CONTROL   作:白燐乱

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「ミーちゃん、残りの敵レーダーに出して!」

 

『了解!』

 

『西はあらかた片付きました』

 

「わかった、マシロ。アンタは北の方行ってきて」

 

『りょ、了解』

 

男子二人が殴り合いの喧嘩をした翌日。防衛任務をこなす第15小隊はどこかギクシャクしていた。

 

 

 

 

『ヤヨイさんはそのまま敵の増援がいるか確認!マシロはそこに待機!私は2つ目のフラッグの守備にあたります!』

 

シオンが指示を飛ばしているとヤヨイが口を開けた。

『敵の増援を確認!マ、マシロ…くんそっちの方や』

 

『敵、6機を確認!マシロくんの方に4機が集中!!残り2機はシーちゃんの方に!』

 

「2部隊かよ…了解、こっちは私がやるからヤヨイさん、マシロの方へ援護してきて!」

舌打ちをし、指示を飛ばす。飛ばされたヤヨイの顔は驚きに満ちている。

 

『え……僕ですか…?』

 

「じゃ、よろしく!!」

 

困惑するヤヨイをそのままに通信を一方的に切ったシオン。それを見てミオが通信越しに苦笑する。

 

 

『シーちゃん、荒治療ですね。強引では?』

 

「い、いいの!とにかくレーダー頼むよ!」

 

顔を赤くするシオンを見てミオは笑いながら作業へと戻った。

 

 

 

 

 

ー

戦況観覧室ではロシウス第6小隊のメンバーがシオン達の任務を映像越しで見ていた。

「お、いつもと違うフォーメーションだな」

 

「あぁ」

 

「やはり、昨日の喧嘩だろうね」

 

「殴ってたしね。あの二人」

 

「あんなに取り乱したマシロは1年ぶりに見たな。」

 

「そういえば、あのときも取り乱してたな。アイツ」

 

「そうなんすか?」

 

「あぁ、一時期シオンが指揮とってたんだけど隊員が二人しかいないからな私達と行動してたんだ」

 

懐かしむようにバネッサが言うとカゲトが初耳という顔になる。

 

「今日のグリーンスナイパーズ、フォーメーションが違うな」

 

「あぁ、グレイリオが指揮とってんな」

 

「ガウンタの調子がわりィーな、なんかあったのか?」

 

周りの生徒たちが画面に映し出される映像を見て話し出す。彼らもシオン達の動きが変なのに気づいたようだ。

 

 

「他も気づき始めたな。」

 

「あぁ、これからが本当の踏ん張りどころだね」

 

 

−

 

 

 

「敵のブレイクオーバーを確認!ミーちゃん、状況報告!」

シオンは自分の方に来た敵を倒し、ミオに状況確認のために通信を繋げるとレーダーを確認するとこちらに向けて報告をした。

 

『敵増援ありません!!』

 

「了解、あとはへーきか。私はこのままフラッグの守備にあたる。」

 

『了解、二人とも!現在の状況を!!』

 

『こちら、ヤヨイ!現在敵3機を倒した。』

 

ミオの通信にヤヨイが反応をし、報告をするがマシロの顔は少し憑き物が落ちた顔になっている。それを見てシオンが「バーカ」と小さく呟くのと同時にマシロの悲鳴が上がった。

 

『うわっ…!』

 

『マ、マシロくん…!!』

 

 

 

 

 

 

 シオンの指示を受けて、マシロの方へ来たヤヨイは小さくため息を吐いた。昨日の喧嘩のせいなのかマシロの動きがどこかぎこちない。まぁ、その原因を作ったのは自分なのだが…。

 

 

「マシロくん、君はいつも通り前に出て敵をかく乱や。その隙に僕が倒します」

 

『りょ、了解…!』

 

 

指示通りにマシロが敵をかく乱するのと見てヤヨイはなんとも言い難い気分になる。

自分が来たときにはマシロが小隊長で指示を飛ばすのが当たり前だったので、こうして指示通りに動く彼を見るのはなんだが新鮮だ。

 

 

そう考えながら照準を合わせ、マシロによってあぶれた敵を撃つ。

 

『ヤヨイ、ごめん』

 

「えっ…、」

 

『俺の前からお前がいなくなるのかもって思ったら怖くなったんだよ。』

 

「怖い…?僕は君以外を隊長と認めへん。大体なんで今回に限ってそんな死んだ顔になってんや」

 

『それは……多分ここ最近のウォータイムの影響で……』

 

それを聞いて、なんとなく話の筋が見えた。最近のジェノックによるロシウス進行は生徒たちにはプレッシャーやストレスを与えていた。現にシオンは夜な夜な魘されていると同居人から聞いている。

 今回は、隊長としてのプレッシャーと自分が誰かと付き合うかも、という思い込みから来た心の問題か。

 

 

「なら、約束してや」

 

『約束…?』

 

「せや、何かあったら相談をする!ま、その前に僕が勝手に動くんで」

 

『ハッ、それは頼もしいな』

 

マシロは久しぶりに笑顔だ。それを見て安堵していると女子二人から通信が入る。

 

『二人とも!現在の状況を!!』

 

「こちら、ヤヨイ!現在、敵3機を倒した」

 

ふと、そこで気づいた。敵は6、残りは1のはず……

最後の1体は……

今、1つ目のフラッグにいるのはマシロくん…!

すると、マシロから悲鳴が上がった。

 

『うわっ…!』

 

「マ、マシロくん…!!」

 

『ヤヨイさん、私じゃ間に合わない…!』

 

「了解、僕に任せてや!!」

 

マシロのガウンタは背中に大きな傷がある。恐らく背中からの奇襲か、

ガウンタは不可思議な動きをしていた。

 

さっきから敵の攻撃を躱しているだけ、何で…

 

『ヤヨイ…!!』

 

マシロの通信で、彼の意図が読めた。

 

「ハ、注文の多い隊長やな…!!」

 

銃を構え、装填し、撃つ。

迷いない動きで一遍の狂いもない狙撃。それは敵の機体の中心に穴を開けた。

やがて、機体は大爆発を起こしそこには機体の残骸が残った。

 

 

 

 

 

『よかったね、シーちゃん』

 

『うん、今回はヒヤヒヤしたなぁ…』

 

『お前ら…今回は迷惑かけたからスワローで何か奢ってやる…』

 

『ホント!?やった!私、チョコレートパフェ…!』

 

『じゃ、アタシはバナナプリン!!』

 

『はぁ…、ヤヨイ。お前もだ』

 

「僕?」

 

『あぁ、なんかあるか?』

 

 

「僕は、イチゴアイスで」

 

 

 

 

後日、喫茶スワローで隊員3人にデザートを奢る干乾びた隊長の姿があった。

 





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