ライダーのステータスを見たウェイバーは、あまりのショックに眩暈がして体のバランスが取れず、よろめいてしまった。
全てのステータスが低すぎるのだ。魔術で戦うために筋力、耐久がかなり低いキャスターに悪い意味でタメを張れる……下手をすれば負ける弱さである。
キャスターならば陣地を作り、自分に有利な場所を造り、魔術で距離を取って戦うため筋力も耐久もなくても戦える。だが、ライダーは白兵戦でまともに戦うクラスである。
他にもアサシンの戦闘能力も低いが、このステータスでは確実に負けてしまう。しかも、アサシンも搦め手が得意なクラスだ。
アサシンの固有スキルの気配遮断もなければ、キャスターのように魔力が高いわけでもない。
いくらライダーが宝具が強力なクラスだとしても元の能力的に無理がある。しかもその強いはずの宝具ランクもC+、これすら平均より低い方である。
これでどう戦えというのか、そんな想いがウェイバーの頭を駆け巡る。
そんなウェイバーの悲観を知ってか知らずか、ライダーはきょろきょろと辺りを見回し、何かを見つけたかのようにある地点にトテトテと歩いていき、そこの地面をペシペシと叩く。
若干、可愛いかも……とほんのわずかだがウェイバーの心を和ませた。
しかし、何でそんなことをしているのか? 何か見つけたのだろうか?
「どうしたんだ、ライダー?」
するとライダーはこちらの方に笑みを浮かべて向き直り地面を叩きながら
「ここに僕の召喚の触媒になった物が埋まってるペポ」
そういいながらライダーは口を信じられないほど大きくあけ、口の中に両手を突っ込み「どこだったかな~、これはデデデの帽子だし、これはメタナイトの仮面だし」と独り言を言いながらどうやら何かを探しているようだった。しばらくすると「これペポッ!」という声とともに何かを吐き出した。
それはカランと音を立てて、地面に落ちる。何を吐き出したのかと視線をそれに移すとそれは夜の暗闇の中、不釣り合いに燦々と輝いている黄金の剣だった。その剣が放つ輝きの眩しさにウェイバーは両腕で顔を覆った。
「やっとマスターソードを見つけたペポ。これで掘るペポ」
とライダーはその黄金の剣を振りかざし地面を掘ろうとする。
お前、そんな見るからに宝具な、しかも剣で地面掘るのかよ……と呆れながらウェイバーはどれくらいの時間がかかるのかが気になりライダーに訪ねる。
「……一応、聞くけどどれくらいの深さに埋まってるんだ? その触媒は」
時間がかかるようならばライダーが触媒を掘削している間に、この血で書かれている陣を消して、鶏を処分しなければならない。魔術は秘匿されるものであり一般人に見つかってはならないからだ。
するとライダーは両腕を組んで少し考えた後、口を開き
「う~ん、ざっと200メートルくらい下ペポ」
「……ってはぁ!? そんな深さ、掘削機もなしに掘れるわけないだろ!?」
ウェイバーはライダーの無茶苦茶な言動に激昂するが、カービィは意に介さずに黄金の剣を両手で掲げジャンプで飛び上がり、空中で方向転換し、剣を地面に向かって突き刺すようにドリル回転しながら突っ込む。
そして、そのまま地面に穴を掘り潜っていった。その穴を掘るスピードの速さにウェイバーは唖然とした。
(ステータスこそ弱いけど、ライダーもサーヴァントの一人……人智を超えた力を発揮できるんだ)
そう考えている間にライダーは地中に侵入した穴ではないところから、まるで水から飛び上がるように出てきた。
どうやら、地上に出るときにもう一度、穴を掘ったらしい。200メートルを一瞬で掘るなんて離れ技を見せつけられたことで、ウェイバーはこの聖杯戦争が人間どおしの戦いではなく、人外どおしの人間を超越した戦争であることを再認識した。
「見つけたペポ。これが僕を呼び寄せた触媒ペポ」
ライダーはウェイバーに差し出すように右手を出す。そこには先端に光をともす星の形のオブジェがついた杖だった。彼はライダーからそれを受け取り、細部までなめるように見渡す。
「それはウェイバーに預けておくペポ」
「いいのか? ライダー、お前が持っていた方がいいんじゃないか?」
「ううん」
どうやら、この杖はライダーにとってそれほど有用な物ではないらしい。かなりの魔力が籠っていて魔術の力を強くする礼装として使えるなと感じたので素直に受け取っておくことにした。
ライダーは魔力がEなのであまり必要ないのだろう。でも、これほどの魔力が籠っている物が聖遺物として残っているならば、もしかしたら英霊カービィはライダーではなく、キャスターとして召喚することも出来たのかもしれないな。
そう思慮にふけっていると急にグ~という音が辺りに響いた。
「ウェイバー、お腹すいたペポ~……」
どうやら発信源はライダーのようだ。サーヴァントでも腹は減るんだなと思いつつ、近場のコンビニで何か買って聖杯戦争の本拠地であるマッケンジー夫妻の家へと戻ることにした。