁寧に断ったわ!!」

 

「へ…?」

 

「チッ、今日はもう寝る!!」

 

「待て!ヤヨイ逃げるのか!?」

 

「あぁ?逃げるわけないやろ。アンタと話すと疲れるんや!!」

 

 

 

「はぁ………」

 

それを見てシオンは頭を抱えた。後ろにいたミオ達は普段と違う二人にびっくりして動けないでいる。

 

 

「マシロ。」

 

「シオン…?」

 

「アンタってホントにバカね。」

 

「へ…?」

 

「ヤヨイさんはアンタを慕ってんの。そのくらいわかりなよ。てか、15小隊はみんな、アンタを信頼してるの!!早くそこから立ち直りなよ」

 

それだけ言うとシオンは来た道を戻っていった。その場に残されたマシロはソファに寝転んだ。

 

思えば、あの時もシオンは俺を慰めてくれていた。

 

 

 

 

ー

それはまだミオもヤヨイもいない頃の第15小隊、1年生の頃の話。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、今日のウォータイムはマシロを軸にしたフォーメーションで行こっか!」

 

その頃の小隊長はハキハキとした性格が取り柄の三川 ヨシハルと言う男子生徒だった。

隊員にマシロとシオン、メカニックはヨシハルの双子の弟のヨシテルだった。

 

 

 

「今日は確か、防衛任務だったね。近い国はグレンシュテイム。軍事力はあるけどそこまで強くはないね」

 

「あそこのLBXは空を飛ぶからカッコいいよね」

 

「そうか?空飛ばれたら逃げ場ねぇだろ」

 

俺は、いつもシオンと一緒に行動していた。ヨシハルとヨシテルは双子だからと言う安直な理由。

 

 

 

本当は……

 

 

「ホントは知ってるんだよ。あの二人が裏で私の悪口言ってんの。」

 

 

「シオン…?」

 

「ほら、足、悪いでしょ。周りは同情心で話しかけてくる。それだけならいいのにね。ホント」

 

滅多に弱みを見せないシオンが珍しくそう言った。確かにクラスの奴らが憐れみの目でコイツを見てるのは知っていた。知っていて、何もできずに

 

「何もしなかった、違うから。マシロだけだから私と一緒にいてくれたの。」

 

「シオン……」

 

「ほら、早くブリーフィングに行こ。ウォータイムが始まっちゃう」

 

 

 

 

 

 

 

『防衛任務予定ポイント到着』

 

『了解、全機降下開始!!』

 

相手は、予想通りグレンシュテイムだった。こっちは、中距離戦が得意なヨシハル、近距離戦の俺とマシロだった。のだが、この日は何故かシオンは遠距離用の狙撃銃を持って高台へと登っていった。

 

『蔵前!?何勝手なことしてる!!降りてこい!!』

 

『く、蔵前さん?』

 

仲間の声にも答えないでシオンは黙々と高台へと登っていく。

 

『剣崎!お前は敵を片付けてこい!』

 

「りょ、了解…!」

 

言われたとおり、敵を片付けていく。あらたかた倒し終わったから次の命令をと…そう思っていたら後ろから警告のアラートが鳴り響いた。

 

慌てて避ける。すると味方のはずのヨシハルから音声のみの通信が入った。

 

 

『チッ、なんで避けるんだよ。クソ野郎』

 

「えっ……?」

 

『テメェはもう用済みだ!!テメェをロストさせたあとは蔵前を…!!』

 

その次の言葉は来なかった。なぜなら拳銃を持ったヨシハルの機体がロストしたからだ。

 

 

誰が、そう思ってあたりを見回す。それで気がついた。慌てて高台に視線を向けるとシオンの機体が銃口をこちらに向けて佇んでいた。

 

『蔵前さん?何やって……』

 

『知ってるから、』

 

『え?』

 

『二人がマシロをロストさせようって話してるの!知ってるから!!』

 

『何言って、僕たちが剣崎くんをロストさせようって……味方じゃないか?なんでそんなこと』

 

 

『そういう見え透いた嘘、やめたら?』

 

『っ…!!』

 

 

その頃になってようやく二人の行動がわかった。本当はシオンの悪口なんかじゃない。あの二人は俺とシオンをロストさせようって考えてたんだ。

 

 

 

 

 

 「剣崎と蔵前、うぜぇんだよな。隊長の俺に楯突いておまけに蔵前なんか松葉杖ついてなきゃ禄に歩けねぇ、足手まといなんだよ。俺たちの将来のためにアイツらは潰す!」

 

「サンセー、兄ちゃんはやっぱ天才だな」

 

「だろ?」

 

 

 

あのあと、メカニックのヨシテルは戦意喪失のまま敵の増援部隊にクラフトキャリアを破壊されロスト。

ウォータイムが終わったあと、案の定俺たちはヨシハルから小言をもらったついでに睨まれた。

今日付でアイツらは退学。明日の便で本土に戻るのだろう。

 

「テメェなんか早くロストしちまえ!」

 

 

それだけ言い残し、二人は朝一の便で帰っていった。

 

 

 

 学校の殆ど人が通らない階段でうずくまるマシロを見つけた。小さく小刻みに震えるのを見て、ため息を小さく吐いた。理由なんか簡単に検討がつく。それがムカつくからわざとらしく足音を立てて近づき声を掛けた。

 

「マシロ」

 

「シオン、なんだよ」

 

「アンタは悪くない、私が勝手にハルをロストさせたの。アンタの責任じゃない。」

 

「俺はっ、また裏切られたっ。あん時だってお前を見捨てて逃げてそれで裏切られたっ!!もう、嫌なんだよ!!」

 

知ってる、私と一緒にいたから周りから裏切られたのも。今回だって、だから自分で立ち上がって、それでアンタに「隊長」の座を渡す。周りはアンタを理解してくれる時が来るよ。

 

「マシロ、私が15小隊の隊長に任命されたの。

それだけ言いに来た。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





第15小隊のメンバーの過去話はどこかしらのタイミングでいれたいなぁ、と考えてたんです。一番最初はマシロで最後はヤヨイさんにしよう、と考えてはいたんですけど女子二人はどのタイミングで入れるか今めちゃくちゃ悩んでます!
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